子どもが親のクレジットカードを無断で使い、ゲームなどオンラインコンテンツをクレジットカード決済してしまうケースが後を絶たない。もし、自分の子どもがそうした無断利用をしてしまったらどうなるのか?未然に防ぐ方法も含め解説しよう。

子どもが親のクレジットカードを無断利用する事例が増加中

2021年5月、人気スマホゲームに、親のクレジットカードで400万円を課金したとするツイートがトレンド入りした。その真偽は定かではないが、こうしたケースは起こり得るかもしれない。

事実、各地の自治体や消費者センターのウェブサイトには、Q&Aの形で「子どもが勝手にクレジットカードを使った場合はどうすればいいか?」という疑問に答える記事がよく見受けられる。それだけそうした相談事例は多いということだろう。

子どもが勝手にクレジットカードを使ったらどうなるのか?

では、そうした事態が実際に起きてしまったらどうなるのか?そして、どうすればいいのか?ここでは、子どもがゲームなどオンラインコンテンツの課金に、無断で親のクレジットカードを使った場合で解説しよう。

返金は可能?返金してもらうにはどうすればいい?

課金はある種の契約であり、未成年者が法定代理人に当たる親の同意なしに行った契約は原則的に取り消せる民法の規定がある。そこで、その旨を主張し、コンテンツを提供している会社側が取り消しに応じれば、クレジット決済は取り消されることになる。

返金されない場合もある?

親がクレジットカードを適切に管理しておらず、子どもが容易にカード番号などを利用できる状態になっていた場合は、管理責任を問われて返金されない場合がある。これは、カード会員規約で定められている「善良な管理者としての注意義務」=「善管注意義務」を怠っていると見なされるからだ。

コンテンツ提供側に責任は問える?

スマホゲームには課金をあおる要素を持つものも多く、そうしたゲーム内容を知ると「ゲーム会社にも責任があるのではないか」と疑問を感じる人もいるだろう。

心情としてはもっともだが、多くのゲーム会社では最初に年齢確認のステップを設け、未成年の利用は親など法定代理人の同意を規約で求めていることが多い。また、年齢に応じて課金額に制約を加えているケースもある。

つまり、少なくとも形としては未成年を保護するポーズをとっているため、ゲーム会社の責任を真正面からは問いにくい。もちろん、子どもが親の許可を得ずに登録したり、登録時に勝手に年齢を偽ったりできるわけだが、その場合は虚偽の内容による登録になり、やはりゲーム会社の責任を問うのは難しくなる。

コンテンツ提供側には絶対に責任は問えないのか?

ただし、年齢に応じた課金額の制限がないゲームで高額が決済され、かつ、ゲーム登録時に年齢を偽っていないケースでは、例外的にコンテンツ提供側が返金に応じる可能性もある。社会通念上、子どものお小遣いとしては考えにくいほどの高額決済があった場合、ゲーム会社は何らかの不正利用を疑うべきだからだ。

こちらに過失がある場合もまずは相談を

いずれにしてもカード利用明細などで子どもの無断利用に気付いたなら、まずはカード会社とコンテンツ提供会社に相談すべきだ。たとえこちら側にカードの管理不行き届きなどの過失があったとしても、子どもの年齢や利用額、利用状況に応じて、全額ではなく一部負担で済む可能性もある。

決済額が非常に高額な場合は弁護士にも相談し、状況によっては裁判なども検討することになるだろう。

子どもによるクレジットカードの無断利用を防止する方法

子どもによるクレジットカードの無断利用の防止策も触れておこう。

方法1,クレジットカードを子どもの目に入らないようにする

多くの場合、カード名義、カード番号、有効期限、セキュリティコードの4つが分かっていればオンライン決済が可能なので、子どもがカードを目にしないよう心がけるべきだ。

方法2,親のスマホやパソコンはなるべく使わせない

スマホやパソコンのアカウントにクレジットカードをひも付けしている人は多い。その場合、スマホやパソコンを貸すことはクレジットカードを貸すことに等しいと理解しておきたい。

そして、子どもが勝手に使わないよう、スマホやパソコンのロック解除のパスワードは容易に推測できるものは避け、可能なら顔認証や指紋認証を使いたい。

子ども用のアカウントを作り、貸すときはそれに切り替える方法もあるが、少しでもリスクを減らすため、できれば貸さないのがベストだ。クレジットカードをひも付けていない場合でも、キャリア決済(課金分が携帯通話料金などと一緒に引き落とされる)の設定があれば同じことなので、これにも十分注意したい。

方法3,子ども用のスマホ、パソコンは機能制限を

子ども用にスマホやパソコンを別に用意する場合でも、クレジットカードをひも付けしたアカウントを親と共有していればクレジット決済が可能なので、これにも注意したい。

また、ペアレンタルコントロールやフィルタリング機能などにより、子どものスマホやパソコンの機能に利用制限を設けてもいいだろう。

方法4,クレジットカード以外の決済方法を子どもに提案する

課金そのものを禁じてしまうと、親に隠れてこっそりクレジットカードを使う可能性も否定できない。

そこで、節度を持った課金ならOKとした上で、オンラインで利用できるプリペイド型の電子マネーやギフトカード(WebMoney・App Store & iTunesギフトカード・Google Playギフトカードなど)をお小遣いの範囲で購入させる方法も選択肢の1つとして検討したい。

もしくは、VISAやMasterCardなどの国際ブランドの付いたプリペイドカードにお小遣いをチャージし、そこから課金する方法もある。そうしたカードは未成年者でも取得可能で、三井住友銀行の「Vプリペ」なら6歳以上(小学生以上)から申し込み可能だ。

マネーリテラシーの学びとして子どもと一緒に考える

子どもの年齢にもよるが、ある程度の年齢からはゲームの課金やクレジットカードの仕組みなどについて、一度、きちんと説明しておきたい。

各家庭の方針はあると思うが、頭ごなしに「ゲームだめ」「課金だめ」ではなく、それとどう付き合っていくかを話し合うことで、子どものうちからマネーリテラシーを養うことを考えてみよう。

執筆・モリソウイチロウ(ライター)
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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