最近では40代、50代での転職も珍しくない。これまで勤めてきた会社で、退職金原資の準備として「企業年金」に加入していた人は多いだろう。転職までの勤続年数が長いほど、これまでの企業年金の積立金がどうなるのか気になるはずだ。近年では転職で会社が変わった場合、それまでの企業年金で積み立てた資金を転職先へ移換できる制度整備も進んでいる。企業年金は退職後の生活を支える大切な資金なので、転職先企業への移換方法はしっかりと把握しておきたい。

転職前に会社の退職金制度内容の確認を

多くの企業が退職金制度を導入しており、その原資の準備として「企業年金」が使われているが、そもそも企業年金がよく分からない方も多いだろう。

企業年金とは、簡単に言えば退職金のことだ。退職時に一時金で受け取るのが退職金、数年に分けて分割で受取るのが企業年金というのが一般的なイメージだと思うが、実際は退職金の受け取り方で呼び方が変わるだけである。

企業年金の代表的なものが、確定給付企業年金、確定拠出年金、厚生年金基金だ。

企業ごとに退職金制度の内容は異なっており、転職時の取り扱いも異なる。60歳前に受け取れないこともあるが、受け取れる場合、転職時に脱退一時金として受け取るか、または転職先の退職金制度にこれまでの企業年金積立金を移換するのが一般的だ。

ただし、移換できるのは確定給付企業年金、確定拠出年金、厚生年金基金及び企業年金連合会の間のみとなっている。退職前に転職先が決まっていれば、転職先の退職金制度を確認しておくことで移行手続きがスムーズに進むだろう。

転職ではなく独立した場合はどうなる?

別の企業に転職するのではなく、独立する場合はどうなるのだろうか。脱退一時金として受け取れるなら、それを独立開業資金に充てることも考えられる。また独立した場合、国民年金のみになると将来の公的年金受取額は減り、将来まとまった退職金を受け取れないことも想定される。

そこで、加入していた企業年金の加入資格を喪失したことにより脱退一時金受け取ることができる場合は、企業年金連合会に移換できるので、それを将来の生活資金として確保しておくことも検討したい。

転職した企業に持ち運びができる場合どうしたらいいのか

転職前の企業年金で確定給付企業年金、確定拠出年金、厚生年金基金のいずれかに加入していた場合、転職する会社に同様の企業年金があれば移換できる。

ただ、企業年金により移換できない場合や、転職先の退職金制度に企業年金を移換できる旨が定められている必要があり、必ず次の会社の退職金制度に移換できるわけではない。

転職した企業に移換できない場合

移換できない場合は、脱退一時金で受取るか、企業年金連合会への移換を選ぶことになる。

確定給付企業年金、厚生年金基金は企業年金連合会に移換できる。手続きは、加入していた確定給付企業年金、厚生年金基金へ申し出る。手続き期限は企業年金加入資格喪失日の1年後だ。

厚労省が公表した2018年4月末時点の「確定拠出年金の実施状況」によると、企業型確定拠出年金を導入している企業数は約3万社、企業型加入者数は約648万人だ。確定拠出年金の積立資金を転職先へ移換できない場合、個人型確定拠出年金に資金を移して積立を継続し運用を続けるか、運用のみの継続を選択することになる。

リタイアまでに10年以上ある場合、個人型で積立と運用を継続し将来の生活資金準備をするといいだろう。

個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)は、掛金が全額所得控除、運用益が非課税の優遇税制を活かして将来の生活資金を準備することができる。

自分が加入している企業年金について知っていますか?

自分が加入している企業年金を知らない人は多いのではないだろうか。企業年金はあなたの大切な資産だ。転職を検討するなら早めに自分が加入している企業年金を確認し、転職後も有効活用できる方法を検討したい。

文・寺野裕子(CFP、1級FP技能士)
 

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