地方への移住は、気ままで幸せな老後を送るための選択肢の一つだ。しかし、憧れだけで安易に移住してしまうと、後悔してしまうかもしれない。老後の移住で考えなければならないポイントと、人気の都道府県を見ていこう。
移住希望者の多い都道府県ランキング1位は長野県
移住を検討している人に人気の都道府県トップは、2年連続で長野県だった。直近3年間の移住希望地の上位5地域は、以下の通りだ。(※認定NPO法人ふるさと回帰支援センター2018年の調査より)
2016年 | 2017年 | 2018年 | |
---|---|---|---|
1位 | 山梨県 | 長野県 | 長野県 |
2位 | 長野県 | 山梨県 | 静岡県 |
3位 | 静岡県 | 静岡県 | 北海道 |
4位 | 広島県 | 広島県 | 山梨県 |
5位 | 福岡県 | 新潟県 | 新潟県 |
(回答件数/複数回答) | n=6,777 | n=8,498 | n=9,772 |
(※)ホームページを元に筆者が作成
長野県、静岡県、山梨県が3年連続でトップ5に入っている。移住希望地の上位には、富士山をはじめとした山が多く、自然豊かな地域が多い。また、主要都市にアクセスしやすい利便性の良い地域が並んでいる印象だ。
老後に地方移住するメリットはのんびりとした暮らし
老後に地方移住することは、どんなメリットがあるのだろうか。環境、コスト、人間関係の面から見ていこう。
自然が豊か
都会の喧騒を離れ、山や海などの豊かな自然に囲まれて暮らせるのは、地方移住の大きな魅力だ。ただし地方といっても、地域ごとに気候や環境は異なるため、自分がどのような暮らしを望むのかよく考えて移住先を選ぼう。
住宅コストが安い
住宅コストの安さも大きなメリットだ。地方では家賃相場が都内の半分以下という地域がほとんどだ。また、地方創生政策の一環として、移住者への家賃やリフォーム費用の補助などを行う自治体や、一定の条件を満たせば土地や家を無償で譲渡してもらえる自治体もある。
地域の人々との交流
畑で育てた野菜などを交換し合ったり、地域行事へ参加したりといった地域の人々との交流も地方移住の魅力の一つだ。都会にはない、人と人とのつながりを感じられるだろう。
老後に地方移住するデメリットは交通機関の不便さ
地方移住のメリットは、デメリットと表裏一体だ。移住を考えるのであれば、メリット・デメリットを踏まえて移住するか判断したほうがいい。
公共交通機関、病院やスーパーなどが近くにないことがある
公共交通機関が都会のように発達しておらず、生活に車が欠かせない地域も少なくない。病院やスーパーといった日常生活に必要な施設が近くにあるかも暮らしに大きく影響する。田舎と都会の間をとって、県庁所在地などの地方都市に移住するという選択もある。
車の維持費などがかかる
田舎は、都会以上にお金がかかる部分もある。車がないと生活できないような地域では、ガソリン代や車の維持費がかかる。地場産品などは安く手に入っても、既製品などは物流コストなどで割高になりがちだ。その地域の生活コストは、移住する前にできるだけ調べておきたい。
コミュニティが狭い
コミュニティが狭いことは、親密な交流が期待できる反面、うまくなじめなければ暮らしにくさにつながる。田舎になるほどコミュニティは狭くなる傾向があるため、自分の性格や地域との距離感なども移住先を選ぶうえでポイントとなる。
老後の移住で後悔しないために今からできる3つのこと
老後の移住で後悔しないためには、事前の下調べや準備が大切だ。
事前に地方自治体などに相談する
すでに移住したい地域が決まっているのであれば、各自治体が役場などで事前相談を受け付けている。その地域の移住に関する情報や自治体の補助金制度、移住体験などについて教えてもらえるだろう。移住前に、なるべくその地域で実際に暮らしてみるべきだ。暮らしてみなければ分からないことも多い。
移住関連のイベントに参加する
移住先を探している人は、移住関連のイベントに参加するのもいいだろう。全国の自治体が参加するイベントでは、さまざまな地域の魅力について地元の人から直接話を聞くことができる。それまで知らなかった地域の魅力を発見できるかもしれない。
地方への移住関連のメディアを活用
移住に関する情報をまとめたメディアやサイトなどもうまく活用したい。地域に関する情報や、移住者の声などの有益な情報がまとまっている。
主な移住関連メディアには、移住・交流推進機構が運営する「ニッポン移住・交流ナビ(JOIN)」やふるさと回帰支援センターのサイト、総務省が運営する「全国移住ナビ」などがある。
老後の移住のポイントは自分に合った暮らしができるかどうか
いざ移住してみると、「こんなはずではなかった」と後悔することもあるだろう。移住する前に、移住の目的をよく考えることも大切だ。生活環境を大きく変えずに生活コストを抑えられる地方都市への移住や、普段は便利な都会で生活し、週末だけ田舎で過ごす週末移住といった選択肢もある。自分に合った暮らしができるかどうかを見極めて選択したい。
文・竹国 弘城(ファイナンシャル・プランナー)
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