老後資金の目安が気になる人は多いだろう。2019年6月、金融庁の報告書によって老後資金が2,000万円不足すると報告されたが、経済産業省の試算では2,895万円の貯蓄が必要だという。果たして老後の資金は、実際いくらあれば足りるのだろうか。
老後に必要な資金は?平均的な高齢無職世帯では毎月約4万円の赤字
平均的な高齢無職世帯の1ヵ月の生活費(消費支出)は夫婦世帯で23万5,615円(※総務省統計局が実施した2018年の家計調査より)、公的年金などの収入から税金や社会保険料などを差し引いた可処分所得は月19万3,743円なので、毎月の収支は以下のようになる。
19万3,743円-23万5,615円=-4万1,872円
毎月4万円以上も資金が不足するのだ。単身世帯でも月3万8,670円赤字だという。
公的年金だけでは老後資金1,200万円が不足する
65歳の平均余命は男性19.57年、女性24.43年(※厚生労働省による2017年度の簡易生命表より)。65歳の夫婦がともに平均余命まで生きると仮定すると、上記の不足を補てんするために約1,200万円が必要になる。
- 夫婦期間(19年間とする):4万1,872円×12ヵ月×19年=954万6,816円
妻単身期間(5年間とする):3万8,670円×12ヵ月×5年=232万200円
954万6,816円+232万200円=1,186万7,016円
この金額はあくまで平均値をもとに計算したもので、受け取る年金額や生活費には個人差がある。長生きすれば、それだけ多くの資金が必要になる。支出が少なく、年金などの収入の範囲内で生活できる世帯もあるだろう。
老後の介護費用、子どもへの援助などの備えも必要
公的年金受給開始前に退職するケースでは、無年金期間の生活費が別途必要になる。2019年7月現在、公的年金支給開始年齢のさらなる引き上げも検討されており、無年金期間が長期化する可能性もある。
老後に必要な資金は、毎月の生活費だけではない。上記のシミュレーションの不足額には含まれない介護費用や家のリフォーム、子どもへの援助などについても備えが必要だ。これらの費用は一度にまとまった金額が必要になるケースが多いため、生活費とは分けて管理し、すぐに現金化できる状態で準備しておくのが望ましい。
国民年金の満額受給額は月6万5,008円 所得代替率も低下
2019年度の公的年金支給額は、国民年金(老齢基礎年金)を満額受給できる人で1人あたり月額6万5,008円。厚生年金を受給できる標準的な夫婦2人世帯では、月額22万1,504円となっている。
これには、夫婦2人分の老齢基礎年金が含まれている。夫または妻が平均的収入で40年間就業し、配偶者がその期間すべて専業主婦、もしくは主夫であった世帯が年金を受け取り始める場合の給付水準だ。2014年の財政検証によると、30年後の2043年の年金給付水準は2014年と比べて約20%減少するという。
現役世代の手取り収入に対する年金額の水準を示す所得代替率は、2014年の62.7%から徐々に低下し、2043年には約50%になると推計されている。ただし、女性や高齢者の労働参加が進むことで、日本経済が成長を維持できれば、2043年以降も所得代替率50%以上を確保できる見込みだ。
一方想定を下回るケースでは、所得代替率は30%台後半まで低下する可能性がある。この場合、年金制度自体の見直しを含め、給付水準はさらに低下するだろう。2019年の財政検証の結果に注目したいところだ。
豊かな老後を送るために今からできる2つのこと
もはや、年金給付水準の低下は避けられない問題と言える。若い世代ほど受け取れる年金は減り、自助努力による老後資金の準備が重要になるだろう。今からできる老後の資金不足に対応する方法は、資産の形成と将来を見据えたキャリアの選択だ。
iDeCo(イデコ)やつみたてNISAを活用した資産形成
「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「つみたてNISA」は、自助努力による老後資金の準備を税制面で後押しする制度だ。老後資金は比較的長い準備期間があるため、ある程度リスクを取った運用でもいいだろう。株式やインデックス型の投資信託・ETF(上場投資信託)などへ投資すれば、効率良く資産を形成できる可能性がある。
ただし、投資する商品選びには注意が必要だ。老後資金の準備では、なるべく低コストで長期的に値上がりが期待できる商品を選びたい。
将来を見据えてキャリアを考え自分で稼ぐ力をつける
自分で稼ぐ力は、今後ますます重要になるだろう。老後も収入を得る術を持っていれば、それほど多くの老後資金を準備する必要はない。自分のスキルをいかに高められるかを意識しながら働くことが大切だ。キャリアアップのための転職や、副業・兼業といった選択肢もある。
老後資金の絶対的な目安はない
老後に必要な資金ついては個人差があるため、2,000万円のような数字自体にあまり意味はない。いくらお金があっても、それ以上に使えばいずれなくなってしまう。まずは、老後の生活で最低限必要なミニマルライフコストを把握しよう。いくらあれば生活できるかを知ることが、安心につながるからだ。
老後の備えとしてまずはiDeco(イデコ)から検討を開始してみよう
老後に備える手段としてiDeCo(イデコ)やつみたてNISA、スキルアップなどを紹介してきた。中でも今すぐ気軽に老後に備える手段として始められるのがiDeCo(イデコ=個人型確定拠出年金)だ。この私的年金制度には
・掛金は全額所得控除の対象
・運用で発生した利益は非課税
・受取時も控除対象
など、様々な税制上のメリットがある。大手ネット証券でもiDeCoを取り扱っているので一度検討してみるのがよいだろう。
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執筆・竹国弘城(ファイナンシャルプランナー)
証券会社、保険代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。より多くの方がお金について自ら考え行動できるよう、お金に関するコンサルティング業務や執筆業務などを行う。RAPPORT Consulting Office 代表。1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP® HP : https://www.rapportco.com
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