確定拠出年金の「個人型」と「企業型」の併用はできる?併用のメリットを解説
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老後2,000万円問題など老後の資産形成の必要性が叫ばれる中で、自助努力によって将来受け取る年金を設計できる確定拠出年金は魅力的な制度です。今回は確定拠出年金のうち、「個人型」と「企業型」の併用について解説します。

確定拠出年金には「個人型」と「企業型」の2つのタイプがある

Q.確定拠出年金と公的年金の違いはなんですか?
A.確定拠出年金は個人型・企業型問わず、拠出額は加入者が決めますが、将来的に支給される年金額は運用成果によって変動します。

一方で公的年金である基礎年金や厚生年金は、将来の年金額が国や企業によって約束されています。年金資産の運用成果によって、支給額が変動することはありません。

確定給付年金と言われる公的年金や企業年金と対比して、確定拠出年金では加入者自らが運用し、運用成果に基づいて年金が支給されます。

この確定拠出年金には「個人型」と「企業型」の2つのタイプがあります。個人型の確定拠出年金はiDeCo(イデコ)と呼ばれ、自営業、自由業、学生等、会社員や公務員等、専業主婦・主夫やパートタイム労働者等が対象となる制度です。個人型は2001年より始まり、2017年以降、対象者が拡大されてきたという経緯があります。

一方で企業型の確定拠出年金はあくまでも退職金制度の一つで、会社に所属している人が対象となります。企業年金制度改革の一環として、2002年より始まりました。

確定拠出年金の個人型(iDeCo)と企業型(企業型DC)の併用は可能か

Q.個人型(iDeCo)と企業型(企業型DC)は併用できる?
A.確定拠出年金の個人型(iDeCo)と企業型(企業型DC)は併用が可能です。しかしどちらか片方のみを利用したい方には企業型DCの利用がおすすめです。

年金資産を運用するためには金融機関に口座を開設する必要がありますが、その場合に口座維持費がかかります。手数料は2,000円〜8,000円程度ですが、企業型DCの場合には自己負担がなく、会社が手数料を負担してくれます。

結論からいえば、確定拠出年金の個人型(iDeCo)と企業型(企業型DC)の併用は可能です。もともとiDeCoと企業型DCの併用はできませんでしたが、2017年1月の法改正によって併用可能となりました。しかし、その場合でも勤務している企業が労使合意に基づく企業年金規約において併用を認めている、かつ事業主掛け金の上限を引き上げた企業の労働者に限られていました。もっとも労使合意は頻繁に締結・変更されるものではないため、依然として併用のハードルは高めでした。しかし、2022年10月の法改正によって、規制が緩和され、企業型DCに加入している人は企業年金規約や事業主掛け金の上限に縛られずiDeCoへの加入が可能になります。

個人型(iDeCo)と企業型(企業型DC)を併用するための条件

Q.iDeCoと企業型DCで運用商品が異なるのでしょうか?
A.iDeCoでは運用商品は金融機関が選定している商品のなかから選ぶことになりますが、企業型DCの場合には勤務する会社が選定する運用商品から選択することになります。

企業型DCでは自分で金融機関を選ぶことができないので、商品の選択肢が限定されます。iDeCoと企業型DCを併用する場合、以下で紹介する限度額のほか、商品の違いについても検討する必要があります。

2022年10月の法改正によって、労使合意の有無や事業主掛け金の上限に関係なく、個人型(iDeCo)と企業型(企業型DC)を併用することが可能になりました。

ただし、新たな制度改正においても拠出限度額は無制限ではありません。現状、企業型DCの拠出上限額は月5万5,000円となっていますが、企業の掛け金が毎月3万5,000円であれば、残りの2万円以内でiDeCoの利用ができます。また、これはすでに企業型(企業型DC)に加入している方が個人型(iDeCo)に加入する場合の拠出限度額です。

もし、労働者が企業型(企業型DC)に加えて、確定給付企業年金であるDBや厚生年金基金に加入しており、その上で個人型(iDeCo)に加入したい場合には拠出限度額が異なります。その場合、企業型DCの拠出上限額は月2万7,500円となり、個人型(iDeCo)の拠出限度額はそのうちの1万2,000円となります。

また、「マッチング拠出」制度を導入している企業に勤務する労働者は条件が異なります。マッチング拠出とは会社が拠出する掛け金に加えて、一定の範囲内で加入者も上乗せ拠出ができる制度です。この制度を利用している場合にはマッチング拠出もしくはiDeCoのどちらか一つのみの選択となります。

確定拠出年金(DC)の特徴

Q.iDeCoとNISA制度の違いはなんですか?
A.iDeCoとNISAはいずれも金融商品の運用益が非課税になる制度です。しかし、iDeCoは私的年金の制度である一方、NISAは個人投資家を支援するための制度であり、内容にも違いがあります。例えば、iDeCoの掛け金は原則60歳まで引き出せない一方、NISAは資金の引き出しが自由です。iDeCoとNISAは選択制ではなく、自由に選ぶことができますので、運用の目的に合わせて併用も可能です。

確定拠出年金(DC)は公的年金制度を補完する役割を期待されて、2001年に創設された年金制度ですが、従来の公的年金とは制度設計が異なります。確定拠出年金(DC)には個人型(iDeCo)と企業型(企業型DC)の2種類がありますが、どちらも拠出された掛け金とその運用収益との合計額をもとに、将来の給付額が決定する年金制度です。

確定拠出年金は、個人型(iDeCo)と企業型(企業型DC)いずれも以下のような特徴があります。

  • 掛け金は自分で運用する
  • 運用次第で給付額が変わる
  • 税制優遇がある

ここからは、上記3つの特徴について詳しく解説します。

掛け金は自分で運用する

確定拠出年金(DC)では企業もしくは加入者個人が運用口座に毎月一定額の掛け金を拠出します。その掛け金を預貯金、投資信託、保険商品などの金融商品で運用し、公的年金を補完する第二の年金として資産形成を行います。運用する金融商品を自由に決定できるのが最大の特徴で、毎月拠出する金額は5,000円以上1,000円単位で自由に設定することができます。

公的年金は「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)という独立行政法人が運用を担っていますが、確定拠出年金(DC)の場合にはリターンやリスクを考慮して、自由に運用商品を選択できます。

運用次第で給付額が変わる

確定拠出年金における運用商品の選択や拠出額の決定は加入者に委ねられていますが、運用の成果による給付額の変動は自己責任となります。

例えば、積み立てた元本が確保される定期預金や保険商品などの元本確保型の金融商品を選択すれば、元本割れのリスクを最小限にすることができますが、大きな運用成果は期待できないでしょう。一方運用商品として株式を中心とした投資信託を選択した場合、投資先企業の業績次第では大きな運用成果が期待できますが、価格が下落して将来的な給付額が減少するリスクがあります。

税制優遇がある

税制面での優遇措置がある点も特徴です。拠出時、運用時、給付時にそれぞれ優遇が受けられます。

拠出時には積み立てた掛け金の全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となり、所得税と住民税の負担が軽減されます。事業主が負担した分についても全額損金算入となります。最終的な節税額は年収や拠出額によって異なりますが、積立期間中に控除が適用されるので、大きな節税効果が期待できます。

また運用時には運用益が非課税となります。通常、金融商品に投資して得られた利益には20.315%の税金がかかりますが、この課税が免除されます。

給付時の税制優遇は、給付の受け取り方によって異なります。年金として受け取る際には公的年金等控除が適用され、一時金として受け取る場合には退職所得控除が適用されます。

個人型確定拠出年金(iDeCo)の特徴

Q.iDeCoに向いている人は?
A.iDeCoに向いているのは、将来の年金の受給額を増やしたい人です。iDeCoは「個人型確定拠出年金」という名前の通り、将来の年金資産を運用するものです。

政府の財政状況や少子高齢化などの社会状況を考慮すると、公的年金の受給額が増えることは予想しづらいです。したがって、自助努力による年金資産の形成が求められています。

個人型確定拠出年金(iDeCo)とは、掛け金を加入者自身が運用し、原則60歳以降に受け取ることのできる年金制度であり、公的年金にプラスして給付を受けることができます。運用額や投資対象の金融商品、受け取り方法など加入者が自由に決めて、運用することのできる制度です。

実施団体 国民年金基金連合会
加入対象者 原則として、公的年金に加入している65歳未満の全ての方が加入対象者となります。

1 自営業者等(国民年金第1号被保険者)
※農業者年金の被保険者、国民年金の保険料免除対象者を除く。

2 厚生年金保険の被保険者(国民年金第2号被保険者)
※公務員や私学共済制度の加入者を含む。

3 専業主婦(主夫)等(国民年金第3号被保険者)

4 海外に居住するなどにより、国民年金の被保険者資格がない方
掛け金 加入者が拠出します。
最低拠出額は被保険者種別等にかかわらず5,000円です。
税制 1 拠出時
掛け金全額が所得控除

2 運用時
非課税

3 給付時
年金として受給:公的年金等控除
一時金として受給:退職所得控除

※筆者作成

2022年から法改正で変化するiDeCo

2020年にiDeCoの制度改正が行われ、2022年より利用対象者や期間が変更になります。すでに企業型DCに加入している人でも原則としてiDeCoに加入できるようになる点についてはすでに解説しましたが、この他にも2点変更点があります。

まず、iDeCoの加入可能年齢が延長されました。現在、iDeCoに加入できる年齢は60歳までとなっていますが、法改正によってこの制限が撤廃されます。原則として国民年金の被保険者ならば年齢の制限なく加入できるため、実質的に対象年齢が65歳まで引き上げられた格好です。2022年の制度変更により、60歳以上の第2号被保険者である会社員・公務員または国民年金の任意加入者がiDeCoを利用できるようになり、60歳以降も現役で働きたいというシニア層のニーズに対応できるようになりました。さらに「国民年金の被保険者であること」以外に大きな要件がなくなるため、海外に居住している方でも国民年金に任意加入していればiDeCoを利用できるようになります。ただし、iDeCoの老齢給付金を受給した方や公的年金の繰り上げ受給を選択した方は対象外です。

iDeCoの制度改正によるもう一つの変更として、受給開始年齢の設定上限が75歳に延長される点も見逃せません。現在はiDeCoの受給開始時期を60歳以降70歳未満で自由に選択できますが、この上限が75歳までに変更されます。これは2022年4月以降に公的年金の繰り下げ受給が75歳まで延長されることに対応した措置です。

iDeCoの積み立てシミュレーション

Q.iDeCoではどれくらいのリターンが期待できますか?
A.iDeCoは運用商品を加入者自身で選択します。商品には定期預金や保険商品などの元本確保型や投資信託などの価格変動型の商品があり、投資商品の選択によって期待できるリターンは大きく異なります。リスク許容度や投資スタイルに応じて、運用商品を選びましょう。

iDeCoは職業によって掛け金の上限額が異なります。掛け金や年齢、運用成果によって、将来的に受給できる年金額は異なります。

ここからは自営業、会社員、公務員、専業主婦の方別に簡単な積み立てシミュレーションを行います。将来の受給額の参考にしてください。

自営業者の場合

以下の属性の自営業者の場合の積み立てシミュレーションを見ていきましょう。

職業:個人事業主
年齢:40歳
年収:600万円
毎月の掛け金額:6.8万円
運用商品:外国株式型投信
利率:5.0%

運用結果は以下のとおりです。

積立元本 16,320,000円
運用益 11,630,289円
合計金額 27,950,289円

楽天証券のシミュレーションをもとに筆者作成

税制上の恩恵は以下のとおりです。

給与所得控除(年あたり) 1,640,000円
社会保険料控除(年あたり) 863,400円
基礎控除(所得税) 480,000円
基礎控除(住民税) 430,000円
課税所得(所得税) 2,200,600円
課税所得(住民税) 2,250,600円
所得税額 122,560円
住民税額 225,060円
所得税軽減額(20年計) 1,632,000円
住民税軽減額(20年計) 1,632,000円
税制優遇額(20年計) 3,264,000円

楽天証券のシミュレーションをもとに筆者作成

会社員の場合

以下の属性の会社員の場合の積み立てシミュレーションを見ていきましょう。

職業:会社員
年齢:35歳
年収:500万円
企業年金の有無:無し
毎月の掛け金額:2.3万円
運用商品:国内株式型投信
利率:3.0%

運用結果は以下のとおりです。

積立元本 6,900,000円
運用益 3,358,180円
合計金額 10,258,180円

楽天証券のシミュレーションをもとに筆者作成

税制上の恩恵は以下のとおりです。

給与所得控除(年あたり) 1,440,000円
社会保険料控除(年あたり) 719,500円
基礎控除(所得税) 480,000円
基礎控除(住民税) 430,000円
課税所得(所得税) 2,084,500円
課税所得(住民税) 2,134,500円
所得税額 110,950円
住民税額 213,450円
所得税軽減額(20年計) 690,000円
住民税軽減額(20年計) 690,000円
税制優遇額(20年計) 1,380,000円

楽天証券のシミュレーションをもとに筆者作成

公務員の場合

以下の属性の公務員の場合の積み立てシミュレーションを見ていきましょう。

職業:公務員
年齢:25歳
年収:400万円
毎月の掛け金額:1.2万円
運用商品:債券型投信
利率:3.0%

運用結果は以下のとおりです。

積立元本 5,040,000円
運用益 3,858,764円
合計金額 8,898,764円

楽天証券のシミュレーションをもとに筆者作成

税制上の恩恵は以下のとおりです。

給与所得控除(年あたり) 1,240,000円
社会保険料控除(年あたり) 575,600円
基礎控除(所得税) 480,000円
基礎控除(住民税) 430,000円
課税所得(所得税) 1,560,400円
課税所得(住民税) 1,610,400円
所得税額 78,020円
住民税額 161,040円
所得税軽減額(20年計) 252,000円
住民税軽減額(20年計) 504,000円
税制優遇額(20年計) 756,000円

楽天証券のシミュレーションをもとに筆者作成

専業主婦の場合

以下の属性の専業主婦の場合の積み立てシミュレーションを見ていきましょう。

職業:専業主婦
年齢:30歳
年収:120万円
毎月の掛け金額:2.3万円
運用商品:保険商品
利率:1.0%

運用結果は以下のとおりです。

積立元本 8,280,000円
運用益 1,371,449円
合計金額 9,651,449円

楽天証券のシミュレーションをもとに筆者作成

税制上の恩恵は以下のとおりです。

給与所得控除(年あたり) 550,000円
社会保険料控除(年あたり) 172,680円
基礎控除(所得税) 480,000円
基礎控除(住民税) 430,000円
課税所得(所得税) 0円
課税所得(住民税) 0円
所得税額 0円
住民税額 0円
所得税軽減額(20年計) 0円
住民税軽減額(20年計) 141,960円
税制優遇額(20年計) 141,960円

楽天証券のシミュレーションをもとに筆者作成

企業型確定拠出年金(企業型DC)の特徴

Q.企業型DCに向いている人とは?
A.企業型DCもiDeCoと同様、将来の年金の受給額を増やしたい人に向いています。企業型DCは「企業型確定拠出年金」という名前の通り、将来の年金資産を運用するものです。

企業としても従業員が老後の生活資金を運用しやすいように制度設計をしていますので、勤務している会社が企業型DCの制度を用意している場合にはぜひ加入を検討しましょう。

ちなみに転職した場合でも年金資産を持ち運びすることが可能です。

企業型確定拠出年金(企業型DC)とは、加入者ごとに企業が掛け金を積み立てて、加入者が自ら年金資産の運用を行い、運用成果に応じて給付額が決定される年金制度です。

iDeCoと同様、原則60歳以降に受け取ることができます。

掛け金額(=拠出額)が決定されている(=Defined Contribution)ので、DCと呼ばれています。

実施団体 企業型年金規約の承認を受けた企業
加入対象者 企業型年金規約の承認を受けた企業に勤務する従業員
掛け金 事業主が拠出します。
拠出限度額 1 確定給付型の年金を実施していない場合:月5万5,000円
2 確定給付型の年金を実施している場合:月2万7,500円
税制 1 拠出時
事業主が拠出した掛け金:全額損金算入 加入者が拠出した掛け金:全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)

2 運用時
非課税

3 給付時
年金として受給:公的年金等控除
一時金として受給:退職所得控除

労働金庫連合会のサイトをもとに筆者作成。2022年1月11日現在。

企業型DC特有のマッチング拠出

企業型確定拠出年金(企業型DC)は退職給付制度ですので、事業主が毎月掛け金を拠出し、従業員が運用する制度設計となっています。しかし2012年1月の法改正によって、事業主が拠出する掛け金に従業員が掛け金を上乗せして、拠出できるようになりました。この仕組みが「マッチング拠出」です。加入者が上乗せして拠出する金額は全額が所得控除になりますので、iDeCo同様に税制面の恩恵を受けながら、経済的な不安に備えることができます。

対象者 勤務している会社がマッチング拠出制度を採用している必要があります。
上乗せ拠出額 会社ごとに金額が決められています。その金額のうち、以下の要件を満たす金額を選びます。

①加入者(従業員)掛け金累計が、事業主(会社)掛け金を超えないこと

②加入者(従業員)掛け金累計と事業主(会社)掛け金の合計が、掛け金拠出限度額を超えないこと
掛け金拠出限度額は以下のとおりです。
年額66万円(月額5万5,000円)
ただし、他の企業年金がある場合は年額33万円(月額2万7,500円)
掛け金の支払い方法 掛け金は給与から控除

労働金庫連合会のサイトをもとに筆者作成。2022年1月11日現在。

「個人型」と「企業型」確定拠出年金の違い

Q.「個人型」と「企業型」の確定拠出年金は、それぞれ社会保険料とどのような関係がある?
A.iDeCoの掛け金は、社会保険料が控除された後の手取り所得から拠出されます。企業型DCについても加入者が拠出する分については同等の扱いですが、事業主が拠出した掛け金は会社の福利厚生費として扱われるため、社会保険料の算定基礎に含まれません。

確定拠出年金には個人型と企業型の2種があります。どちらも公的な年金を補完する制度であり、加入者が運用し、税制面での優遇措置が適用されるといった点では同じですが、制度設計上さまざまな違いがあります。

加入対象者

加入対象者の違いについて見ていきましょう。

個人型 企業型
原則として、公的年金に加入している60歳未満の全ての方が加入対象(年齢制限については2022年に撤廃予定)

1 自営業者等(国民年金第1号被保険者)
※農業者年金の被保険者、国民年金の保険料免除対象者を除く。

2 厚生年金保険の被保険者(国民年金第2号被保険者)
※公務員や私学共済制度の加入者を含む。

3 専業主婦(主夫)等(国民年金第3号被保険者)

4 海外に居住するなどにより、国民年金の被保険者資格がない方
企業型年金規約の承認を受けた企業に勤務する従業員かつ60歳未満の厚生年金被保険者が加入対象

厚生労働省のサイトをもとに筆者作成。2022年1月11日現在。

掛け金の限度額

掛け金の限度額の違いについて見ていきましょう。

個人型 企業型
加入者の属性に応じて、限度額が異なります。

1 自営業者やその家族…月額6万8,000円
※国民年金基金の加入者の限度額は、その掛け金と合わせて6万8,000円

2 会社員…月額2万3,000円
※企業型確定拠出年金のみに加入している場合は月額2万円

3 公務員…月額1万2,000円

4 専業主婦(主夫)など…月額2万3,000円
月額5万5,000円

ただし、確定給付型の年金を実施している場合は月額2万7,500円

厚生労働省のサイトをもとに筆者作成。2022年1月11日現在。

積立期間

掛け金の積立期間の違いについて見ていきましょう。

個人型 企業型
厚生年金被保険者もしくは国民年金被保険者となった年齢から60歳まで積み立て可能(年齢制限については2022年に撤廃予定) 厚生年金被保険者となった年齢から60歳まで積み立て可能
ただし、会社の年金規約に規定がある場合は最長65歳までの積み立ても可能

厚生労働省のサイトをもとに筆者作成。2022年1月11日現在。

税制優遇

税制優遇の違いについて見ていきましょう。

確定拠出年金では拠出時、運用時、給付時にそれぞれ税制面での優遇措置があります。

個人型 企業型
1 拠出時
掛け金全額が所得控除

2 運用時
非課税

3 給付時
年金として受給:公的年金等控除
一時金として受給:退職所得控除
1 拠出時
事業主が拠出した掛け金:全額損金算入
加入者が拠出した掛け金:全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)

2 運用時
非課税

3 給付時
年金として受給:公的年金等控除
一時金として受給:退職所得控除

厚生労働省のサイトをもとに筆者作成。2022年1月11日現在。

運用商品

運用商品の違いについて見ていきましょう。

個人型 企業型
個人が加入したプランを運営する金融機関が選定している金融商品のなかから選びます。
→金融商品の選択の自由度が大きい
勤務する会社が選定した会社が選定した金融商品から選択できます。
→会社選定の金融商品であるため、安全性が高い

厚生労働省のサイトをもとに筆者作成。2022年1月11日現在。

金融商品の種類は主に「元本確保型」と「価格変動型」の2種類があります。

元本確保型 価格変動型
定期預金や保険商品
→元本割れのリスクがない
低金利環境下では資産増が期待できない
投資信託(株式中心、債券中心、ミックス型)
→元本が保証されない
運用次第で資産が大きく増える

厚生労働省のサイトをもとに筆者作成。2022年1月11日現在。

iDeCoと企業型DC併用のメリットって?

Q.iDeCoと企業型DCの効果的な使い分け方は?
A.iDeCoと企業型DCの大きな違いとして、企業型DCでは企業が選定した運用商品のなかから加入者が商品を選ぶ必要があるという点が挙げられます。したがって、口座維持手数料がかからない企業型DCで優先的に運用した上で、企業型DCの運用商品に魅力的な商品が見つからない場合はiDeCoで興味のある運用商品を取り扱っている金融機関を選び、投資対象の選択肢を増やすのがいいでしょう。

老後資金の確保手段として、確定拠出年金の活用が進んでいます。iDeCoと企業型DCは単独で利用してもメリットがありますが、2種類の確定拠出年金を併用することで得られるメリットはなんでしょうか?

1 掛け金全額が所得控除される

iDeCoや企業型DCでは掛け金は全額所得控除となり、所得税と住民税の負担が軽減されます。現行の制度では、企業型DCの掛け金の拠出上限額は毎月5万5,000円となっています。iDeCoの掛け金の拠出上限額は毎月2万円ですので、企業型DCの掛け金が毎月3万5,000円であれば、残りの2万円以内でiDeCoの利用ができます。

iDeCo公式サイトの「かんたん税制優遇シミュレーション」によれば、年収461万円(国税庁:日本人の平均年収)で年齢30歳、拠出額5万5,000円の場合、税制優遇額の合計は10万6,731円です。

2 運用で得た利益は全て非課税

国税庁によれば、通常投資信託や株式などで得た利益のうち、普通分配金と譲渡益には20.315%の税金が課せられます。

しかし、確定拠出年金で投資信託などを運用して得た利益には税金が非課税となります。

例えば、毎月の拠出額5万5,000円(企業型:3万5,000円、iDeCo:2万円)として、年利5.0%で20年運用した場合には運用総額は2,260.69万円となります。このうち、運用益は940.68万円ですので、通常であれば、940.68万円×20.315%=191万円が課税されますが、確定拠出年金であれば、非課税となります。

3 資産受取時も控除対象になる場合がある!

iDeCoと企業型DCでは資産受取時に控除の対象となります。受け取り方法には年金と一時金の2種類があり、所得区分と控除対象が異なります。

年金:雑所得→公的年金等控除の対象
一時金:退職所得→退職所得控除の対象

公的年金等の雑所得は、次の計算式によって計算します。
公的年金等の雑所得=収入金額-公的年金等控除額

退職所得は、次の計算式によって計算します。
退職所得=(収入金額-退職所得控除額)×1/2

ちなみにどちらのほうがより大きな節税効果を得られるのかは公的年金やその他の所得によって異なります。

iDeCoと企業型DC併用のデメリットとは

Q.掛け金の合計額が企業型DCの上限を超えてしまったらどうなる?
A.企業型DCとiDeCoを併用している際、昇格や昇進の結果として事業主拠出の掛け金が上がり、iDeCoと企業型DCの掛け金の合計額が企業型DCの掛け金上限額を超えてしまう場合があります。その場合には会社で掛け金減額の手続きが必要です。

手続きが間に合わない場合には、企業型DCの個人口座管理を行っている金融機関と、国民年金基金連合会がデータ連携して調整を行います。

iDeCoと企業型DCを併用することで、それぞれのメリットを生かせることを解説しました。しかし、併用によるデメリットが一切ないわけではありません。

1 掛け金の上限額が減る可能性がある

iDeCoと企業型DCにはそれぞれ拠出できる掛け金に上限があります。2022年1月時点の制度下では、企業型DCの場合には年額66万円、月額5万5,000円が上限額ですが、iDeCoと併用する場合にはそれぞれ年額42万円、月額3万5,000円となります。また、この場合のiDeCoの掛け金の拠出上限額は年額24万円、月額2万円です。しかし、第2号被保険者(会社員、公務員)がiDeCoのみに加入する場合には上限額が年額27万6,000円、月額2万3,000円ですので、併用することでiDeCoの上限額が減ってしまいます。

2 企業型DCを他社に持ち運ぶ場合、運用商品を売却する必要がある

企業型DCに加入している場合に転職などによって勤務する企業を退職する際には年金資産を持ち運ぶ必要があります。これはポータビリティ制度と呼ばれ、課税を免除されながら、企業型DCで運用した資産を次の企業の企業型DCやiDeCoに移せる仕組みです。

持ち運びの際には現在保有する年金資産を一度現金化して、次の運用対象として選択した金融商品を購入します。資産の売却、購入の中で課税はされませんが、現金化にともなって信託財産留保額がかかる可能性があります。

iDeCoの手続き・始め方

Q.iDeCoに利用する金融機関は一つだけを選ぶのですか?
A.iDeCoの運用口座を開設できる金融機関は一つだけで、複数の金融機関を同時に利用することはできません。しかし、金融機関の変更はいつでも自由に行えます。金融機関を変更する場合にはこれまで他の金融機関で運用していた運用商品は解約・現金化した上で、改めて新しい金融機関が取り扱っている商品を選択します。

複数の金融機関を同時に利用することができません。変更はいつでもできます。ただし、資産を移す手続には2ヶ月程度かかることが多く、その間運用はできません。また費用がかかることもあります。

出典:iDeCoナビ

iDeCoに加入するメリットやデメリットを理解した上で、加入することを決めたら、どのように手続きを進めればよいのでしょうか。

1 加入資格があるか確認する
iDeCoは国内に居住する20歳以上60歳未満(2022年5月以降は65歳未満)が加入できます。
属性別の加入資格は以下のとおりです。

・自営業者等(第1号被保険者)
・専業主婦(主夫)(第3号被保険者)
・会社員(第2号被保険者)
・公務員(第2号被保険者)
2 掛け金を決める
iDeCoの掛け金は、月々5,000円以上1,000円単位で任意に設定可能です。
また、掛け金額は、1年に1回だけ変更可能です。
ただし、60歳まで引き出すことができないので、無理なく継続して拠出できる掛け金額を設定します。
上限額は属性に応じて異なります。

・自営業者等:6万8,000円
・専業主婦(主夫):2万3,000円
・会社員・公務員:2万3,000円(企業DCに加入している場合は2万円)
3 運用商品を決める
iDeCoの運用商品は加入者自身が決めることができます。運用商品によって投資対象や運用商品の価格に影響を与える要因、リターン、リスクが異なりますので、運用スタイルに合わせて決定しましょう。
運用商品はリスク・リターンが小さい順に以下のようなものがあります。

・元本確保型(定期預金・保険商品)
・国内債券型投信
・外国債券型投信
・国内REIT投信
・国内株式型投信
・外国REIT投信
・外国株式型投信
4 金融機関を決める
iDeCoを始めるためにはiDeCoを取り扱う金融機関で口座を開設する必要があります。
約160の銀行や証券会社が運営管理機関としてiDeCoを取り扱っています。
金融機関によって取り扱う金融商品のラインアップが異なります。

iDeCo公式サイトの情報をもとに筆者作成。2022年1月11日現在。

iDeCoにおすすめの証券会社ランキング

Q.iDeCo口座の解説におすすめの金融機関はどこですか?
A.以下をご覧ください。

iDeCoを始めるためには金融機関に口座を開設する必要がありますが、金融機関によって商品やサービスが異なります。

口座管理手数料、加入時・移換時手数料、投資信託の本数などを基におすすめの証券会社をご紹介します。

1 楽天証券

口座管理手数料 月額171円
加入時・移換時手数料 2,829円
投資信託 31本
おすすめ商品 楽天・全世界株インデックス・ファンド
楽天・全米株式インデックス・ファンド
たわらノーロード先進国株式
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
おすすめポイント 効率よく楽天ポイントを貯められる
楽天クレジットカード決済ができる
低コストで始められる

楽天証券のサイトをもとに筆者作成。2022年1月11日現在

2 SBI証券

口座管理手数料 171円/月
加入時/移換時手数料 2,829円
投資信託 36本
おすすめ商品 eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
SBI・全世界株式インデックス・ファンド
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
おすすめポイント インデックスファンドの数が豊富
加入者数No.1の安心の実績
土日でもコールセンターがつながる

SBI証券のサイトをもとに筆者作成。2022年1月11日現在。

3 松井証券

口座管理手数料 171円/月
加入時/移換時手数料 2,829円
投資信託 39本
おすすめ商品 One DC 国内株式インデックスファンド
eMAXIS Slim先進国株式インデックス
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
おすすめポイント 投資信託のラインアップが業界最多
口座管理手数料は無条件で最安

松井証券のサイトをもとに筆者作成。2022年1月11日現在。

iDeCoでおすすめの運用商品

Q.iDeCoの投資対象となる運用商品はなんですか?
A.運用商品には大きく分けて、元本確保型と価格変動型があります。 元本確保型は元本が保証されており、安全性が高い一方でリターンが小さいという特徴があります。一方で価格変動型は運用成果次第で大きなリターンが期待できますが、相場状況次第では元本割れの可能性があります。

ここからはiDeCoの口座で運用するのにおすすめの商品をご紹介します。

1 eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)

基本情報

ファンド名 eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
購入時申込手数料 無料
信託報酬 0.154%以内
運用会社 三菱UFJ国際投信株式会社
販売会社 SBI証券、マネックス証券、松井証券

eMAXISの公式サイトをもとに筆者作成。2022年1月11日現在。

eMAXIS Slimシリーズは、業界最低水準の運用コストを将来にわたって目指し続けるファンドシリーズです。低コストで投資できることが特徴であり、設計がシンプルですので、投資初心者の方におすすめです。

なかでもeMAXIS Slimバランスは日本や先進国、新興国の株式、公社債、REITなどの合計8つの資産に均等に分散投資が可能です。資産価値の変動によって、バランスが変わった場合には資産配分が均等になるよう運用会社がバランスを取ってくれます。

2 <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド

基本情報

ファンド名 <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
購入時申込手数料 0円
信託報酬 0.1023%以内
運用会社 ニッセイアセットマネジメント株式会社
販売会社 楽天証券、SBI証券、マネックス証券、松井証券

ニッセイアセットマネジメント株式会社のサイトをもとに筆者作成。2022年1月11日現在。

<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドは、国内株式を除く、先進国の株式に投資をするインデックスファンドです。米国株式が主要銘柄となっており、世界最大の経済大国の成長を取り込むことができます。MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果を目指します。

購入時手数料0円、信託報酬は0.1%程度と非常に低コストで運用ができます。

3 セゾン資産形成の達人ファンド

基本情報

ファンド名 セゾン資産形成の達人ファンド
購入時申込手数料 0円
信託報酬 1.35±0.2%
運用会社 セゾン投信株式会社
販売会社 楽天証券、SBI証券、ゆうちょ銀行

セゾン投信の公式サイトをもとに筆者作成。2022年1月11日現在。

セゾン資産形成の達人ファンドは、長期的な観点で世界の株式に分散投資を行います。投資対象国は日本や欧米先進国、新興国など30ヵ国以上であり、世界経済の成長を取り込むことができます。

投資信託に投資を行いつつ、リスクを抑えたいという方におすすめの商品です。

証券会社の選び方

iDeCoを運用する証券会社を選ぶ際に注目したいのは「商品ラインアップ」「コスト」の2点です。商品ラインアップは投資信託の豊富さ、特に年金資産の運用に適したインデックス銘柄の豊富さで選ぶとよいでしょう。

また、毎月支払う口座管理手数料や口座移管手数料、信託報酬なども確認しましょう。手数料が高いほど、将来受け取る年金額が減少することになります。

iDeCoとNISAの違いは?

Q.iDeCoとNISAの併用はできる?
A.iDeCoとNISAは似たような制度と感じるかもしれませんが、併用は可能です。

併用するために会社から許可を受けたり、金融機関に申請したりといった面倒な手続きも必要ありません。ただし、NISAのうち、一般NISAとつみたてNISAは併用できないので、どちらか一方を選ぶ必要があります。つまり、一般NISAとiDeCo、もしくはつみたてNISAとiDeCoはそれぞれ併用可能です。

NISAとは株式や投資信託などの運用で得られた利益および配当益が非課税になる制度です。NISAには主に一般NISAとつみたてNISAの2種類があります。

一方でiDeCoは個人型確定拠出年金という名称の通り、将来の年金資産を作るために毎月掛け金を拠出する制度です。NISA同様に運用益が非課税となります。

投資上限額

iDeCoと一般NISA、つみたてNISAの投資上限額は以下のとおりです。

iDeCo 一般NISA つみたてNISA
・自営業者等
月額6.8万円
年額81.6万円

・会社員(企業型DC無し)
月額2.3万円
年額27.6万円

・会社員(企業型DC有り)
月額2.0万円
年額24万円

・公務員
月額1.2万円
年額14.4万円

・専業主婦(主夫)
月額2.3万円
年額27.6万円
年額120万円

投資信託の一括購入や、積立投資信託を活用した分割購入などが可能

積立投資の場合:
月額10万円
年額40万円

積立投資のみ

投資の場合:
月額3.3万円

金融庁のサイトをもとに筆者作成。2022年1月11日現在。

税制上の優遇措置

iDeCoと一般NISA、つみたてNISAにおける税制上の優遇措置はそれぞれ以下のとおりです。

iDeCo 一般NISA つみたてNISA
拠出時 掛け金が全額所得控除 控除なし 控除なし
運用時 商品の運用益が非課税 商品の運用益が非課税 商品の運用益が非課税
受給時 受取金額の一定額が非課税

年金として受給:
公的年金等控除
一時金として受給:
退職所得控除
控除なし 控除なし

金融庁のサイトをもとに筆者作成。2022年1月11日現在。

iDeCoとNISAの制度上の大きな違いは、拠出時における掛け金控除の有無や、受給時の「退職所得控除」「公的年金等控除」の有無です。

運用期間

iDeCoと一般NISA、つみたてNISAの運用期間は以下のとおりです。

iDeCo 一般NISA つみたてNISA
厚生年金被保険者もしくは国民年金被保険者となった年齢から60歳まで(2022年以降は65歳まで)積み立て可能 最大で5年

120万円×5年間=600万円
最大で20年

40万円×20年間=800万円

金融庁のサイトをもとに筆者作成。2022年1月11日現在。

引き出しの制限

iDeCoと一般NISA、つみたてNISAの引き出しの制限は以下のとおりです。

iDeCo 一般NISA つみたてNISA
60歳まで原則不可 いつでも可能 いつでも可能

金融庁のサイトをもとに筆者作成。2022年1月11日現在。

一般NISA・つみたてNISAともに運用中にいつでも運用商品を売却して、運用口座から出金ができます。一方でiDeCoは原則として60歳まで引き出しができません。資金の流動性という観点ではNISA制度が優れていると言えるでしょう。

iDeCoで運用する場合には途中引き出しができないことを前提として、無理のない範囲で継続して投資できる額を拠出しましょう。

運用商品

iDeCoと一般NISA、つみたてNISAの商品ラインアップは異なります。

主な投資対象は以下のとおりです。

iDeCo 一般NISA つみたてNISA
元本確保型
・定期預金
・保険商品

価格変動型
・国内株式投信
・国内債券投信
・外国株式投信
・外国債券投信
・国内REIT投信
・外国REIT投信
・コモディティ投信
・国内株式
・国内ETF
・国内REIT
・投資信託
 株式型
 債券型
 バランス型
 コモディティ型
・外国株式
・海外ETF
長期投資に適した金融商品として金融庁への届け出が受理された投資信託

・株式型
・債券型
・バランス型
・コモディティ型

金融庁のサイトをもとに筆者作成。2022年1月11日現在。

投資目的

iDeCoと一般NISA、つみたてNISAはそれぞれ投資の目的が異なります。

iDeCo 一般NISA つみたてNISA
将来の年金資産

運用した年金資産を使うのが定年後になる予定であれば、60歳まで引き出しができないというデメリットは気になりません。
積極的なリターンを狙う

株式や投資信託、ETF、REITなど幅広い投資商品が投資対象です。iDeCoやつみたてNISAと比較して、リスクの大きい商品もあるため、短期間に積極的にハイリターンを狙いたい人におすすめです。
住宅購入、教育資金など自由

月額3.3万円、年額40万円という投資額を20年継続すれば、800万円になります。
20年以内に大きな資金が必要になる場合に目標に向けて長期的にコツコツと資産形成したい人におすすめです。

金融庁のサイトをもとに筆者作成。2022年1月11日現在。

確定拠出年金に関するよくある質問

ここからはiDeCoに関するよくある質問をまとめています。疑問点を解消して、万全の状態で老後の資産形成を始めましょう。

Q.iDeCoの積立金額はいくらから設定できる?

iDeCoは毎月最低5,000円から始めることが可能で、積立金額は1,000円単位で設定することができます。掛け金の変更は1年に1回のみ可能です。また、支払い方法は本人口座からの引き落としか給与からの天引きが選択でき、途中で変更できます。上限金額は職業や属性によって異なります。

自営業者等 月額6万8,000円
会社員・公務員 月額1万2,000円
会社員・公務員
(企業年金がない場合)
月額2万3,000円
会社員
(企業型DCに加入している場合)
月額2万円
専業主婦(主夫) 月額2万3,000円

※筆者作成

Q.iDeCoの積立金額は変更できる?

iDeCoの積立金額は1月〜12月の間に1回のみ可能です。変更するためにはiDeCo口座を開設している金融機関に対して、「加入者掛金額変更届」を提出します。変更届には主に以下の必要事項を記入します。

  • 基礎年金番号
  • 氏名
  • 生年月日
  • 性別
  • 住所
  • 連絡先
  • 企業年金制度等
  • 掛け金額区分
  • 掛け金額

金融機関に提出された変更届は国民年金基金連合会へ提出され、審査が行われます。審査の結果、積立金額の変更が認められれば、翌々月から変更後の掛け金額で積み立てができます。

Q.iDeCoの運用商品はどんなものがある?

運用商品には大きく分けて、「元本確保型」と「価格変動型」の2種類があります。

元本確保型は定期預金や保険商品など元本が確保されている商品で、安全性が高い分リターンには期待できません。

一方で価格変動型には以下のような商品があります。

  • 国内株式投信
  • 国内債券投信
  • 外国株式投信
  • 外国債券投信
  • 国内REIT投信
  • 外国REIT投信
  • コモディティ投信

価格変動型の商品は元本が確保されておらず、リスクがありますが、運用成果次第で大きなリターンが期待できます。

Q.年末調整・確定申告は必要?

iDeCoは掛け金が所得控除になる税制優遇措置が取られています。しかし、所得控除を受けるためには確定申告や年末調整が必要になります。

年末調整および確定申告は、いずれも所定の書類に必要事項を記入するだけで完了する簡単な手続きです。

年末調整や確定申告を忘れても罰則等はありませんが、所得控除を受けられません。つまり、所得税を多く支払っていることになります。その場合には「還付申告」という方法で還付を受けることができます。

Q.iDeCoをやっていたら、会社に知られてしまう?

厚生年金や共済組合に加入している会社員がiDeCoへ加入するためには事業主が法令上の資格要件を満たしていることを証明する必要があります。したがって、iDeCoをやっていることは会社に知られてしまいます。しかし、掛け金の金額や年金資産の内容については会社側から分かりません。

また、厚生労働省は2022年秋を目安として、iDeCoの加入手続きにおける事業主の証明を不要とする方針です(出典=日本経済新聞)。

これによって、iDeCoへの加入手続きが簡略化され、加入しやすくなります。

まとめ

iDeCoや企業型DCは老後資金に備えるために有効な制度です。税制面でのさまざまな優遇措置がありますので、ぜひ活用しましょう。また、2つの制度を併用することで、それぞれのメリットを生かして、老後に備える資産形成が可能になります。2022年以降は併用に関する制度が変更になり、併用のハードルが下がりますので、これを機に制度の併用を検討してみてはいかがでしょうか。併用のメリットやデメリットについて再度確認してみてください。

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