株式投資で利益を出す仕組みとは?株の買い方や儲け方を解説
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株に投資すると利益を得られることがありますが、その仕組みはどうなっているのでしょうか。そもそも株の利益にはどのようなものがあり、どうやって儲けるのでしょうか。今回は株の基礎知識から利益の出し方まで、その仕組みを紹介します。

株とは企業に資金を出資した証明として発行される証券

Q.そもそも株とは何ですか?
A.株とは、企業が事業資金を出資してもらった証明として発行する証券のことです。企業は株を発行することで事業資金を調達でき、株主は保有株数に応じてリターンを得られます。

株とは企業が事業資金を出資してもらった人に、出資の証明として発行する証券のことです。資金を出資(株を購入)した人は、株主となります。現在は実際に紙の証券が発行されることはなく、電子化されて管理されています。

株には、それを発行する目的や購入する目的があります。企業側と株主側、それぞれについて見てみましょう。

企業にとっての株……資金調達するための手段

企業が事業活動を行うためには、事業資金が必要です。例えば商品を作る、工場を建設する、研究開発をする、従業員を雇うなど、さまざまなことにお金がかかります。その資金は銀行から融資を受けることでも調達できますが、資金を募って株を発行することでも調達が可能です。

株を発行して調達した資金は、銀行で借りた資金とは異なり、返済義務がありません。そのため企業は返済に捉われることなく、比較的自由に資金を運用できます。

その代わり、企業には資金を出資してくれた株主に配慮した経営が求められ、株価を上げる、株主優待を用意するといった利益還元も意識しなければなりません。

株主にとっての株……リターンを得るための手段

株主にとって株は、利益を得るために購入するものです。保有株数に応じて経営に参加できる権利を得られますが、少数株主が関与できる範囲は非常に狭いです。そのため、多くの株主は何らかのリターンを得るために株を購入しているといえます。

「その企業を応援したい」という気持ちで株を購入する人もいますが、何のリターンもなく資金も戻ってこないとなると、何のために株を購入するのかわかりません。応援するだけなら、その企業の商品を買ったりサービスを利用したりするほうが、企業にとってはありがたいでしょう。

つまり株はリターンを期待して購入するものであり、それが株式投資なのです。

株式投資の仕組みとは

Q.株式投資はどこでできますか?
A.株式投資は、証券取引所の窓口である証券会社を通じて行います。

株式投資は上場企業が発行する株を売買したり保有したりすることで、値上がり益や配当金などのリターンを得られる投資手法です。

では、株の売買はどのように行うのでしょうか。

株を売買するところ

「株を購入する」といっても、株を発行する企業から直接購入できるわけではありません。株の売買は証券取引所で行われており、これがいわゆる「株式市場」です。

企業が証券取引所で自社の株式を売買できるようにするためには、経営や財務の状況が一定の基準を満たす必要があります。基準をクリアして証券取引所で売買できるようになることを「上場」といいます。

上場した株は自由に売買できますが、証券会社を通じて行う必要があります。証券取引所で取引するためには金融商品取引業者としての登録が必要であり、証券会社はそれに該当するからです。

個人投資家は窓口になる証券会社で口座を開設し、証券会社に売買注文を出すことで上場株式を取引できます。

日本の4つの証券取引所

日本には4つの証券取引所があり、そこで株の売買が行われます。各証券取引所は上場基準の違いによって、以下のように分類されています。

証券取引所 市場区分 上場企業数
東京証券取引所(東証) 第一部 2,185
第二部 474
マザーズ 424
JASDAQスタンダード 658
JASDAQグロース 36
Tokyo Pro Market 47
名古屋証券取引所(名証) 第一部 182
第二部 81
セントレックス 14
札幌証券取引所(札証) 本則市場 48
アンビシャス 10
福岡証券取引所(福証) 本則市場 90
Q-Board 18

※東証の市場区分は2022年4月に変更されます
日本取引所グループ名証札証福証の公式サイトより作成、2022年1月13日時点

特に活発に株式の売買が行われているのが、東京証券取引所です。東京証券取引所は上場企業数が圧倒的に多く、国内外のさまざまな投資家が株を売買しています。東証一部は国内で最も上場基準が厳しく、その分だけ上場企業の信用力や資金調達のしさすさにつながるため、多くの企業が東証一部への上場を目指しています。

新興市場である東証マザーズは個人投資家に人気の市場ですが、値動きが激しい銘柄が多いため、初心者は東証一部の株から投資を始めるとよいでしょう。

株で利益が出る仕組み

Q.株式投資でどうやって利益を得られるのですか?
A.株の売買で値上がり益を狙ったり、特定の時期に保有していることで配当金や株主優待を受け取ったりすることができます。

株の利益には「値上がり益」「配当金」「株主優待」があります。値上がり益を狙う投資家もいれば、配当金や株主優待を目的とする投資家もいます。どのような利益を狙うかによって、選ぶべき株は変わります。

株で利益が出る仕組み1「値上がり益(キャピタルゲイン)」

株の利益の代表は「値上がり益」です。「キャピタルゲイン」とも呼ばれ、安いときに買い、高いときに売ることで利益を出します。

株価は需要と供給によって変動します。ある企業が魅力的な事業を行っていたり、業績が好調だったりすると、その企業の株をほしいと思う人が増え、株価が上がります。逆に業績が悪化したり、不祥事が起こったりすると、安くても株を手放したい人が増え、株価が下がります。

例えば株価3,000円の株を100株購入した場合、投資金額は30万円です。その後、株価が5,000円に値上がりしたときに売却すれば、20万円の値上がり益を得られます。一方、株価が2,000円に値下がりしたときに売却すれば、10万円の損失です。

株の購入 株の売却 損益
3,000円×100株 5,000円×100株 20万円の利益
2,000円×100株 10万円の損失

値上がり益は株の醍醐味の一つですが、決して簡単に得られるものではありません。特に短期的な株価の動きを読んで投資する方法は難しいとされ、日中本業がある人には適しません。

値上がり益を狙うのであれば、中長期でゆっくり投資するほうがよいでしょう。長い目で投資することで目先の株価変動に惑わされにくくなり、企業の本質的な価値を把握しやすくなります。

株で利益が出る仕組み2「配当金(インカムゲイン)」

特定の日に株を保有していると、配当を受け取れます。

配当金とは
株主に対して、保有株数に応じて分配される金銭のことです。配当金は企業の判断で支払われ、配当金を出す企業と出さない企業があります。

会社が得た利益の一部を株主に還元するお金のこと。

出典:日本証券業協会

配当金は株を購入すれば必ず受け取れるものではなく、企業が定める権利確定日に株主として株主名簿に掲載されている必要があります。権利確定日は決算に合わせて設定されており、日本では本決算と中間決算に合わせて年に1回または2回配当金を支払う企業が多いです。

株主名簿に株主として掲載されるためには、権利確定日の2営業日前である権利付最終日までに株を購入し、取引時間の終了を迎える必要があります。権利付最終日を過ぎると、翌日の権利落ち日に株を売っても配当金を受け取れます。

例えば2022年3月末日が決算日である企業の場合は、3月29日までに株を購入し、保有している必要があります。

権利付最終日 権利落ち日 権利確定日
3月29日(火) 3月30日(水) 3月31日(木)
約定日 - 受渡日

土日や祝日は証券取引所が休みであり、営業日には含まれません。配当金狙いで権利付最終日ぎりぎりに取引する場合は、上記の日程に気をつけましょう。

株で利益が出る仕組み3「株主優待」

株主優待制度のある株を購入し、利益を得る仕組みもあります。

株主優待とは
企業が株主に対し、保有株数に応じて自社の商品やサービス、商品券などを提供する優待制度のことです。

株式会社が、株主に対し、保有株式数に応じて自社の製品やサービスなどを提供すること。会社が任意で導入する制度。

出典:日本証券業協会

株主優待制度がある企業とない企業があり、一般消費者を対象に事業を展開する企業は株主優待制度を導入しているところが多いです。

株主優待を受け取るためには、その企業が定める株主優待の割当日に株主になっている必要があります。配当金の権利確定日と株主優待の割当日は同じであることが多いですが、異なる場合もあるため注意が必要です。

企業によっては株主に株を長期保有してもらうために、半年以上保有する場合に株主優待を提供したり、保有年数によって株主優待の内容をグレードアップさせたりするところもあります。

株主優待は直接的な利益ではありませんが、よく購入する商品やよく利用するサービスがお得になる可能性があるため、気になる会社があればホームページなどで確認してみましょう。

株式投資の3つの魅力

Q.株式投資の魅力は何ですか?
A.利益や配当を期待できるほか、世の中を見る際の視野が広がることや、株主優待で日々の生活がグレードアップすることも株式投資の魅力といえるでしょう。

株式投資には「値上がり益を狙うもの」というイメージがあるかもしれませんが、他にも魅力があります。

株式投資の3つの魅力

  • 値上がり益と配当金で利益を得る
  • 株主優待で生活が楽しくなる
  • 世の中を見る視野が広がる

値上がり益と配当金で利益を得る

株式投資の値上がり益や配当金を得られる仕組みを魅力に感じる人は多いでしょう。

配当金でちょっと贅沢をする

配当金は定期収入であり、高配当株を買い増していけば、受け取れる配当金も少しずつ増えていきます。受け取った配当金は、他の株に投資する資金に回すこともできます。「おいしいものを食べに行く」といった、ちょっとした贅沢に使うのもよいでしょう。

ただし、それなりの金額の配当金を受け取るためには、投資金額を増やす必要があります。

例えば高配当株である伊藤忠商事は、2021年度の1株あたりの配当金予想が最低でも年間110円です。株価は3,507円なので、100株買えば購入金額は約35万円、配当金は1万1,000円です。10万円以上の配当金を受け取るには1,000株購入する必要があり、購入金額は約350万円になります(2022年1月14日時点)。

配当金は魅力ですが、多額の資金を投資できない場合は値上がり益を重視するとよいでしょう。

投資額が数倍になることもある

株は数年単位で投資すれば、数倍になることも珍しくありません。一例として、約10年で株価が大きく上昇した企業を紹介します。

企業 2013年株価 2022年株価 変化率
ニトリホールディングス 3,275円 1万7,370円 約5.3倍
ユニ・チャーム 1,516.7円 5,010円 約3.3倍
ソニーグループ 988円 1万4,755円 約14.9倍

※株価は年初の始値
日本経済新聞の公式サイトより作成、2022年1月14日時点

上記の以外にも、大きく値上がりした株はたくさんあります。経済状況や外部環境の激化などもあるため常に順風満帆ではありませんが、変化に対応し成長を続けられる企業は、株価の上昇を期待できます。

株主優待で生活が楽しくなる

株主優待には値上がり益や配当金とは違った魅力があり、株式投資を行っている人の36.2%が株主優待を目的としています。
出典:日本証券業協会『平成30年度 証券投資に関する全国調査(個人調査)』

株主優待はさまざまな種類があり、商品をもらったりサービスを利用できたりすると得した気分になるでしょう。株主優待の一例を紹介します。

企業 株主優待 内容 割当日
イオン 株主優待カード
(オーナーズカード)
持株数に応じて、買い物合計金額の3.0%・4.0%・5.0%・7.0%をキャッシュバック 2月末
8月末
オリックス ふるさと優待 全国の取引先の商品をカタログギフトから1点選べる 3月末
オリエンタルランド 東京ディズニーリゾートの1デーパスポート 東京ディズニーランドまたは東京ディズニーシーの1デーパスポート 3月末
9月末

イオンオリックスオリエンタルランドの公式サイトより作成、2022年1月14日時点

上記以外にも多種多様な株主優待があり、株式投資は単に利益を得るだけではない楽しみ方もできます。各企業の株主優待をランキング化しているサイトもあるため、お気に入りの株主優待を探してみるのもよいでしょう。

世の中を見る視野が広がる

株式投資の魅力は資産が増えたり、株主優待をもらえたりすることだけではありません。世の中を見る視野が広がることも、株式投資の魅力です。

株式投資を行っていると上場企業に目が向くようになり、世間で流行っている商品やサービスを提供している企業が上場しているかどうか気になるようになります。

街を歩くだけでも、多くの上場企業を目にします。回転寿司のスシローや航空会社のANA、スーパーのライフ、ジムのエニタイムフィットネスなど、少し意識するだけで多くの上場企業を見つけられるはずです。

普段は消費者の立場ですが、投資の視点を持つと世の中の見え方が変わり、商品・サービスの流行や人気、価格、店舗の増減など身の回りの変化に目が向くようになります。同じものを見ても捉え方が変わるのです。

株式投資は何らかの利益を得るために行うものですが、それは金銭に換算できるものだけではありません。新しい視点で世の中を見られるようになることも、株式投資の大きな魅力といえるでしょう。

株式投資の3つの注意点

Q.株式投資をする上で気をつけることはありますか?
A.株式投資にはリスクがあります。値動きがあるため損をする可能性があるだけでなく、投資した企業が上場廃止になるリスクもあります。株式投資を行う場合は、リスクと上手く付き合う必要があるのです。

株式投資を行っても利益が出るとは限らず、損をすることもあるため、リスクがあることを認識して過度なリスクを取らないように心がけましょう。どのようなリスクがあるのかを知り、それをコントロールしながら投資すれば、それほど恐れる必要はありません。

株式投資の3つの注意点

  • 株価が下落するリスクがある
  • 投資企業が倒産するリスクがある
  • 取引が成立しなかったり、希望価格で売買できなかったりするリスクがある

株価が下落するリスクがある

株式投資における代表的なリスクは、株価が下落するリスクです。株式投資を行う以上、このリスクは避けられません。

株価下落リスクには個別要因と外部要因がある

株価が下がる要因はさまざまですが、大きく分けると企業個別の要因と外部環境の変化といった外部要因に分けられます。個別要因と外部要因の例は、以下のとおりです。

個別要因 外部要因
株価下落リスクの要因 業績不振
企業の不祥事
商品のリコール
景気後退
市場のクラッシュ
金融政策の変化

リスクは事前に察知することで回避することができますが、普段から株式市場の動向をよく観察していないと難しいでしょう。特に初心者は、リスクと上手く付き合いながら投資する方法を知ることが大切です。

株価下落リスクの対処法

株価下落を事前に察知して回避できるのが理想ですが、そううまくはいきません。そこで、株価下落リスクと上手く付き合って投資する方法を2つ紹介します。

株価下落リスクの対処法

  • 複数の株に分散投資する
  • 投資タイミングを分散する

株価下落リスクを抑えるには、分散投資が有効です。分散には「複数の株への分散」と「投資タイミングの分散」があります。

「複数の株への分散」は、集中投資を避けて1社が下落しても他の株でカバーする方法です。すべての株価が下がる場合もありますが、「景気敏感株とディフェンシブ株」「金融株とIT企業」など種類や業種を分散しておくと、株価の動きが異なるためリスクの分散につながります。

景気敏感株とは
景気の浮き沈みが業績に直結する企業の株です。銀行や鉄鋼、機械株などが当てはまります。

景気動向によって、業績が大きく変動する銘柄のこと。「景気循環株」と呼ぶ場合もあります。鉄鋼、化学、紙パルプなどの素材産業や工作機械などの設備投資関連などの銘柄が該当します。

出典:三井住友DSアセットマネジメント

ディフェンシブ株とは
業績が景気にあまり左右されない企業の株です。食品や鉄道、通信株などが当てはまります。

景気動向に業績が左右されにくい銘柄のこと。生活必需品である食品や医薬品、社会インフラである電力・ガス、鉄道、通信などの企業が代表的です。

出典:三井住友DSアセットマネジメント

「投資タイミングの分散」は、一度に資金を投じるのではなく複数回に分けて投資したり、積立投資を行ったりする方法です。一括投資はそのタイミングが高値だった場合、下落したときの損失が大きくなります。それを避けるためには、タイミングを分けて買付単価の平準化を図りましょう。証券会社によっては、個別株の積立投資ができるところもあります。

投資先が倒産するリスクがある

滅多にないことですが、投資した企業が倒産するリスクもあります。

実際に倒産した上場企業

企業が倒産した場合、基本的に投資資金は戻ってきません。上場企業の倒産件数は、2021年は0件でしたが2020年は以下の2件でした。

2020年に倒産した上場企業
企業名 レナウン Nuts
業種 アパレル アミューズメント
上場市場 東証一部 JASDAQ

帝国データバンクの公式サイトより作成

倒産リスクが高い企業はあらかじめわかっているケースが多いため、倒産予備軍の企業を避けて投資しましょう。

倒産リスクの高い株を避ける方法

倒産リスクの高い企業は事前にわかります。上場企業は事業の継続に問題が生じた場合、財務諸表などにそのことを記載しなければならないからです。具体的には以下のように記載されます。

・継続企業の前提に関する重要事象等(「重要事象」とも表される)
・継続企業の前提に関する注記(「疑義注記」とも表される)

より深刻なのは疑義注記です。重要事象のある企業は財務上の問題は抱えているものの、具体的な改善計画を実施している企業です。一方で、疑義注記のある企業は長期にわたり事業継続が難しい可能性がある企業です。

重要事象や疑義注記が外れれば株価が上昇する可能性がありますが、非常にリスクの高い取引であるためおすすめできません。このような企業は証券会社でも注意喚起がなされているため、基本的に倒産リスクの高い企業への投資は避けられます。

取引が成立しなかったり、希望価格で売買できなかったりするリスクがある

上場企業の株は原則として自由に売買できますが、それは取引する相手がいた場合に限られます。

流動性リスクが高い株は不利な取引になることがある

株を売買したいと思っていても、取引する相手がいなければ売買が成立しません。売買が成立した場合でも、不利な株価で約定してしまうことがあります。それを「流動性リスク」と呼び、売買したくしてもできない状況を指します。

流動性とは
売買のしやすさのことです。買いたいときにすぐ買え、売りたいときにすぐ売れる株は「流動性が高い」といえます。

流動性とは、株式などにおいて市場に出回る数の多さを表すものとなり、多くの数が出ていれば流動性は高いと表現される事になります。

出典:東海東京証券

流動性リスクが高まる主な原因は、以下のとおりです。

流動性リスクが高まる原因

  • そもそも人気がなく取引量が少ない
  • 上場廃止が決まり、売りたい人が急増する
  • 市場環境に問題が発生し、売り圧力が強まる

流動性リスクが高い株を売買すると不利な価格での取引になりやすいため、そのような株は避けて投資したほうがよいでしょう。

株の流動性リスクを避ける方法

流動性は取引参加者が多くなるほど高まるため、流動性リスクを回避するためには東証一部の銘柄を投資対象にすることです。

東証一部は取引参加者が最も多く、国内だけでなく外国人投資家も積極的に売買を行っています。世界的に有名な企業や知名度が高い企業が多いため、通常は流動性が低くなることはありません。一方で、東証一部以外の市場は取引量が少ないため、注意が必要です。

例えば東証一部の2021年の売買金額は、東証二部の約90倍、マザーズの約18倍、JASDAQの約48倍です。流動性リスクを避けるためには、各市場の取引量の違いを認識しておくことも大切です。

出典:日本取引所グループ

ただし東証一部の株であっても、企業の個別要因や市場環境の悪化などによって流動性リスクが高まることがあります。企業の個別要因の場合は損切りが必要になることもありますが、市場環境の悪化による場合は、状況が落ち着くのを待ってから判断したほうがよいケースもあります。

株式投資はいくらから始められる?証券会社によってはわずか数百円から

Q.株式投資は最低いくらから始められますか?
A.通常、株式投資は最低でも数万円かかりますが、証券会社によっては数百円から投資できるところもあります。

株式投資には、少額から投資できる仕組みがあります。株価は企業によって大きく異なりますが、1単元(100株)で数十万円、数百万円が必要になる株が多いため、少額投資なら手を出しやすくなるでしょう。

株式投資の取引単位……100株単位

株式投資の取引は100株単位と決められており、100株を1単元としています。株価が3,000円なら、100株(1単元)で30万円の資金が必要になるということです。

株価は企業によって異なり、株価が数百円であれば最低投資金額は数万円、株価が数千円であれば数十万円、株価が数万円であれば数百万円になります。一例として、実際の株価と最低投資金額を紹介します。

企業 株価 最低投資金額
日産自動車 635.9円 6万3,590円
三菱UFJフィナンシャルG 721.7円 7万2,170円
楽天グループ 1,084円 10万8,400円
武田薬品工業 3,371円 33万7,100円
富士通 1万8,670円 186万7,000円
任天堂 5万2,560円 525万6,000円

フィスコのスクリーナーより作成、2022年1月17日時点

最低投資金額が数万円から数十万円の株は購入しやすいですが、数百万円となると手を出しづらくなります。最低投資金額が高いと1つの株に資金が集中しやすくなるため、分散投資もやりにくくなります。

そのような場合は、単元未満株で投資することを検討しましょう。

単元未満株なら少額から投資できる

単元未満株とは?
1株や10株など1単元未満の株のこと。

単元未満株であれば、株価が高い企業でも手を出しやすくなります。先ほど紹介した株も、1株で購入するなら投資金額は100分の1で済みます。

例えば富士通の最低投資金額は1万8,670円、任天堂は5万2,560円になります。もともと株価が安い日産自動車や三菱UFJなら、数百円から投資が可能です(2022年1月17日時点)。

単元未満株を活用することで、購入できる株の範囲が大きく広がります。魅力的な企業はたくさんありますが、株価が高く1単元で購入しづらい場合は単元未満株での投資も検討しましょう。

単元未満株で少額投資することのメリットとデメリット

Q.単元未満株のメリットとデメリットは何ですか?
A.単元未満株には投資しやすくなるというメリットがありますが、売買タイミングがズレたり、株主優待がもらえなかったりするというデメリットもあります。

単元未満株は少額投資ができる便利な仕組みですが、デメリットもあります。メリットだけでなくデメリットにも目を向けて、単元未満株を活用しましょう。

単元未満株の2つのメリット

ここでは、単元未満株のメリットを紹介します。

単元未満株の2つのメリット

  • 株価が高い銘柄も買えるようになる
  • 銘柄と時間の分散投資ができる

株価が高い銘柄も買えるようになる

単元未満株に投資すれば、株価が高い銘柄も買えるようになります。

中には株価が数万円する銘柄もあり、単元株で投資するためには数百万円の資金が必要です。

例えば、ユニクロを展開するファーストリテイリングの株価は6万6,750円です(2022年1月19日時点)。ファーストリテイリングの株を100株買うには667万5,000円の資金が必要ですが、単元未満株なら6万6,750円で済みます。

単元未満株は金額的なハードルを下げてくれるため、株価が高い銘柄への投資も検討できるようになります。

銘柄と時間の分散投資ができる

単元未満株は少額投資ができるため、銘柄や時間を分散した投資もやりやすくなります。

株は最低購入金額が高いものもあるため、購入したい銘柄の株価が高ければ、予算に収まらないこともあります。しかし単元未満株なら少額投資ができるため、銘柄の分散が容易になります。

仮に30万円程度の資金で、株価が6万6,750円のファーストリテイリングと5万2,560円の任天堂を買うとします。単元未満株でファーストリテイリングを3株、任天堂を2株買えば約30万円となり、予算に収まります。

また、最終的に1単元を買いたい場合でも、例えば10株ずつ積立のように買うことで、株価変動の影響を抑えられます。

単元未満株は株の分散投資に有効といえるでしょう。

単元未満株の3つのデメリット

単元未満株のデメリットも認識し、賢く活用しましょう。

単元未満株の3つのデメリット

  • リアルタイムで売買できない
  • 単元株と比べて手数料が割高になる
  • 株主優待を受けられない

リアルタイムで売買できない

単元未満株は株式市場が開いている時間帯でも、リアルタイムで売買できません。証券会社によって異なりますが、約定するタイミングは1日1回から3回程度です。発注方法も成行しか選べないため、希望する株価と約定価格が乖離してしまうことがあります。

成行注文とは
株価を指定せず発注することで、指値注文に優先して約定される注文方法です。約定を優先させたいときに使われます。ちなみに、株価を指定して発注する方法は「指値注文」です。

売買の値段を指定せず、売買の成立を優先させる注文方法。

出典:日本証券業協会

なるべく狙った株価で売買するためには、約定タイミングの多い証券会社を選ぶとよいでしょう。

単元株と比べて手数料が割高になる

単元未満株の売買手数料は、単元株と比べて割高に設定されていることが多いです。

例えばSBI証券では売買代金が10万円の場合、単元株なら手数料は99円ですが、単元未満株は550円です(SBI証券の単元未満株は買付無料です)。
出典:SBI証券

手数料が少し割高になるというデメリットがあるため、不必要に単元未満株で買わないようにしましょう。

株主優待を受けられない

単元未満株は、株主優待をもらえないケースがほとんどです。

株主優待を導入している企業の多くは、100株以上を保有する株主を優待の対象としています。単元未満株では株主優待を受けられないため、注意しましょう。

ただし、中には1株以上保有していれば優待の対象になる企業もあります。以下はその一例です。

企業 対象株主 株主優待 割当日
日本電産 1株以上 「日本電産サンキョーオルゴール記念館すわのね」の無料入館リーフレット 3月末
パソナグループ 1株以上 パソナグループ淡路島飲食施設30%オフクーポン 5月末
三菱マテリアル 1株以上 貴金属製品の優待価格販売 3月末
9月末

日本電産パソナグループ三菱マテリアルの公式サイトより作成、2022年1月19日時点

株式投資の始め方

Q.株式投資はどうやって始めればよいですか?
A.まず、証券会社で口座を開設する必要があります。その後証券口座に入金すると、実際に株を購入することができます。

株式投資を始める際の流れは、以下のとおりです。

株式投資を始める流れ
①証券会社で口座を開設する
②証券口座に入金する
③投資する株を選ぶ
④株を購入する
⑤株を売却または継続保有する

①証券会社で口座を開設する

株の取引を行うためには、証券会社の口座を開設する必要があります。

銀行で株式投資ができるケースもありますが、その場合は銀行の仲介で提携している証券会社の口座を開設することになります。その場合は取扱商品などが制限されることがあるため、直接証券会社で口座を開設することをおすすめします。

証券会社を選ぶ際のポイントは以下のとおりです。

証券会社を選ぶポイント

  • 売買手数料が安い
  • 単元未満株など取引商品の種類が豊富
  • 使いやすい

株式投資では売買するたびに手数料がかかるため、手数料が高いとその分利益が減ってしまいます。売買手数料は安いほうが、有利に投資できます。

また、株価が高い銘柄は購入金額が大きくなるため、単元未満株を取り扱っている証券会社を選択肢に入れるとよいでしょう。証券口座開設は無料なので、複数開設して使いやすさを確認するのもおすすめです。

②証券口座に入金する

証券口座を開設したら、株を購入するための資金を入金しましょう。証券口座への入金方法は主に3つあります。

証券口座への入金方法

  1. 系列銀行からの自動入金(スイープ)
  2. 提携銀行からの即時入金
  3. ATMや窓口から銀行振込

証券口座への入金で最も便利なのは、⑴系列銀行から自動で入金(スイープ)する方法です。スイープ入金は自分で入金手続きを行う必要がなく、系列銀行口座にお金を入れておけば、株を購入したときに自動で資金が振り替えられます。手間がかからず便利ですが、どの証券会社でも利用できるわけではなく、ネット証券などに限られます。

一方、⑵と⑶はほとんどの証券会社が対応しています。

即時入金は提携銀行でネットバンキングを開設している場合、証券会社のウェブ上の手続きだけで入金がすぐに反映されます。手数料も証券会社が負担するのが一般的です。

ATMや窓口から振り込むこともできますが、手数料がかかることがあるため注意しましょう。証券口座への反映も、他の方法と比べて時間がかかります。

③投資する株を選ぶ

証券口座に資金を入金するといよいよ株を購入できますが、投資する株はしっかり選びましょう。選ぶべき銘柄は、投資の目的によって変わります。ここでは、初心者向けに値上がり益目的、配当金目的、株主優待目的で株を選ぶ際のポイントを紹介します。

値上がり益目的の株の選び方

値上がり益目的で株を選ぶ場合は、最低でも以下の2点を確認しましょう。

値上がり益目的の株の選び方

  • 売上拡大が続きそうか
  • 競合他社に負けない強みがあるか

売上は企業の商品・サービスがどれだけ売れたかを示すもので、利益の源泉でもあるため非常に重要な指標といえます。しかし、一時的に売上が上がっただけでは成長が持続しないため、売上拡大の継続がポイントになります。

長期的に成長する企業は売上を継続的に伸ばしており、それに伴って株価も上昇していくケースが多いです。前述のニトリやユニ・チャーム、ソニーグループは売上拡大を続けている企業です(2022年1月18日時点)。

継続して売上を伸ばすには、競合他社に負けない独自の強みが必要です。

例えばニトリは、商品企画や原材料調達、製造、物流まですべて自社グループで完結することで、高い品質を保ちながらリーズナブルな価格で商品を販売しています。全行程を自社でコントロールしているため、消費者のニーズをすぐに反映でき、変化に対応するスピードが速いことも強みといえます。

もちろん財務面など他の要素も確認する必要がありますが、独自の強みを武器に売上拡大を継続できる企業は、株式市場でも高く評価され続ける可能性が高いといえます。

配当金目的の株の選び方

配当金目的の株の選び方

  • 業績が景気に左右されにくい銘柄を選ぶ

配当金目的で株を選ぶ場合、配当利回りが高い株に目をつけるのはもちろんですが、業績が景気に左右されにくい銘柄を選ぶことも大切です。

配当金は利益を株主に還元するものですが、毎年決まった配当金が出るわけではありません。業績によっては配当金を減らしたり、無配当にしたりすることもあります。その可能性が高いのは、景気敏感株です。

景気敏感株は景気の良し悪しが業績に直結するため、利益が不安定になりやすいといえます。業績が下振れすると、株価だけでなく配当金にも影響が及ぶため、配当金を目的とした長期保有には向きません。

配当金狙いで株を買うなら、業績が景気に左右されにくい業種から選ぶようにしましょう。例えば、以下のような業種が考えられます。

業績が景気に左右されにくい業種

  • 携帯キャリアなどの通信
  • 鉄道などの社会インフラ
  • 食品などの生活必需品

「業績が景気に左右されにくい」といっても常に安定しているわけではありませんが、景気敏感株のような波はありません。配当金狙いで投資するなら、業績にブレが少なく長期的に安定した配当金を得られる株を購入しましょう。

株主優待目的の株の選び方

株主優待目的の株の選び方

  • 身近な企業で検索する

株主優待が目的の場合は、まず企業の絞り込みが必要です。絞り込みには株主優待のスクリーニングができるサイトを利用する方法がありますが、上場企業のうち約1,500社が株主優待を実施しており、その内容も多岐にわたるため、うまく絞り込めないこともあります。

その場合は、よく買い物をしたりサービスを利用したりする上場企業が株主優待を実施しているかどうか調べてみましょう。「企業名 株主優待」で検索すれば、たいていは検索結果のトップに表示されます。

身近な企業について調べるのは、消費者向けに事業を行っている企業は株主優待を実施しているところが多く、受け取った優待が日常生活の中で役に立つことが多いからです。

身の回りの上場企業は意外と多く、スーパーで手に取る食品のメーカーやいつも通っているジム、友達と食事を楽しむファミレス、よく利用する鉄道・バスなど、少し気にかけるだけでかなりの数が見つかります。身近な企業の株主優待なら使う場面が多いため、有効に活用できるでしょう。

ただし、株主優待の多くは100株以上保有する株主を対象にしています。基本的に単元未満株では株主優待は受けられないので、注意しましょう。

④株を購入する

投資したい株が決まったら、実際に株を購入しましょう。注文は、一般的に成行注文または指値注文を選んで発注します。

指値注文とは 売買する株価を指定して発注する方法です。買い注文の場合は、株価が指値以下になれば成立します。

株式の取引において、売買の値段を指定して注文する方法。

出典:日本証券業協会

株価を指定せず発注する方法は、成行注文です。 成行には発注後すぐに約定するというメリットがありますが、価格を指定しないため思わぬ株価で成立することもあります。一方、指値は注文が約定しない可能性があるものの、希望する株価で売買できるというメリットがあります。

成行注文と指値注文の使い分けは状況にもよりますが、「買い場は多く、売り場は少ない」といわれているため、買いは指値注文でじっくり待ち、売りは成行注文で利益があるうちに実現させるという考え方もあります。

⑤株を売却または継続保有する

株を購入したら、売却または継続保有を選択することになります。売却する場合は、あらかじめ以下のような目安を決めておくとタイミングを判断しやすいです。

株の売却タイミング

  • ◯円まで上がったら(下がったら)売却する
  • 配当金や株主優待の権利確定日を過ぎたら売却する
  • 企業業績に陰りが見えたら売却する

もちろん売却せず、継続保有するという選択もあります。毎年配当金を増額する企業や、長期保有で株主優待の内容を優遇する企業もあります。長期間保有する間に企業の利益が積み上がり、リターンが安定することも期待できます。長期投資には「短期的な株価変動を気にする必要がない」というメリットもあるので、投資にあまり時間をかけられない人にも向いています。

初心者の株式投資におすすめの証券会社

Q.株式投資を始めたいのですが、おすすめの証券会社はありますか?
A.ネット証券は手数料が安いのでおすすめですが、単元未満株も取引できる証券会社なら投資対象の幅も広がります。

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10万円 50万円 100万円 単元未満株
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0.3%
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株式投資で利益を出す仕組みとは?株の買い方や儲け方を解説
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SBI証券には、1日の約定代金が100万円以下の場合に手数料が無料になる「アクティブプラン」があります。数万円から数十万円までの資金で投資を検討している人には、うれしい手数料体系です。

単元未満株は買付手数料が無料なので、気軽に投資を始められるでしょう。

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単元未満株は銘柄によって手数料率が異なりますが、他の2社より安く取引できることもあります。

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マネックス証券は単元株の手数料が他社より若干高いものの、対面型の大手証券会社と比べると安いです。

単元未満株の手数料率はSBI証券と同じですが、最低手数料はマネックス証券のほうが安いため、主に単元未満株を取引する場合は検討しましょう。

株式投資でよくあるQ&A

Q.株式投資はいくらから始められますか?

A.100株単位の単元株なら数万円から始められますが、買いたい株をその金額で買えるとは限りません。投資したい株の株価が数千円や数万円といったケースもあるでしょう。1銘柄だけ買うなら高くても問題ないかもしれませんが、複数の株に投資する場合は多くの資金が必要になります。

その場合は、100株未満で買える単元未満株に投資しましょう。単元未満株は1株や10株など少ない株数で投資できるため、少額から投資を始めたい人に向いています。ただし、単元未満株の売買ができない証券会社もあるので気をつけましょう。

Q.株価チャートは確認すべきですか?

A.長期的視点で投資する場合、株価チャートはあまり気にする必要はありません。企業の価値はチャートで判断されるものではないため、業績や事業内容、財務状況を分析するほうが重要です。

しかし、チャートが売買の判断材料になることも少なくないため、チャートの基本は押さえておくことをおすすめします。

例えば一定期間の株価を平均化した「移動平均線」はその株のトレンドの確認などに使われ、日足チャートでは一般的に過去5日間、25日間、75日間の移動平均線が表示されます。期間が長くなるほど長期のトレンドを反映するため、中長期投資では25日や75日の移動平均線を分析するとよいでしょう。

日足チャートとは
株価の動きを1日単位で表したチャートのことです。日足チャートでは毎日の株価をもとにした移動平均線が表示されます。

Q.昼間に仕事があっても株の取引はできますか?

A.株の取引は、昼間仕事がある人でも可能です。

株を売買できる時間は9時から15時まで(11時30分から12時30分は休場)ですが、注文は24時間出せます。そのため夜に株価をチェックし、注文を出しておくことも可能です。リアルタイムで売買したい場合は、PTSを利用すると夜間などに取引できます。

PTSとは
証券会社内で株を売買できるシステムです。証券取引所を通さずに売買が行われるため、「私設取引システム」と呼ばれます。

PTSは証券取引所が開いていない時間でも売買ができるため便利ですが、通常よりも取引量がかなり少ない点や売買できる株が限定される点に注意が必要です。

Q.株取引にはどのようなコストがかかりますか?

A.株の取引コストは、株を売買したときの約定代金に応じてかかります。株を買って売却すれば、買付と売却の約定代金それぞれに対して手数料が発生します。

株の売買手数料は「約定代金が50万円から100万円の間は◯円(◯%)」といったものや、「1日の約定代金が100万円までは一律◯円」といったものがあります。

複数のプランを用意している証券会社もあるため、投資する金額や頻度などに合わせて選択しましょう。

Q.株取引の税金にはどのようなものがありますか?

A.株の税金は、1月1日から12月31日までに受け取った売却益と配当金に対してかかります。税率は20.315%で、利益部分が課税対象になります。

例えば、ある株を売却して30万円の利益が出た場合、税金は6万945円です。

売却益については原則確定申告が必要ですが、証券会社で「源泉徴収ありの特定口座」を選択している場合は、損益・税額の計算や納税を証券会社が代行してくれます。

特定口座とは
株式等の損益を証券会社が本人に代わって計算することで、確定申告手続きの負担を軽減できる制度です。「源泉徴収ありの特定口座」を選択すれば、納税も証券会社が行ってくれます。

一方、配当金の税金は原則的に源泉徴収が行われるため、確定申告は不要です。ただし確定申告を行う場合は、総合課税または申告分離課税を選択できます。

株式投資の仕組みを理解し、楽しんで投資しよう

株式投資には「難しい」というイメージがありますが、仕組みを理解していけば、投資を楽しめるようになるはずです。

株式投資の利益は、値上がり益だけではありません。配当金や株主優待も利益であり、これらには値上がり益とは違った魅力があります。投資先が普段からよく利用する企業であれば、応援したいという気持ちも相まって、見え方も変わってくるでしょう。

株式投資は簡単ではありませんが少額からでも始められるため、仕組みを理解しながら少しずつ慣れていくとよいでしょう。

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