色黒で見た目がグロテスクなカジカ。しかし、身はふわふわで旨味も凝縮され、驚くほどおいしい魚として各地で珍重されています。今回、そんなカジカの下処理から料理までの工程を紹介したいと思います。
カジカとはどんな魚?
まずは改めてカジカという魚について。調べてみると、同じカジカでも一生を川で過ごす「大卵型」と、川と海を行き来する「小卵型」とで大別されるとのことですが、今回ターゲットとしている魚は前者。
この個体は成長しても15~17cmと、釣りのターゲットとしては小物釣りの部類。そしてカジカはとてもきれいな水を好むとのことで、ポイントは必然的に山間部の清流になります。
全体の見た目はハゼに似ているような、そして顔つきはどことなくゴジラにも似ているような。色黒でかつ厳つい風貌は、どう見てもおいしいどころか、食べることができる魚と言われても疑問なくらいなのですが……これが驚くほど美味。食味については後ほど写真付きで紹介させていただきます。
因みに分類的にはハゼの仲間ではなく、もちろんゴジラの仲間でもないそうです(スズキ目カジカ亜目カジカ科カジカ属)。
鮮度を保って持ち帰ろう
カジカを食するには、まずは釣るところから始めるのはもちろん、釣った暁には新鮮な状態で持ち帰りましょう。カジカは比較的生命力高く、クーラーボックスにて氷で冷やして持ち帰ってもいざ捌く時に生きていたりするくらいなのですが、死んでしまうとあっという間に鮮度が落ち、プリプリの身が台無しになってしまいます。
できればエアーポンプを持参し、生かしたまま持ち帰るのがおすすめなのですが、エアーポンプがなければクーラーボックスに多めの氷を詰めて、ギンギンに冷やして持ち帰ってください。
カジカの自宅での下処理
いよいよ料理、の前に下処理を説明していきましょう。
ヌメリ対策
どの魚においても共通して言えることなのですが、ヌメリは臭みのもとになるので下処理はまずヌメリとりから。流水でしっかり洗い流しましょう。カジカのヌメリはうろこがないかわり、なのかどうかはわかりませんが、結構強烈についています。
内臓の処理
アオイソメで釣る(カジカに似た)ハゼは色々な意味で確実に内臓を取り除くことにしていますが、イクラで釣るカジカは何となく安心して内臓を取らずに食べていたことがありました。
しかし、結構な確率で胃袋に砂や小石が入っていたことから、今は念入りに内臓、特に胃袋を取り除くようにしています。内臓処理、必須です。
冷凍保存も可能
内臓を取り除いてしまえば下処理は完了。その日に料理する分以外は水気をよく取り、冷凍保存してください。
また余談ですが、エサのイクラも余ったらしっかり冷やして持ち帰り、冷凍保存すれば次回以降も使用可能。もちろん次のシーズンまで持ち越してもOKです。
カジカは揚げ物が定番
「見た目は悪いけど味は絶品」と称される魚は数多く存在しますが、その中でもカジカは最上位の部類に入るといっても過言ではありません。身はプリプリかつふっくらして旨味も高く、火を通せば骨まで軟らかくなるので料理も手間いらず。
最近はなかなか数釣りが難しくなってしまいましたが、まとまった数が釣れた暁には是非色々な料理を試してみてください。
天ぷらやから揚げなどの揚げ物は定番料理。じっくり揚げることで骨や頭も軟らかくなります。季節の野菜と一緒にどうぞ。
カジカの素焼き
カジカを釣ったら是非作ってもらいたい一品。カジカの旨味が一番感じられる料理だと思います。特に晩秋のでっぷりした個体は脂のノリがとてもよく、それの素焼きは絶品中の絶品。
色黒なので焼き加減がわかりにくいのですが、家庭用グリルであれば弱火で10分程度が目安(炭火なら尚可)。醤油をちょっと垂らせば、素朴かつジューシーな味わいが病みつきになりますよ。
カジカ酒
のんべえにはカジカ酒も是非試していただきたいところ。素焼きにしたカジカを湯呑に入れ、そこに熱燗を注ぐだけ。カジカの出汁と日本酒のバランスが最高。これを飲むと毎度「ああ、またカジカ釣りに行きたい」って思ってしまいます。
簡単に釣れる、とは言い難いのですが、比較的安価な道具仕立てでチャレンジできるターゲット。
渓流のカジカ釣り、興味がある方は是非チャレンジしてみてください。
<尾崎大祐/TSURINEWSライター>
提供元・TSURINEWS
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