『訪日ラボ』より

「大阪コロナ追跡システム」と「厚労省COCOA」の違いとは?観光業の回復に向け気を付けたい「インバウンドの気持ち」:個人情報保護・感染防止の両立に向けて

2020.6.29
ビジネス・キャリア
(画像=訪日ラボより引用)
(画像=訪日ラボより引用)
大阪府は、新型コロナウイルス感染拡大の抑制と社会経済活動維持の両立を図るために、感染者と接触した可能性がある人を追跡できるシステム「大阪コロナ追跡システム」を開発し、5月29日から運用を始めています。

新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、国に先駆けた取り組みとして注目を集めました。

目次
大阪コロナ追跡システムとは
厚労省も「COCOA」をスタート、海外向け丁寧な説明が必要に?

大阪コロナ追跡システムとは

「大阪コロナ追跡システム」は、大阪府内で新型コロナウイルスの感染者が発生した際、その感染者と接触した可能性がある人を追跡できるシステムです。大阪府民を対象に運用されています。

飲食店やイベント会場などを訪れる人が、対象の施設に設置されているQRコードを読み取り、表示されたフォームにメールアドレスを登録します。QRコードを読み取れる人のみが登録可能なシステムです。

施設利用者の中に感染者やクラスターが発生した場合、条件に当てはまる人に対して大阪府から注意喚起のメールが送られてきます。このメールには、感染者の個人情報は含まれません。
 
訪日ラボ
▲[大阪コロナ追跡システム]:公式サイト(画像=訪日ラボより引用)
この追跡システムは、居酒屋を含む飲食店、劇場、博物館、ホテル、商業施設など観光客が訪れる施設も対象となっています。システムの使用は義務ではないので、利用登録した人にだけ情報が通知される仕組みです。

不特定多数の人が集まる施設やイベントを対象に、QRコードを活用し、感染者との接触の可能性がある利用者に、 メールで注意喚起を行い、行動変容を促すとともに、クラスターの発生のおそれを早期に感知することで、感染拡大を防ぐ仕組みです。ウイルスとの「共存」を前提とし、感染拡大の抑制と社会経済活動の維持の両立を図るため、府民・事業者の皆様 に感染拡大防止に取組んでいただくことと併せ、感染者が発生した場合に、感染者と接触した可能性のある方を追跡することができるシステムを構築しました。  出典:大阪府 大阪コロナ追跡システムについて http://www.pref.osaka.lg.jp/smart_somu/osaka_covid19/index.html

登録店舗数は、現在のところ大阪府からは公表されていませんが、6月10日時点では累計1万5,063の施設が登録されていることが伝えられています。

京都市でも取り組み、観光の新しいスタンダードに?

京都市でも、市が発行するQRコードを通じて施設の来場者が連絡先と来場日時を登録し、感染者の発生状況で通知を出す取り組みを進めています。

市はクラスター(感染者集団)の発生リスクで飲食店や施設をレベルA~Cに分類し、最も警戒するべきレベルAの場合は、感染者が一名でも発生した場合には、同じ時間帯の利用者に注意喚起の通知をメールで送ります。

大阪や京都のシステムは、ある施設での感染者の有無から、その場にいた人への注意喚起を行うものです。個別の人々の足取りを追うものではありません。

こうしたサービスがあれば、観光客も感染リスクにいち早く気づくことができます。リスク管理ができるという点で、新型コロナウイルスの流行によりネガティブなイメージを持たれてしまった観光や飲食、イベントの参加に対する消極的な気持ちを低減させる効果があると期待できるでしょう。

観光客や消費者に対し「安心感を持ってもらえること」「仕組みとして安全を確保していると説明できること」が、今後の観光市場や地方の成長には欠かせなってくると考えられます。

厚労省も「COCOA」をスタート、海外向け丁寧な説明が必要に?

日本では全国を対象に、先週19日の午後、新型コロナウイルス感染者と濃厚接触した可能性がある場合に知らせるスマートフォン向けアプリ「COCOA」の配信を開始しています。日本経済新聞の報道によれば、20日午後5時までに約179万件ダウンロードされたとことを厚生労働省が発表しています。

このシステムは大阪府や京都市の取り組みと異なり、ユーザーがどこか施設を訪れた場合に自分でシステム内に登録をする必要はありません。スマートフォンに備わっているBluetoothにより、アプリの利用者同士が1メートル以内に15分以上いた場合を認識し、その記録をスマートフォンの中に蓄積します。場所ごとではなく、人と人の距離を基準に接触を判定する点で、大阪コロナ追跡システムと異なるリスクの判定方法となっています。COCOAでは、位置情報は記録されません。

もしユーザーが新型コロナウイルスに感染していたことが分かった場合には、アプリで自己申告することで、その時点から遡って14日以内に接触していた人に通知が送られます。

様々な人と近距離で面会するような人の場合、メールアドレスだけを利用する大阪府や京都市よりも、大量の情報が蓄積されることになるとも考えられます。ただし、データの保存先は個人のスマートフォン内部に限られ、また暗号化され、その履歴は行政機関等の第三者には利用できないことが明示されています。

こうした取り組みに対し、国や地域によっては、社会の安全のために個人が不便を被ることを仕方ないととらえる場合もありますが、反対に強い抵抗感を抱く場合もあります。大阪コロナ追跡システムをはじめ、日本が個人の意思の尊重や、プライバシーの保護に非常に細やかな配慮を施していることは、新型コロナウイルスの感染拡大防止策の徹底と同じくらいに海外に向けて伝えていくべきでしょう。

海外でも接触情報を管理するスマートフォンアプリが次々に提供開始されています。国によっては、偽のメッセージで個人情報を取得する手口も見られ始めています。

今後、観光客の渡航が再開に向けて「個人情報が危険にさらされる国にはいきたくない」「位置情報が把握されてしまうリスクがある」といった誤解が広まらないよう、日本の接触管理アプリの特徴について、今から発信しておくことも大切になってくるでしょう。

文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ

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