アメリカではロックダウンの解除が進み、経済活動が再開する中で、一部の州では感染者数が急増しています。ミネソタ州で発生した黒人暴行死事件を受けたデモの活発化も、感染拡大の大きなリスクとなっており、予断を許さない状況が続いています。

日本でも少しずつ海外の渡航制限緩和の動きが進む中、このようなアメリカ国内の混乱が長引けば、訪日アメリカ人観光客の戻りに影響があることも考えられます。

本記事では、アメリカの最新の状況と、今後の訪日アメリカ人観光客の見通しについて考察します。

目次
アメリカで新規感染者が急増
専門家はデモで感染拡大の懸念していた
訪日アメリカ人観光客の戻りが遅くなるおそれ

アメリカで新規感染者が急増

アメリカでは50州すべてで外出制限の緩和が進められ、多くの人々が厳しいロックダウンから日常に戻りつつあります。

一方、アメリカの複数の州では、新型コロナウィルスの感染者数が大幅に増加しています。

6月19日には、アメリカ国内の1日当たりの新型コロナウィルス感染者数が3万人以上確認され、5月初旬以降最多を記録しました。特に早期に経済活動を再開した州が多い南部と西部で、若年層を中心とした感染拡大が著しい傾向にあります。南部のフロリダ州、テキサス州、サウスカロライナ州は6月20日に1日当たりの感染者数が過去最多を更新しました。

感染者急増の背景には検査の拡充も挙げられますが、同時に入院者数も増えています。一部の州では感染拡大により入院者数が急増し、ICU(集中治療室)の病床が不足している州もあります。

専門家はデモで感染拡大の懸念していた

経済活動の再開に加え、感染拡大の大きなリスクとなっているのが「デモ」です。ロックダウン中にも経済活動の再開を求めるデモがアメリカ国内で相次いでいたほか、直近ではミネソタ州ミネアポリスで発生した黒人暴行死事件に端を発した抗議デモが活発化しています。

6月初旬にも、ニューヨーク州のクオモ知事を含む政府当局者や公衆衛生専門家は、大規模なデモや警察官の大量動員が、新型コロナウィルスの感染拡大に拍車をかける恐れがあることを警告していました。

ロックダウンの解除が進む一方で、大規模デモには数百人、数千人の人々が集まります。公衆衛生専門家は、デモ参加者が密集し、叫んだり走ったりすること、飛沫によるウィルス感染に繋がる恐れがあると指摘しています。

ニューヨーク州のクオモ知事は「デモ参加者はウイルス検査を受けてほしい」と呼びかけています。

訪日アメリカ人観光客の戻りが遅くなるおそれ

日本は日本では外国人の入国制限の緩和に向けた動きが進められおり、その他の国でも制限付きで外国人の入国規制が緩和され始めています。しかしそんな中、アメリカ国内での新型コロナウィルスの感染状況が依然として深刻な状況です。

日本を含め世界各国ではアメリカの感染状況が注目され、状況に応じてしかるべき対応が取られると考えられます。まだ治療薬やワクチンは実用化されていないため、今すぐに海外旅行やビジネスでの海外移動が本格化するわけではありませんが、アメリカ政府は早急に感染拡大を封じ込めなければ、世界各国からの入国規制緩和の対象から外される恐れがあります。

また早急に事態を収束できなければ風評被害を招くリスクがあり、そうなると心理的に訪日アメリカ人観光客を迎え入れるにはハードルが高いと感じるインバウンド事業者も出てくる可能性があります。

来たるべきタイミングでの訪日アメリカ人観光客の戻りを見極めるためにも、引き続きアメリカ国内の動向に注目する必要があるでしょう。

文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ

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