民間医療保険の給付金は入院日数に連動するタイプが主流だが、医療費計算のもとになる診療報酬点数に連動する医療保険も増えている。その背景にあるのは実際の医療と給付内容のミスマッチだ。時代とともに医療は変わるため、実情に即した保険設計が求められる。

診療報酬点数連動型の医療保険は医療環境の変化により登場

日本の医療は、入院から通院へシフトしている。平均入院日数は、1990年は約45日だったが2017年は約30日と短期化している。一方、1日あたりの入院医療費は増加傾向にあり、入院日数に応じて給付金が支払われる医療保険とのミスマッチが起きやすくやっている。医療環境が変化していく中、診療報酬点数に給付金が連動する医療保険が登場した。

診療報酬点数連動型の医療保険とは

一般的な医療保険は、入院日額や手術給付金額があらかじめ決まっている。1日1万円の入院給付金であれば、5日入院すると5万円が受け取れる計算だ。この場合、医療費が高かったとしても入院日数分しか給付金を受け取ることができない。一方、診療報酬点数連動型の医療保険では、実際に行われた医療行為に対して給付金が支払われる。

診療報酬点数連動型医療保険は合理的な給付になりやすい

医療費は医療サービスを受けた対価として支払うものであり、医療行為内容によって価格が決まっている。価格は手術や検査、入院など医療行為ごとに診療報酬点数が定められており、1点10円として計算される。

診療報酬点数に連動する医療保険の場合、給付金額は「診療報酬点数×○円」によって決まる。実際に受けた医療行為によって給付金が支払われるため、一般的な医療保険より合理的な給付内容になりやすい。

診療報酬点数連動型医療保険の給付金イメージ

具体的な給付金のイメージを見てみよう。

<条件>

  • 虫垂炎で7日間入院し、入院中に手術を1回受ける。
  • 診療報酬点数は26,000点だった。
  • 自己負担割合は3割。

    診療報酬点数は1点10円のため、医療費総額は26万円。実際に窓口で支払う医療費負担額は、公的医療保険が適用されて7万8,000円だ。給付金が「診療報酬点数×3円」の医療保険だと、「26,000点×3円=7万8,000円」が受け取れるというわけだ。

    診療報酬点数連動型医療保険は受けた治療に対してる給付されるため、自己負担が大きくなってもカバーされやすいというメリットがある。

診療報酬点数連動型医療保険の3つの注意点

診療報酬点数連動型医療保険には、注意点もある。

公的医療保険が適用されない費用は給付対象外

診療報酬点数に連動するため、公的医療保険でカバーされない費用は対象外だ。代表的な費用としては、入院中の差額ベッド代や食事代、消耗品代などがある。特約を付ければ給付金が支払われる場合もあるが、基本は公的医療保険の適用範囲が対象になると考えていい。

保険によって給付金に限度額が設定されていることも

給付金には支払限度額が設定されていることも多い。たとえば、「1ヵ月あたりの入院給付金が20万円まで「給付金の総額が通算2,000万円まで」と決まっている商品があるのだ。自己負担額をカバーしやすい保険であることは間違いないが、限度額や給付金総額は商品ごとに確認したい。

1ヵ月あたりの給付金上限が決まっているのは、高額療養費制度という医療費の自己負担額を一定額に抑える制度があるからだ。ほとんどの人は1ヵ月の自己負担額が20万円以内なので、給付金上限があってもあまり気にする必要はないだろう。

更新ごとの保険料アップと年齢制限に注意

診療報酬点数連動型の医療保険は更新型が基本であり、更新のたびに保険料が上がる点に注意したい。保険期間は商品によって異なるが、5年や10年ごとに更新されるものや、加入時年齢に制限があるものもある。病気にかかりやすい高齢期に保険が切れていることのないよう、終身医療保険と組み合わせるのもいいだろう。

最低限の医療費や生活費の準備は必要

診療報酬点数連動型医療保険は、実際の治療費に即して開発された保険だが、すべてをカバーできるわけではない。リスクヘッジは自分でもしておくべきだろう。病気やケガはいつ起こるかわからないので、最低限の医療費や生活費を準備しておくことが大切だ。

文・國村功志(資産形成専門ファイナンシャルプランナー)

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