生命保険(死亡・医療保険)は高い加入率で身近な存在となっているが、絶対に必要かと問われると、答えに困る方も多いのではないだろうか。

生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」によると、23.2%の人が「家族や知人などにすすめられて」、19.1%が「営業職員にすすめられて」生命保険に加入しているのが実態だ。

これから加入する方も、すでに加入中の方も、無駄な保険料を払わないために「必要性」にこだわった選択・見直しを心掛けてはどうだろうか。

生命保険の考え方、加入が必要な人

まず、生命保険の考え方を確認しよう。めったに起こらないが、起こった場合は経済的なダメージが非常に大きい、そんなリスクに備えるのが保険の本来の役割だ。貯蓄でも対処できるレベルの金額(数万~百数十万円)の給付金を得るために、それに近い保険料を払うのならば、必要な保険とは言いにくい。

保険に頼る方が効率的なのか、貯蓄で対処できるレベルではないのか、その点を考えて選ぶことが大切だと言える。

では次に、生命保険が必要な人について考えていこう。

子どもがいる家庭の生計を担っている人ならば、死亡保険が必要不可欠だ。1人の人間の生涯賃金分が無くなるわけだから、これを貯蓄で補える家庭は少ないだろう。必要な保障額を計算の上、収入保障保険など、適切な保険に過不足なく加入したい。

逆に言えば、死亡保険は、子どもなど扶養親族がいない人には必要ないと言える。高齢者の場合、相続対策ならば必要なこともある。 

生命保険「必要保障額」の考え方 保険ショップでの試算は注意

夫が生計の担い手ならば、教育費も含めた今後の生活費の予想額から、公的保障の給付額や現在の貯蓄額、妻の予想収入額を引いたものが「必要保障額」となる。

保険ショップなどで、夫の死亡後の必要生活費を食費や交際費など、費用項目ごとに積み上げて試算して決めた方は、注意が必要だ。「希望」を積み上げた試算は過剰になりがちなためだ。実際の生活費より過剰になっている例が、相談者の中にも時々見られる。実際の生活費をベースに、夫の分が減ることも加味して考えよう。 
共働きの場合は、家計への貢献度に応じて、夫婦それぞれに死亡保険に加入するのがいいだろう。 

ずっと同じ生命保険料を払うのは損! 必要保障額は変化する

すでに必要保障額を考えて加入したという方も、加入後何年も見直しせずに、ずっと同じ保険料を払うのは損だ。年ごとに保障額が減っていく収入保障保険なら見直しが必要ないことが多いが、定期保険ならば年数を経るごとに保障額を減額していきたい。

必要保障額は「末子誕生時」がピークで、子どもたちの成長とともに減っていくべきだ。末子の大学卒業後は、かなり小さくならないとおかしい。

例えば、夫60歳(会社員)、妻55歳(専業主婦)の場合、この時点で夫が死亡すると、妻は満額に近い額になった夫の厚生年金受給額の4分の3を「遺族厚生年金」として生涯受け取れる。さらに、妻自身の老齢基礎年金が受け取れる65歳になるまで「中高齢寡婦加算」58万5100円(平成28年度)が毎年受け取れる。

子どもが社会人になっていれば、それほど大きな保障は要らないはずだ。30代から全く見直ししていない場合、無駄な保険料を払い続けている可能性がある。思い当たる方は、早速見直しをして、少しでも老後準備にまわしてほしい。死亡リスクより長生きリスクに備える番だ。

なお、遺族厚生年金が受け取れるのは会社員や公務員の遺族だけなので、自営業の方は、より手厚い死亡保険が必要だろう。 

医療保険の必要性は?

では、医療保険は必要と言えるだろうか。「高額療養費制度」で、ひと月の自己負担限度額は9万円前後だ(標準報酬月額28万~50万円の場合)。入院しても、経済的にはそれほど大きなダメージではない。公的医療保険対象外の費用を考えても、多くは自分で何とかできる程度の支出で納まる。

会社員ならば、「傷病手当金制度」もある。傷病手当金制度とは、休業4日目から、給料の3分の2が最長1年6カ月受け取れる制度だ。

一方、医療保険(入院保障)の給付金は「1入院の支払限度日数」の制限があるので、給付が受けられても限定的となる。「60日型」ならば、どんなに入院が長引いても、1入院で60日分の給付しか受けられない。入院の90%が60日以内という調査結果(厚生労働省「患者調査」平成26年)から見ても、60日型を選択することは合理的だと言える。ただ、長期入院に備えるつもりだったら、それは見当違いな加入の仕方となる。

高額療養費制度を考えれば、入院などに備えた予備資金が100万円くらいあれば、大抵の場合はカバーできる。医療保険加入が必要かどうかといえば「必要だとは言えない」ということになるだろう。

ただし、貯蓄がほとんどなく、短期でも入院費が払えないような場合は、貯蓄が増えるまでは医療保険に加入する必要性があるだろう。また、自営業で入院が即減収につながる場合は、収入補てんの意味で手厚く加入するという考えもある。その際には、所得補償保険や就業不能保険などとも比較して、自分のニーズに合ったものを選ぼう。 

保険は基本的には損に終わる金融商品

保険はよほどレアな事が起こらない限り、基本的には損に終わる金融商品だ。レアでも遭遇すれば経済的に非常に困ることは保険で対処し、貯蓄で対応できることは貯蓄で対処することを選びたい。

世帯年収が伸び悩む近年、必要な保険に絞ることで、保険料を削減して少しでも老後準備を増やす。そんな発想の転換が今の時代には求められている。

文・早乙女 美幸 (さおとめ) みゆき/ZUU online

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