目次
引用や、参考文献・URLを正しく書く3つの理由
「引用」や「参考文献リスト」の作成時の5つの注意点
参考文献リストの書き方例
データベースを引用・参照する場合(URLを参考文献にする場合)
Webサイトを引用・参照する場合(URLを記入する場合)
社会人として引用・参考文献を明記するルールを把握しておこう
ビジネスシーンではパワポやワードを用いてプレゼン用の資料を作ることも多いでしょう。書籍やWebページからデータや情報を引用した場合は「参考文献リスト」に明記する必要があるとご存知でしょうか。
今回は、参考文献リストの正しい書き方を解説。使用した文献や書籍ごとの適切なまとめ方や、参考文献リストを明記する理由をご紹介します。
本記事の内容をざっくり説明
- 引用・参考文献を記載する理由
- 引用・参考文献リストを作成するときの注意ポイント
- 参考文献ごとの記載方法&記載項目
引用や、参考文献・URLを正しく書く3つの理由
「コピペは悪いことだと知っているけど、引用も書く必要があるの?」「会社用のプレゼン資料なら参考文献を記載する必要ないはず」と勘違いしているビジネスパーソンもちらほら……。しかし、プレゼン資料作成時に書籍やWebサイトを参照した場合には、該当する参考文献やURLを明記しなければなりません。
では、なぜ引用部分・参考文献・URLを別途記載する必要があるのでしょうか。まずは、参照した書籍やURLを明記すべき3つの理由からご紹介します。
1.出典を明記することはルールとして定められているため
資料や論文を作成する際は、「自分の考え」と「出典先の考え」を明確に分けることがルールとして規定されています。
仮に、自分の考えと第三者の発表したデータや考え方を混同してしまった場合、悪意がなくとも盗用や剽窃であると判断されてしまうかもしれません。信頼感のある文書や資料を作成するためにも、出典先はルール通りしっかり明記しましょう。
【盗用・剽窃とは?】
「盗用(とうよう)」「剽窃(ひょうせつ)」は、他人の考えや意見を自分のものとして発表すること。意図的でなくとも、適切な手順を踏まれずに引用された場合には盗用や剽窃と判断されます。学術シーンでもビジネスの場でも、盗用や剽窃は大きくルールを逸脱したこととして捉えられています。
2.自分の意見や主張の客観的な根拠を示すため
個人や会社内のチームだけで大量のデータを収集し、分析するのは難しいもの。とはいえ、自分が考えた数字や意見だけを述べると、主観的で根拠のない意見になってしまいます。自分の主張や意見の客観性や正確性を説くためにも、参考文献やURLのデータや情報の明記が必要なのです。
例えば、「国民のほとんどがYouTubeを視聴している」と説明したい場合を考えてみましょう。
参考文献・URLの記載がない場合、客観性や根拠がなく、本当かどうかも判断できません。
しかし、参考URLとして調査結果を「出典:CA Young Lab調べ」と記載することで、調査対象も広く、根拠のあるデータと証明できるのです。
3.後から資料を探しやすくするため
ビジネスパーソンのゴールはプレゼン資料を作成することではなく、プレゼン内容の実現や賛同によって「成果」を得ること。自身のプレゼンテーションが認められた場合、情報の精査・データの見直し・全体のブラッシュアップを行っていかなかければなりません。
出典元となった参考文献やURLを明記しておくことで、後から参考にした資料や該当箇所をスムーズに検索可能。効率的に加筆や修正を行えるだけでなく、今後資料の参照が必要になった場合でもスムーズに検索できます。
引用・参考文献・URLを正しく書く理由
- 学術、ビジネス上でのルールであるため
- 意見の根拠や正確性を証明するため
- 参考にした資料や箇所を分かりやすくするため
「引用」や「参考文献リスト」の作成時の5つの注意点
引用箇所や参考文献を記載することは、自身の展開する意見の正確性を示す効果もあるものです。では、引用や参考文献リストを作成するときには、どのようなポイントに注意すればよいのでしょうか。
次は、ビジネスシーンで引用や参考文献を記載するときに注意した5つのポイントをご紹介します。
注意点1.引用・参照部分をわかりやすくする
引用や参考リストを作成するときには、「自分が作成した資料の引用・参照部分の明記」を意識しましょう。
引用元や参考文献を記載していたとしても、一体どの部分の参考にしたのか該当箇所が見つけられなければ意味がありません。引用・出典によって記載した箇所に記号や数字を振って、わかりやすくしましょう。
引用・参照場所を分かりやすくする書き方
- 注1、注2
- ※
下線
引用した部分を他の部分で再度使用する場合には、以前に同文献から同じ内容の記述を引用した旨を一度記載するだけでかまいません。何度も注釈を入れてしまうと、文面がごちゃごちゃと見えてしまうので注意しましょう。ただし、前述の引用部分とは異なる情報を記載した場合には改めて記載する必要があります。
注意点2.引用・参照資料をはっきり明記する
前述したように引用したページや参考資料がある場合は、どこから引用しているのかを明記する必要があります。Webページを参考にした場合にはURLの記載のみでかまわない場合が多いですが、書籍の場合はより細かくはっきりと記載することをおすすめします。
書籍の場合には題名・著者名・発行年、新聞の場合には発行元の新聞名や掲載日まで記載しましょう。
注意点3.資料の中の抜粋部分を明記する
参照部分や文献の記載には、のちに効率よく資料検索する目的もあります。ただ単に書籍名や新聞名までを記載するのではなく、ページ数や段落など、どの部分を引用・参照したのかをはっきり明記するといいでしょう。
ただし、抜粋箇所が「広義的に知られていること=常識」の場合には、原則参考文献を記載する必要はありません。特別な調査や統計でない場合には、そのまま記載しても盗用や剽窃にはならないのです。
<抜粋部分の記載が不要なケース>
(要)東京都千代田区は東京23区のなかでもっとも自転車事故が少ない都市で、保険加入率は〇%です
(不要)東京都千代田区は23区のひとつです
注意点4.信頼できる文献かどうかを確認する
インターネットの普及率が上がり、書籍や文献よりもWebページを参考にする機会も多いのではないでしょうか。しかし、Webページは誰でも簡単にページを作成できる手軽さから、ときに信頼性の低いページも見られます。
誤った情報を少しでも記載してしまうと、資料や文面全体の信頼性も低くなってしまうので要注意。書籍やWebページを参考にする場合には、信頼できる内容であるか十分に確認しましょう。
信頼できる文献のチェックリスト
- 偏りや押し付けの強い文面ではないか
- 主観的な内容で記載されていないか
- ソースが不明瞭ではないか
- 作者・執筆者・調査団体が不明でないか
注意点5.Webサイトの場合、引用の引用にならないように注意する
Webサイトに記載されている内容を参考にする際、「引用の引用」に注意しましょう。
Webサイトは、第三者が調査結果や収集した情報を引用していることもしばしば。すでに他からのデータを引用したページを再度引用してしまうと、引用の引用になってしまい、参考文献や参照URLとして記載するのはふさわしくありません。同じ情報を引用したい場合には、参照にしたページの引用元をチェックしてみましょう。
なお、自治体や政府など公的機関が公開している資料はそのまま転載可能です。
引用や参考文献リスト作成時の注意点
- 引用元を分かりやすく区別し、明確に記載する
- 資料を引用しているWebサイトからの引用(=引用の引用)に注意する
- 信頼できる内容・書籍・Webサイトであるかを確認する
参考文献リストの書き方例
「参考文献リスト」は参考にした書籍や資料の一覧を、文末にまとめたものです。記載すべき項目は世界的に統一性があり、記載の順番も大部分が共通しています。
参考文献リストは、出典するものの種類によって必要な項目が異なります。次は、参考文献リストの書き方をタイプ別にチェックしていきましょう。
本を引用・参照する場合
書籍を引用、参照する場合、書籍が「日本語図書」か「外国語図書」であるかによって異なります。
【日本語図書の記載項目】
著者名. 『書名』. 版表示(4版・4th ed.). 出版者. 出版年, 総ページ数
例
赤祖父俊一. 『正しく知る地球温暖化』. 誠文堂新光社, 2008, 183p
【外国語の図書の記載項目】
著者名. 書名. 出版者. 出版年, 総ページ数例
Houghton, John. Global warming : the complete briefing. 4th ed., Cambridge University Press, 2009, 438p.
なお、「姓」と「名」の間にはカンマを入れるようにします。
複数著者がいる場合
書籍の著者が複数名いる場合には、著者を並べて書く必要があります。著者名と著者名の間には和文著書の場合「,」を、欧文著者の場合には「;」を挿入して区切りましょう。
また、2名以上を超える場合には先頭に記載されている著者1名を記載して、他の著者名は「ほか」と記載して省略できます。欧文著者名の場合は、他を意味する「et al.」を用いて省略してもかまいません。
例
- Dow,Kirstin.;Downing,Thomas E.『温暖化の世界地図』.近藤洋輝訳.丸善,2007,117p.
「編者」と書いてある場合
書籍を編集した人を指す言葉「編者」が記載されている場合には、著者名を書く場所に編者を記載しましょう。
日本語図書の場合は氏名のあとに「編」と記載しますが、欧文著者名の場合は編集者を指すeditorの短縮系「ed.(複数形はeds.)」をつけましょう。
「訳者」と書いてある場合
外国語図書を翻訳した人のことを「訳者」といい、著者名とあわせて記載されていることも多いのです。
訳者を記載する場合には書名の後に翻訳者名を書き、その後ろに日本語図書の場合には「訳」、外国語図書の場合は翻訳を指すtranslateの短縮形「trans.」をつけましょう。
本の一部を引用・参照する場合
書籍の一部を抜粋して引用する場合には、日本語図書と外国語図書によって記載方法が少し異なります。
また、引用部分が数行でおさまる場合には、参考文献を記載したうえで「〇〇(書籍名)で~~~~と述べられているように……」と記載しても問題ありません。引用部分は「」でくくり、間違いがないように正確に書き写しましょう。
【日本語図書の一部を引用した場合の記載項目】
該当部分の著者名.「(該当部分の)見出し、タイトル」. 『書名』. 編者名. 出版者. 出版年, ページの範囲
例
原登志彦. 「地球温暖化の進行にともなう森林生態系への影響」. 『持続可能な低炭素社会』. 吉田文和, 池田元美編著.北海道大学出版会, 2009, p.35-49
【外国語図書の一部を引用した場合の記載項目】
該当部分の著者名. (該当部分の)見出し、タイトル . 書名. 編者名. 出版者. 出版年, ページの範囲例
Frenkel, D.; Smit, B. Understanding Molecular Simulation:
From Algorithms to Applications. 2nd ed. Academic Press. 2002, 664 p. 著書名を書く場合には、姓と名の間に「,」を加えましょう。
雑誌論文を引用・参照する場合
雑誌に記載されている論文の場合、書籍と違って「巻号(号数)」や「ページの範囲」を記載する必要があります。雑誌論文には他の論文も記載されている場合も多いので、区別するためにもしっかり範囲を記載しましょう。
【日本語の論文を引用した場合の記載項目】
著者名. 「論文のタイトル」. 『雑誌名』. 出版年, 巻号, ページの範囲
例
原嶋洋平. 「地球温暖化防止の京都メカニズムとWTOルール」. 『国際開発学研究』. 2008, Vol.7,No.2, p.139-146
【外国語の論文を引用した場合の記載項目】
著者名. 論文のタイトル. 雑誌名. 出版年, 巻号, ページの範囲例
Lee, Jeffrey E.; Fusco, Marnie L.; Hessell, Ann J. et al. Structure
of the Ebola virus glycoprotein bound to an antibody from
a human survivor. Nature. 2008, vol. 454, no. 7201, p. 177-182. 著書名を書く場合には、姓と名の間に「,」を加えましょう。データベースを引用・参照する場合(URLを参考文献にする場合)
収集されたデータを一ヵ所に集めているデータベースは、効率的に検索でき、類似データを一括で調べられる非常に便利なもの。マーケティングや営業職の方は、プレゼン資料作りに利用することも多いのではないでしょうか。
次は、データベースを引用・参照する場合のURLの記載方法をご紹介します。
データベース全体を引用する場合
データベース全体を引用した場合には、情報源となったURLを記載しましょう。
【データベース全体を引用した場合の記載項目】
作成者名・情報源・データベース名・入手先URL・(入手日付)
例
- 株式会社自由国民社. 現代用語の基礎知識. Japan Knowledge, https://na.jkn21.com/, (参照 2010-03-18)
データベースの一部を引用する場合
データベースの一部を記載する場合には、参照したURLの題名を記載してページを明確にしましょう。題名を記載するときには、「”〇〇”」と記載します。
【データベースの一部を引用した場合の記載項目】
作成者名. 題名. データベース名, 出版者, 入手先URL,(入手日付)
例
- 岸保勘三郎, 小山堅. 地球温暖化. Yahoo!百科事典(日本大百科全書), ヤフー株式会社(小学館), https://100.yahoo.co.jp/, (参照 2010-03-18)
Webサイトを引用・参照する場合(URLを記入する場合)
Webサイトに記載されている内容を引用・参照する場合には、Webサイトそのものを引用するときと掲載されていた文献を引用する2パターンがあります。
最後に、Webサイトを引用・参照する場合の記載項目や書き方をチェックしていきましょう。
Webサイトを引用する場合
Webサイトに掲載されている情報をそのまま引用する場合には、WebサイトのURLとWebサイト名を記載します。該当ページのタイトルは「〇〇」と囲みましょう。
【Webサイトを引用した場合の記載項目】
ウェブサイト名. 「該当ページのタイトル」. 入手先URL, (入手日付).
例
- 環境庁生物多様性センター. 「ガンカモ類の生息調査」. https://www.biodic.go.jp/gankamo/gankamo_top, (参照 2010-03-18)
Webサイトから入手した文献を引用する場合
Webサイトから入手した文献やPDFを引用する場合には、文献名と該当URLを併記します。参照した部分をわかりやすくするためにも、文献名のあとに版表示を記載しましょう。
【Webサイトから入手した文献やPDFを引用する場合の記載項目】
著者名. 「文献名」. 版表示, 出版年, 入手先URL, (入手日付)
例
- 環境庁. 「環境白書・循環型社会白書」. 平成20年版, 2008. https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h20/index.html, (参照 2010-03-18)
社会人として引用・参考文献を明記するルールを把握しておこう
本記事のまとめ
- 引用内容を記載する理由は意見の根拠や正確性を証明し、参考にした資料や箇所を分かりやすくするため
- Webサイトからを参考にした場合は「引用の引用」に注意する
本記事でご紹介したように、書籍やページを引用した場合には必ず引用元の記載が必要です。
無断で掲載してしまうと、ビジネス文書といえども盗用や剽窃に繋がってしまいます。引用したデータや書籍ごとの適切なルールを守りながら、しっかり文書内に記載していきましょう。
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