「ろうきん」(労働金庫)」のカードローンは、他の金融機関より低金利で、さらに金利引き下げ制度があるといったメリットがある。ここでは「ろうきん」のカードローンの特徴やメリット・デメリットを、他の金融機関のカードローンと比較しながら詳細に解説していこう。

目次
1.「ろうきん」とはどんな金融機関なのか?
2,「ろうきん」カードローンの特徴は低金利を実現できること
3,「ろうきん」カードローンの2つのメリット
4,「ろうきん」のカードローンの2つのデメリット
5,各「ろうきん」カードローンの金利などを比較
6,日数的余裕があるなら「ろうきん」のカードローンも検討に

1.「ろうきん」とは?相互互助を目的とした会員制の金融機関

「ろうきん」とは、どのような金融機関なのだろうか。始めに概要を解説する。

「ろうきん」とは?

「ろうきん」の正式名称は、労働金庫。労働組合や生活協同組合のメンバーがお互いを助け合うために、資金を出し合って作った金融機関だ。「ろうきん」は全国13地区にありし、会員はそこからお金を借りたり預けたりすることができる。

全国に1,000万人の会員がいる「ろうきん」の基本理念は、会員による経済・福祉・環境および文化に関わる活動を促進し、共生できる社会の実現に寄与すること。金融サービスによって労働者の暮らしを守るという理念で活動している。営利目的ではないのが大きな特徴で、労働金庫法に基づいて運営されている。

このような特徴のある「ろうきん」を利用するためには、2つの条件を満たす必要がある。

利用条件1,その地域に住んでいること

都市銀行などは原則として誰でも自由に利用できるが、「ろうきん」の利用には地域的な条件がある。たとえば関東エリアに住んでいる、または勤めている人は「中央ろうきん」を利用することになり、他の「ろうきん」を利用できない。

中央以外の地域区分は、以下のとおり。
 

北海道 東北 新潟
静岡 長野 東海
北陸 近畿 四国
中国 九州 沖縄

利用条件2,労働組合、または生活協同組合に加入していること

「ろうきん」を利用できるのは、基本的に労働組合や生協に加入している人だ。これらの組合員でない一般的な勤労者の場合、組織に加入して会員になる必要がある。

個人で「中央ろうきん」を利用したい場合は友の会に加入するか、個人会員として加入すれば利用できるようになる。

2,「ろうきん」カードローンの特徴は?金利や審査基準、必要日数など

「ろうきん」は、住宅ローンや教育ローンなどの目的別ローンに加えて、カードローンも取り扱っている。ここからはカードローンにフォーカスし、その特徴を見ていこう。

特徴1,申込者の所属団体に応じて金利が異なる

「ろうきん」のカードローンでは、申込者の条件によって適用される金利が変わる。たとえば「中央ろうきん」の場合は、以下のとおりだ。
 

申込者の所属 適用される金利 保証料
団体会員の構成員 3.875~7.075% 0.8%
生協会員の組合員
またはその同一生計家族
4.055~7.255% 0.98%
上記以外の一般勤労者 5.275~8.475% 1.2%
※公式サイトを参照に筆者作成

団体会員の構成員や生協会員の組合員のほうが、金利は安く設定されている。一般勤労者は、0.8~1.4ポイントほど金利が高い。

さらにローンを利用するには、「ろうきん」が定める保証協会を利用する必要がある。その際は、上記の保証料が上乗せされることになる。

「ろうきん」カードローンの審査基準

「中央ろうきん」でカードローンを申込める人は、以下のとおりだ。

  • 満18歳以上満65歳未満の方(未成年の方は、法定代理人(親権者)の同意が必要)
  • 安定継続した年収(前年税込み年収)が150万円以上ある方
  • 同一勤務先に1年以上勤務している方※
  • 中央「ろうきん」の指定する保証協会の保証基準を満たす方

    ※自営業者など、給与所得以外の方は原則として3年以上

    申込み条件に関して、雇用形態に関する記述はない。よって、パート・アルバイト・契約社員・派遣社員・個人事業主などでも申込むことができる。

「ろうきん」でカードローン融資を受ける時に必要な日数

「ろうきん」のカードローンには仮審査と本審査があるが、かかる日数の目安は明示されていない。申込者の条件や属性などにもよるが、それぞれ1~2週間程度はかかると考えておいたほうがいいだろう。

借入と返済方法は?

カードローンの借り入れは全国の「ろうきん」だけでなく、銀行・コンビニのATMでもできる。

返済は、「定額型」と「残価スライド型」から選べる。なお、臨時返済も「ろうきん」「ゆうちょ銀行」「セブン銀行」のATM、スマホやパソコンからできる。

3,「ろうきん」カードローンの2つのメリット 低金利、金利引下げ制度

「ろうきん」のカードローンを利用する主なメリットは、以下の2つだ。

  • 低金利で借りられる
  • 金利引下げ制度がある

メリット1,上限金利が平均8~10%と他金融機関と比べて低い

金融機関の種類 金利の目安
労働金庫 4~10%
信用金庫 3~14%
都市銀行 2~14%
地方銀行 2~15%
消費者金融 3~18%
※複数の金融機関の公式サイトを参照し、筆者作成

「ろうきん」のカードローンの金利はおよそ4~10%で、上限金利は他の金融機関より低めだ。都市銀行や信用金庫などは下限金利が低いが、カードローンは融資限度額が大きくないと下限金利が適用されないことが多いため、金利については上限金利をチェックしたほうがいい。

なお、上記の金利はあくまでも目安であり、具体的な金利は各カードローンで異なる。

メリット2,金利引下げ制度がある

「ろうきん」のカードローンには、取引状況に応じて金利が下がる仕組みがある。「中央ろうきん」で設けられている金利引下げ制度には、以下のようなものがある。
 

制度の対象となる項目 引き下げられる金利
(年率)
給与振込の指定 1.5%
公共料金の自動支払い
(2種目以上)
0.3%
年金振込の指定 1.5%
一般財形・エース預金 0.3%
財形年金
年金受取エース預金
財形住宅
0.6%
不動産担保ローン
住宅金融支援機構・フラット35
年金融資・財形融資
0.6%
インターネット
モバイルバンキング
0.6%
労金UCカード 0.3%
若年者引下げ(30歳未満) 0.6%
※公式サイトを参照に筆者作成

各項目を組み合わせると、金利を最大3.2%引き下げることができる。

4,「ろうきん」のカードローンの2つのデメリット 融資開始日数や保証料に注意

金利面で「ろうきん」のカードローンに魅力を感じる人もいるだろう。しかし、いくつかの注意点もあるので、しっかりチェックしておきたい。

融資には最低でも2週間程度かかる

「ろうきん」のカードローンには仮審査と本審査があり、それぞれ1~2週間ほどかかる。よって融資実行まで最短でも2週間ほどかかるため、すぐに借りたい人には向いていない。消費者金融系のカードローンでは、最短で即日融資を実施しているところもある。それに比べると、融資実行まで時間がかかることはデメリットと言える。

急いでいる場合は、即日融資のカードローンを検討するといいだろう。ただし、消費者金融系カードローンの金利の目安は3~18%であり、上限金利が労働金庫よりも高くなるケースが多いので、計画的な利用を心がけたい。

保証会社次第で高い保証料を取られることも

「ろうきん」のカードローンを利用する際は、金利だけでなく保証料もかかる。「ろうきん」の指定する保証会社を利用することになるが、場合によっては保証額が高くつくこともある。

たとえば「沖縄ろうきん」のカードローンでは、保証会社として日本労働者信用基金協会またはオリエントコーポレーションを利用することになる。日本労働者信用基金協会であれば、保証料は金利に含まれる。一方でオリエントコーポレーションの場合は、年7.5~15.6%の保証料が別途かかる。

関東エリアの「中央ろうきん」の保証料は0.8~1.2%であり、オリエントコーポレーションの金利はそれよりも6ポイント以上高い。自分の住んでいる地域の「ろうきん」でカードローンを検討する場合、金利だけでなく保証料もしっかり確認しておきたい。

5,各「ろうきん」カードローンの金利、保証料、限度額、申込み条件などを比較

各地域の労働金庫で展開しているカードローンについて、情報を整理してみよう。
 

融資金利 保証料 限度額 申込み条件
中央労働
金庫
(関東)
3.875~8.475% 0.8~1.2% 500万円 ・18~64歳
・勤続年数1年以上
・前年度年収が
150万円以上
北海道労働
金庫
3.8~9.8% 0.8~1.2% 300万円 ・18~64歳
・安定継続した前年
年収が150万円以上
東北労働
金庫
6.0~6.4% 融資金利に
含まれる
500万円 ・20~64歳
・勤続年数1年以上
・安定継続した前年
年収が150万円以上
新潟労働
金庫
5.375~7.775% 融資金利に
含まれる
300万円 ・未成年者、
無能力者または
住所不定でない方
・勤続年数1年以上
・安定継続した
年収が150万円以上
・申込日現在の
年齢が65歳未満
北陸労働
金庫
4.8~10.6% 融資金利に
含まれる
300万円 ・勤続年数1年以上
・最終返済時の
年齢75歳以下
長野労働
金庫
2.7~5.1% 融資金利に
含まれる
500万円 ・18~64歳
・勤続年数1年以上
・安定継続した
収入があり、前年の
年収150万円以上
静岡県労働
金庫
4.275~9.275% 融資金利に
含まれる
500万円 ・20~64歳
・お勤めの方で
勤続年数1年以上
・年間収入150万円以上
東海労働
金庫
3.90~8.15% 融資金利に
含まれる
50万円 ・18~64歳
・前年度年収150万円以上
・最終返済時年齢
が76歳未満
近畿労働
金庫
6.15~8.95% 融資金利に
含まれる
500万円 ・18~64歳
・安定した収入があり、
前年度年収
150万円以上
・勤続年数1年以上
中国労働
金庫
5.375~8.875% 融資金利に
含まれる
500万円 ・18~64歳
・安定した収入があり、
前年度年収
150万円以上
・勤続年数1年以上
四国労働
金庫
6.025~8.325% 0.8~1.2% 300万円 ・年収150万円以上
・勤続年数1年以上
九州労働
金庫
9.0% 融資金利に
含まれる
500万円 ・18~64歳
・安定した収入があり、
前年度年収
150万円以上
・勤続年数1年以上
沖縄労働
金庫
4.8~9.8% ・日本労働者
信用基金
協会:融資金利に
含まれる
・オリエント
コーポレーション:
7.5~15.6%
500万円 ・18~64歳
・安定した収入があり、
前年度年収
150万円以上
・勤続年数1年以上
※上記はいずれも「マイプラン」の場合
※公式サイトを参照し筆者作成

金利は概ね4~10%で、保証料込みとしている労働金庫もある。金利引き下げ制度を利用すれば、さらに下げることもできる。

どの労働金庫も概ね、安定収入があることが貸付条件であり、年収の目安は150万円以上となっている。勤続年数が1年以上であることを求めるところも多い。

年齢は18歳または20歳からで、上限は64歳までとなっているところが多い。一部の労働金庫では、返済完了時の年齢が76歳未満という条件もある。

東海労働金庫の限度額は、50万円と他の労働金庫より低い。50万円を超える融資を希望するなら、目的別ローンなどを検討することになる。

6,日数的余裕があるなら「ろうきん」のカードローンも検討に

カードローンで最も気になるのは、やはり「金利」だ。金利の差は数字としては小さく見えても、返済総額に大きな影響を与える。その意味で、低金利の「ろうきん」はカードローンの利用を考えている人にとって、有力候補になるだろう。

しかし、融資実行までに他のカードローンサービスよりも時間がかかってしまうことは確かだ。自分がいつ、どのくらい借りたいのかを正確に把握し、早めに申し込むことができれば賢く利用できるだろう。
 
執筆・安藤真一郎(ライター・ファイナンシャルプランナー)

主に金融系ライターとして活動し、2019年に2級FP技能士資格を取得。マネージャンルで役立つ情報を、初心者にも分かりやすく解説したコンテンツ制作を心掛ける。関心分野は、キャッシュレス決済、積立投資、ポイ活、節約術など。  

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