老後資金、足りない場合どうすればいい?確実に不足する場合の3つの対処法

2019.9.23
FINANCE
(写真=Monkey Business Images/Shutterstock.com)
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老後資金が確実に足りないと分かった場合、どのように対処すればいいのだろうか。2019年6月に老後資金が2,000万円不足するという試算が、金融庁から発表されたことが大きな話題となったが、このことで自分の老後資金に不安を覚えた人も多いだろう。今回は老後に必要な資金をシミュレーションし、確実に老後資金が不足してしまう場合の対処法を紹介する。

老後に必要な資金はいくら?夫婦世帯でシミュレーション

実際に老後に必要な金額はいくらなのだろうか。ここでは夫が会社員で妻が専業主婦という夫婦が、60歳からどちらも女性の平均寿命である約88歳(2018年度87.32歳)まで生きる場合の支出を想定してシミュレーションしている。

予想される支出……最大約1億円

まず生活費だが、2018年に総務省が発表した「家計調査年報」によると、2人以上の世帯で60~69歳までの消費支出は月平均で29万1,019円、70歳以上では23万7,034円であった。よって、この夫婦の88歳までの生活費は、以下のような計算で求められる。

・29万1,019円×12ヵ月×10年+23万7,034円×12ヵ月×(88−69)年=8,896万6,032円

そのほか予想される費用としては、住宅の修繕・リフォーム代、葬儀費用、子どもの結婚式への援助などが考えられるだろう。例えばリフォーム費用を300万円、葬儀費用を1人200万円、子どもの結婚式への援助を200万円、万が一のために緊急予備資金として500万円を考えると、これらの費用の合計は1,400万円である。これらを考慮に入れた場合、60歳からの老後にかかる費用は、以下のようになる。

・8,896万6,032円+1,400万円=1億296万6,032円

もしもの場合を考えると、老後の夫婦に必要な金額は1億円を超えてしまうと試算される。

予想される収入……約8,300万円

60歳以降に期待できる収入は、主に年金と退職金だろう。2019年に厚生労働省が発表した夫婦2人分の標準的な年金額の例は22万1,504円だ。(夫が平均報酬月額42万8,000円で40年勤務、妻が同期間専業主婦だった場合)この額を65~88歳までの24年間受け取るとすると、合計は以下のような計算となる。

・22万1,504円×12ヵ月×24年=6,379万3,152円

退職金に関しては、厚生労働省が2018年に発表した「就労条件総合調査」によると、退職金の平均額は大卒で1,983万円であった。年金支給額と退職金を合わせた老後に期待できる収入は、以下のような計算で求められる。

・6,379万3,152円+1,983万円=8,362万3,152円

年金と退職金を合わせた額は約8,300万円ということになる。

老後不足する金額……約1,900万円

老後に予想される支出から期待できる収入を引くと、老後に不足するおおよその金額が分かる。先ほどのシミュレーションの老後支出金額から収入金額を引くと以下のようになる。

・1億296万6,032円-8,362万3,152円=1,934万2,880円

不足金額は1,934万2,880円となり、老後資金に2,000万円必要という金融庁の発表と近い数値になることが分かる。これはあくまでも目安の試算であり、老後に必要な資金は個人差がある。自分がどれくらいの資金が必要なのかはファイナンシャル・プランナーなどに相談して算出してみるのもよいだろう。

老後資金が確実にない場合の3つの対処法

実際に老後資金が2,000万円必要といわれても、そのような多額の資金を準備するのは難しいと思っている人もいるだろう。老後資金が確実に足りない場合、どうすればいいのだろうか。対策方法を3つ紹介する。

1. 老後も働く

これから2,000万円の資金を準備するのが難しい場合、最も確実な対処法は定年退職した老後も働くことだ。不足する2,000万円は一括で必要な資金ではない。そのため仮に年収200万円の仕事だとしても5年働けば1,000万円、10年だと2,000万円の収入のプラスになる。会社員で希望すれば再雇用制度により65歳まで働ける場合もあるだろう。60歳以降も20年以上人生が続くことを考えれば、何も一つの職業や会社員にこだわる必要はない。

今まで培ってきたキャリアを活かし、フリーランスとして起業してもいいだろう。ただし老後に新しいことを始めたいのであれば、現役時代から十分に勉強や準備をしておく必要がある。社会人になってからも勉強しキャリアアップを図る動きは今高まりをみせている。「老後資金の不足による不安」「人生100年時代」という点を意識して長く働きたいと考える人が増えだした。

このような社会情勢から、「社会人の学び直し(リカレント教育)」が注目されている。文部科学省では、大学・大学院・短期大学・高等専門学校における学び直しを推進しており、職業実践力育成プログラム(BP)制度を設けた。文部科学大臣が実践的・専門的なプログラムと認定した講座には、厚生労働省から給付金が支給されるので自分が描く将来の仕事とマッチする講座があれば、この制度をぜひ活用したい。

2. 保険や固定費などの支出を見直す

収入を増やすことが難しい場合、仕事を辞めるまでに現在の生活水準を下げておくのも有効な対処法である。特に電気、ガス、灯油などの光熱費や水道費など、毎月かかる固定費は無駄があれば意識して削減することで日ごろから節約をこころがけたい。また固定費として見逃されがちなのが通信費だ。スマートフォンや自宅のインターネットの通信費を見直すのも有効な手段だといえる。

スマートフォンなどは、大手キャリアから格安SIMに変えれば月々の通信費を半額以下に抑えることが可能だ。住宅や車など大きな買い物のローンがあれば、収入のある現役のうちに完済する計画を立てておきたい。これが定年後、年金生活になってまで払い続けるとなると家計に相当なダメージを与えることになる。

また早いうちから見直しておきたいのが保険だ。5年や10年ごとに保険料が上がっていく定期型の医療保険などは、60歳を越えると支払額が高額になる。保険料が変わらない保険を選ぶか、場合によっては保険以外の方法で備えることができないかもよく検討してみよう。

3. 持ち家などの保有資産を有効に活用する

自宅を持っているが老後資産が足りない場合、リバースモーゲージという融資を金融機関から受けることができる。これは自宅を担保にして金融機関から借金をし、そのお金を毎月の年金として受け取るものだ。毎月の支払いは利払いのみで、契約者が亡くなった後、金融機関が家を競売にかけて元金返済に充当するのが一般的である。

結果として自宅を手放すことにはなるが、生存中に家を売却することに比べ、契約期間中は自宅に住み続けることができることは安心材料だ。住み慣れた家を手放したくはない場合は、契約者の子どもなど相続人が借入金を返済すれば、家を売却する必要はない。戸建てに住むことにこだわらない人は、家を売却して夫婦2人に適した広さのマンションに住んでもいいだろう。

また将来子どもが地元に戻って来る可能性が少ない夫婦も家の売却を考えたほうがいい。なぜなら2人の死後、誰も住まなくなった家は子や孫に相続され誰も住まなければ定期的に管理が必要になる。売るにも古すぎて買い手がつかず、維持するにも固定資産税などがかかり、壊すにも解体費用がかかることから子どもたちに大きな負担を残すことになりかねない。

また物価の安い地方に移ることも自宅不動産の有効な活用法だといえる。人口減少に悩む地方では、若い世代だけでなく高齢者の移住促進にも力を入れている自治体がある。老後は地方でのんびりスローライフというのもいいだろう。

老後資金が足りなくなる前に早めに計画を立てよう

老後資金を確保するために重要なことは、現役のときからできるだけ早く自分に必要な資金をシミュレーションしてみることである。今回のシミュレーションはあくまで平均的な夫婦を想定したが、勤務年数が少なく年金が人より少ない人や、健康状態が心配で医療費をもっと備えておきたい人は、さらに老後資金が必要だ。

人によってライフスタイルや老後に対するビジョンは異なるため、かかる費用は個人差が大きいのが実情である。ただ、それに対する対策に関しては引退してからできることは非常に少ない。歳をとってからだと、慣れ親しんだ生活水準をいきなり下げることは難しく何か新しいことを身につけるにしても若いころより習得に時間がかかりがちだ。

何か際立った経験やスキルがあればいいが、ない人が老後に働く場所を見つけるのは難しい。必要であれば資産運用セミナーに出向いたり、専門家に相談したりして「老後のためにどれだけ資金を準備すればいいのか」をシミュレーションしておこう。安心して老後を迎えるためには、対策が取りやすい現役の今から計画を立て将来に備えておきたい。

文・松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所
 

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