「気軽に旅行ができなくて窮屈」「この先、一体どうなるんだろう・・・」などと、つい不安になってしまうこの頃。ざわざわした心を落ち着かせるために、ぜひおすすめしたいのが禅体験です。

非日常的なお寺で精進料理をいただいたり、座禅を組んだり、写経をしたりして心を整えませんか?お寺は自然豊かな場所にあることが多いので、境内を散歩すれば身体もリフレッシュできますよ。

今回は、静岡県浜松市北区にある、方広寺(ほうこうじ)での「日帰り禅寺体験」をレポートします。

目次

森林浴も楽しめる禅寺!ある有名人に似た出世羅漢像も!

方広寺は、南北朝時代に、後醍醐天皇の皇子である無文元選禅師によって開かれた禅寺です。無文元選禅師が中国で修行をした「天台山方広寺」に風景が似ていたことから、この寺を「方広寺」と名付けたのだそう。自然豊かな山奥にあるので、森林浴をしながら、黒門から本堂まで散歩するのも楽しみの1つです。

(写真=たびこふれより引用)

中でもユニークなのは、境内の至る所にある五百羅漢像。「羅漢」とは、お釈迦様のお弟子さんのことで、お釈迦様が亡くなった時に集まった500人のお弟子さんが、五百羅漢のモデルであるといわれています。

(写真=たびこふれより引用)
(写真=たびこふれより引用)

 

(写真=たびこふれより引用)

500体の中には、自分の顔に似た1体が必ずあるらしく、境内を散策しながら探してみると面白いかもしれません。ちなみに、こちらは出世羅漢と呼ばれているのですが、誰に似ているかご存じですか?テレビでもよく見る、とても有名な方ですよ。

(写真=たびこふれより引用)

また、方広寺は後醍醐天皇の皇子が開いただけあり、皇室が何度も参拝した格式高いお寺です。海上安全などのご利益がある「半僧坊真殿」には、江戸城無血開城の立役者として知られる、山岡鉄舟も参拝したといわれています。西郷隆盛との会談に臨む前にここを訪れて、江戸の無事を祈っていたんですね。

(写真=たびこふれより引用)

さすが浜松!精進料理にもウナギの蒲焼?!

さて、受付を済ませたら、まずは食事タイム。食べる前に「食事五観」をしっかりと読み込み、ありがたく精進料理をいただきます。

(写真=たびこふれより引用)

手の込んだ何種類もの料理の中で、特に驚いたのはウナギの蒲焼。実はこれ、ウナギではなく、山芋、れんこん、豆腐からできているんです。ふわふわとした食感とタレは、ウナギの蒲焼そのもの!

(写真=たびこふれより引用)

静かなお寺で、精進料理を食べながら感じたのは、いつもよりも食べ物のおいしさがしっかり感じられるということ。普段、テレビや携帯電話を見ながら食事を取ることが多いため、「おいしさを味わう」という楽しみを逃していたのかもしれません。

さらに、ゆっくりと食事をいただくことで、何でもスピーディにこなそうとする忙しなさがリセットされ、食事を終えた頃には、心に余裕ができたような気がしました。

座禅で心を整える!ポイントは呼吸と姿勢

食事を終えて、本堂などを拝観したら座禅体験です。お坊さんが、座禅について丁寧に説明してくれます。

「座禅は、眠気や足が痛くなるのを我慢する修行と思われがちですが、違うんですよ。心を整えるために行います」とのこと。緊張しているときに深呼吸をすると落ち着くように、心を整えるためには、まず呼吸を整える。そして、呼吸を整えるためには、姿勢を整えるのが効果的なのだそうです。

正しい姿勢、呼吸の仕方、足の組み方などを教わったら、座禅を開始します。始めは、5分程度行い、その後、10分を2回行います。また、座禅中に木の棒で打たれる「警策」は、心身をリセットするために行うもの。気が散ったり身体が痛くなってきたら、自分から合図を出して受けます。

(写真=たびこふれより引用)

座禅に限らず日常生活の中でも、「何かうまくいかない」ときや「ここぞ」というときには、姿勢を正して呼吸を整えて、リセットするといいかもしれませんね。

写経を書き終える頃には頭がスッキリ!

「字の上手下手や書くスピードは関係なく、1文字ずつ丁寧に書くことが大切です。中には見慣れないものや難しい漢字もあるのですが、およそで書くのではなく、きちんとお手本を確かめて書いてくださいね」とのこと。

写経中は文字を書くことだけに集中するので、他の煩わしいことを考える暇がありません。雑念を払って、頭の中を空っぽにするのに持ってこい。全てを書き終える頃には頭がスッキリするほか、小さな達成感も感じられますよ。

お手本を持ち帰ることができるので、自宅でも写経ができます。

(写真=たびこふれより引用)

お坊さんにどのような心構えで過ごせばいいのかを聞いてみた

お坊さんに今のご時世、私達はどのような心構えで、日々を過ごせばよいのかをお聞きすると、「"随所に主となる"という禅の教えがあります。どのような所でも、どのような状況でも、自分を見失わない。周りの環境に流されずに、やるべきことをしっかりとやることが大切です」と笑顔で答えてくださいました。

そして、この禅体験で、食べること、呼吸を整えること、書くことだけに集中したように、過ぎ去った過去でも予測不能な未来でもなく、「今」にフォーカスすることが心穏やかに過ごせるコツなのかもしれません。

禅体験ができるお寺は日本全国にあります。皆さんも、お住いのエリアのお寺を訪ねてみてはいかがでしょうか?

(写真=たびこふれより引用)

臨済宋方広寺派大本山 方広寺(ほうこうじ)

文・写真 にっしー/提供元・たびこふれ

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