トヨタ・ヨーロッパは2020年1月14日、燃料電池車の第2世代となる新型「ミライ」の概要を発表した。新型「ミライ」は、2019年10月の東京モーターショーでプロトタイプを出展したが、今回公表された「ミライ」は、ほぼ量産仕様になっていると考えられる。なお、2020年春には量産試作車がメディアに公開される予定で、発売は2020年後半とされている。

TNGA-Lを採用しFR駆動に

新型「ミライ」は、新たにTNGA-Lプラットフォームを採用し、水素タンクは従来型の2本タンクから3本タンク・レイアウトとなるなど、まったくの新設計だ。さらに燃料電池システムも再設計されて発電効率を高め、航続距離は最大30%増大している。また従来は4名乗車であった室内のパッケージも定員5名に変更されている。
 

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(画像=AUTO PROVE)

今回はTNGA-Lプラットフォームを採用したことで、単にゼロエミッションの燃料電池を搭載したエコカーというだけではなく、優れたハンドリング特性、俊敏性、応答性によりドライビング・プレジャーの魅力もアピールしている。さらにEセグメントにふさわしい存在感のある、走りのパフォーマンスを予感させるエクステリアなど、クルマ本来の価値も高め、法人や自治体だけでなくオーナードライバー層にアピールするクルマに仕上げている。
 

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選んで買うモデルへ

トヨタは2014年に水素を燃料とする世界初の燃料電池車の量産モデルとして「ミライ」を市場導入し、5年間で約1万台を販売した実績を持っている。

そして「ミライ」は、世界に向けて将来のクリーンで持続可能な水素社会を提案したモデルである。1回の水素充填での航続距離は約500kmで、水以外に排出しない究極のクリーンカーであるが、クラウンクラスのクルマにも関わらず4名乗車、とエコカーに徹しているためドライビング・プレジャーは希薄なモデルとなっていた。
 

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新型「ミライ」は、日本、北米、ヨーロッパで発売される予定で、グローバル市場で通用するEセグメントにふさわしいドラーバーズ・セダンと位置づけられている。そのため初代「ミライ」よりボディサイズもアップし、後輪駆動に変更している。
 

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そして燃料電池システムの改善と大容量の水素タンクの採用により、航続距離を800km程度まで伸ばしている。水素タンクはロング・タンクを1本、ショート・タンクを2本搭載。これにより、現在のモデルと比較して約1kgの水素容量を増加させている。

田中義和チーフエンジニアは、「お客様がミライを選んだのは、FCEVであるという理由だけでなく、純粋にこのクルマが欲しかったからい言われたいのです。私たちはこれは実現できることに焦点を当てて開発を行なっています。新しいミライで、水素エネルギー社会の実現を牽引することを目指しています」と語っている。
 

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ドライバーズカーとしの魅力

新型「ミライ」のインパクトはエクステリア・デザインにあり、低いショルダーライン、エレガントなプロポーション、滑らかで張りのあるボディワーク、そして大径20インチのホイールがダイナミックな走りを予感させる。

インテリアは快適さを重視し、シンプルでモダンなスペースが追求されている。また横長の12.3インチのセンターディスプレイと一体化されたインスツルメントパネルを採用。シンプルな構成だが未来感のあるインテリアとしている。
 

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トヨタの最新の後輪駆動モジュラー・プラットフォームは、ホイールベースが2920mmでクラウンと共通だ。そして車体剛性が大幅に向上しており、低重心化されているので、ロングホイールベースながら機敏性と応答性が向上し、ドライバーズカーにふさわしい運動性能や走りの質感を備えているという。
 

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また燃料電池システムの性能が改善され、アクセル入力と加速感が統一され、リニアでスムーズな加速を生み出す動力性能を実現している。

【主要諸元】

  • 全長:4975mm
  • 全幅:1885mm
  • 全高:1470mm
  • ホイールベース:2920mm
  • 後輪駆動
  • 乗員:5名
  • 航続距離:従来比30%増(750km)

提供元・AUTO PROVE

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