証券口座の開設で注意したい5つのリスクとは?どう対策すべき?
(画像=Monet/stock.adobe.com)

米国株式市場などの好調が続き、証券口座の開設数が増加している一方、口座開設にリスクを感じている人もいるかもしれません。ここでは具体的な5つのリスクを解説し、口座開設や投資に関するよくある疑問にもお答えします。

ネット証券の証券口座開設にあたり把握すべき5つのリスク

Q:ネット証券の口座を開設するには、どのようなリスクを知るべきですか?
A:投資で資産が減るリスクやセキュリティリスク、ヒューマンエラーをはじめとする5つのリスクを知るべきです。

ここで紹介する5つのリスクは難しいものではありません。リスクの中身を知ることで、被害防止につながります。

証券口座開設に関する5つのリスク

  • 金融商品のリスク
  • セキュリティのリスク
  • 機会損失のリスク
  • ヒューマンエラーのリスク
  • システムのリスク

金融商品のリスク……値動きが損失や収益を生む可能性がある

金融商品の価格は日々変動します。金融商品のリスクとは、値動きの上下の振れ幅を意味します。リスクが高いとは、大きな損失だけでなく大きな収益を生む可能性も含みます。

金融商品のリスク対策には、投資商品の基礎知識の理解が必要です。ネット証券の口座開設時には、取引予定の金融商品のリスクを把握しておきましょう。

一般的に、預貯金、債券、投資信託、株式の順にリスクが大きくなります。ハイリスクの商品はハイリターンの傾向があり、リスクが低い商品はリターンも低くなります。

セキュリティのリスク……ログイン情報の漏洩などに注意

ネット証券では、IDとパスワードを利用してサイトなどにログインし、取引します。パソコンやスマートフォンなどを利用して証券会社のサイトにログインする方法は、情報漏洩や不正アクセスなどのセキュリティリスクが伴います。

もし、パスワードが推測されて不正にログインされた場合には、思わぬ損失が発生する可能性があります。

2020年9月には、ネット証券の顧客口座からの不正出金が報道されて話題になりました。被害に遭わないためにも、セキュリティのリスクは必ず対策すべきです。
出典:日本経済新聞(2020年9月16日付)

機会損失のリスク……プロからの対面でのアドバイスは期待できない

ネット証券は、口座開設や取引などの情報を自分で調べて投資判断します。プロからのアドバイスを得られない場合など、知識不足から機会損失のリスクが考えられます。

たとえば、外国株の投資を予定してネット証券に口座を開いたとします。口座開設後に、そのネット証券では外国株を取引できないと分かった場合、外国株を取引できるネット証券に新たに口座を開設するまで外国株取引の機会を損失します。

ネット証券の利用では機会損失のリスクを考えて、事前に情報収集をすることが必要不可欠です。

ヒューマンエラーのリスク……注文を間違えても自己責任

ネット証券ではパソコンやスマートフォンなどを利用して自分で注文するため、ヒューマンエラー(注文の誤り)により損失が発生しても自己責任です。

ヒューマンエラーは「意図しない結果を生じる人間の行為」のことです。

出典:厚生労働省

人間は誤りを犯すことを認識して、落ち着いて注文するようにしましょう。

システムのリスク……通信障害などによる損失の可能性

通信回線や取引するパソコン・スマートフォンなどのデバイスの不調により、注文を出せないことがあります。通信回線やデバイスなどのシステムのリスクも対策しておくべきです。

たとえば、注文を出せないために、損切りが遅れて損失が大きくなる可能性があります。

損切りとは?
購入したときよりも株価が下がって損失が発生している状態で、株式を売却して損を確定させること。

通信回線のリスクは、光回線と携帯回線などの複数回線の用意によって対策できます。デバイスのリスク対策は、パソコンやスマートフォンなどの複数台の用意が有効だと考えられます。

ネット証券における4つのセキュリティリスクと対策方法

Q:ネット証券はセキュリティが心配ですが、簡単に対策できますか?
A:ネット証券の利用に際してのセキュリティ対策は難しいものではありません。「個人情報の漏洩」や「不正取引」などの4つのリスクを把握して適切に対策しましょう。

ネット証券を安全に利用するために、次の4つのセキュリティリスクに関して対策を講じましょう。

4つのセキュリティリスク

  1. 個人情報の漏洩
  2. 不正取引
  3. 不正出金
  4. ウイルス感染

リスク1:個人情報の漏洩……パスワード設定、生体認証、2段階認証などに注意

ネット証券以外のサービスから個人情報が漏洩するリスクの対策を考えます。

個人情報の漏洩への対策

  • パスワードを使い回さない
  • 簡易なパスワードを設定しない
  • 顔認証・指紋認証などの生体認証機能付きスマートフォン・パソコンを使用する
  • ログインに2段階認証(2要素認証)を利用できる証券会社を選択する
  • スマートフォンやパソコンを紛失した場合には迅速に対応 する

対策1:パスワードを使い回さない

証券会社は顧客の資金・資産を預かるため、強固なセキュリティ対策を行っています。しかし、利用者がパスワードを使い回していると、不正ログインのリスクが高まります。

ログイン情報などは、他社のサービスから情報漏洩する危険性があります。複数社のサービスで同じパスワードを使い回していると、ある会社のサービスから情報漏洩したパスワードを利用して、別の会社のサービスにログインされる危険性があります。

パスワードは原則として使い回さず、サービスごとに別のパスワードの利用を推奨します。

ただし、サービスごとに別のパスワードを利用した場合、パスワードの管理が問題となります。多くのパスワードを管理するには、紙にメモして保管するかパスワード管理ツールを使用する方法があります。

紙での管理の場合には、ユーザーIDとパスワードは別の紙に記録して、人目につかない場所に別々に保管するのがポイントです。

パスワード管理ツールは、1つのマスターパスワードを記憶するだけで、簡単に複数のパスワードを管理できます。注意点は、信頼性が低いサービスではツールから情報漏洩するリスクがあるので、信頼性が高いツールを選びましょう。

パスワード管理の例

パスワード管理方法 ポイント
紙での管理 ・人目につかない場所に保管
・ユーザーIDとパスワードは別の紙に記録し、別々に保管
パスワード管理ツール ・利用者はツールを起動するパスワードを記憶すればよい
・ツールの「信頼性」が重要

JPCERT/CC公式サイトを参照し筆者作成

対策2:簡易なパスワードを設定しない

パスワードは安全性の高いものにすべきです。簡易なパスワードは、パスワードを推測される恐れがあります。

たとえば、生年月日をパスワードにすると、生年月日の情報漏洩によりパスワードが破られる可能性が高まります。セキュリティが高いサービスでは、一般的に簡易なパスワードを設定できない仕組みになっています。

安全性の高いパスワードは、たとえば次の条件を満たすものです。

安全性の高いパスワードの例

パスワードの項目 おすすめの条件
文字数 長くする(推奨12文字以上)
文字種類 アルファベット大文字&小文字、数字、記号を全て含める
文字パターン 推測されやすい生年月日やキーボード配列順などを避ける

JPCERT/CC公式サイトを参照し筆者作成

対策3:顔認証・指紋認証などの生体認証機能付きスマートフォン・パソコンを使用する

盗難などによって、悪意ある第三者にスマートフォンやパソコンなどのデバイスが入手された場合、ネット証券の口座にアクセスされるリスクが高まります。

悪意ある第三者にデバイスを操作させないためには、顔認証や指紋認証などの生体認証が有効です。生体認証を利用すれば、他人がデバイスを利用するリスクの軽減を期待できます。

対策4:ログインに2段階認証(2要素認証)を利用できる証券会社を選択する

ログイン時に2段階認証(2要素認証)を利用できれば、仮にユーザーIDとパスワードが漏洩しても簡単には不正ログインできません。

パソコンの2段階認証でよく利用されるのは、登録したメールアドレスなどに届いたワンタイムパスワードや認証コードを入力するとログインできる仕組みです。

スマートフォンの2段階認証では、アプリ起動時に毎回顔認証や指紋認証などの生体認証が求められるものがあります。

ログインに2段階認証が利用できるなら、その設定を有効にすることをおすすめします。

対策5:スマートフォンやパソコンを紛失した場合には迅速に対応する

ネット証券を利用しているスマートフォンやパソコンの紛失・盗難の際には、パスワードを変更して容易にログインできないようにします。証券会社によっては、ログインIDの変更も可能です。

ログインを制限できるネット証券もあります。たとえば、SBI証券などは、スマホサイトやアプリへのログイン抑止をサポート窓口に依頼できます。

お客さまがスマートフォンを盗難・紛失されてしまった場合、スマートフォンサイトやアプリへのログイン抑止をテクニカルサポートデスクで承ることができます。

出典:SBI証券

デバイスの紛失時には迅速に対応し、不正な操作を防ぎましょう。

リスク2:悪意ある第三者に取引される……取引パスワードに注意

第三者がネット証券口座にログインした場合には、不正に取引されることがあります。

不正取引への対策

  • 取引パスワードはログインパスワードと別にする
  • 定期的にログインパスワードと取引パスワードを変更する

対策1:取引パスワードはログインパスワードと別にする

ネット証券では、取引する際に取引パスワードや暗証番号の入力を求められるのが一般的です。

ログインパスワードが漏洩して不正にログインされた場合、ログインパスワードと取引パスワードが同じだと、不正に取引される可能性があります。

取引パスワードは、ログインパスワードと同様に簡易なパスワードは設定しないようにしましょう。取引パスワードも、文字数や文字の種類、推測されやすいパターンを避けるなどの点に気を付けて、安全性の高いパスワードを設定しましょう。

取引パスワードとログインパスワードが別の場合でも、取引パスワードをスマートフォンなどのデバイスに保存すると、デバイスの紛失時などに不正な取引の被害にあう可能性が高まります。取引パスワードはデバイスに保存しないことを推奨します。

取引の際に暗証番号を入力する証券会社では、推測されにくい暗証番号に設定しましょう。生年月日や同じ番号を並べるなどの推測されやすい暗証番号では、悪意ある第三者に認証を突破される可能性が高まります。

対策2:定期的にログインパスワードと取引パスワードを変更する

ログインパスワードと取引パスワードは定期的なパスワード変更により、第三者による不正な取引を防止する可能性が高まります。万一、ログイン情報と取引パスワードが漏洩しても、悪意のある第三者による被害はすぐに行われないことがあります。

定期的にパスワードを変更すれば、パスワード変更前に漏洩したパスワードでは、第三者が不正取引できません。

定期的なパスワードの変更はセキュリティを高める効果がありますが、パスワードの変更を手間に感じて簡易なパスワードを設定すると、逆にリスクが高まります。

パスワードを定期的に変更する場合でも、簡易なパスワードを利用せず、安全性の高いパスワードを設定するようにしましょう。

リスク3:悪意ある第三者に出金される……デバイスの管理と証券会社の選定がポイント

証券口座の資金が第三者に出金されないためには、次の3つの対策を講じるべきです。

不正出金への対策

  • 2段階認証(2要素認証)の通知先は別デバイスに設定する
  • 出金先口座を容易に変更できない証券会社を選択する
  • ログインID、パスワードなどをデバイスに保存しない

対策1:2段階認証(2要素認証)の通知先は別デバイスに設定する

2段階認証(2要素認証)にて、メールやSMSなどで暗証コードが通知される場合には、通知先として登録するスマートフォンやパソコンなどのデバイスの選択に気を付けましょう。

ネット証券を利用するデバイスに暗証コードなどが通知されると、そのデバイスで暗証コードを確認できるため、2段階認証を突破されます。

暗証コードなどが通知される場合には、ネット証券を利用するデバイスとは別のデバイスを通知先に設定することでセキュリティレベルを上げられます。

対策2:出金先口座を容易に変更できない証券会社を選択する

悪意のある第三者が証券口座の資金を盗む際には、登録された出金先口座を変更してから出金します。

出金先口座が容易に変更できなければ、第三者による不正出金の防止につながります。出金先口座の変更に本人確認書類が必要な証券会社などを選ぶといいでしょう。

たとえば、SBI証券やマネックス証券などは、出金先口座の変更は書面での申し込みが必要です(2022年1月4日時点)。書面での申し込みで本人確認書類を添付する必要があれば、出金先口座を容易に変更できません。

通常は出金先口座を頻繁に変更しないため、書面での変更手続きにより不便になるケースは少ないと思われます。証券会社を選ぶ際に、出金先口座の変更方法を確認するといいでしょう。

対策3:ログインID、パスワードなどをデバイスに保存しない

ログインIDやログインパスワード、取引パスワードをスマートフォンやパソコンなどのデバイスに保存すると、ログインや取引の際のパスワード等の入力の手間が省けて便利です。

しかし、パスワードなどが保存されたデバイスが悪意ある第三者の手に渡り、デバイスの認証(ロック)が解除されると、証券口座へのアクセスを簡単に許します。

パスワードなどをデバイスに保存していなければ、デバイスが第三者の手に渡った場合でも簡単に出金できません。出金には、デバイスの認証、証券口座へのログイン認証、出金のための取引認証の3段階の認証が必要です。証券口座へのログイン認証が2段階の場合には、計4段階の認証が必要であり、出金の難易度が上がります。

ログインIDやパスワードなどをデバイスに保存しないと、毎回のログインや取引に手間がかかりますが、セキュリティレベルは上がります。

リスク4:ウイルスなどの感染……信頼性の低いアプリなどをインストールしない

スマートフォンやパソコンなどがウイルスなどに感染すると、ログインIDやパスワードなどが漏洩するリスクが上がります。

ウイルス感染への対策

  • セキュリティ対策のアプリをインストールする
  • 常に最新OSにしてOSサポート終了のデバイスは利用しない
  • 作成者不明など信頼性が低いアプリ・ソフトはインストールしない

対策1:セキュリティ対策のアプリをインストールする

セキュリティソフトのインストールは、セキュリティ対策に有効だと考えられます。特にAndroidデバイスやWindows PCにはセキュリティソフトのインストールをおすすめします。スマートフォンを狙うウイルスの多くはAndroidをターゲットするといわれています。

Android向けにさまざまなセキュリティソフトが提供されています。Androidデバイスをお使いなら、「信頼できる」セキュリティソフトのインストールをおすすめします。たとえば、ESET、ノートン、カスペルスキーなどがメジャーなセキュリティソフトとして知られています。

信頼できないセキュリティソフトでは、ソフトのインストールにより逆に危険性が高まることがあります。

Windows 10とWindows 11には、標準でWindows DefenderなどのWindowsセキュリティが含まれています。WindowsにはWindowsセキュリティだけで十分という意見や他社製セキュリティソフトが望ましいという意見があります。

Windowsのセキュリティを十分理解している人であれば、標準のWindowsセキュリティだけで問題ない可能性があります。

Windowsのセキュリティに詳しくない人は、有料のセキュリティソフトのほうがセキュリティやサポートなどの面でパソコンを安心して利用できる可能性があります。通常は、ESETやノートンなどの有料のセキュリティソフトのインストールをおすすめします。

iPhoneにはセキュリティソフトは不要という意見もありますが、ウェブ閲覧やWi-Fiなどのセキュリティを考慮すると、セキュリティソフトのインストールが望ましいと考えられます。

対策2:常に最新OSにしてOSサポート終了のデバイスは利用しない

iOS、Android OS、WindowsなどのOSは、脆弱性(不具合や欠陥)があればアップデートで修正します。

そのため、OSのバージョンアップの通知が来たら、最新OSへのアップデートを適用しましょう。

OSのサポートが終了すると脆弱性の修正が行われません。特にAndroidはサポート終了までの期間が短い傾向にあります。OSのサポートが終了したらデバイスの買い替えなどを検討しましょう。

対策3:作成者不明など信頼性が低いアプリ・ソフトはインストールしない

悪意をもって作成されたアプリ・ソフトには、インストールによりウイルス感染などのリスクがあります。

Windowsのフリーソフトは、信頼できるもの以外はインストールしないように気を付けましょう。インストールする場合には、信頼性が確認できるソフトに限定する習慣を付けましょう。

iPhoneのアプリインストールには心配は要らないと考えられています。アプリのダウンロードがApp Storeに限定され、厳格な審査によって悪意のあるアプリが排除されるためです。しかし、念のため、ユーザーレビューをチェックして、信頼できるアプリか確認することも大切です。

Androidのアプリインストールでは、作成者不明のアプリはインストールしないように気を付けましょう。作成者不明のアプリは悪意をもって作成された可能性があります。また、アプリのユーザーレビューもチェックして、信頼できるかを確認することも大事です。

セキュリティに配慮した株取引のスマホアプリは下表のとおりです。

アプリ名
(証券会社名)
生体認証ログイン 特徴
iSPEED
(楽天証券)
可能 ・PCツール並みの多彩な機能
・15種類ものカスタマイズ可能なチャート
マネックス証券アプリ
(マネックス証券)
可能 ・資産推移や構成資産の分析が可能
・カスタマイズできるメニューで使いやすい
GMOクリック 株
(GMOクリック証券)
可能 ・銘柄のチャート、ニュースなどを一画面で確認
・PCレベルのチャート機能

楽天証券マネックス証券GMOクリック証券の公式サイトを参照して筆者作成

これらは生体認証のログインに対応し、ユーザーレビューが高評価なアプリです。

証券口座を開設する前に把握しておきたい株式投資のリスクとは?

Q:株式投資にはどのようなリスクがありますか?
A:国内株式の主なリスクには、株価の変動による損失のリスクや投資先が経営破綻するリスクなど、3つのリスクがあります。

3つのリスクを理解すれば、株式投資のリスク・コントロールにつながります。

株式投資の3つのリスク

  • 価格変動リスク
  • 信用リスク
  • 流動性リスク

価格変動リスク……価格変動による損失や利益の可能性

株価変動リスクとは?
株価の上昇や下落の変動により、損失や利益が発生する可能性のこと。

株価変動リスクは、価格の「下落」だけではなく、「上昇」も含めた「値動きの振れ幅」 のことを指します。株価が変動する要因は、企業業績、株式市場の需給、景気、経済、政治などがあります。

信用リスク……経営破綻などの可能性

信用リスクとは?
企業の財政難や経営不振などによる破綻などの可能性のこと。

企業の破綻などが伝わると、株価が大きく下落する傾向があります。信用リスクを抑えるためには、投資する企業の業績や財務状況のチェックや分析が必要です。

流動性リスク……取引が成立しないことや不利な価格で取引が成立する可能性

流動性リスクとは?
売買が少ないために取引できない可能性のこと。流動性リスクが高い状態では、買いたい時に買えず、売りたい時に売れない可能性が高い。

たとえば、企業の粉飾決算などにより上場が廃止されると、市場で株式を取引できません。そのため、上場廃止が伝わると売り注文が殺到し、売りたくても買い手がつかない可能性があります。

また、流動性リスクは、売買が少ないために希望する価格で取引できずに、不利な価格で取引せざるを得ない可能性も含みます。たとえば、株を売りたい場合に買い注文が少なく、思ったよりも低い価格で取引が成立する場合です。

流動性リスクを軽減するには、出来高や売買代金が多い銘柄を選びましょう。

株式投資のリスク対策として有効な「分散投資」と「長期投資」

Q:株式投資のリスクはどのように対策できますか?
A:前述の株式投資のリスクのうち、価格変動リスクは要因が多岐にわたり、対策は簡単ではありません。しかし、いくつかの対策を組み合わせることで、リスクの軽減を期待できます。

対策のポイントは「分散投資」と「長期投資」です。また、分散投資は「銘柄分散」「地域分散」「時間分散」の3つに分類できます。

分散投資

分散投資とは?
投資する「銘柄」「地域」「時間」を分けることでリスクを抑えて、リターン獲得をめざす投資方法。

銘柄の分散投資……さまざまな業種の銘柄への投資など

市場ではさまざまな企業の株式が取引されています。値動きの傾向が似ている銘柄から値動きが異なる銘柄まで多種多様です。

値動きが似ていない銘柄を組み合わせて投資することで、リスク軽減を期待できます。同じ業種の銘柄は同じような値動きが多いため、異なる業種の銘柄の組み合わせが効果的です。

地域の分散投資……さまざまな国の銘柄へ投資する

値動きは株式を上場している国によって異なることがあります。株価は国(地域)の経済や政治などの影響を受けるため、複数の国の銘柄を組み合わせて投資することでリスク軽減につながります。

たとえば、日本、米国、英国、中国などの株式に分散投資すれば、特定の国に問題が発生して株価が大きく変動しても、他国の株価の影響が少ない可能性があります。

時間の分散投資……時間(時期)を分けて投資する

時間の分散投資では、投資する時期の分散がリスク軽減につながります。

一度にまとめて投資した場合には、投資後に株価が大きく変動するとリスクが高まります。時間を分散して投資すれば、さまざまな時期の投資価格が平準化され、リスク軽減を期待できます。

定期的に資産を買い付ける積立投資は、時間の分散投資を実現する投資方法のひとつです。

長期投資

長期投資とは?
資産形成などのために金融資産を長期間保有し続ける投資方法のこと。

短期の取引では、小さな値動きでも日々利益や損失が発生します。一方、10年以上などの長期では短期の値動きが小さい範囲に収まる傾向があるため、長期投資はリスクの軽減につながります。

また、企業が成長すれば株価は上昇する傾向があります。企業が成長するなら、短期では一時的な株価の下落があっても、長期では株価上昇を期待できます。つまり、成長企業への長期投資はリスク軽減を期待できるということです。

もちろん、成長が期待できない企業への長期投資では、株価低迷によりリスク軽減を期待できない可能性もあります。

長期投資では、投資する銘柄選びが大切です。

投資リスクを軽減できる商品・サービス

Q:投資のリスク軽減を期待できる商品やサービスはありますか?
A:長期投資に適した商品やサービスを利用するのがいいでしょう。具体的には、投資信託や国が後押しする非課税制度などを活用する方法があります。

投資信託、NISA・iDeCo、ロボアドバイザーは、投資初心者にも適した商品や制度です。その特徴を見ていきましょう。

投資のリスク軽減が期待できる商品・サービス

  • 投資信託・ETF(上場投資信託)
  • NISA(ニーサ)・iDeCo(イデコ)
  • ロボアドバイザー

投資信託・ETF(上場投資信託)……積立投資で最も一般的な金融商品

投資信託とは?
投資家から集めた資金をまとめて、資産運用のプロである「ファンドマネージャー」が資産を増やすことをめざして運用する金融商品。

ETF(上場投資信託)とは?
株式市場で取引できる投資信託の一種。

投資信託は、複数の資産を組み込むことで分散投資効果が得られ、リスク軽減を期待できますが、元本割れのリスクがあります。

NISA(ニーサ)・iDeCo(イデコ)……資産や老後資金の形成を後押しする税制優遇制度

NISA(少額投資非課税制度)とは?
投資で得た売買差益や配当金・分配金が非課税になる制度。

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは?
投資で得た収益が非課税になるほか、掛金が全額所得控除され、受け取り時にも税制優遇が受けられる私的年金制度。

NISAには、通常のNISA(一般NISA)、つみたてNISA、ジュニアNISAがあります。20歳以上の人が加入できるのは一般NISAかつみたてNISAです。一般NISAは株式や投資信託などに投資でき、つみたてNISAは投資信託のみに投資できます。

iDeCoは、投資信託や定期預金などに積立投資できます。

一般NISA、つみたてNISA、iDeCoの概要を比較した表は次のとおりです。

一般NISA、つみたてNISA、iDeCoの比較

一般NISA つみたてNISA iDeCo
投資期間 最長5年間 最長20年間 60歳になるまで *1
投資対象商品 株式
投資信託など
一部の投資信託
一部のETF
投資信託
定期預金など
メリット 収益が非課税
対象商品が多い
収益が非課税 収益が非課税
掛金が全額所得控除
受け取り時に税制優遇あり
デメリット 長期投資は難しい 対象商品が限定的 60歳まで引き出せない

金融庁NISA特設ウェブサイトiDeCo公式サイトを参照し筆者作成
*1 2022年5月から65歳まで加入できる予定

一般NISA、つみたてNISA、iDeCoは投資信託の定期買付による積立投資を利用できます。積立投資は、時間分散によるリスクの軽減を期待できます。

特に、つみたてNISAは最長20年間、iDeCoは60歳まで非課税での長期投資が可能です。また、投資する商品は投資信託のため分散投資を期待できます。この2つは長期・分散投資によるリスク軽減を期待できる制度です。

一般NISAは、非課税投資期間が原則5年間であり、短期から中期での投資に向いている制度だといえます。

ロボアドバイザー……アドバイス型と投資一任型の2種類

ロボアドバイザーとは?
AI(人工知能)などを利用して、投資の診断、アドバイス、運用などをおこなうサービス。

ロボアドバイザーは「アドバイス型」と「投資一任型」の2つに分けられます。

アドバイス型と投資一任型の比較

アドバイス型(助言型) 投資一任型(自動運用型)
特徴 アドバイスまで 実際の運用まで
メリット 多くは無料で利用できる 商品の取引までお任せできる
デメリット 自分で商品を取引する 手数料の負担がある
サービス例 投信工房(松井証券)
SBI-ファンドロボ(SBI証券)など
WealthNavi(ウェルスナビ)
SUSTEN(サステン)など

松井証券SBI証券ウェルスナビsustenキャピタル・マネジメントの公式サイトを参照し筆者作成

アドバイス型は、それぞれの投資家に適した資産配分や商品をアドバイスしてくれます。アドバイスの結果から、自分で投資する金融商品を購入します。

投資一任型は、それぞれの投資家に適した資産配分や商品を提案して、それに同意すると実際の運用まで任せます。

アドバイス型は無料、投資一任型は有料が一般的です。

証券口座の開設におすすめのネット証券5選!

Q:口座開設するネット証券を選びたいのですが、どのような点を比較すべきですか?
A:比較する主なポイントは、取引を予定する商品の扱いがあるか、商品の取扱銘柄が多いか(さまざまな銘柄からの選択が可能か)、手数料が低いかの3つです。また、ポイント投資を希望するなら、利用しやすいポイントに対応するかも確認しておきましょう。

証券口座を開設する際には、充実した商品ラインアップと割安な手数料のネット証券が利用しやすいといえます。

おすすめのネット証券5社の特徴を紹介します。

比較するネット証券5社

  1. SBI証券
  2. 楽天証券
  3. 松井証券
  4. auカブコム証券
  5. LINE証券

ネット証券1:SBI証券……国内ネット証券大手で総合力トップレベル

証券口座の開設で注意したい5つのリスクとは?どう対策すべき?
(画像=SBI証券より引用)

SBI証券は商品ラインアップや手数料などでネット証券をリードする存在だといえます。

SBI証券の基本情報

口座開設数 770万口座超(2021年9月時点)*1
取扱商品 国内株式
単元未満株(S株)
外国株式
投資信託
NISA
iDeCoなど
国内株式 現物取引手数料(税込) 【スタンダードプラン】()内は約定代金
55円(~5万円)
99円(~10万円)
115円(~20万円)
275円(~50万円)
【アクティブプラン】
0円(1日の約定代金合計100万円まで)
信用取引手数料(税込) 【スタンダードプラン】()内は約定代金
99円(~10万円)
148円(~20万円)
198円(~50万円)
385円(50万円超)
【アクティブプラン】
0円(1日の約定代金合計100万円まで)
IPO実績(2021年) 122銘柄
米国株式 取扱銘柄数 5,000銘柄超(2021年12月29日時点)
取引手数料(税込) 約定代金の0.495%
最低手数料:0米ドル
上限手数料:22米ドル
投資信託 取扱数 2,600本超(2021年12月22日時点)
ポイント投資 Tポイント
Pontaポイント

SBI証券公式サイトを参照して筆者作成、2022年1月6日時点
*1 SBIネオモバイル証券、SBIネオトレード証券、FOLIO口座数を含む

SBI証券の3つの特徴を紹介します。

SBI証券の特徴

  1. 証券口座開設数トップレベルの人気ネット証券
  2. 取扱商品が豊富で主要ネット証券トップレベル
  3. 2つの共通ポイント(Tポイント、Pontaポイント)が貯まる・使える

SBI証券の特徴1:証券口座開設数トップレベルの人気ネット証券

SBI証券は、国内の証券会社で証券口座開設数がトップレベルの人気ネット証券です。SBIネオモバイル証券やSBIネオトレード証券などを加えると、証券口座数は770万口座を突破しています。

SBI証券の特徴2:取扱商品が豊富で主要ネット証券トップレベル

SBI証券は豊富な商品ラインアップが魅力です。米国株は5000銘柄超、投資信託は2600本以上の取り扱いがあります。

株式や投資信託以外にも、債券、FX、先物、CFD、金・銀などの多くの商品の取り扱いがあり、商品ラインアップは主要ネット証券でトップレベルです。

SBI証券の特徴3:2つの共通ポイント(Tポイント、Pontaポイント)が貯まる・使える

証券会社のポイント制度は、共通ポイントを利用できると他社サービスとのポイント移行が容易になり、利便性が高まります。

SBI証券は、TポイントとPontaポイントの2つの共通ポイントに対応しており、どちらのポイントを貯めるか設定可能です。2つとも投資信託の購入などに利用できます。

1ポイント=1円分として、ポイントを投資信託の買付に使えます。

出典:SBI証券

ネット証券2:楽天証券……楽天経済圏でのメリットが多い人気のネット証券

証券口座の開設で注意したい5つのリスクとは?どう対策すべき?
(画像=楽天証券より引用)

楽天証券は楽天ポイントが貯まって使えるなど、楽天経済圏での多くのメリットがあります。口座開設数は700万口座を突破するなど人気のネット証券です。

口座開設数 700万口座超(2021年12月時点)
取扱商品 国内株式
外国株式
投資信託
NISA
iDeCoなど
国内株式 現物取引手数料(税込) 【超割コース】()内は約定代金
55円(~5万円)
99円(~10万円)
115円(~20万円)
275円(~50万円)
【いちにち定額コース】
0円(1日の約定代金合計100万円まで)
信用取引手数料(税込) 【超割コース】()内は約定代金
99円(~10万円)
148円(~20万円)
198円(~50万円)
385円(50万円超)
【いちにち定額コース】
0円(1日の約定代金合計100万円まで)
IPO実績(2021年) 74銘柄
米国株式 取扱銘柄数 4,500銘柄超
取引手数料(税込) 約定代金の0.495%
最低手数料:0円
上限手数料:22米ドル
投資信託 取扱数 2,600本超
ポイント投資 楽天ポイント
楽天証券ポイント

楽天証券公式サイトを参照して筆者作成、2022年1月6日時点

楽天証券の3つの特徴を紹介します。

楽天証券の特徴

  1. 高機能取引ツールを無料で利用できる
  2. 楽天ポイント(楽天証券ポイント)が貯まる・使える
  3. 楽天カード・楽天銀行との併用でお得になる

楽天証券の特徴1:高機能取引ツールを無料で利用できる

楽天証券のパソコン向け取引ツール「MARKETSPEED Ⅱ」やスマホ向け取引ツール「iSPEED」などは使いやすさに定評があり、無料で利用できます。

MARKETSPEED Ⅱは、登録した条件に合致すると自動で注文が発注される「アルゴ注文」が充実しており、仕事や旅行などで日中に相場を確認できない場合でも安心して取引できます。

iSPEEDはiPhoneやAndroidなどに対応し、シンプルに素早く注文できるアプリです。15種類のチャートのカスタマイズにより、スマホでもチャート分析が容易にできます。

楽天証券の特徴2:楽天ポイント(楽天証券ポイント)が貯まる・使える

楽天ポイントが投資信託の保有額などに応じて貯まり、ポイント投資などに利用できます。

ポイント投資では、国内株式、米国株式、投資信託などに楽天ポイントを利用できます。ポイント投資の豊富な対象商品が楽天証券の魅力のひとつです。

楽天ポイントの代わりに、楽天証券ポイントを貯めて使うこともできます。楽天証券ポイントは投資信託の購入やJALのJMBマイルに交換できます。また、楽天ポイントと楽天証券ポイントは1:1で交換可能です。

楽天証券の特徴3:楽天カード・楽天銀行との併用でお得になる

楽天証券は楽天カードや楽天銀行と併用すると多くのメリットを得られます。 楽天カードクレジット決済で楽天証券にて投資信託を積立すると、楽天ポイントを獲得できます。

決済額に応じて、楽天カードより楽天ポイントが付与されます。(100円につき1ポイント)

出典:楽天証券

楽天銀行と楽天証券の口座連携サービス「マネーブリッジ」を利用すると、楽天銀行での普通預金金利が5倍の年0.10%(税引前)にアップするなどのメリットがあります。超低金利の現代に嬉しいサービスです。

ネット証券3:松井証券……老舗証券会社で25歳以下の国内株取引手数料が無料

証券口座の開設で注意したい5つのリスクとは?どう対策すべき?
(画像=松井証券より引用)

松井証券は老舗の証券会社でネット取引に強く、主要ネット証券の1社として知られています。

松井証券の基本情報

口座開設数 130万口座超(2021年9月末時点)
取扱商品 国内株式
投資信託
NISA
iDeCoなど
国内株式 現物取引手数料(税込) 0円(1日の約定代金合計50万円まで)
*1
信用取引手数料(税込) 0円(1日の約定代金合計50万円まで)
*1
IPO実績(2021年) 56銘柄
米国株式 取扱銘柄数
取引手数料(税込)
投資信託 取扱数 1500本超
ポイント投資 松井証券ポイント

松井証券公式サイトを参照して筆者作成、2022年1月6日時点
*1 25歳以下は約定代金にかかわらず手数料無料

松井証券の3つの特徴を紹介します。

松井証券の特徴

  1. 創業100年以上の実績と信頼感
  2. 1日の約定代金合計50万円まで手数料0円で取引可能
  3. 25歳以下なら国内株の取引手数料が無料

松井証券の特徴1:創業100年以上の実績と信頼感

松井証券は1918年創業で100年以上の歴史がある老舗証券です。1998年には日本で初めて本格的なインターネット取引を開始し、ネット証券の老舗でもあります。

証券会社としての実績から、健全な財務内容や充実のサポート体制など、信頼できる証券会社が松井証券です。

松井証券の特徴2:1日の約定代金合計50万円まで手数料0円で取引可能

松井証券は国内株式の取引手数料がお得です。現物取引、信用取引ともに1日の約定代金合計50万円まで、手数料無料で取引できます。

手数料のコース・プランなどを選ぶ必要はなく、シンプルな料金体系で手数料が分かりやすいのがメリットです。

松井証券では1日の約定代金合計により手数料が決定する「ボックスレート」を始め、お客様が利用しやすい手数料体系となっています。

出典:松井証券

松井証券の特徴3:25歳以下なら国内株の取引手数料が無料

25歳以下の人は国内株式の取引手数料がさらにお得です。現物取引、信用取引ともに、約定金額にかかわらず手数料無料で何度でも取引できます。

もし25歳以下なら、国内株式取引手数料が無料の松井証券が特におすすめです。

ネット証券4:auカブコム証券……KDDIと提携するMUFGグループのネット証券

証券口座の開設で注意したい5つのリスクとは?どう対策すべき?
(画像=auカブコム証券より引用)

auカブコム証券は三菱UFJフィナンシャル・グループのネット証券企業であり、KDDIとの提携により通信と金融の融合を目指しています。

auカブコム証券の基本情報

口座開設数 130万口座超(2021年12月時点)
取扱商品 国内株式
単元未満株(プチ株)
投資信託
NISA
iDeCoなど
国内株式 現物取引手数料(税込) 【ワンショット手数料コース】()内は約定代金
55円(~5万円)
99円(~10万円)
115円(~20万円)
275円(~50万円)
【1日定額手数料コース】
0円(1日の約定代金合計100万円まで)
信用取引手数料(税込) 【ワンショット手数料コース】()内は約定代金
99円(~10万円)
148円(~20万円)
198円(~50万円)
385円(50万円超)
【1日定額手数料コース】
0円(1日の約定代金合計100万円まで)
IPO実績(2021年) 42銘柄
米国株式 取扱銘柄数
取引手数料(税込)
投資信託 取扱数 1,500本超
ポイント投資 Pontaポイント

auカブコム証券公式サイトを参照して筆者作成、2022年1月6日時点

auカブコム証券の3つの特徴を紹介します。

auカブコム証券の特徴

  1. 三菱UFJファイナンシャル・グループによる安心感
  2. 自動売買の種類はネット証券最多
  3. 国内株式が1株から購入可能で、月500円からの積立にも対応

auカブコム証券の特徴1:三菱UFJファイナンシャル・グループによる安心感

auカブコム証券は、銀行、証券会社、資産運用会社などの国内トップクラスの企業を傘下に収める三菱UFJフィナンシャル・グループのネット証券であり、安心して金融商品を取引できます。

システム障害などの備えとして、障害災害時専用サイト(BCPサイト)を福岡に設置するなど、万一の災害時の対策もとられています。

auカブコム証券の特徴2:自動売買の種類はネット証券最多

auカブコム証券は自動売買のパイオニアです。

自動売買とは?
条件が成立すると注文が実行される仕組み。逆指値注文も自動売買の一種。

auカブコム証券で利用できる自動売買の種類は主要ネット証券最多です。自動売買を利用すれば、リスクを細かく管理できます。

<auカブコム証券で利用できる自動売買の例>
逆指値注文、W指値注文、±指値注文、リレー注文、Uターン注文、トレーリングストップ注文、時間指定注文

auカブコム証券の特徴3:国内株式が1株から購入可能で、月500円からの積立にも対応

プチ株(単元未満株)を利用すれば、国内株式を1株から購入でき、数百円程度から株主になれます。

プチ株の積立サービス「プレミアム積立(プチ株)」では、月500円からの国内株の積立が可能です。さらに、プレミアム積立(プチ株)の買付手数料は無料であり、お得に積立できます。

毎月の積立を金額指定(毎月500円以上1円単位)で設定いただけ、その範囲内でプチ株を買付いたします。買付手数料は無料です。

出典:auカブコム証券

ネット証券5:LINE証券……LINEポイントでの投資と単元未満株のリアルタイム取引が可能

証券口座の開設で注意したい5つのリスクとは?どう対策すべき?
(画像=LINE証券より引用)

LINE証券はスマートフォンの利用に特化し、スマホ画面に最適化した画面レイアウトと操作性の良さが特徴のネット証券です。

LINE証券の基本情報

口座開設数 100万口座超(2021年10月末時点)
取扱商品 国内株式
単元未満株(いちかぶ)
投資信託など
国内株式 現物取引手数料(税込) ()内は約定代金
55円(~5万円)
99円(~10万円)
115円(~20万円)
275円(~50万円)
信用取引手数料(税込) 0円
IPO実績(2021年) 11銘柄
米国株式 取扱銘柄数
取引手数料(税込)
投資信託 取扱数 32本
ポイント投資 LINEポイント

LINE証券公式サイトを参照して筆者作成

LINE証券の3つの特徴を紹介します。

LINE証券の特徴

  1. 信用取引の売買手数料が約定代金にかかわらず何度でも無料
  2. いちかぶ(単元未満株)は1株数百円程度から投資できる
  3. LINEポイントを「入金時」に利用してポイント投資できる

LINE証券の特徴1:信用取引の売買手数料が約定代金にかかわらず何度でも無料

国内株式の信用取引は手数料無料で売買できます。約定代金が高額でも、何度取引しても手数料が無料です。

信用取引の手数料が無料だと金利や貸株料が高いか心配ですが、買いの際の「金利」と売りの際の「貸株料」は、SBI証券や楽天証券と同程度に低く設定されています。

金利と貸株料の比較

LINE証券 SBI証券 楽天証券
金利(買い) 2.80% 2.80% 2.80%
貸株料(売り) 1.15% 1.15% 1.10%

LINE証券公式サイトより引用

信用取引を利用するなら、LINE証券は特におすすめのネット証券です。

LINE証券の特徴2:いちかぶ(単元未満株)は1株数百円程度から投資できる

単元未満株の「いちかぶ」は1株単位で国内株式を取引できます。株価が安い銘柄なら、数百円の資金で株主になれます。

主要ネット証券の単元未満株の多くはリアルタイム取引に対応していませんが、「いちかぶ」はリアルタイム取引が可能で、単元未満株でもタイミングを逃すことなく取引できます。

LINE証券の特徴3:LINEポイントを「入金時」に利用してポイント投資できる

LINE証券は、LINEポイントを利用して、「いちかぶ」などへポイント投資できます。

LINE証券のポイント投資は、他社と異なる点があります。多くのネット証券のポイント投資では、金融商品を買い付ける際に利用するポイントを指定するのに対して、LINE証券のポイント投資では、入金時にポイントを利用できて入金を増額できます。

LINE証券では、全商品の取引にLINEポイントを利用できるのが特徴です。

1ポイント単位で入金できるほか、つみたて投資にもLINEポイントが使えます。

出典:LINE証券

ネット証券の口座開設手順を4ステップで解説

Q:ネット証券の口座開設にはどのような手順が必要ですか?
A:おおまかな流れは、申し込みページでの個人情報などの登録、本人確認書類の提出、口座開設の完了通知の受取、ログイン後に入金して取引開始、といった手順です。ネット証券によって手順が異なる場合があるので、詳細は各社公式サイトで確認しましょう。

口座開設を4つのステップで解説します。

ネット証券の口座開設手順

  1. 個人情報などの登録
  2. 本人確認書類の提出
  3. 口座開設完了通知の受取
  4. ログイン後に入金して取引開始

ステップ1:個人情報などの登録(場合によっては認証も)

口座開設の申し込みページにアクセスし、メールアドレス、氏名、住所などの必要事項を入力します。

情報漏洩リスクの対策として、申し込みページが証券会社の公式ページかを確認してから、個人情報を登録するように注意しましょう。

ネット証券によっては、メールアドレスなどに認証コードが送られて、認証が必要な場合があります。

ステップ2:本人確認書類の提出(マイナンバー確認書類+本人確認書類)

証券口座の開設にはマイナンバー登録と本人確認が必要です。マイナンバー登録には、マイナンバーカードや通知カードを利用できます。本人確認には、運転免許証やパスポートなどを利用できます。

提出方法は、スマートフォンなどで撮影した写真やスキャンしたデータをアップロードするか、写し(コピー)を郵送するかを選ぶのが一般的です。

ステップ3:口座開設完了通知の受取(メールまたは郵送)

口座が開設されると口座開設の完了通知が送られてきます。メールまたは郵送にて受取方法を選ぶのが一般的です。

メールで口座開設完了通知が届く場合

メールにて通知を受け取る場合には、ネット証券にアクセスする情報(パスワード設定ページなど)が送られてきます。

メールの内容を確認し、パスワードの設定などをおこないます。

郵送で口座開設完了通知が届く場合

郵送にて通知を受け取る場合には、ネット証券にアクセスする情報(ユーザーIDや仮パスワードなど)が送られてきます。

書類を受け取ったら、内容を確認します。

ステップ4:ログイン後に入金して取引開始

ネット証券のログイン画面から、ユーザーIDとログインパスワードを入力してログインします。

ログインしたら、金融商品を取引するために入金します。多くのネット証券では、ネットバンキングや銀行振込などの複数の入金方法を利用できます。入金したら取引を開始できます。

証券口座を複数開設することでリスク軽減などのメリットが得られる

Q:証券口座を複数の会社に開設するとリスク軽減に有効ですか?
A:リスクの一部軽減につながります。たとえば、ネット証券のシステム障害により取引できない場合に、証券口座が複数あれば他の証券会社で取引できる可能性があります。

複数の口座を開設するメリットには、システム障害時のリスク軽減の他に、「取引手数料の節約」と「IPO当選確率が上がる」があります。

複数口座を開設するメリット

  1. システム障害時のリスクの軽減
  2. 取引手数料の節約
  3. IPO株の当選確率が上がる

複数口座のメリット1:システム障害時のリスクの軽減

複数の証券会社に口座があれば、ある証券会社のトラブル発生時に他社での取引が可能です。たとえば、A証券のシステムトラブルで買いたい銘柄が取引できない場合は、別のB証券で買えます。

A証券で保有する銘柄を売りたい時にA証券のシステムトラブルによって売れない場合は、B証券での信用取引の空売りにより、株価下落のリスクに対応できます。

複数口座のメリット2:取引手数料の節約

複数の証券口座の併用によって取引手数料を節約できます。前述のネット証券5社について、手数料無料で利用できる国内株式の取引は下表のとおりです。

おすすめネット証券5社の手数料無料で利用できる国内株式取引

証券会社名 手数料無料で利用できる取引
SBI証券 現物取引:1日100万円まで
信用取引(制度信用):1日100万円まで
信用取引(一般信用):1日100万円まで
(合計300万円まで)
楽天証券 現物取引と信用取引の合計:1日100万円まで
auカブコム証券 現物取引と信用取引の合計:1日100万円まで
松井証券 現物取引と信用取引の合計:1日50万円まで
LINE証券 信用取引:すべて

SBI証券楽天証券auカブコム証券松井証券LINE証券の公式サイトを参照して筆者作成、2022年1月7日時点

この5社の証券口座を併用すれば、現物取引は1日の約定代金合計350万円まで、信用取引はすべて手数料無料での取引が可能です。

複数口座のメリット3:IPO株の当選確率が上がる

IPO株を上場前に買うには、購入の権利を得る必要があります。権利を得るのに一般的な方法は、IPOに申し込んで抽選に当選することです。

複数の証券口座から申し込むと、抽選の当選確率が上がる可能性があります。前述のネット証券5社のIPOの特徴をまとめたものが下表です。

おすすめネット証券5社のIPOの特徴

証券会社名 IPO取扱数(2021年実績) IPOの特徴
SBI証券 非常に多い(122社) IPOのポイント制度で抽選が有利
楽天証券 多い(74社) 多くの株数を申し込むと抽選が有利
auカブコム証券 多い(42社) 1人1票の平等抽選
松井証券 多い(56社) 抽選時に入金不要
LINE証券 多くない(11社) IPOの購入手数料無料

SBI証券楽天証券auカブコム証券松井証券LINE証券の公式サイトを参照して筆者作成、2022年1月7日時点

取扱数が多い証券会社は多くのIPO銘柄に申し込める反面、多数の投資家が申し込む傾向にあるので倍率も上がります。IPOの当選確率を上げるためにも、なるべく多くの証券口座から申し込むことをおすすめします。

証券口座の開設とリスクに関するよくある質問(Q&A)

Q:リスク分散のために証券口座を追加で作ったほうがいいですか?

A:証券口座を複数の証券会社に保有していれば、システムの不具合などで取引できない時に、代わりに他の証券会社で取引できます。

保有する証券口座が複数あり、お持ちの証券口座だけで十分であれば、追加で証券口座を作る必要はないと思われます。もし、お持ちの証券口座だけでは不十分だと考えるならば、追加の証券口座の開設を検討してください。

Q:口座開設の申込条件や前提条件はありますか?

A:口座開設には、反社会的勢力でないことや日本国内に居住していることなどの条件が証券会社により決められています。

証券会社によっては、証券会社に勤務している人やその家族が口座開設できないことがあります。口座開設の申し込み条件に不明点があれば、証券会社に問い合わせてみましょう。

Q:一般口座と特定口座の違いは何ですか?

A:一般口座と特定口座は、証券会社による年間取引金額報告書の作成に違いがあります。

一般口座では、証券会社が年間取引報告書を作成しません。自分で年間の譲渡損益の合計額などを計算し、原則として確定申告をおこないます。

特定口座では、証券会社が年間の譲渡損益などを計算して年間取引報告書を作成します。年間取引報告書があれば、確定申告を簡単にできます。特定口座(源泉徴収あり)の場合は確定申告は不要ですが、特定口座(源泉徴収なし)の場合は原則として確定申告が必要です。

Q:口座開設時に、顔写真付き本人確認書類がない場合はどうすればいいですか?

A:証券会社によっては、顔写真付き以外の本人確認書類の組み合わせでの本人確認が可能です。

たとえばSBI証券では、マイナンバー確認書類に通知カードを利用する場合、住民票の写しや各種健康保険証などの2種類を本人確認書類に利用できます。

口座開設する証券会社の公式サイトなどで、利用できる本人確認書類を確認してみましょう。

Q:株式を保有する企業が倒産したらどうなるのですか?

A:企業の倒産が発表されると、通常は株価が大きく下落します。その後は、企業の「破産」と「会社更生法または民事再生法の適用」を申請する場合で変わります。

破産の場合には、株価が0円に近づいてからの上場廃止が想定されます。

会社更生法または民事再生法の適用により企業再生の見込みがあれば、株価が一桁までは下落せずに上場廃止になる可能性があります。

ネット証券の口座開設時にはリスクの把握と適切な対策を理解しておこう

証券取引はネット取引が一般的になり便利になりましたが、その反面、さまざまなリスクもあります。

証券口座を開設して資金や金融資産を預けることはリスクを伴います。ただし、金融資産のリスクは証券口座だけでなく、銀行口座、クレジットカード、電子マネーなどにもあり、どのサービスを利用する場合でもリスク対策が望まれます。

またネット証券はパソコンやスマートフォンから取引するのが一般的なので、ITセキュリティへの対策も必須です。

ネット証券で取引する際にかかわるリスクと対策を理解して適切に対処することで、便利なサービスを安心して利用しましょう。

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