住宅ローンの金利上昇リスクに対処する方法は?変動金利の注意点や返済額のシミュレーションなど

2019.10.20
FINANCE
(写真=Doubletree Studio/Shutterstock.com)
(写真=Doubletree Studio/Shutterstock.com)
住宅ローンの変動金利と固定金利。変動金利は金利の低さが魅力だが、金利上昇によって返済額が増えるリスクもある。変動金利を選択する際はこのリスクをよく理解しておかなければならない。

住宅ローンで金利上昇リスクがあるのは「変動金利型」と「固定期間選択型」

民間金融機関が取り扱う住宅ローンは、「変動金利型」「固定期間選択型」「(全期間)固定金利型」の大きく3つのタイプがある。固定期間選択型は借り入れから一定期間金利が固定される変動金利型の一種であり、固定期間後の金利上昇リスクがある。

金利水準は通常、変動金利型<固定期間選択型<(全期間)固定金利型の順で高くなり、金利が変動しなければ変動金利型の返済総額が最も少なくなる。
 
【金利タイプごとの返済額の例】
金利タイプ 変動金利型 固定期間選択型
(10年固定)
(全期間)
固定金利型
借入金額 3,000万円
借入期間 30年
適用金利
(年利)
当初5年 0.50% 1.00% 1.30%
6~10年目 1.00%
11年目以降 1.00% 1.50%
年間返済額 当初5年 107.7万円 115.8万円 120.8万円
6~10年目 114.2万円
11年目以降 114.2万円 121.2万円
返済総額 3,387.1万円 3,577.7万円 3,625.8万円
※住信SBIネット銀行・住宅ローンシミュレーションを用いて筆者が試算。元利均等返済・ボーナス返済なし、返済総額に諸費用は含まない。借入後5年目に0.5%の金利上昇があり、その後一定で推移した場合を仮定。

新規住宅ローン利用者の6割が変動型を選んでいる

住宅金融支援機構の調査によると、2018年10月から2019年3月までの新規民間住宅ローン利用者の60.3%が変動金利型を選んでいる。

固定期間選択型(25.1%)とあわせると、金利変動リスクのある住宅ローンを選択した人の割合は全体の8割強。変動金利型を選ぶ人の割合は近年増加傾向にある。

金利が上昇しても変動金利型住宅ローンの毎月の返済額はすぐには変わらない

変動金利型の住宅ローンでは通常年2回、市場金利(短期プライムレート)に連動して適用金利が見直され、返済額も変化する。

変動金利の毎月の返済額は5年間一定(5年ルール)

住宅ローンの適用金利が見直されたとしても毎月の返済額はすぐには変わらない。返済額の見直しは5年単位で行うという「5年ルール」があるからだ。金利の上昇で利息が増えた場合は元金返済分を減らして調整される。

変動金利の場合の返済額の改定は最大1.25倍(125%ルール)

住宅ローンの適用金利に変動があった場合、6年目以降の返済額はその時点のローン残高・適用金利・残り返済回数をもとに再計算される。

見直し後の返済額には、上限を直前の返済額の1.25倍とする「125%ルール」がある。このルールがあることで、どれだけ金利が上昇しても返済額が急激に増えることはない。見直し前の毎月の返済額が8万円であれば、見直し後の返済額は10万円が上限となる。

変動金利型住宅ローンの最大のリスクは「未払い利息」

「5年ルール」や「125%ルール」は、いきなり住宅ローンの返済額が上がって返済できなくなるリスクを防いでくれるものだ。しかし本来返済すべき額が上限を超えた場合、超えた部分の返済を先延ばししているに過ぎない。

急激な金利上昇があった場合には、返済額よりも利息のほうが多い「未払い利息」が発生するリスクもある。未払い利息とは返済額が10万円であるのに対し、本来支払うべき利息が11万円となるような状況(差額の1万円が未払い利息)をいう。

未払い利息が発生している間の返済はすべて利息の支払いに充てられ、返済しているにもかかわらず未払い利息分だけローン残高が増えていく。未払い利息自体には利息が発生しないものの、次の返済額見直しのタイミングでローン元本に組み入れられ、以後未払い利息相当分に対しても利息が発生する。

未払い利息が発生する可能性があるのは、3%以上の金利上昇といった極端なケースに限られる。ただこのようなリスクがあるということは知っておくべきだ。

ソニー銀行や新生銀行のように「5年ルール」や「125%ルール」を採用せず、適用金利が見直される度に返済額が変更される銀行もあるため注意したい。

住宅ローンの変動金利と固定金利はどちらが得か 金利上昇による返済額の変化をシミュレーション 

住宅ローンの金利が上昇した場合の返済額の変化は、金利上昇の大きさやタイミングによって変わってくる。実際に金利上昇があった場合の毎月の返済額と返済総額をシミュレーションすると以下のようになる。ここでは「金利変動なし」、10年ごとに金利が「1.0%上昇」「1.5%上昇」の3つのパターンを仮定し試算した。
 
【金利上昇による返済額の変化例】
  金利変動なし 10年ごとに
金利+1.0%
10年ごとに
金利+1.5%
金利タイプ 変動金利型
借入金額 3,000万円
借入期間 30年
適用金利
(年利)
当初10年 0.50% 0.50% 0.50%
11~20年目 0.50% 1.50% 2.00%
21年目以降 0.50% 2.50% 3.50%
毎月返済額 当初10年 8万9,756円 8万9,756円 8万9,756円
11~20年目 9万8,900円 10万3,683円
21年目以降 10万3,833円 11万1,427円
返済総額 3,231.2万円 3,509.9万円 3,658.4万円
※楽天銀行住宅ローンシミュレーションを用いて筆者が試算。元利均等返済・ボーナス返済なし、返済総額に諸費用は含まず。

年利1.30%の30年固定金利の住宅ローンを利用した場合の返済総額は3,625.8万円(毎月返済額10万670円)だ。10年ごとに金利が1.5%上昇すると仮定した場合の返済総額と並ぶ。

これ以上の金利上昇を想定するのであれば固定金利を選ぶことでリスクを限定できる。一方で金利上昇がこれ以下に収まれば固定金利のほうが結果的に不利となる。

住宅ローンの金利上昇リスクに対処する4つの方法

住宅ローンの金利上昇リスクにはどう対処したらよいのだろうか。

住宅ローンの契約時に金利上昇リスクのない固定金利を選ぶ

返済期間中の金利が契約時に確定する全期間固定金利型の住宅ローンを利用すれば、金利上昇リスクはない。2019年10月現在、変動金利と固定金利の差は過去最小の水準となっており、固定金利型を希望する人にとってはチャンスといえる。
 
【2019年10月時点の適用金利】
フラット35 保証型 年0.92%
買取型(返済期間:21~35年) 年1.11%
固定金利(30年) 年1.20%
変動金利(通期引下げプラン) 年0.457%
※金利はすべて住信SBIネット銀行の2019年10月時点適用金利。フラット35は借入割合80%以下の場合。一定の条件を満たす住宅の場合、フラット35Sが適用でき、当初5年間または10年間上記金利から年0.25%金利が引き下げられる。

固定金利を選択することは「金利上昇リスクの回避」に効果的だが、金利がそれほど上がらなければ変動金利よりも負担は大きくなる。

変動金利を選択し借入期間を短く設定する

借入期間が短いほど金利上昇による影響は小さい。なるべく低い金利の変動金利型の住宅ローンを利用して元本を早めに減らしていけば金利上昇リスクはさらに軽減できる。

変動金利を選択し金利が上昇したタイミングで繰上げ返済を行う

金利が上昇したタイミングで繰上げ返済を行う方法もある。繰上げ返済によってローン残高を減らすことで、金利上昇による利息の増加をある程度相殺できる。

この方法には繰上げ返済資金の確保が必要であり、将来の繰り上げ返済を見据えた資金計画を立てておくことが重要だ。資金に余裕があり金利上昇に柔軟に対応できる人ほど変動金利を選択するリスクは低いといえる。

変動金利から固定金利へ金利タイプを変更する

借り入れ当初は金利の低い変動金利を選択し、金利上昇が続くと見込まれるのであれば、変動金利から固定金利へ変更する方法もある。変動金利から固定金利への変更は返済期間中いつでも可能だ。

住宅ローンはリスク許容度に応じた金利タイプ選択を

住宅ローンの金利が将来どうなるか確実な予想はできないため、どの金利タイプが有利か判断するのは難しい。

住宅ローンの金利タイプを選ぶ基準は、自分が金利(返済額)の上昇リスクに対応できるかどうかだ。金利上昇によって返済額がどう変化するかシミュレーションして、具体的な数字で確認してみるとよい。

住宅ローンの金利上昇リスクに対応できると考えるなら変動金利を選べばよい。返済期間中に返済額が上がると困る人は固定金利を選ぶべきだ。

文・竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
 

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