車を所有する人にとってETCカードは便利なもの。クレジットカードに紐づけして使うというイメージが、しかし実は金融機関の口座から引き落とす形で利用額を支払う「ETCパーソナルカード」があるのはご存じだろうか。どんなメリット・デメリットがあるのか紹介しよう。

利用額が金融機関口座から直接引き落とされるETCカード

ETCカードは有料道路の料金所をスムーズに通過できるだけでなく、深夜割引や地方では平日朝夕割引や休日割引が適用される便利なカードだ。さらにETCマイレージサービスというポイント制度では、利用額に応じて付与されるポイントを貯めて通行料金に充てることもできる。

このように便利でお得なETCカードだが、利用額はクレジット決済となるためクレジットカードを持たない人は作れない。

しかしクレジットカードを持っていない人でも、利用額を金融機関口座から引き落として決済するETCパーソナルカードというものが発行されている。これは決済方法が違うだけで通常のETCカードと同じように割引もマイレージサービスも利用できる。

ETCパーソナルカードとクレジットカード連動型ETCカードの違いは?

ETCパーソナルカードは、東日本・中日本・西日本高速道路株式会社、首都高速道路株式会社、阪神高速道路株式会社、本州四国連絡高速道路株式会社の6社が共同発行するETCカードである。年会費はカード1枚あたり1,234円(税込)。

ETCパーソナルカードが一般的なETCカードと異なるのは、あらかじめデポジット(保証金)を預託する必要があるという点だ。
 

平均利用月額 デポジット額
5,000円 2万円
1万円 4万円
1万5,000円 6万円
2万円 8万円

預託するデポジット額は有料道路の平均利用月額(5,000円単位で切り上げ)の4倍となる。つまり、平均利用月額が5,000円以下の場合にはデポジット額は2万円だ。平均利用月額は申し込み時に利用者が申告し、カード発行後は実際の利用実績に応じてデポジットの増額が求められることもある。

未決済の利用額残高が預託してあるデポジットの70%に達した時点でデポジットの増額が求められる。その増額に応じなかった場合や未決済の利用額残高がデポジットの80%を超えた場合、あるいは利用額の引き落としができなかった場合はカードの利用が停止される。

利用額は本人名義のほか生計を一にする父母、配偶者もしくは子の名義の金融口座から1ヵ月単位で引き落としとなる。カード退会時にはデポジットは戻ってくるが、未決済の利用額残高がある場合はデポジットと相殺され残りが返還となる。

ETCパーソナルカードのメリット 審査がない、紛失の際のリスクが低いなど

ではクレジットカード連携型でないETCパーソナルカードにはどのようなメリットがあるのだろうか。

審査なしでETCカードを発行できる

クレジットカードとは違い審査がないため、基本的に誰でもカードを発行してもらえる。事情があってクレジットカードを作れない人には大きなメリットといえるだろう。

紛失・盗難時のリスクを小さく抑えられる

車載器にETCカードを挿入したまま車から離れ、車上荒らしでカードを盗まれた場合には、そのETCカードが不正利用されても補償されないことがある。

しかし、ETCパーソナルカードの場合では、未決済利用額の残高がデポジットの80%を超えた段階で利用停止となるため不正利用の被害も少なく済む。とはいえ紛失・盗難に遭ったのならすぐにETCパーソナルカード事務局に連絡して使用停止してもらおう。

ETCパーソナルカードのデメリット デポジット負担、申込みが面倒など

一方でETCパーソナルカードのデメリットはどのようなものがあるのだろうか?

デポジットの負担がある

審査がない代わりにデポジットがあるわけだが、初期費用として支払う金額としては負担が大きい印象があり、デポジットの増額ルールも都度都度のことなので、日常的に車を使う人にとっては手間だろう。

年会費がかかる

年会費無料のクレジットカードやETCカードも多い中、デポジットに加えて年会費も必要となる。

インターネットから申し込みができない

申し込みはサービスエリアなどのコンシェルジュカウンターで申込書を入手し記入してから郵送する。その後、デポジット振込依頼書が届くので郵便局かコンビニでデポジットを振り込むと2週間ほどでカードが郵送で届く。

クレジットカードに紐づけられたETCカードの申し込みの多くはインターネットだけで完結することを考えると、ETCパーソナルカードの申し込み方法は非常に不便に感じられる。

クレジットカードを持たない人にはメリットが大きい

クレジットカードを作れない人や作りたくない人にとっては、ETCパーソナルカードは大きなメリットなのは間違いない。もし、利用するのであればメリットとデメリットをよく理解したうえで上手に使ってほしい。

文・モリソウイチロウ(ライター)
 

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