北朝鮮が韓国との共同連絡事務所を爆破

1分でわかるニュースの要点
  • 北朝鮮が独断で共同連絡事務所を爆破した
  • 共同連絡事務所は2018年に板門店宣言で設置された
  • 両政府の職員は撤収済みで事実上機能していなかった

金与正が爆破を予告していた北朝鮮

南北共同連絡事務所は6月5日、朝鮮労働党統一戦線部(北朝鮮の情報機関)の報道官は韓国側の対応を批判した上で、南北共同連絡事務所の閉鎖を一方的に発表しました。 統一戦線部の談話によると、継続的に行われる脱北団体の政治的メッセージを含むビラまき行為に対して、韓国側の対応が悪かったことが原因だとしています。 南北共同連絡事務所の閉鎖は、金正恩委員長の妹である金与正(キムヨジョン)第1副部長が指示した模様です。

爆破の様子を国営テレビで放送

北朝鮮国営放送の朝鮮中央テレビは17日午後3時の放送で、南北共同連絡事務所が爆破された際の映像を公開しました。映像は全部で30秒ほどであり、地上4階建ての建物が跡形もなく爆破されていました。 朝鮮中央テレビは爆破映像とともに、北朝鮮が今後も同様の強硬措置を取っていくことも報じています。北朝鮮軍総参謀部報道官は前後して、軍事境界線の非武装地帯への監視所の再建と軍の配備を発表しました。 北朝鮮側は2019年3月に南北共同連絡事務所から主要な職員を引き上げており、平和協議の窓口としてはほぼ機能していませんでした。

韓国との関係を悪化させる北朝鮮

北朝鮮は2018年の板門店宣言をはじめとして、韓国と歩み寄って南北統一に向けた平和姿勢を見せてきました。連絡事務所爆破や軍の再配備など、あえて韓国との関係を悪化させる行動にはなんらかの軍事的政治的狙いがあると見られています。

表に出てきた金与正の影響が大きく

南北共同連絡事務所の爆破は、金与正第1副部長の指示だったといわれています。金与正第1副部長は金正恩委員長の3つ年下の妹です。 金与正第1副部長は金正恩委員長にもっとも近い側近で、外交では金正恩委員長の代理を務めるなど、他の人材とは別格の扱いを受けています。 金与正第1副部長は韓国政府ならびに文在寅大統領を厳しく非難しており、今回の事件でも金与正第1副部長の影響が極めて強いようです。

韓国側は強い不快感も

韓国大統領府は16日の記者会見で、南北共同連絡事務所の爆破を強く批判しました。このまま状況が悪化しすれば、軍事的対応も視野に入れるとしています。 また韓国大統領府の17日の記者会見では、金与正第1副部長を名指しして強い不快感を表しました。金与正第1副部長は連日のように韓国政府を酷評し続けており、韓国大統領府が反発した形です。 こういった韓国との関係を悪化させる北朝鮮の行動の背景には、北朝鮮国内の規律引き締めを図る狙いがあると見られています。

金正恩の後継者とされる金与正

金正恩委員長は4月頃から5月にかけて公の場に姿を見せず、金与正第1副部長が代わりに公務を務めました。金正恩委員長の真意は不明ですが、金与正第1副部長が代理を任されるほど金正恩委員長に信頼されているのは事実です。

韓国と歩み寄るつもりはない金与正

金与正第1副部長は、韓国政府が板門店宣言よりも親米協調路線を重視した結果、北朝鮮と韓国の間に不必要な摩擦を生んでいると批判しています。北朝鮮と韓国の関係悪化は、あくまでも韓国に責任があるというのが金与正第1副部長の主張です。 韓国の文在寅大統領は15日の発表で、緊張緩和と対話を促していますが、北朝鮮は韓国の特使派遣も拒否しています。 南北共同連絡事務所の爆破を含めて、韓国への強硬姿勢は金与正第1副部長の指示によるものと考えて間違いありません。金与正第1副部長が考えを変えない限り、北朝鮮と韓国の関係はこじれていくことでしょう。

金正恩の容態も注目される北朝鮮

金正恩委員長は4月から約3週間、動向が完全に不明でした。心疾患とも新型コロナウイルス罹患ともいわれていましたが、さだかではありません。金正恩委員長は結局5月に復帰しました。 最近の北朝鮮の動向から考えると、金与正第1副部長の権限が強まっているのは確実です。金与正第1副部長の存在感が強まったのは、金正恩委員長の体調の変化を見越して、スムーズに次期支配体制へ移行しようとする動きの表れなのではないでしょうか。

文・ビズキャリ編集部/提供元・ビズキャリonline

【関連記事】
年収1000万円の貯金額は2000万円?高収入で貯金ができる人とできない人の差。
【仕事で大活躍】chromeのショートカットキーまとめ!仕事の効率化間違いなし!
年収1000万円でも生活が苦しい人は多く存在。年収1000万円の生活レベルとは。
仕事が覚えられない人の特徴・原因は?対処法など11パターンで紹介!
在宅ワークに有利な資格とは?需要の高い資格やノウハウを身につけ収入を増やす。