終身医療保険は保険料が上がらず一生涯保障が続く。平均寿命が延伸化する現代にあっては魅力的な商品ではあるが、思わぬ落とし穴があるのも事実である。この種の保険を検討する際はメリットだけでなく、デメリットについてもしっかり把握した上で慎重に判断する必要があるだろう。

終身医療保険の特徴と加入する2つのメリット

医療保険は、その保障期間によって「定期型」と「終身型」に大別される。これらのうち定期型の医療保険は、「70歳まで」「80歳まで」というように保障期間があらかじめ決められている。一方、終身型の医療保険は文字通り生涯にわたり保障が継続するのだ。

近年は平均寿命が延伸化していることもあり終身医療保険が注目されている。どのようなメリットがあるの見ていこう。

終身医療保険は一生涯にわたり保障を受け続けられる

終身医療保険は死亡時まで一生涯にわたり保障が続く。病気やケガのリスクは、年齢を重ねるにつれ高くなっていくことを考えると、平均寿命が延伸化する時代に合った保険だといえるのではないだろうか。

2010年当時であれば、男性の平均寿命が79.64年、女性の平均寿命が86.39年であったため、80歳、85歳で保障がなくなるような定期医療保険で十分だったかもしれない。しかし、2050年には女性の平均寿命が90年を超えると予想されている。保障期間が限られている定期医療保険ではやや心もとないと感じる人もいるだろう。

終身医療保険は更新がなく保険料が上がらない

定期医療保険の多くは5年、10年など一定期間ごとに契約の更新がある。更新後の保険料はそのときの年齢をもとに算出されるため、更新の度に保険料が値上がりする。病気のリスクが高くなる40代以降では保険料の上がり幅が大きくなってくるため、保険料を抑えるべく保障内容を見直す人も少なくない。

一方、終身型医療保険は保険期間を通して契約の更新がなく、契約期間中、保険料が変わることはない。例えば、40歳で月額保険料5,000円の終身医療保険に加入した場合、90歳になっても100歳になっても、毎月の保険料は5,000円のままなのである。

収入が減少し年金生活になる老後にしっかり備えたい、という人にとって、「保険料が一生上がらない」というのは大きな魅力であろう。また将来にわたり支払うべき保険料が明確にわかっていると、老後の資金計画も立てやすいのではないだろうか。

終身医療保険の2つのデメリット

終身医療保険は一定の保険料で生涯にわたり同じ保障を受けられるのが確かに魅力だが、デメリットがないわけではない。

終身医療保険は変化する医療事情に対応できない可能性がある

近年は、入院日数が短縮化傾向にあったり、通院によるがん治療が可能になったりと、医療事情がめまぐるしく変化している。生命保険会社が定期的に商品内容を改定したり新商品を発売したりするのは、こういった変化に対応した保障を提供するためでもあるのだ。

終身医療保険は生涯にわたり保障が続く半面、その内容は契約時のまま変わらない。そのため今後数十年の間において医療事情に大きな変化があったような場合には、いま加入している保険では十分対応できない可能性があるのだ。

日本人の平均余命は、35歳男性で46.88年、40歳男性で42.05年、45歳男性で37.28年となっている(2017年簡易生命表より)。医療技術が日進月歩で変化している現在、30年後、40年後の医療事情がどうなっているのか正確に予想することは非常に困難である。

終身医療保険に加入する際は「これで大丈夫」と安心するのではなく、今後、医療事情の変化に合った保障を追加しなければならなくなる可能性があることを忘れてはならない。

終身医療保険は若い頃に加入すると保険料が割高になる可能性がある

定期医療保険は、21歳~30歳まで、31歳~40歳まで、というように加入時・更新時の年齢から次の更新時までのリスクをもとに保険料を算出する。これに対して終身医療保険は、一生涯におけるリスクをもとに保険料を算出する。高齢になった場合のリスクまで一律の保険料でまかなわなければならない終身医療保険は、年齢に伴い段階的に保険料が値上がりする定期医療保険に比べ、若い頃の保険料が割高になる傾向にあるのだ。

自身の保険を見直すときに子供の終身医療保険を検討する人は少なくないが、その場合は定期保険に比べて保険料が割高になる可能性があることを念頭におき、定期型と終身型、それぞれの特性を比較するが大切である。

終身医療保険は保障内容だけでなく払込方法も吟味を

終身医療保険を検討する際は保障内容や保険料だけでなく、保険料の「払込方法」についてもしっかり吟味したい。終身医療保険の保険料払込方法は、「終身払い」と「短期払い」の2種類に分けられるのだ。

終身払いは生涯にわたり保険料を払い続ける方法のことをいう。これに対して短期払いは、契約時より60歳まで、65歳まで、あるいは契約時より5年間、10年間、というように短期間で一生分の保険料を払い込んでしまうものだ。

40代以降は短期払いで老後に備えるのも一つの選択肢

短期払いで終身医療保険に加入する最大のメリットは、年金生活になる老後に保険料の支払いをしなくてすむという点である。収入が安定してくる40代以降に終身医療保険への加入を検討する場合は、短期払いを選択して現役時代に保険料の払込を済ませ、老後に備えるのも一つの選択肢ではないだろうか。

終身医療保険には、様々なメリット・デメリットがある。この種の保険を検討する際は保障内容や保険料はもちろん、払込方法についてもしっかり吟味し、自分にとってどのようなメリット・デメリットがあるのか総合的に判断することが大切だ。

文・曽我部三代(保険業界に強いファイナンシャルプランナー)
 

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