老後でもできる仕事4選 老後の資金不足を防ぐための「働く」という選択肢

2020.1.22
FINANCE
(写真=Dmytro Zinkevych/Shutterstock.com)
(写真=Dmytro Zinkevych/Shutterstock.com)
人生100年時代、老後も仕事を続けたいという人も多いのではないだろうか。人によって老後も仕事を続ける理由はさまざまだが、「お金」も主な要因の一つだろう。老後にどれくらい資金が不足するのか、また老後でもできる仕事とはどのようなものがあるのだろうか。

老後に必要な資金は2,000万円ではない

2019年6月、「老後資金が2,000万円不足する」という内容の金融庁の報告書が話題になった。しかし、老後は公的年金だけでは生活できないのは、今に始まったことではない。

「2,000万円」という数字は、「老後に1,300万円~2,000万円」不足するという報告書の内容を切り取ったものだ。この不足額は、無職高齢夫婦世帯の家計収支が平均約5万円の赤字という現状をもとに、貯蓄を切り崩しながら20~30年生きると仮定して計算したものだ。

しかし家計の収支は個人差が大きく、いつまで生きるかもわからない。老後に必要な蓄えを「2,895万円」とする経済産業省の試算もある。2,000万円という数字自体はあまり重要ではないが、年金以外の収入や貯蓄の確保が重要であることは間違いない。2014年の財政検証によれば、2043年には公的年金給付水準は2014年比で約2割減少するという。

老後に仕事を続ける人はどのくらい?男性の約7割、女性の約5割

電通総研2015年に定年退職経験者を対象に実施した調査では、男性の約72%、女性の約55%が定年後も仕事を続けていることがわかっている。そのうち56.6%は、同じ会社やグループ会社へ再雇用され働いている。もはや60歳の定年で退職する人のほうが、少数派となっているのだ。

老後に働く理由は社会とのつながりや生きがいが多い

定年前と定年後では、仕事への向き合い方や働きがいも変わるようだ。日本政策金融公庫総合研究所の調査によると、定年前後での働きがいを感じる項目は以下のように変化している。

定年前後での働きがいの変化幅(働きがいを感じる理由・複数回答)
項目 定年前(A) 定年後(B) (B)−(A)
会社の業績が上がる 37.1% 21.4% -15.8%
会社が社会や顧客から高く評価される 27.4% 18.1% -9.4%
自分の業績が給料に反映する・昇給する 35.7% 6.6% -29.1%
昇進・昇格する 30.1% 3.6% -26.5%
業務上の目標を達成する 33.5% 13.0% -20.5%
顧客に喜ばれる 27.9% 25.9% -2.0%
上司から好評価を受ける 15.5% 9.6% -5.9%
同僚・部下から頼りにされる 26.7% 25.6% -1.1%
家族に理解される認められる 12.1% 13.3% 1.1%
責任ある立場や仕事を任せられる 29.1% 12.7% -16.5%
自分の培った能力が活かせる 23.3% 27.7% 4.4%
自分自身で成長したと思える 9.7% 5.7% -4.0%
自分が納得する出来栄えの仕事ができる 16.3% 15.7% -0.6%
社会に貢献したと思える 8.0% 12.7% 4.6%
会社に貢献したと思える 13.8% 17.2% 3.3%
この中にあてはまるものはない 13.6% 26.2% 12.6%
※日本政策金融公庫総合研究所『日本公庫総研レポート No.2017-5』p.25(調査対象;中小企業勤務者・男性65~70歳)を元に筆者作成

定年前後の働きがいの変化(定年後-定年前)を見ると、多くの項目がマイナスになっていることがわかる。特に業績の向上や目標達成、昇進・昇給、仕事における責任などの項目で減少幅が大きく、定年後(再就職後)にはこれらを感じにくくなる傾向があるのだ。

一方で以下の項目は、定年後に働きがいを感じる人の割合が増えている。
  • 社会に貢献したと思える(+4.6%)
  • 自分の培った能力が活かせる(+4.4%)
  • 会社に貢献したと思える(+3.3%)
  • 家族に理解される、認められる(+1.1%)
定年後に働く理由は「金銭的」や「自己評価的」なことよりも、「社会貢献」や「人とのつながり」という人が多いということだろう。定年後に働くことを検討する場合は、これらの要素がある仕事を選ぶと生活の充実度が高まるだろう。

老後に働くことのメリット・デメリット

老後も多くの人が仕事を続けることを選んでいるが、老後も働くことにはメリットもデメリットもある。ネット上にある経験者の口コミを参考に、それぞれについて見ていこう。

老後に働くメリット 収入面でプラス、生きがいにもつながる

老後に働く最大のメリットは、収入だろう。仮に60歳で定年退職しても、現在の公的年金の支給年齢は65歳からなので、5年間は無収入の状態になる。定年後も働くことを選択すれば、一定の収入が得られ金銭面の不安も軽減されるだろう。年金以外の収入があれば、もしものときに備えて予備資金を蓄えることもできる。他にも、働くことが健康維持や生きがいにつながるという人もいるだろう。

老後に働くデメリット 給与や健康面、年金カットの可能性も

老後に働くことには、デメリットもある。収入面では、現役時代より給料が下がるケースが多い。高齢になるほど、身体への負担も大きくなる。また、給与額によっては年金がカットされる可能性があるので要注意だ。具体的には、60歳~64歳は月額28万円以上、65歳以降は月額46万円以上の給与があると、年金が一部または全額もらえない場合がある。

老後も仕事をするための3つの選択肢 再雇用・再就職・独立

老後の仕事の形態には大きく分けて3つあり、自分に合った働き方や仕事を選ぶことが大切だ。

1,再雇用・勤務延長制度により同じ会社で仕事を続ける

2013年に高年齢雇用安定法が改正され、企業は従業員が希望すれば65歳まで雇用を継続することが義務付けられた。雇用継続の形態には、一旦退職として新たに雇用契約を結び直す「再雇用制度」や、定年を延長する「勤務延長(定年延長)制度」がある。

勤務延長制度であれば原則仕事内容や賃金水準は変わらないが、再雇用制度では雇用条件や雇用形態が変更され、賃金水準が低下するケースが多い。

なお、65歳以降も働ける企業は3割を下回っており、現在はまだ門戸が狭いと言える。(※厚生労働省による2018年「高年齢者の雇用状況調査」より)

2,別の会社に再就職する

定年を機に、別の会社へ再就職する人も多い。スキルや経験が活かせる業種や職種への再就職では、待遇や収入アップも期待できる。一方、それまでの仕事とまったく関係のない業種や職種への再就職では、収入は下がるケースが多い。 

3,独立して自営業・フリーランスとして働く

独立という選択もある。独立すれば自分のペースで仕事ができ、生涯現役で働くこともできる。そのためには経験を積み、スキルを高めておくことが大切だ。

カーネル・サンダース氏がケンタッキー・フライド・チキンを創業したのは、彼が65歳の時だ。それから90歳で亡くなるまでに、世界48ヵ国6,000店の巨大チェーンに成長させた。成功の鍵となったオリジナル・チキンの製法は、カーネル氏が49歳の時に営んでいたガソリンスタンドに併設するレストランで提供するために生み出されたものだった。

老後でもできる仕事4選 管理人やライター、コンサルタント、講師

老後の仕事は当然選択肢が限られるが、それまでの経験やキャリア活かせる仕事もある。ここでは、老後でもできる仕事を4つ紹介しよう。

1,マンションや寮の管理業

住み込みのマンション管理人は、高齢者に向いている。家賃はもちろん光熱費もかからないことが多く、老後も賃貸住宅に住み続ける予定の人にとってはメリットが大きいだろう。仕事内容は、共用部の管理や清掃などだ。業務のない時間は基本的に自室で自由に過ごせるが、拘束時間は長く、職場と住居が同じであることにストレスを感じるかもしれない。長期の旅行など趣味を楽しみながら働きたい人には、あまり向かない。

2,ウェブメディアのライター

ウェブメディアのライターも、高齢でもできる仕事の1つだ。在宅で仕事ができ、専門性が高ければ、比較的高い報酬も期待できる。文章を書くのが好きな人や、資格を持っている人におすすめしたい。現在はクラウドソーシングサイトなどもあり、登録すればすぐに仕事を始めることができる。人と直接会わなくてもできる仕事なので、人と対面で仕事をしたい人には向かないだろう。

3,コンサルタント・アドバイザー

これまでの経験や知識、技術などを活かして、コンサルタントやアドバイザーとして活躍する道もある。コンサルタントやアドバイザーとして収入を得るには、それまでのキャリアや専門性、人脈などが重要であり、退職後に一から始めるは難しいだろう。将来を見据えて、現役のうちにキャリアの棚卸しを行い、人脈を築いておきたい。金融や不動産などに携わってきた人であれば、お金に関する相談に幅広く応じるファイナンシャルプランナーなどの選択肢もある。

4,塾や習い事の講師

教えることや子どもが好きな人は、学習塾の講師を検討してもいいだろう。講師の役割はただ勉強を教えるだけでなく、勉強への取り組み方や意識を変えるという部分も大きいため、人生経験豊富なシニアに向いている。シニアを積極的に採用する学習塾もあるくらいだ。

趣味や特技を活かし、楽器や語学、書道など、習い事の講師として活躍する道もある。「ココナラ」などの自分のスキルや得意なことを売買できるウェブサービスもあり、生徒の募集もインターネットを使ってこれまでより簡単にできるようになっている。

老後の就職先を見つける3つの方法 専門求人サイト、エージェント、知人の紹介

老後の再就職先は、どのようにして見つければいいのだろうか。主な3つの方法を紹介しよう。

方法1,中高年向けの求人サイトを使用する

求人サイトは幅広い世代に利用されているが、一般の求人サイトでは年齢制限などによって中高年は不利と言わざるを得ない。

そこで活用したいのが、中高年に特化した求人サイトだ。中高年を積極的に採用している企業の求人や、中高年の強みを活かせる求人が掲載されており、効率的に就職先を探すことができる。サイト内では、自分の希望する条件を入力し応募することができる。

求人サイトのメリットは、自分の好きな時に好きな条件で求人を探し、応募できる点だろう。デメリットは、自分で求人を探したり応募したりする手間がかかる点や、非公開求人に応募できない点だ。

中高年向けの求人サイトには、大手求人サイトのマイナビが運営する「マイナビミドルシニア」などがある。

方法2,転職エージェントに登録する

転職エージェント会社を利用する方法もある。転職エージェント会社では、求職者一人ひとりに個別に転職エージェントがつき、希望する業種や職種、保有資格や経験などから、その人に合った就職先を提案・紹介してもらえる。

メリットは、自分では選ばないような選択肢や求人サイトには載っていない非公開求人を紹介してもらえることだ。シニア層の転職・再就職のノウハウを持った転職エージェント会社であれば、履歴書や職務経歴書の書き方、面接のポイントなどのアドバイスやサポートも期待できる。

一方でエージェントとのやり取りに手間がかかったり、エージェントにすすめられるまま転職して失敗してしまったりするケースもあるので注意したい。

シニアに特化した転職エージェント会社には、「シニア活用.com」や「i-common」などがある。

方法3,知人に紹介してもらう

現役時代の人脈を活かして、知人に就職先を紹介してもらう方法もある。

メリットは、一から就職活動をするよりもスムーズに就職できる可能性が高いことだ。知人からその会社や仕事の実情などを確認しておけば、就職後のアンマッチ防止にもつながるだろう。

デメリットは、知り合いの紹介なので仕事が合わなかった場合に辞めづらいことや、待遇があいまいなままになってしまう可能性があることだ。紹介の場合は、仕事内容や待遇面については事前によく確認しておくべきだろう。
 

老後も仕事を続けるなら今のうちからキャリアプランを立てておこう

老後も働くことで、家計の収支は大きく改善する。社会とのつながりや生きがいを感じられる仕事であれば、老後生活はより充実したものになるだろう。

老後に働くならお金のためだけではなく、自分らしく楽しんで働くほうがいい。そのためには、将来を見据えなるべく早いうちに行動を始めることが大切だ。
文・竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
 

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