日本人には耳慣れないカクテル名「クバ・リブレ」は、ラムとコーラ、ライムで作られるロングスタイルの酒である。「キューバ・リバー」「ラム・アンド・コーク」と言われればわかるだろう。「自由なるキューバ」という意味のクバ・リブレ。その誕生は、独立と革命がもたらしたものだった。

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「ビバ・クバ・リブレ!」(自由なるキューバ万歳!)

1898年、キューバの街中はそんな解放の合言葉で沸き上がっていた。その時に人々が杯を酌み交わした酒こそが、コーラとラムを合わせたクバ・リブレだ。コーラという当時の新しい飲み物が、キューバの新しい時代と開放感に満ちた雰囲気に相乗。キューバとアメリカ、両国の連帯感を高める酒でもあった。
 

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(画像=男の隠れ家デジタルより引用)

キューバはコロンブスに「発見」された後、約400年にわたってスペインに植民地支配されていた。先住民族は滅亡し、アフリカから黒人奴隷たちが労働力として連れてこられた。そして、世界各地で植民地からの独立戦争が起こり始めるなか、19世紀後半に砂糖生産で力をつけた農園主層を中心にキューバの独立戦争が始まる。

アメリカの参戦を得た米西戦争を経て、キューバはスペインから解放されることになったのだ。アメリカ軍はキューバに上陸し、人々はそれを迎え入れた。その頃アメリカ本国では、ある薬剤師が生んだ健康飲料、コーラが広まりだす。アメリカ産のコーラと、キューバ特産のラムが合体して生まれたカクテルがクバ・リブレなのである。
 

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ハバナの革命広場脇、内務省のビルに描かれたチェ・ゲバラの肖像。(画像=男の隠れ家デジタルより引用)

ところが独立後、スペインに替わりキューバはアメリカの強い影響下に置かれることになってしまう。外国との条約締結権を制限したり、アメリカの干渉権や海軍基地の租借権を認めたりといった憲法が施行されることとなる。

政権を打倒すべく、フィデル・カストロが立ち上がる。彼に共鳴したアルゼンチン人、チェ・ゲバラらと共に革命を起こし、紆余曲折を経て、指導者の座を奪取したのだった。両国が対立することで、誕生時はコカ・コーラで割っていたクバ・リブレも、キューバ産が用いられるようになった。

英語圏では「キューバ・リバー」と呼ばれる“クバ・リブレ”

政治的メッセージの濃い生い立ちのもと、キューバのハバナで誕生したクバ・リブレ。これはスペイン語での読み方で、日本では「キューバ・リバー」や「ラム・アンド・コーク」の名が一般的である。
 

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ぜひともキューバラムで味わいたい。(画像=男の隠れ家デジタルより引用)

氷を入れたグラスにラムを注ぎ、ライムを搾り入れる。コーラを注いで軽くステアすると完成だ。バーはもちろん、自宅でも手軽に愛飲できるロングスタイルのカクテル。歴史に翻弄された国・キューバの青い海を思い浮かべながら、1杯やるのも悪くない。

取材協力/海老沢忍(SCREW DRIVER) 文/沼由美子 写真/古末拓也

男の隠れ家デジタル編集部
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我々は、あらゆるテーマから、徹底的に「隠れ家」というストーリーを求めていきます。

提供元・男の隠れ家デジタル

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