FX取引をするなら、ニュースや経済指標など為替市場に影響を与える情報の収集が欠かせない。重要な情報を知らないと、大きな損失を被るリスクがあるからだ。今回は、FXで押さえておきたい情報の種類や経済指標の意味、収集方法などについて紹介していこう。
目次
1,FX取引でチェックすべき重要な情報
2,FX取引でおすすめの経済指標
3,為替相場が大きく動く情報は?
4,FX情報を収集する3つの方法
5,FX会社が提供する独自のツール
6,ニュースを見る際の3つの注意点
7,FXは正しい情報を集めることが大切
1,FX取引でチェックすべき重要な情報
FX取引をする上で日ごろから触れておきたい情報は、最新ニュース・為替相場・経済指標の3つだ。それぞれについて詳しく見ていこう。
最新ニュース――ニュースに反応して為替相場が動く
株式やFXなどに投資する投機筋は、ニュースに反応して売買を行い、それによって相場が動くことがある。したがって、どのようなニュースが売買している通貨の値動きに影響を与えるのかを知らなければならない。
例えば米ドルが絡む通貨ペアでは、2020年11月まではアメリカ大統領選挙が大きなテーマだった。ユーロなら、イギリスのユーロ離脱がホットトピックであったといえる。
ニュースの中でも「消費者物価指数」「失業率」「大統領選挙」「軍事関連」といった景気や金利に影響するものは、特にチェックしておこう。
為替相場――専門家による解説は特にチェックにする
為替相場は、さまざまなニュースサイトやFX会社の公式ホームページで見ることができる。サイトやホームページでは、エコノミストなどの専門家が為替相場の現状や見通しについて解説している。
専門家は値動きだけでなく、経済指標やニュースといった相場に影響を与える要素も含めて解説しているため、ニュースの読み解き方を知るためにも役に立つだろう。
ただし見通しはあくまでも予想であり、そのとおりになる保証はない。鵜呑みにするのではなく、参考程度に受け止めてほしい。
経済指標――現在の経済状況を把握する
経済指標とは物価・雇用・貿易・景気・金利など、経済を構成する要素を数値で示したものだ。具体的には「消費者物価指数」「失業率」「政策金利」などが挙げられる。
これらの数値を過去のものと比較することで、現在の経済状況を知ることができる。経済指標は景気を判断するためのものであり、為替相場にも大きな影響を与える。経済指標は為替相場にも大きな影響を与えるため、チェックが欠かせない
経済指標を把握することで、FX取引で重要な「売るタイミング」と「買うタイミング」を判断できる。
経済指標はそれぞれの国が独自に算出しており、定期的に発表される。そのスケジュールはFX会社の公式ホームページに掲載されるので、必ず確認しておこう。
2,FX取引で見るべき3つの経済指標
経済指標は種類が多く、国ごとに発表されるためすべてを把握するのは困難だ。初心者は、まず以下の3つに絞ってチェックしよう。
1,米国雇用統計……米国の雇用者の増減を示す統計データ
FX取引で必ず押さえておきたいのが、米国雇用統計だ。米国の雇用者の増減を示す統計データであり、米国の景気を判断するための材料としてよく知られている。
基本的には毎月第1金曜日に発表され、数ある経済指標の中でも注目度はトップクラス。
米国雇用統計ではいくつかの指標が発表されるが、特に注目度が高いのは非農業部門雇用者数(NFP:Non-Farm Payroll)と失業率、平均時給だ。
事前予想と発表された数値が大きく異なると、為替相場が短期的に乱高下することもあるので注意したい。
2,GDP――国内で生産されたモノやサービスの付加価値を表す国内総生産
GDPとは「国内総生産」のことで、ニュースにもよく登場する経済指標だ。一定期間に生み出された製品価値とサービスの価値の総額を表す。その国がどれほどの価値を生み出したのか、どれだけ儲けたのかを示す指標と考えるとわかりやすい。
GDPには名目GDPと実質GDPがあるが、FX取引で参考にするなら、物価変動による影響を除いた「実質GDP」をチェックしよう。GDPの変化は経済にも影響を与えるので、おのずとFX取引にも影響が出てくる。
3,通貨相関――2種類の通貨の関係性
通貨相関とは、2種類の通貨の関係性のことだ。相関は2種類あり、正の相関は片方が上がればもう片方も上がる関係、負の相関は片方が上がるともう片方は下がる関係だ。例えば、「ユーロ/円と英ポンド/円は比較的相関関係が強い」「米ドル/円と豪ドル/円はあまり相関関係がない」「ドルストレートはほとんどの通貨ペア同士で相関関係がある」といったように使われる。
相関関係を数値化したものを「相関関数」と呼び、「-1」~「+1」の値で示される。「+1」に近いほど正の相関で似たような動きに、「-1」に近いと負の相関で逆の動きになりやすい。
相関関係を把握していると、値動きの予測に役立つ。相関関係は日々変動するので、最新情報を確認しよう。
3,為替相場が大きく動く3つのニュース・情報
FX取引をしていると、前触れもなく急に相場が大きく動くことがある。その主な理由は、以下の4つだ。
1,企業合併やM&Aなどによる国際的な資金移動
国境を越える合併やM&Aでは、数兆円の資金が移動することもある。このように国際的に巨額の資金移動があると、為替相場が大きく動くことがある。
あくまで一企業の話であり、短期的には十分影響を与える要素といえる。
2,軍事関連のニュースや世界情勢の悪化
FX取引では、政治や軍事に関するニュースにも注意を払う必要がある。特に、新興国は政治情勢が変わりやすいので注意したい。
例えば高金利で知られるトルコリラを取引する場合は、トルコ周辺の中東諸国などの動きも重要だ。内戦が続くシリアに加え、イラン・イラクといった周辺国、アメリカ・ロシアによる軍事的な動きは、トルコ経済に大きな影響を与える。経済状態が変われば、もちろん為替相場も変動する。
世界情勢が悪化すると、安全な国の通貨が買われやすい傾向があり、日本円はその代表格だ。世界情勢にとってネガティブなニュースが流れた時は、円高方向に動く可能性を考えよう。
3,為替の介入
為替の介入とは、通貨当局が外国為替市場で売買を行うことだ。相場の急変動を抑えて、安定化を図るために行われる。
例えば急に円高が進んだ時、通貨当局は日本円を売って米ドルを買うことによって進行を抑える。急激な円安の時は、逆に米ドルを売って日本円を買う。
介入は相場に動かすために行われるだけあって売買数量が非常に多く、実際に相場に多大な影響を与える。
介入の実施状況は、財務省のホームページにある「外国為替平衡操作の実施状況」で確認できるので、一度見てみるとよいだろう。
4,FX情報を収集する4つの方法
ここまで、FXを始めるにあたって最低限チェックしておきたい情報を見てきた。これらの情報は、どのような方法で収集するのが効率的なのだろうか?
方法1,FXに関連するニュースサイトをチェック
ニュースサイトでは、政治や経済指標などの情報が常に更新されている。自分が気に入ったサイトを普段からチェックしておこう。
おすすめしたいニュースサイトは、以下の3つだ。
・Bloomberg
経済や金融情報を配信する米国の大手情報サイトだ。FX初心者から上級者まで幅広いトレーダーの参考になるので、金融業界で働く人やFXトレーダーに利用されている。為替だけではなく、マーケットに影響を与えるグローバルな経済ニュースもチェックできる。日本語の記事も豊富に用意されており、閲覧はすべて無料だ。
・ロイター
イギリスに本社を置く通信社の情報サイト。FX初心者から上級者まで使えるだろう。ロイターは国際的なニュース通信社の一つで、金融・経済に注力しているのが特徴だ。「外国為替フォーラム」のコーナーもあり、為替のチャート・ニュースなどがまとまっている。 Bloombergよりも外国為替のニュースが豊富である。
・ウォール・ストリート・ジャーナル
世界的な経済新聞として知られる新聞。ダウ工業平均株価を算出しているダウ・ジョーンズ社が発行しているだけあって、金融や経済についてのニュースが豊富。FXのみならず、株式投資を行っている人もチェックは欠かせない。
方法3,FXニュースのまとめアプリをチェックする
外出先でFXのニュースをチェックする場合は、スマホアプリを活用しよう。人気があるニュースアプリは以下の3つだ。
・FXニュースまとめ速報
FX初心者におすすめのFXに特化したニュースのまとめアプリ。FX関連のコラムやメジャーサイトの記事も配信している。
・株・FX・金融ニュース-Investing.com
金融ニュースやリアルタイムチャート、ポートフォリオ、株式市場・FXなどのライブ相場データを提供する金融情報ポータルアプリ。
・FX(外為)のブログまとめニュース速報
自動で幅広いFXニュースサイトから最新情報を取得し、ランキング機能でホットな話題もチェックできる。
方法4,FX会社によるアナリストレポート
FX会社のホームページには、アナリストの分析情報が掲載されている。専門家によるテクニカル分析やファンダメンタルズ分析の情報を参考にしたいときに役に立つだろう。
FX会社が提供するアナリスト情報の中で、代表的なものを紹介しておこう。
・外貨ex byGMOアカデミー
FXについて学びたい人を対象に、初級者から中級者向けに情報を配信している。
FXの手法や分析など、トレードの上達に役立つ情報がまとめられている。著名な講師によるセミナーが開催されることもあり、過去の開催分は動画で視聴できる。
・外為どっとコム「フィスコレポート」
外為どっとコムは老舗のFX会社の一つで、情報量が多いことでも知られている。投資情報の提供で有名なフィスコ社のレポートが1日4回配信されるほか、さまざまな専門家のレポートも掲載されている。また各通貨ペアの買い材料、売り材料などを一度に把握できるのも特徴だ。
・外為オンライン「今日のアナリストレポート」
通算20年以上為替に携わっているアナリスト佐藤氏が配信する「今日のアナリストレポート」。NY市場の情報や注目のイベント情報、米ドル/円予想やユーロ/円予想を平日毎日更新している。バックナンバーを掲載しているので、過去の情報も見ることができる。
・LION FX「小林芳彦のモーニングショット」
会員限定で配信している「小林芳彦のモーニングショット」。取引の道しるべとなる「短期売買方針」を中心に、 リアルタイムで相場観が更新される「マーケット速報」や、音声による市況解説もオンデマンドで配信している。
・FXプライムbyGMO
高野やすのり氏や柳澤浩氏といった人気トレーダーが、動画などで頻繁に情報を発信している。そのほか、初心者向けの取引アイデアから「チャート分析」「市場動向」に基づいた売買戦略、動画による解説まで、取引のヒントになる情報を幅広く配信している。
方法5,FX会社の無料セミナーでの情報収集
FX会社の中には、無料セミナーを定期的に開催しているところもある。セミナーに注力している会社は、以下の3社だ。
・外為どっとコム
外為どっとコムでは、現在政治家として活動している「マット今井」こと今井雅人氏による経済・為替相場の解説セミナーや、FXレベルアップセッションなど、毎月セミナーを開催している。初心者向けのものもあるので、公式ホームページのセミナーカレンダーをチェックしてほしい。
・FXプライム byGMO
テクニカルセミナーや通貨オプションセミナー、相場展望セミナーなどオンラインで開催している。毎週金曜日は、「夜トレ!」というFXラジオ番組も放送している。こちらも、詳細は公式ホームページのセミナーカレンダーに記載されている。
・外為オンライン
初心者から中・上級者まで、それぞれのレベルに合ったFXセミナーを開催。また中・上級者向けに、ファンダメンタル分析やテクニカル分析といった実践的な知識が学べるセミナーもある。公式ホームページで参加を受け付けているので、気になる人は申し込んでほしい。
このようにセミナーは初心者向けだけでなく、中・上級者向けのものもある。経済見通しや相場展望といった、最新情報を反映したセミナーも用意されている。初めてのFX取引で「何をどうしたらよいかわからない」「今後どの通貨に注目すべきかわかならい」という人は、参加することをおすすめする。
5,FX会社が提供する独自のツールも情報収集に役立つ
FX会社が提供している独自のツールも、情報収集の手段の一つだ。ここでは、FX会社のツールとその特徴を紹介しよう。
FX会社名 | ツール名 | 情報収集に役立つ 特徴的な情報サービス |
DMM FX | スマホアプリ DMM FX | ・取引 ・マーケット情報チェック |
SBI FXトレード | 新スマートフォン版取引アプリ | ・取引 ・マーケット情報チェック |
外貨ex byGMO | Desktop Cymo iPhone Cymo Android Cymo |
・取引 ・ニュース記事本文の表示 |
外為どっとコム | 外為情報ナビ 外貨NEXTneo 外貨NEXTneoリッチアプリ版 外貨NEXTneoWebブラウザ版 |
・注文 ・高機能チャート、 比率情報の利用 ・FXレポート・動画など閲覧 |
FXプライム byGMO | PRIMEアプリS | ・取引 ・レート変動と経済指標の プッシュ通知 |
GMOクリック証券 | はっちゅう君FXプラス FXツールバー |
・取引 ・ニュースや アナリストレポートの閲覧 |
みんなのFX | Webトレーダー | ・取引 ・経済指標や 為替ニュースの閲覧 |
FXブロードネット | FXブロードネット for iPhone FXブロードネットfor Android FXブロードネットfor Tablet |
・取引 ・ニュースの閲覧 |
マネーパートナーズ | HyperSpeed Touch | ・取引 ・ニュース・経済指標の閲覧 |
楽天FX | マーケットスピードFX | ・取引 ・3つのニュースソース表示 |
取引ツールに、ニュース閲覧機能を加えたものが多いことがわかる。外為どっとコムの「外為情報ナビ」はオウンドメディア形式だが、取引ツールからアクセスすることもできる。
6,ニュースを見る際の3つの注意点
FXに関連するニュースに目を通すとき、注意しておかなければならないことがある。取引で失敗しないために、以下の3点に気をつけよう。
注意点1,フェイクニュースに気をつける
インターネット上に流れるニュース・発表には、フェイクも少なくない。特に、SNSではフェイクニュースが拡散されやすいので注意が必要だ。
フェイクニュースに騙されないために、情報源の記載があるか、別のサイトでも同様のニュースが流れているかなど、二重・三重のチェックを心がけたい。
注意点2,米国の経済指標は為替を大きく左右する
米国雇用統計などは、為替相場に与えるインパクトが大きいことで有名だ。短期的に値動きが非常に激しくなることがあり、あっという間に大きな損失を被ってしまうことも。
経済指標の予測値・発表値を利用してトレードをする人もいるようだが、慣れていない人や初心者には危険だ。大きな指標発表時は、スプレッドも開き。初心者は重要な経済指標の発表スケジュールを必ずチェックし、その日時のトレードは控えよう。
注意点3,取引をする通貨のレートに影響を与える関連国の情報もチェック
米国だけでなく、各国の経済指標が発表される際のトレードには注意が必要だ。
例えば資源国通貨の豪ドルであれば、オーストラリアの経済指標だけでなく、主な輸出先である中国の経済指標の発表にも注目する必要がある。そのほか、石油や金などの商品相場の影響も受ける。FX取引の初心者は、取引をする通貨のレートに影響を与える関連国の情報なども併せて見る習慣をつけることが大切だ。
自分が取引をする通貨の国については、経済指標の発表スケジュールを押さえておくとよいだろう。
7,正しい情報を集めて収益アップにつながるFX取引をしよう
FX取引を成功させるためには、政治・経済の最新ニュース、経済指標、為替相場の情報などの収集も必要になる。ニュースサイトやFX会社のホームページ、トレーダーのブログ、アプリなどを活用しよう。
情報を収集する際は、フェイクに騙されないことも重要だ。SNSは情報が早いがデマも多いため、情報源をしっかり確認すること、安易に拡散しないことを心がけよう。
2013年より、総合証券とネット証券を使い分けながら、資産運用を開始。2017年から各種WEBサイトのフリーライターとして活動、現在は経済金融系記事を中心に執筆している。
■保有資格
証券外務員一種、二種
投資診断士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
AFP認定者
2013年より、総合証券とネット証券を使い分けながら、資産運用を開始。2017年から各種WEBサイトのフリーライターとして活動、現在は経済金融系記事を中心に執筆している。
■保有資格
証券外務員一種、二種
投資診断士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
AFP認定者
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