二代目になったスズキ「ハスラー」はひと目でハスラーとわかるデザインを踏襲し、全車ハイブリッドを搭載。そしてFFと4WDが選択できるラインアップで登場した。試乗できたモデルは共にXグレードでFFのNAと4WDのターボで市街地を中心に走行してみた。

もはや軽とは感じない

走り出してすぐに感じるのは、「軽な感じ」がないこと。軽自動車の進化は凄まじく、各社、各モデルともレベルアップしているが、このハスラーも驚くほど上級なモデルへと変わっていたのだ。

それは走り出してすぐに感じるもので、これまで軽自動車のネガとされているドア閉めの音やエンジンの音、安心感の薄いハンドル操舵、ペダルタッチの頼りなさといった類のものが一切ないのだ。全て乗用車と遜色ないほどに乗用車ライクに感じられるのだ。

そのフィーリングはFFも4WDにも共通で、さらにFFなのか4WDなのかすら感じさせないのである。SUVモデルをはじめ多くの乗用車でそうした違いを感じさせるモデルがなくなってきているが、軽自動車においても同様の変化が起きている。軽自動車を利用する側としては、とてもありがたく、不満と感じる部分がどんどん少なくなっていると感じられるだろう。

乗用車ライクに感じさせる

運転席のシートはベンチシートからセパレートタイプに変わり、助手席との距離も30mm拡大している。ドライビングポジションはアップライトで、座面の高さ調整機能もあるのでドラポジが取りにくいということはないだろう。
 

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ベンチシートからセパレートタイプに変更(画像=AUTO PROVEより引用)

フロントウインドウからの眺めは、見下ろし感がありボンネットの先端までよく見える。ボンネットは見えないほうがいいという考えもあるが、SUVで悪路を走るときなどを考慮すれば、先端が見えることは操作性において有利だ。

そして走行ノイズも静かで、見下ろし感のある視界も手伝い、軽自動車に乗っていることを忘れさせるのだ。

エンジンはNAとターボ車で異なるエンジンを採用するこだわりがある。NAは新開発のR06D型でスズキの軽初となるデュアルインジェクション、クールドEGR、そして高速燃焼といった技術を搭載し実用域での燃費も向上しているという。
 

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全車ハイブリッド搭載で、ターボ搭載モデルはかなり力強い加速をする(画像=AUTO PROVEより引用)

一方のターボはR06A型で低中速域でのトルクが太く実にパワフルに走る。そして「POWER」スイッチをステアリングに装備し、最大30秒間ISGのモーター駆動も加わる加速が得られる。ただ現在(2020年2月)、一部のエンジンで、特定の条件で異音が出るという報告があり、該当モデルのみ生産を止めて調査を行なっている。そのため納期に遅れが出ているモデルもあるようだ。

先代のハスラーにもあったパワーモードの対応速度域は80km/hだったが、そこも改良され100km/hまで対応するように変更されている。だから高速道路での追い越しも容易にでき、パワースイッチを押せば力強い加速が得られるのだ。

特筆すべきは静粛性だろう。ボディ剛性を高めるために環状骨格構造にし、スズキ初となる構造用接着剤も採用している。こうした改良により、乗り心地も含め上質になっているのだ。前席の会話明瞭度も8%向上しているというデータが示すように、こうした点でも乗用車ライクに感じるわけだ。

際立つ静粛性とダイナミック性能

試乗した日は生憎の雨で、雨量の多い条件であったが、ルーフにあたる雨音もよく抑えられており、静粛性を語るには厳しい条件でありながら、静かだと感じさせるレベルにある。

ダイナミック性能では、市街地走行と一部高速走行をしたが、直進の安定性が高く、また操舵スピードも適度にスローで好ましい。スポーティを謳うとどうしても過敏な操舵フィールになりがちだが、SUVのキャラクター、悪路走行を想定し適度に緩さを持たせているあたりがレベルの高さを感じる。

新型のボディではアプローチアングルを先代比較で+1度の29度。デパーチャーアングルも+4度の50度へ拡大し、SUV色を強めている。また従来からのヒルディセントコントロールとグリップコントロールにプラスして新採用の「SNOW」モードを搭載している。
 

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6ライツのウインドウにデザイン変更。スクエア感が増している(画像=AUTO PROVEより引用)

ひと目でわかるデザイン

エクステリアデザインはひと目でハスラーとわかり、初代と比較すると随所で変更されているものの、ハスラーだと容易に認識できる。そして6ライツのウインドウ構成にし、より四角さを強調したデザインは個性的だ。とくにリヤゲートは垂直と言えるほどまっすぐなデザインで、特徴的でもある。
 

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9インチのナビモニターはスマホとリンクできるSDL対応(画像=AUTO PROVEより引用)

インテリアでも「遊べる軽」をコンセプトにしているだけに、こだわった内装になっている。インパネ周りはこれまでの日本の軽自動車にはなかったプロテクターを思わせる縁取りをしたデザインを採用し、タフさを強調するインテリアになっている。

インパネ中央には9インチの大型ナビが装備され、高画質で見やすく、タッチパネルの操作も楽にできる。また、スマートフォンとの連携も可能なSDL(スマートデバイスリンク)を搭載している。
 

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防汚タイプのラゲッジルームは広々と使い勝手も良さそうだ(画像=AUTO PROVEより引用)

ラゲッジルームには「遊べる軽」に相応しい装備を搭載した。カーゴスペースとして活用しやすいように、防汚タイプのリヤシート背面、ラゲッジフロアにも採用し汚れ物、濡れたものでも気を使わずどんどん積み込めるようにしている。

リヤシートは荷室の外側からでもスライドが可能なレバーを持ち、使い勝手をよくする工夫もある。もちろんフルフラットになり、大容量のラゲッジスペースがあり、アウトドアで使うギア類も豊富に積み込むことができる。
 

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新色のバーミリオンオレンジとデニムブルーメタリックの2色を追加(画像=AUTO PROVEより引用)

デュアルカメラの先進装備

安全装備では、デュアルカメラサポートを中心に、夜間の歩行者も検知する衝突被害軽減ブレーキや踏み間違いによる誤発進抑制機能を前進、後退時にもソナーで適用している。さらに、ACCでは全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロールを搭載。停止までサポートする。

さらにスズキ初搭載の車線逸脱抑制機能も搭載し、ステアリング操作をドライバーに促す機能を搭載した。そして全方位モニター用カメラを搭載し、クルマを真上からみるような映像を映し出すことができ、狭い駐車スペースなどでは有効に活用できる機能を搭載した。

人とは違う、個性的に、そしてアクティブに活動したいといったユーザーにはおすすめな一台が誕生した。まずは乗用車ライクなドライブフィール、そして静粛性の高さを体験してみてはいかがだろうか。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>
 

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特徴的なヘッドライトデザインはハスラーの魅力のひとつ(画像=AUTO PROVEより引用)
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どこから見てもハスラーとわかるデザインになっている(画像=AUTO PROVEより引用)
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個性的であり、遊び心も感じるハイセンスなインテリアデザイン(画像=AUTO PROVEより引用)
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後席の広さも十分あり、スーパーハイトワゴンと遜色ないキャビンスペースがある(画像=AUTO PROVEより引用)

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(画像=AUTO PROVEより引用)

提供元・AUTO PROVE

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