疎まれない中年になるための2つの方法

筆者が思うに、疎まれない中年にならないためには「勉強をやめない」「市場からフィードバックを得る」という2つがその処方箋になると思っている。

1つ目の勉強を止めない、というのは常に新しき技術や知識をインプットし続けるということだ。中高年のビジネスマンと国際経済の話題になると未だに「日本はモノづくり大国で頑張るべき」とか「中国や韓国は日本より遥かに格下の国家」といった、まるで現代が1990年始めかと思うような時代錯誤なことを、堂々と言うビジネスマンがいる。過去30年間、日本国内は大きな成長はなかったが、海の向こう側は大きく変化した。たとえば中国のGDPについていえば、過去30年間で37倍になるという大きな変化が起きている(同国が発表するGDP統計値の信頼性については別の議論が必要だが)。

だが、勉強を続けてアップトゥデイトな知識や技術を得ることができている限りにおいては、若い世代に自慢話ではなく、現代に合う有益なアドバイスをする力を持ち続ける事ができるだろう。ただし、アドバイスは相手から求められない限り、こちらから積極的にすべきではない。

もう1つの市場からのフィードバックを得るという点についてだ。これは言うは易く行うは難しで、多くの中高年が得ることが出来ていない。客観性を持って自分の振る舞いを冷静に評価する、というのはとても難しいことだ。それ故にフィードバックを外部から得る仕組みを持つことが肝要なのである。

中高年以降に、仕事で役職がつけば、年下の部下は飲み会の場で笑顔で話を聞いてくれるだろう。しかし、その胸中は「つまらない」「早く終わらないかな」と思われていることは往々にしてある。その理由は自分のする話の中身に有益性がなかったり、話し方が自慢話のようになっているからだ。こうした自分では気づきにくい痛い行為を、第三者から教えてもらうのが良いだろう。

市場からのフィードバックの例としては、自分の意見をマーケットに発信することだ。筆者はビジネス記事を書いたり、YouTube動画で英語を教える立場を取っている。意見を出しっぱなしではなく、発信した内容に対する市場の反応は気にするようにしている。ポジティブな反応や「参考になりました!」という感想を送ってもらえたり、アクセス数が大きかった場合は嬉しくなると同時に、自分の方向性の正しさを再確認することになる。だがその逆に、反応が悪かった場合は「自分は何かしら過ちを犯している。次善につなげるには分析をして改善につなげねば」と猛省するようにしている。

ビジネスマンの価値は自分ではなく、常に市場から評価されるものである。市場から支持が得られなければ、すなわちそれは自分がマーケットニーズからズレている証拠となる。その場合は、間違いを素直に認め、改善に努めることが肝要だ。市場からのフィードバックを取り入れるようにすることで、疎まれる人物になるのを回避できるだろう。

最後に…色々と論考したがもっとシンプルに言えば「相手へのリスペクト」さえ忘れなければ、どれだけ歳を重ねても疎まれる人物になどならないと思っている。年下の相手でも「相手は貴重な時間を割いてくれてありがたい。せっかくなら相手に喜んでもらえる場にしたい」という気持ちを忘れなければ、自慢話や昔話などはどう間違ってもならないはずなのだ。

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文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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