「米国で最も信頼されている車ランキング」が発表され、トップ10に日本車が9台ランクインするという快挙を成し遂げた。だが、消費者からの信頼を勝ち得ているものの、近年は日本車の販売が低迷している。

最も信用されている車ランキングトップ10

このランキングは、米国の消費者情報誌Consumers Reportsが、4万2,000人を超える会員のアンケート結果を集計したものだ。2000~2019年にリリースされたモデルと、すでにリリース済みの2020年モデルを対象としている。ランキングとスコア(100ポイント)は、以下のとおりだ。

8位 Lexus GS/ レクサス GS(87)
8位 Mazda CX-9/ マツダ CX-9(87)
8位 Toyota 4Runner/ トヨタ 4Runner(87)
6位 Lexus NX/ レクサス NX(89)
6位 Mazda CX-3/ マツダ CX-3(89)
5位 Hyundai Kona/ ヒュンダイ・コナ(90)
4位 Lexus GX/ レクサス GX(91)
3位 Toyota Prius/ プリウス(92)
2位 Toyota Prius Prime/ プリウス PHV(94)
1位 Mazda MX-5 Miata/ マツダ・ロードスター(95)

信頼できる車ランキングトップ3モデルの魅力とは?

トップのMazda MX-5 Miata/ マツダ・ロードスターは、世界で100万人以上に愛用されている、日本が誇る2人乗りオープンスポーツカーだ。初代発売から30年が経ち、現在は4代目。「人馬一体は安全・安心から始まる」というマツダのコンセプトを体現する、ドライバー重視のデザインが特徴だ。

トップとわずか1ポイントの差で2位だったToyota Prius Primeは、日本ではプリウス PHVと呼ばれている。3位のToyota Prius/ プリウスとハイブリッド走行時の燃費性能は大差がないが、プラグインハイブリッドシステムを搭載しているため、最大航続距離は68.2kmとToyota Priusよりはるかに長い距離を走ることができる。

充電時間の早さや3つの充電方法(普通充電、急速充電、ソーラー充電)、大型ディスプレイ搭載など、ドライバーの利便性を配慮したデザインも人気の理由だろう。

レクサス、マツダ、トヨタは、同情報誌の「世界で最も信頼されている自動車ブランドランキング」においても、トップ3に選ばれている。ちなみに日産は11位、ホンダは12位、三菱は20位だった。

日本の自動車産業、販売低迷の危機?

ランキングは「トラブルが発生しにくく、安心して愛用できる」という日本車に対するイメージが健在であることを証明したが、昨今の日本車には販売低迷という懸念材料がある。
自動車大手7社の2019年4~6月期連結決算発表によると、日産自動車が中国を除く主要市場で販売台数を減らし、営業利益が前年同期比98.5%減の16億円となったほか、三菱自動車、マツダ、スズキ、ホンダも大幅減益となった。

「ゴーン時代の後遺症」に苦しむ日産

日産は中間決算と通期業績予想を下方修正するなど、業績は依然として不振だ。

ルノー・日産・三菱アライアンスの元社長兼CEOカルロス・ゴーンによる、目先の業績拡大のみを重視した経営戦略がその一因だろう。ゴーンは2018年に金融商品取引法違反容疑で逮捕され、その後解雇処分を受けるまで米国市場でのシェアを拡大しようとしていた。米国で販売店向けの販売奨励金を積み増ししたが、それが結果的にブランド力を低下させた。

米国以外の主要市場においても4~9月の販売台数が前年同期比6.8%減と、同社はゴーン時代の後遺症に悩まされているようだ。2019年7月、日産は経営の効率化を図るため、2022年までに1万2,500人規模の大型リストラを実施することを発表した。

業績好調のトヨタは売上高過去最高へ

一方トヨタは、国内および欧米市場で売上高や販売台数を順調に伸ばした。

トヨタの2019年3月期の売上高は30兆2,257億円と、初の30兆円を突破。売上高が落ち込んだ2017年から一転、2年連続で成長を遂げ、2011年と比較すると売上高は約1.6倍に増えている。

しかし税引前利益と純利益はマイナス成長であり、またEV(電気自動車)化やAD(自動運転)化などによって自動車産業が大きく変化しつつあるため、取り組むべき課題は山積していると思われる。
 

海外強豪メーカーとの激戦の行方は?

日本の自動車メーカーにとっては、新たなライバルの出現も脅威だ。

クロスオーバーSUVがランクインした韓国・現代自動車(ヒュンダイ)は、特に新興市場で勢力を拡大している。販売台数や市場シェアは失速しているが、韓国自動車産業協会の報告によると、2016年以降のグローバル電気自動車市場では傘下の起亜(キア)とともに、トヨタに次ぐ世界2位のシェアを占めているという。

またBMWやVW(フォルクスワーゲン)、Audi、メルセデスベンツ、フォードといった欧米の強豪メーカーも、競うようにEVやADの開発・販売を加速させている。

競走が激化する自動車市場を、日本の自動車メーカーはどのような戦略とアイデアをもって乗り越えていくのだろうか。目が離せない状況は、しばらく続きそうだ。
  文・アラン・琴子(英国在住のフリーライター)
 

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