『SEVENTIE TWO』より

コロナでパラダイム・シフト!「ファッションらしきもの」から足を洗え!

2020.8.2
ビジネス・キャリア
(画像=SEVENTIE TWOより引用)
(画像=SEVENTIE TWOより引用)

緊急事態宣言中の渋谷駅周辺(4月26日撮影、PHOTO:SEVENTIE TWO)

どうも不穏な空気が漂っている。新型コロナウイルスの感染拡大第2波のことである。小池百合子東京都知事の選挙戦術でPCR検査の数が抑えられていたためという解釈ではどうも腑に落ちない。「東京だけの話」というのでも、ファッション&アパレル業界に限れば、それは大袈裟に言えば発信ということで7割、消費ということでも5割を占めるファッション大首都なのであって、このまま奈落の底に突き落とされることもあるかもしれない。

グローバル時代にあって他人事ではないが、ヤバイ水準に達しつつあるのがアメリカである。感染者353万人、死亡者13万8000人(7月15日現在)で、自粛緩和後はまた感染拡大が始まっており、ロサンゼルスは7月17日から再度の制限強化でショッピングモールの再閉鎖が始まっている。正直、アメリカはすでに奈落の底に突き落とされている。

こういう時期には、従来のパラダイムシフトが行われるのが常である。まず、この業界でいうと危なさそうなのが「ファッション」という得体の知れない代物であろう。年々魅力を失っているミラノコレクション、パリコレクションという2大コレクションが危機に瀕しているのは周知の通りである。「裸の王様」を見た子供の叫び「王様は裸だ!」というのを誰も言い出さないから、延々と「ファッションのようなもの」を見せ続けている。その実体は、ひと握りのラグジュアリーブランドのPR活動であるのにもかかわらず、これに一攫千金を夢見る者どもがお付き合いして、壮大なスペクタクルを展開しているだけ。このカラクリにいい加減気が付いてもいいのにと思うのだが、パリコレ信者というのが世の中にはゴマンといるらしくてこれを有難がっている。

今の百貨店を中心にした「ファッション」という幻に長らく依拠してきたアパレルメーカーという存在が瓦解しようとしているが、当然だろう。それは「ファッション」ではなく、「ファッションらしきもの」「ファッションのようなもの」「なんとなくファッション」という曖昧なものを形にして来ただけあって、それに気付いてしまった生活者たちからソッポを向かれたに過ぎないのだ。そうでなければ「ファッション」のファの字も語らない「ユニクロ」がこの20年間で日本国内だけで1兆円近く売れているなんていうことはなかっただろう。

ファッション&アパレル業界のこのコロナ時代のパラダイムシフトは、ひとつには販売チャネルがネットショッピングに急ピッチで移行するということ。説明は不要だろう。

そして、そもそも「ファッションらしきもの」に関心がない人々が、大きな意味でライフスタイル市場における消費の主役になっていくだろうということである。前に書いたが、それはスポーツ・アウトドアという分かりやすい消費が急拡大するということである。「健康」や「自然」という分かりやすい動機や対象がそのベースである。

もう異性の気を引くモテ服だとか自らのパワーを誇示すると信じられているスタイリングやメッセージを詰め込んだウェアというのが急速に需要を減らしていくのではないかと予想する。その代わりとことん機能性に特化したスマートウェア(「ウェアラブル」という名称は機能性特化服を非常に分かりにくくしている悪名称だ!)の市場が急速に拡大してくるのではないかと予想する。猛暑を控えファン付きウェアの人気が急上昇しているが、これはちょっとお笑いネタっぽいが。IT連動した遠隔見守り機能付きのスマートウェアで作業員を猛暑から守ったり、オフィスワーカーをストレスから守るスマートウェアは市場を約束されていると思う。

「ファッションらしきもの」から足を洗う絶好の機会だろうと考えるがいかがだろうか。

もう以前の状態には絶対に戻れないということを経営者は肝に命じるべきである。変わるのであれば今しかない。

文・久米川一郎/提供元・SEVENTIE TWO


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