知っておきたい保険の基礎用語5選 保険金額と保険価額、保険金と給付金の違い

2018.9.13
FINANCE
(写真=Foxy burrow/Shutterstock.com)
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保険について調べていると似た用語が出てきて戸惑うことがある。それぞれの違いを知らないと、自分が「保険金」と思っていた補償額と違ったり、課税関係が異なったりすることもあるので要注意だ。また、適切な保険の金額設定についても把握しておこう。

「保険金額」と紛らわしい用語との違い

保険について、その「保険」の「金額」は非常に気になるところだろう。しかし「保険」の「金額」とは何を指すのだろうか。保険会社に支払わなければならない金額だろうか、それとも保険会社から受け取る金額だろうか。また、保険会社のサイトにある「保険金額」と「保険価額」とは何が違うのだろうか。そして、保険の「金額」はどのように決めたらよいのだろうか。ここでは保険に関するお金の用語と基礎知識を明確に理解しよう。

「保険金額」「保険金」と「保険料」との違い

日常生活で「自分は保険金を〇円払っている」「家計の見直しで保険金の負担を減らしたい」と表現する人がいる。相手に通じるなら目くじらを立てる必要はないが、正確に言えば間違いだ。

保険金は保険会社から契約者に対して支払われるものだ。保険金の金額という意味で「保険金額」という言葉も使う時も同様だ。厳密な意味での「保険金額」は損害保険の契約上の金額を指すが、これも保険会社から支払われるという、お金の流れの方向は同じだ。

個人が「保険を払っている」というのは「保険料」と呼ぶのが正しい。保険の契約時に決めた保険金(保険金額)に合わせて、契約者は保険会社に保険料を支払う。個人の家計から保険会社へ支払われているのが保険料だ。

損害保険での「保険金額」と「保険価額」との違い

損害保険では「保険金額」と並んで重要な用語に「保険価額」というものがある。生命保険では値段がつけられない「ヒト」の生死を扱うが、損害保険では偶然の事故で生じた損害を扱う。損害保険の対象は「モノ」であることが多く、そのモノは金銭的な値段に置き換えることができる。この保険を掛ける対象のモノの価格を「保険価額」という。火災保険や自動車保険であれば、その家や車の値段ということになる。

家や車などの保険価額は、時価か再調達価格のどちらかで考える。時価とは、新品で購入した状態から古くなって価値が目減りした分を差し引いて計算したものだ。再調達価格とは、再び同じようなモノを購入する場合の価格をいう。

被った損害が保険価額全額でないこともある。「半分しか壊れていない」などの場合だ。だから、保険価額は保険事故が発生したときに被るであろう損害の最高見積額とされる。

一方、保険金額は契約時に決める金額だ。必ずしも保険価額と同じとは限らない。保険金額が保険価額よりも大きい場合を「超過保険」、同額のものを「全部保険」、保険金額が保険価額より小さい保険を「一部保険」という。

契約書に書かれた保険金額は、保険会社が支払う上限だ。損害保険では「利得禁止の原則」という決まりがある。損害保険では実際の損害以上の保険金を受け取ってはならない。いわゆる「焼け太り」を禁止しているのだ。

よって、実際に保険事故が起こって保険会社から支払われる「保険金」の額は、契約上の保険金額を上限に、保険価額のうち現実に損害を被った額となる。ただし、一部保険ではこれより低い額となる。

なお、損害保険で保険会社から受け取った金額は原則非課税だ。「利得禁止」により、保険金では損失の穴埋めをしただけで何の利益も得ないと考えるとよい。もっとも、損害保険会社の中で扱っている商品の中でも、死亡保険金や積立型保険の満期返戻金などは生命保険同様課税の対象となる。

生命保険での「保険金」と「給付金」との違い

日常で使う「保険金がおりた」という表現にも正確には保険金とは呼ばない場合がある。保険会社から個人へ支払われるお金には「保険金」の他にも「給付金」という言葉がある。

生命保険の「保険金」とは、保険の対象となっている人が死亡(または高度障害)のときや、満期まで生存していたときに支払われるお金を指す。入院や手術で保険会社から契約に基づいたお金が支払われた場合、それは保険金ではなく「給付金」という。

大きな違いは課税の対象かどうかだ。所得税法上、生命保険の契約のうちケガや病気で本人や一定の親族が受け取る給付金は非課税だが、保険金は所得税・相続税・贈与税のいずれかの対象となる(契約者と受取人の関係で異なる)。

ただ、名称が保険金でも非課税とされるものもある。例えば、「特定疾病保険金」や「リビング・ニーズ特約保険金」などだ。「生前に闘病のために使うものは非課税」とイメージすると分かりやすいだろう。

損害保険との大きな違いは、損害保険の「保険金額」「保険価額」、そして実際に保険会社から支払われる「保険金」が全て「損害の額」を基に決まるのに対し、生命保険での保険金や給付金は「定額」を契約することだ。「ヒト」の命や健康に客観的な値段はない。契約者が将来の保険金や給付金を決定し、それに応じた保険料を払う。

損害保険の「保険金額」は満額支払われない?

損害保険の契約上の「保険金額」はあくまで保険金の上限だ。また、損害保険には「利得禁止の原則」があり、実際の損害以上の保険金を受け取ってはならない。これを、「実損払い」という。

保険のかけ方によってはさらに保険金が少なくなることもある。超過保険や全部保険では実損払いだが、保険金額が保険価額より小さい一部保険では、保険金額と保険価額の割合に減額されるのだ。これを「比例払い(比例てん補)」という。

比例払いをごく単純に言えば、200万円の保険価額のものに対して100万円の保険金額がかけられているような場合、損失額が100万円でも支払われる保険金は、その2分の1となる。保険価額に対する保険金額の割合が2分の1だからだ。

もっとも、火災保険では比例てん補の場合でも分母の数字を80%とすることが普通だ。分母を小さくすることで普通の比例てん補よりは多めの保険金が支払われるようになっている。

近年は火災保険の比例てん補は少なくなりつつある。ただ、古いタイプの保険や火災保険以外の保険では残っていることもあるので、契約前にきちんと確認しよう。

なお、超過保険で保険金額がいくら高くても保険価額を超えて保険金が支払われることはない。利得禁止の原則から実損てん補分しか認められないからだ。

超過保険は、「契約時のうっかりミス」や「保険期間中に家財を処分するなどして保険価額が大きく下がった」などの場合は、保険金額を変えることができるし、超過分の保険料が返ってくることもある。保険はかけっぱなしにせず、時々見直すことが大切だ。

生命保険の「保険金」はどれくらいにすればいいの?

損害の「値段」で決まる損害保険とは異なり、生命保険の保険金は契約によって決まる。一昔前は夫が家計の大黒柱で、女性の就労が一般的ではなかったため、夫に高額の保険をかけることがよくあった。

高額の保険金のためには高額の保険料を支払わなくてはならない。家計の見直しを考える際にまず考えるのは月々の固定費となっている生命保険料が多すぎないかという点である。保障は必要に応じた額で十分なのだ。

適切な必要保障額の求め方

家計の担い手が死亡した場合の必要保障額は、単純に死亡後の総支出から総収入を引いて求める。

支出総額は、末子独立までの遺族生活費(現在の生活費の70%)と、末子独立後の配偶者生活費(現在の生活費の50%)、その他の必要資金(子供の教育費、住居費、緊急予備費など)だ。生活費の70%や50%はファイナンシャル・プランナーが用いる数字であくまで仮定だが、一つの目安となるだろう。

住居費はゼロ円で済むこともある。住宅ローンを組むときに団体信用生命保険に加入しており、死亡時に一括返済できるケースだ。

一方、総収入については「社会保障・企業保障」「保有金融財産」をまず把握しよう。社会保障には遺族年金がある。国民年金加入者は子どもが18歳になるまで年間約78万円と子どもの加算額(第2子まで1人当たり約22万円)となる。夫がサラリーマンで厚生年金に加入していた場合は、遺族基礎年金に上乗せして遺族厚生年金が支給される。老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3相当額だ。

条件次第で中高齢寡婦加算があったり、30歳未満の妻は5年の有期だったりする。制度が複雑で分かりにくければ、会社の担当者やファイナンシャル・プランナーなどに相談してみよう。

このようにして求めた支出総額と総収入との差額を生命保険で賄えばよい。そして、必要保障額が最大になるのは末子が誕生した時で、あとは少しずつ減額していけば済む。その分支払う保険料も節約できる。

よそのお宅はどれくらい?統計資料から見る実態

生命保険文化センターが3年ごとに生命保険の加入状況などの実態調査を行っている(「生命保険に関する全国実態調査」2015年12月発行)。

この調査によると、2015年時点で何らかの保険に入っている率は89.2%となっている。世帯での死亡保険金額は2,423万円(世帯主の死亡保険金額は1,509万円)、世帯年間払込保険料は38.5万円だ。

死亡保険金を年齢別で見ると、29歳以下で2,405万円、30~34歳3,093万円、35~39歳で3,050万円、40~44歳で3,277万円、45~49歳で3,287万円、50~54歳で3,388万円、55~59歳で3,175万円、60~64歳で2,362万円、65歳~69歳で1,799万円、70歳以上で1,194万円となっている。

世帯主死亡保険金額の推移をみると2003年の2,313万円から2015年に1,509万と減少傾向だ。妻の死亡保険金も2003年の1,076万円から807万円に減っている。

この調査では、加入状況だけでなく意識調査も行っている。その結果「年間最大保険料をいくら払えるか」という問いの答えは平均33.9万円であり、前回より2.3万円少ない。

一方で生活保障へのニーズは多様化している。現状でも「世帯主に万一の場合」への備えは2位で(47.4%)、1位は「世帯主の病気やケガ(54.3%)」への保障だ。3位以下は「配偶者の病気やケガ(45.1%)」「配偶者に万一の場合(35.5%)」「世帯主の老後の生活資金(30.7%)」と続く。

今後増やしたい保障も「老後」「介護」が多い。一方、今後減らしたい項目は「特にない」が大多数で、他の選択肢も1%以下なのだが、世帯主の死亡保障だけが1.4%で1位である。

減らすほどでもないが、「追加で加入する意向がない」人に尋ねると、その理由は「経済的余裕がない(51.3%)」が最多で、次に「生命保険にはもう十分加入している(22.8%)」となっている。なお、生命保険に入っていない世帯でも、理由は「経済的余裕がない(42.3%)」がトップとなっている。

この調査からは、死亡保険金以外のリスク対策の多様化と保険料という経済的負担の中で、人々の保険商品に対する姿勢が伺える。死亡保険の金額を、世帯主死亡後の総支出から総収入を引いて求める数字がいわば理論値だとすれば、統計に表れているのは現実の値といえるだろう。もちろん、統計は平均など全体の動向を掴むもので、あくまで自分の個別のケースの試算をおろそかにするべきではない。ただ、保険の金額を実際に決定にする際の参考となるだろう。

ライフスタイルが多様化した現在、個別のニーズと家計状況などを踏まえ、消費者それぞれが保険商品を比較検討しながら加入するようになってきている。賢い保険選びをするためには、まずは保険に関する基礎用語を明確に把握しておきたい。
文・MONEY TIMES 編集部

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