老後に不安を抱える人は8割超 今からできる老後のお金の準備方法をFPが解説

2019.8.1
運用・家計
(写真=mirtmirt/Shutterstock.com)
(写真=mirtmirt/Shutterstock.com)
老後に漠然とした不安を抱く人は多いのではないだろうか。2019年6月、金融庁の報告書によって老後資金が2,000万円不足するという試算が発表され、話題となった。今回は、老後の資金面の不安に対し、どう備えればいいかを解説する。

老後に不安を抱く人は85%

生命保険文化センターが2016年に行った調査では、85.7%もの人が老後の生活に不安があると回答している。このうち、「非常に不安を感じる」と回答した人は22.7%に上った。

不安を抱く内容は、「公的年金だけでは不十分」が80.9%と最も高かった。多くの人が、公的年金だけでは老後にお金が不足すると考えていることがわかる。また、「自助努力による準備が不足する」は38.1%、「退職金や企業年金だけでは不十分」は36.7%だった。

老後の資金は平均1,500万円不足する?

老後の生活には、実際にどれくらいお金がかかるのだろうか。平均的な高齢無職世帯の1ヵ月の生活費(消費支出)と、公的年金などの収入から税金や社会保険料などの非消費支出を差し引いた可処分所得は以下の通りだ。(※総務省統計局が実施した2018年の家計調査報告より)

・夫婦世帯の場合
可処分所得:19万3,743円
消費支出:23万5,615円

・単身世帯の場合
可処分所得:11万933円
消費支出:14万9,603円

収入と支出を比較すると、夫婦世帯で毎月4万1,872円、単身世帯で3万8,670円の生活費が不足することがわかる。金融庁の報告書にあったように、日本の全人口の4分の1が95歳まで生きると仮定すれば、老後期間は30年。この30年分の不足をカバーするためは、夫婦世帯で約1,500万円、単身世帯で約1,392万円の資金が必要になる。

老後不安の一因、介護費用など想定外の支出にも注意

公的年金支給開始前に退職し再就職しないケースでは、年金を受け取れない期間が生じる。この期間の生活費は前述の試算に含まれていない。

前述の夫婦世帯の毎月の生活費約23万円を例にすれば、不足額は年間約276万円。公的年金受給開始年齢は現行の65歳から70歳へ引き上げが検討されており、今後さらなる引き上げの可能性もある。無年金期間が長期化すれば、それだけ多くの資金が必要になる。

さらに、介護費用や家のリフォーム、子どもへの資金援助など、通常の生活費以外の出費も想定しておくべきだろう。このような出費に備え、まとまった資金を現金化できる状態にしておくと安心だ。

老後の不安を解消する3つの方法 

老後の資金に対する不安を解消する方法は、大きく分けて「収入を増やす」「支出を減らす」「資金を運用する」の3つがある。

収入を増やす

まずできることは、現在の仕事で収入を増やすことだが、一般的な会社員がすぐに給料を上げるのはなかなか難しい。本業の収入アップが難しいなら、副業で収入を得る方法も考えてみよう。副業を解禁する会社は増えており、クラウドソーシングなど場所や時間に縛られない働き方も一般的になりつつある。会社に頼らず自分で稼ぐ副業は、終身雇用が崩壊する中でますます重要になっていくだろう。他にも、収入アップを狙って転職するという選択肢もある。

夫婦で協力して、世帯収入を増やすことも大切だ。配偶者に収入がれば、資産形成において圧倒的に有利だ。パートナーが働く意思があるなら、共働きを強く勧めたい。

支出を減らす

家計の支出において、減らすべきは毎月発生する固定費だ。住居費(家賃・住宅ローン)や保険料、通信費などの固定費は年間でかかる金額が大きいため節約効果が高い。一度見直せばその効果が持続するため、心理的な負担や日常生活への影響も少なくて済むだろう。大手キャリアから格安スマホに乗り換えるだけでも、1人あたり年間数万円節約できることがある。

固定費を減らした上で、毎月どのくらいお金があれば最低限の生活ができるか考えてみよう。この「ミニマルライフコスト」を把握していれば、お金の不安はかなり軽減されるはずだ。ミニマルライフコストを知らないままでは、いくらお金があってもお金が足りなくなる不安はなくならないだろう。

資金を運用する

運用によって、お金に働いてもらうことも大切だ。40代であれば、老後資金が必要になるまで時間があるので、ある程度のリスクを取って運用できる。株式やインデックス型の投資信託・ETF(上場投資信託)などへ投資するといいだろう。運用資産に占める株式などリスク資産の割合は「100-年齢(単位は%)」が一つの目安だ。iDeCo(イデコ)やつみたてNISAなどの税制優遇も上手く活用しよう。

老後に働くという選択も

老後も働いて、不足する生活費を稼ぐという手もある。年金に加え、働いて得られる収入で生活費をまかなえれば、老後に多くの貯蓄は必要ない。

政府は社会保障制度改革の一環として「生涯現役社会」を掲げており、意欲があれば年齢に関わらず働ける社会を目指している。働き方改革の一環として、副業や兼業を推進する動きもある。政府も自助努力によって老後に備えることを国民に求めていると言えるだろう。

老後の不安を解消するためには主体的に考え行動することが重要

老後の不安は簡単には消えないが、不安を減らすために行動することはできる。生活に最低限必要なミニマルライフコストを把握したり、資産運用をしたりすることで、今から少しずつでも老後に備えておきたいものだ。

文・竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
 

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