住宅ローンの審査で金融機関から希望通りの融資を受けられない場合に、共働き夫婦であればもう一人の収入を合算することでフルローンが組めるケースがある。共働き夫婦が連帯して住宅ローンを組む方法には連帯保証型、連帯債務型、ペアローンがあり、それぞれの特徴を理解して組まないとリスクを背負うことになる。 

住宅ローンを共働き夫婦が連帯して組む3つの方法 

共働き夫婦が連帯して住宅ローンを組むには次の3つの方法がある。

「連帯保証型」はシンプルに借入額を増やせる方法

一方が主たる債務者として住宅ローンの契約を行い、もう一方が連帯保証人となる。たとえば夫が主たる債務者になった場合、住宅ローンは夫名義となり、返済できなくなった場合は連帯保証人である妻が代わりに返済を行うことになる。

妻の収入を合算することで、夫一人の収入で住宅ローンを組むよりも借入額を増やせるが、連帯保証人となる妻の分の住宅ローン控除は受けられない。団体信用生命保険も夫のみの加入だ。不動産への登記は、それぞれが出す頭金に応じて所有権の持ち分を登記するケースが多い。

「連帯債務型」なら1本の契約で夫婦ともに住宅ローン控除が適用

夫・妻それぞれが債務者となり、連名で一本の住宅ローンを組む方法だ。夫が主たる債務者となる場合は妻が連帯債務者として全額債務を負うことになる。連帯保証型とは違い妻も債務者となるため、夫婦ともに住宅ローン控除を受けることが可能だ。

団体信用生命保険は一般の金融機関では夫のみだが、フラット35であれば妻も加入できるケースもある。不動産への登記は、それぞれが出す頭金の金額やローンの返済割合に応じて所有権の持ち分の登記をするケースが多い。

「ペアローン」は夫と妻が別々に住宅ローンを組む方法

ペアローンは1つの物件に対し、夫と妻がそれぞれの収入に応じて個別に住宅ローンを組む方法だ。ローンは別々だが、お互いの連帯保証人になり、夫は妻、妻は夫の返済に対して責任を持つことになる。

夫・妻ともに住宅ローン控除を受けることができ、団体信用生命保険の加入もできる。不動産への登記は連帯債務型と同様だが、住宅ローンが2本になりそれぞれ抵当権が設定される。

住宅ローン減税を考えるとペアローンが有利

住宅ローン控除は、個人が住宅ローン等を利用してマイホームの新築、取得又は増改築等し、自宅として利用する場合に受けられる減税措置。2021年12月31日までに居住を開始し一定の要件を満たした場合、住宅ローン残高の1%、年間で最大40万円(認定住宅の場合は50万円)が控除される。必ずしも借入残高の1%が戻ってくるわけではなく、支払っている所得税によって控除額は決まる。仮に年末の借入残高が2000万の場合、控除額はその1%である20万円になるが、所得税を10万円しか支払っていなければ控除されるのは10万円になる。

なお消費税10%が適用される住宅を取得し、入居時期が2019年10月~2020年12月となる場合には、控除期間が13年に延長され、控除額も変わる。

連帯保証型の場合、住宅ローン控除の対象は債務者である夫のみになるが、連帯債務型、ペアローンでは、夫婦ともに住宅ローン控除を受けることが可能だ。

特にペアローンでは、夫と妻それぞれの所得税額に応じて借入金額を調整すれば、住宅ローン控除枠を最大限に活用することができ、節税メリットも大きい。

連帯での住宅ローンは離婚や就業不能などのリスクも

共働き夫婦が連帯して住宅ローンを組めば希望の物件を手に入れられることもある。しかし、離婚した場合は財産の分け方や、その後の支払いをどうするかで揉めるケースも多い。妊娠や病気などで一方が働けなくなれば、一人の収入では返済できなくなるリスクもあるだろう。

夫婦で連帯して住宅ローンを組むのであれば、将来のリスクを想定して借入額、返済額など検討するべきだ。

文・山本智也(宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター)
 

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