40代で「がん保険」は必要か?

2018.10.26
FINANCE
(写真=BlurryMe/Shutterstock.com)
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日本人の2人に1人は「がん」にかかると言われる。がんになる可能性が高まるのは60代以上などの高齢者なので、若いうちからがんへの備えをしている人は少ないだろう。しかし、同世代の著名人ががんで亡くなるニュースを聞き、がん保険を検討したという人も多いのではないだろうか。実は40代男性のがん保険の加入率は48%と最も高い(生命保険文化センター)。一方で、日本は公的医療保険制度が充実しているため、不要だと主張する人もいる。40代にがん保険は必要なのか不要なのか。

がん保険が必要とされる理由「がん治療にはお金がかかる」

多くの人ががん保険が必要だと考える理由は、がんは治療期間が長くなり、治療費が高額になりやすいからだ。

罹患率の上位である、大腸がん、胃がん、肺がん、乳がん、前立腺がんの1回の入院費は、平均20~30万円代(自己負担3割、窓口支払いの場合)。だが治療費はこれだけではない。健康保険が適用されない費用は、全額自己負担になるのだ。

重粒子線治療で約300万円、自由診療で436万円のものも

例えば、通院治療のための交通費、個室を利用する場合の差額ベッド代、入院時の日用品代、ウィッグ代、先進医療の技術料などが挙げられる。自由診療を選択した場合は、本来健康保険が適用される部分も自己負担となる。

先進医療とは、最新の医療技術のうち厚生大臣から承認されて保険診療との併用が認められている治療だ。代表的なものは重粒子線治療や陽子線治療で、治療費は約300万円かかる。自由診療とは、海外ではがん治療に有効だと認められているが、国内では未承認の抗がん剤などで、乳がんに有効なアベマシクリブ1サイクルの参考価格は436万3,760円にのぼる。

がん治療のため離職する人は34% 闘病が長くなる場合も

がんにかかって入院や手術、その後の治療となると、仕事ができなくなるため収入は激減する。仕事を継続する人の割合が48%に対して、働くための制度や社内の理解が不十分なために離職する人の割合は34%というから驚きだ(厚生労働省の平成28年「第2回働き方改革実現会議 治療と仕事の両立等について」より)。

闘病が長くなるほど治療費の負担は大きい。メットライフ生命の調査では、5年以上の期間にわたってがんの治療を行った人が7.8%、2~3年未満の人の割合は9.2%。一家の大黒柱ががんに罹患し、治療が長期に及んだ場合や離職せざるを得なかった場合の家計に与えるダメージは計り知れない。

がん保険は不要とされる理由「手厚い公的医療保険でまかなえる」

公的医療保険の内容が手厚いので、がん保険は不要という人もいる。その代表的な制度が高額療養費制度だ。

高額な医療費を支払ったときは高額療養費制度で払い戻しが受けられる

高額療養費制度は、同一月にかかった健康保険の対象の医療費が高額になってしまった場合、一定の自己負担限度額を超えた金額が払い戻される制度。たとえば年収800万円の人で標準報酬月額が53~73万円の人なら、窓口での支払いが30万円の場合17万1,820円で済み、差額分の12万8,180円が後日払い戻される。

高額療養費制度の適用を受けた場合、いったん窓口で公的医療保険の自己負担額分を支払うことになる。医療費が高額になることが分かっている場合は、あらかじめ限度額適用認定証を取り寄せておけば、窓口での支払い額は差額分のみになる。

傷病手当金で給料の約3分の2が受け取れる

会社員や公務員であれば、治療のために仕事を休んだ場合、最長1年6ヶ月の間給料の約3分の2にあたる「傷病手当金」を受け取ることができ、ある程度の生活費をまかなうことができる。

末期がんの場合は自己負担1割で公的介護保険の介護サービスを受けられる

公的介護保険制度では、40~64歳の場合は加齢に起因する特定の16種類の疾患が原因で要介護状態になった場合に限って介護サービスを受けることができるのだが、末期がんはその対象に含まれている。介護が必要になった場合は、公的介護保険の介護サービスを自己負担1割で利用できるので、経済的負担の軽減につながる。

がん保険が必要な人と不要な人

公的医療保険である程度の治療費がまかなえるため、それ以外の治療費をカバーできるくらい資産形成ができている人、自由診療や先進医療は受けないと決めている人はがん保険への加入は不要かもしれない。

一方で、人生の三大費用である子どもの教育費や住宅購入費、老後に備えての貯蓄の負担が大きい時期に、自分ががんにかかったら家族が困るという人は、がん保険に加入しておいたほうが安心だろう。

がん保険には診断一時金を複数回受け取れるものや、実際に治療にかかった費用を受け取ることができるものなど、治療の特性に沿った保障内容になっている。加入にあたっては、現在加入している医療保険の保障内容の不足分を補う内容かどうかなどを十分検討すべきだろう。

文・藤原洋子(ファイナンシャル・プランナー)
 

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