半導体が脳に近づいている。これまでは、演算や保存など、各自の役割を果たす半導体が集まってコンピューターを構成してきたが、工程がさらに小さくなり、新しい技術が開発され、全ての機能をチップ一つに盛り込んだ製品が次々と開発されている。これを通じて効率を高めるのはもちろん、ボトルネック現象を無くして処理速度を極大化させ、人工知能(AI)時代もさらに早まる見通しだ。韓国メディア「metro新聞」が報じた。(写真:サムスン電子)
24日に業界によると、サムスン電子は最近、自己抵抗メモリ(MRAM)に演算機能を加えた「インメモリコンピューティング」を実現化し、関連論文を国際学術誌ネイチャーに掲載した。
MRAMは不揮発性メモリだ。コンピューターに必要な貯蔵装置と主記憶装置を統合し効率を高める次世代メモリ半導体として、サムスン電子がいち早くファウンドリに「組込み」形式で量産中だった。
インメモリコンピューティングは、さらに演算装置まで加える技術である。メモリチップ一つでコンピューターを完全に代替できるという話だ。これに先立ち、サムスン電子は昨年にHBM-PIMを公開し、AI機能を加えたDRAMの商用化を始めたことがある。高価な価格にも関わらず関心が高いという。
「インメモリコンピューティング」が注目される理由は、単に処理速度を上げるだけでなく、人間の脳に似た方式で作動する未来半導体「ニューロモピック」を作るための核心技術の一つだからだ。実際、サムスン電子はインメモリコンピューティングを紹介し、MRAMをニューロン間接点として活用する新しい方式を示したりもした。
ニューロモピック半導体は、グローバル半導体業界の核心的な研究テーマだ。IBMやクアルコム、インテルなどのグローバル半導体企業は、早くからニューロモピック半導体を開発し、新しいコンピューティング時代に備えてきた。研究機関や企業等に製品を供給し、実用性を証明することもあった。
サムスン電子はこれまで、これらの企業にはやや遅れを取っているという評価を受けてきた。ニューロモピックの前段階と認識されるNPUをすでに幅広く商用化してはいるものの、完全にニューロモピック構造を活用するニューロモピックまで開発できずにいる。ニューロモピックを作るのに核心技術であるGPUやプログラマブル半導体(FPGA)、オーダーメイド型半導体(ASIC)など非メモリ半導体分野では競争力が落ちているからだ。
それにも関わらず、サムスン電子が「インメモリコンピューティング」で、ニューロモピック分野で新たに注目を集めるようになった理由は、次世代ニューロモピックの中核がまさにメモリだからだ。韓国電子通信研究院(ETRI)が発刊した「電子通信動向分析」によると、第1世代ニューロモピックの保存装置はシリコン基盤のCMOSトランジスター技術だけで実現された。しかし次世代ニューロモピックからは不揮発性メモリを活用した「メンリスター」を活用する方向で研究中だ。
サムスン電子がDRAMやNAND型フラッシュメモリなどの揮発性メモリだけでなく、MRAMとPRAMなど次世代メモリ技術でも超格差を維持しているだけに、ニューロモピック分野でも主導権を確保できるようになったということだ。すでにサムスン電子は、HBM-PIMをザイリンクス(Xilinx)AI加速器とともに活用し、性能を確認した状態で、非メモリ半導体メーカーを買収するだろうという推測が絶えない理由でもある。
SKもその後を追っている。SKハイニックスも関連技術を開発中だと知られるなか、グループレベルでもAI半導体であるサピオンX220を開発してサピオンに分社し、AI半導体開発事業を本格化し始めた。
政府もPIM半導体開発に大々的な支援を約束し、「AI半導体競争力強化案」を継続する方針だ。最近、投資だけでなく、産学と連携した人材養成など、多様な計画を打ち出した。
提供元・コリア・エレクトロニクス
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