純資産880億ドル、世界で3番目に裕福なウォーレン・バフェット氏(フォーブス誌2018年3月17日データ )は、大富豪の家に生れ育ったわけではない。父親が証券企業のブローカーだったため貧しさとはかけ離れた生活だったが、バフェット氏の現在の富はすべて自らの手で築いたものだ。
バフェット氏ほどの財産を築くのは難しいとしても、どうすれば少しでもお金持ちになれるのか—バフェット流「お金持ちになる6つの秘訣」から学んでみよう。
(1)お金持ちになると信じきる
「昔からお金持ちになると分かっていた」と言うバフェット氏は、自分の信念を一度たりとも疑ったことがなかったそうだ(Brainyquoteより)。しかしただ信じて待っているだけでは、結果はともなわない。バフェット氏の成功は、自分の能力を信じて、目標と願望に向かって努力し続けた結果である。
米ファイナンシャル・プラニング企業Clear Income Strategies Groupのランドール・ジャニス氏いわく、自分自身や周囲の人々に「経済的に自立する」と宣言し、「将来の計画を立て、攻めるべき箇所と守備に徹するべき箇所を見極める」ことも重要だ。
富や成功はひとりでは築けない。周囲の後押しは必須となる。バフェット氏は「自分より力や能力、資本を持った人間や企業と付き合うように心がければ、自分も自然とそちらの方に引き寄せられて行くものだ」と述べている。
(2)若い頃から貯蓄の習慣をつけ、投資で増やす
バフェット氏が新聞配達で稼いだお金で、15歳の時に投資を始めたのは有名な話だ。貯蓄するだけではなく、投資で増やすという点がカギである。
一例を挙げると、バフェット氏は高校時代、友人と一緒にピンボールマシーンを購入し、散髪屋に置かせてもらった。そこから得た利益を散財したり貯め込むのではなく、新たにマシーンをもう1台購入し、ほかの店でも利益を上げた。これを繰り返し、最終的には1200ドルを稼ぎ出したという。
(3)常に自分に投資する
投資すべきは株や証券だけではない。バフェット氏は「お金持ちになる最善の方法は、自分へ投資することだ」という。バフェット氏いわく、「常に自分に投資するという習慣を身につければ、裕福な生活が待っている」。最も分かりやすい例では、「多くの人は年金プランを通して、既に自分に投資している」。
一歩踏み出して、投資や貯蓄の知識をつける、キャリアアップのために資格を取得する、起業するなど、全て将来リターンが期待出来る「自分への投資」ということになる。
(4)失敗、屈辱をバネにし、諦めない
バフェット氏には「名門ハーバード・ビジネス・スクールで不合格になった」という屈辱的な過去がある。しかし挫折することなく、「投資界の伝説」の異名を持つベンジャミン・グレアム氏の講義を受けるために、コロンビア・ビジネス・スクールに入学する。
グレアム氏の著書を読んでいたく感動したバフェット氏だったが、「(本を読んだ当初)実は教授は他界したと勝手に信じ込んでいたから、大学で教鞭を受けれると分かってびっくりした」と、テレビ番組のドキュメンタリーで語っていた。
グレアム氏との出会いがバフェット氏の転機となったが、話はここで終わらない。卒業後、バフェット氏はグレアム氏の元で仕事をしたいと申し出るが、あっさり「いらない」と断られれた。しかしバフェット氏はオマハに帰郷した後もグレアム氏へのアプローチを根気よく続け、最終的にグレアム氏から承諾を得たそうだ。
本当にやりたい仕事や働きたい企業があるのならば、一度や二度の挫折で諦めない—という、バフェット氏流の「粘り強さ」が、後に巨額の富を生み出すこととなった。
(5)倹約家に徹する
「倹約なしではバークシャー・ハサウェイは生まれなかった」というバフェット氏は、大の倹約家として知られている。他の多くの大富豪とは違い、プライベートジェットや高級車、大豪邸には見向きもせず、大富豪になる前とさほど変わらない生活水準を保っている。
バフェット氏は「お金で買えないものもある」とし、「生活水準が生活コストと比例するわけではない」「6軒も7軒も家を所有していたら、今ほど幸せではなかったかもしれない」とまで発言している。
「倹約=ケチ」ではない。無駄にお金を使わないことと、必要な時でもお金を使わないことは全く異なる。倹約家は支出への意識が高く、安くても不要なものなら買わない、高くても必要なものならばお金を惜しまない。だからこそバフェット氏は自分でお金を貯め、増やし、バークシャーを買収することが出来たのだ。
(6)信念を曲げない
倹約家と同時に、ビジネスに関してはちょっとした頑固者としても知られるバフェット氏。バークシャー・ハサウェイは株主に配当を支払わない。「配当は課税対象になるので株主が損をする」「さらなる投資で成長を促す方が株主にとっての恩恵になる」などがその理由だと報じられている。
1967年に一度だけ配当を支払ったことがあるが、バフェット氏は当時を振り返り「(自分が)トイレに行っている隙に勝手に決められていたに違いない」と、冗談めかしのコメントをしている(Investopedia2016年12月14日付記事 )。
一部の株主の間では配当を望む声も挙がっているようだが、バフェット氏は頑として応じない。自分の信念を貫くというのは柔軟性に欠けるようでいて、富を築くチャンスを最大限に活かす上で最も重要なことかもしれない。
文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)
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