ルイ・ヴィトンのモノグラムがあしらわれたTシャツ(定価6万8,040円)は、オークションで16万円に高騰。ボストンバッグは定価43万円のところ、98万円で落札された……。勃興しては消えていくストリートブランドが星の数ほどある中、ニューヨーク発の「Supreme」(シュプリーム)は、なぜこれほどまでの勢いを保ち続けているのだろうか。
加速するシュプリームの成長と人気
LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)とタッグを組んで作られたバッグやウエアが、瞬く間に完売して話題を呼んだのは2017年。シュプリームはこれまでにCOMME des GARCONS(コム・デ・ギャルソン)やTHE NORTH FACE(ザ・ノースフェイス)、NIKE(ナイキ)などとのコラボレーションアイテムを発表しており、特にNIKEとの限定コラボシューズの発売に際しては、前日から店舗前に大行列ができたほど。
限定コラボ商品の多くは、発売から数年を経た今でも高額で取引されている。それだけに争奪戦は激しく、2017年には渋谷店でできた行列でちょっとした争いも起きてニュースになった。そのほか代官山や原宿の店舗でも、多くのファンや転売目的とみられる人たちが行列をつくった。
オンラインでも販売されているが、いずれのアイテムもその数は少なく、価格高騰に拍車をかけている。そのため偽物も多く出回ってしまっている。
ハイブランドとコラボしても、あくまでストリートブランド
長きにわたって支持され続けているシュプリーム。ファンの年代も若者からミドルエイジまでと幅広く、その志向もストリートからラグジュアリーまでさまざまだ。なぜここまでいろいろな年代、志向の人たちに好まれるのか。その理由はブランド創立当初からの徹底したブランディングにある。
ニューヨーク、ロウアー・マンハッタンのラファイエットストリートの小さなセレクトショップから始まったシュプリームは、事業規模は拡大しても、あくまでストリートに根差しているという芯がブレることはない。若いスケーターを常にサポートし、ボックスロゴのアイテムが人気だからと言って大量生産はしない。生産数を調整し、世界の限られた店舗(現在は11店)のみで展開している。
世界中の誰もが知るビッグブランドになってもおごることなく、世間のトレンドに迎合することなく、“オルタナティブ”である姿勢を貫いている。だからこそファンの熱狂はやまないのだろう。
順調に成長してきたブランドにも、逆風が吹いたこともある。2017年7月、株式の半分を5億ドルで投資ファンドのカーライルグループに売却したところ、世間からはブランド価値が下がることを懸念する声が高まったのだ。
創業者のジェームス・ジェビア氏は株式売却の理由を「ブランドの成長を持続的なものにするため」と語っているが、この売却の後もブランド価値が下がることなく成長を続けているのはご存じのとおりだ。
高騰し続けるシュプリーム・コラボ
シュプリームのアイテムは常に入手困難で、購入希望者が後を絶たない。それゆえに定価で入手できれば、高い確率でそれ以上の高値で売れる。長く着用しても状態が悪くなければ値が下がらないので、投資対効果は決して悪くない。この点で、“着る投資商品”という見方もできそうだ。
狙い目はコラボ商品とボックスロゴのウエアだろう。特に数年に一度リリースされるというボックスロゴのTシャツ(定価7,560円)は、数万円で取引されることも少なくない。定価で購入するためには、こまめに情報を確認して発売時に直営店に行って並ばなければいけないが、その価値は十二分にある。
文・名知正登(ファッションエディター)
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