ニホンザルが「魚を食べていた」ことが証明され大きな話題になっています。考えてみると「魚を専門に食べる陸上哺乳類」というのは意外と少ないのかもしれません。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
ニホンザルが魚を食べていた
長野県松本市にある高原観光地・上高地。標高は1500mあり、冬は厳しい寒さとなるこの地で、野生のサルが魚を食べているシーンが撮影され、話題になっています。
上高地に生息するサルは、世界で最も北に生息するサルとして知られるニホンザル。寒く餌の少ない冬を生き延びるため、一般的にサル類が食用とすることのない「魚」を食べている可能性が、信州大学などの研究によってかねてから示唆されていました。

(画像=ニホンザル(提供:PhotoAC)、『TSURINEWS』より 引用)
今回公開された写真では、その説をまさに裏付けるように、上高地の渓流に生息するイワナ類の魚を食べているシーンが確認されました。サルが魚を食べている生態を科学的に立証したこと、ならびに実際にその様子を撮影した写真が科学誌で発表されるのは、いずれも世界で初めてのことです。
「魚が主食」の哺乳類
陸上性の哺乳類で、魚を主食とするものは実は多くありません。
「魚が好き」というイメージの強いネコ科動物でも、明確に魚を主体に食べているとされるのはアジア東南部に生息するスナドリネコくらいです。彼らは水かきが発達しており泳ぎが得意で、魚を捕まえて食べるので「漁り猫」と呼ばれます。

(画像=スナドリネコ(提供:PhotoAC)、『TSURINEWS』より 引用)
この他には他にはカワウソやビーバーなどが知られていますが、陸上哺乳類全体から見ればごく限られたものです。なお、日本のヒグマは基本は陸上性の小動物を食べていますが、秋から冬にかけては川に遡上するサケを主食とする個体群もおり、広い目で見ればこれも魚食動物と言えるかもしれません。