中国で話題急上昇中「屋台経済」

近頃の中国SNSで「屋台経済」が急上昇ワードとなっている。李克強首相がコロナ後の雇用機会の創出に繋がる屋台(露店)や小規模店舗経済を賞賛する発言をしたことにより、複数の地方政府が直ちに制限を緩和させ、屋台経済の発展促進に動き出した。

移動販売での食べ物やおもちゃなどを売る店舗は中国では90年代に流行していたが、政府の制限強化により絶えつつあった。
しかし今回の李克強首相の発言と地方政府の動きによりコロナ後の失業解決策として、屋台は復活の機会を迎えたのだ。四川省成都市政府は屋台経営者に固定の場所を提供し、10万人の就業問題を解決したとアピールした。他にも上海や南京、杭州など複数の都市も屋台経済への支持を明確にした。

民間企業もこれに合わせてビジネスチャンスを発掘している。自動車メーカー「五菱(ウーリン)」は移動販売用の車を発表し瞬く間に注目を集め、発表初日だけで受注数は1ヶ月の販売数を超え、自社の株価も一時高騰した。

大手企業らも話題に肖り、迅速対応

屋台経済の過熱さを見て、中国大手企業らもそれに応じた各自の対策を打ち出した。
EC大手の「アリババ」と「京東」は屋台経営者に対し仕入れ商品の後払いや補助金などの支援サービスの提供を発表した。「テンセント」はwechat payを通して屋台経営のデジタル化支援を提供。「バイドゥ」は消費者が屋台の場所を簡単に調べられるように、傘下の地図アプリに屋台経営者による運営場所の登録フローを簡潔化させると発表した。中国の有名企業らが揃って屋台経済の波に乗った。

屋台の増加は商品の仕入れなどの需要増加にも繋がるため、アリババらが画策している所を見ると彼らにとって屋台は大きなビジネスチャンスだということが見てとれる。そして彼らの行動はさらなる話題性を呼び、屋台経済に便乗した様々なマーケティング手法が展開された。
 

FUNQ
▲テンセントの街頭求人募集(weiboより)(画像=チャイトピ!より引用)

最も話題になったマーケティング手法は中国有数企業「テンセント」の人事担当が街頭で行った求人募集である。「求人」と書いた紙の看板を用意し、メガホンで「テンセントはエンジニアを募集しています、興味ある方はぜひ!」と街中の人に呼びかけた。会社のイメージとは大きくかけ離れたこの行動は注目を集め大成功を収めた。

屋台経済は存続できるのか

果たして、これだけ話題を集めている中国の屋台経済は今後も存続できるのだろうか。
本来ハードルが低いとされる屋台経営が、中国政府の制限緩和により中国経済でさらなる活躍を見せることは容易に想像ができる。しかし最近、屋台の急増により道にゴミが増加した大連のとある街の画像がネットで注目を集め、衛生的、環境的問題に関する懸念の声があがっている。
さらに、就業促進のために政府が制限を緩和したが、長期的な観点で中国経済を見た場合、屋台経済の過熱化は一時的なものだという見解が多い。経済回復後、屋台経済はまた昔のように淘汰される可能性が極めて高いのだ。

提供元・チャイトピ!

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