2019年9月に開催されたフランクフルト・モーターショーで発表された、新型「ディフェンダー」。『007』の最新作にも起用されたこのクルマは、ランドローバーの70年にわたる革新と改善の歴史が詰まっていると言っていいだろう。ここでは2020年秋以降のデリバリー予定の新型「ディフェンダー」の魅力を紹介していく。

新型「ディフェンダー」は007シリーズで起用!

新型「ディフェンダー」は、2020年4月に日本で公開予定の007シリーズ第25作目にあたる『NO TIME TO DIE』に起用されている。

ジャガー・ランドローバーは007シリーズを制作しているイオン・プロダクションとのパートナーシップが長く、1983年制作の『オクトパシー』で登場した「RANGE ROVER CONVERTIBLE」からスタートしている。

前作『スペクター』では、「レンジローバー・スポーツSVR」と、大幅な改造が施された「ディフェンダー・ビッグフット」が登場。その前の『スカイフォール』のオープニングでは、マネーペニーが「ディフェンダー 101ダブルキャブ・ピックアップ」を運転している。

ランドローバーの新型「ディフェンダー」の4つの特徴 高い走破性能は維持!

(写真=ジャガー・ランドローバー)

世界的に人気の映画にも起用される「ディフェンダー」は2016年に生産終了し、今回は3年ぶりの復活となる。新型「ディフェンダー」を開発するにあたり、オンロードとオフロードを合わせたテスト走行の総距離は120万km、個別テストは4万5,000回実施したという。「ディフェンダー」は各国の軍用車両や警察車両、消防車両などに多く採用されてきたため、過酷な使用条件をクリアする必要があったからだ。

60年以上の歴史を持つ「ディフェンダー」は、新型になってどのように変わったのか。その主だった特徴を紹介していこう。

特徴1,モノコック構造ながらもランドローバー史上最高の剛性と堅牢性を実現

新型では、ランドローバーが極限環境用に開発した「D7x」アーキテクチャーを新たに採用。先代まではクロスカントリーらしく堅牢なラダーフレームを採用していたが、今回は軽量アルミのモノコック構造となった。この構造によって3倍のねじり剛性を実現し、ランドローバー史上もっとも堅牢で高い走破能力を誇っている。

ボディタイプは先代と同じく、以下の3タイプが用意されている。

  • ショートホイールベースで3ドア
  • 5シートの「ディフェンダー 90」
  • 5ドアでオプションの3列目シートを追加することで5+2シートになる「ディフェンダー 110」

特徴2,日本国内で販売する新型「ディフェンダー」のグレードは5種類

(写真=ジャガー・ランドローバー)

グレードは以下の5種類で、4種類のアクセサリーパックが用意されている。

  • 「ディフェンダー」
  • 「ディフェンダー FIRST EDITION」
  • 「ディフェンダー S」
  • 「ディフェンダー SE」
  • 「ディフェンダー HSE」

    日本国内向けは2リッター直列4気筒ガソリンエンジンのみの設定で、トランスミッションはオートマチックのみ。燃費は発表されていないが、最高速度は191km/hで、0-100km/hまでの加速は8秒。

    サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン式、リアには先進のマルチリンク式を採用。「ディフェンダー 110」は電子制御エアサスペンションのみだが、「ディフェンダー 90」ではコイルスプリングも選択できる。

    ホイールは11種類のデザインと4種類のサイズを用意しているが、タイヤは直径815mmと大径で強度と耐久性がさらに向上している。

特徴3,路面に合わせて設定できる「テレインレスポンスシステム」

ランドローバー独自の「テレインレスポンスシステム」は、路面に合わせてエンジンやギアボックス、センターディファレンシャル、シャシーシステムなどの設定を最適化するものだ。

モードは「オンロード」「草/砂利/雪」「泥/轍」「砂地」「岩場」、さらに「渡河走行」もある。「渡河走行」モードを選択すると、電子制御のエアサスペンションが車高を上げてくれる。ウェイドセンシング付属の3Dサラウンドカメラや、ドアミラーに内蔵された超音波センサーによって、最大渡河水深に近づくと警告音と表示で知らせてくれる仕組みだ。

渡河性能は最大水深900mmを誇るため、ちょっとした水たまりや冠水なら問題なく走行できるはずだ。

特徴4,優れたジオメトリーによる抜群の走破性

(写真=ジャガー・ランドローバー)

悪路走破性を示す指標の一つであるアプローチアングルは38°、ブレークオーバーアングルは最大31°、デパーチャーアングルは40°とジオメトリーが優れている。登坂能力は最大45°であり、オフロード走行も安心して楽しめる。

急な下り坂では、4輪それぞれにブレーキをかけてアシストしてくれる「ヒルディセントコントロール(HDC)」が一定速度を維持してくれる。登り坂での発進時にクルマが後退するのを防ぐ「ヒルローンチアシスト」も装備している。

オプションの「オールテレインプログレスコントロール」は、ぬかるみや雪道など濡れて滑りやすい場所で設定した速度を維持してくれるので、ドライバーはステアリング操作のみに集中できる。

【諸元・スペック】※数値は欧州参考値

全長×全幅×全高(mm) 90:4,583×2,008×1,974
110:5,018×2,008×1,967
駆動方式 全輪駆動(AWD)
車両重量(kg) 90:2,065
110:2,186
最高出力(ps/rpm) 300/5,500
エンジン 直列4気筒ガソリンエンジン 最大トルク
(N・m/rpm)
400/1,500~4,000
総排気量(cc) 1,997 ホイールサイズ 18~22インチ
トランスミッション オートマチック 乗車定員(名) 5(110は最大7)

※90の数値はコイルサスペンション仕様

ローンチエディションはわずか4日で完売!

新型「ディフェンダー」の価格は未定だが、2019年11月13日に先行予約モデルとして発表された「ディフェンダー LAUNCH EDITION」は489万円~767万5,000円(税込み)だった。限定150台ということもあり、受付開始からわずか4日で完売している。

同月18日に「ディフェンダー STARTUP EDITION」の予約を開始しており、スタート価格は491万2,000円~。デリバリー予定は2020年秋以降となる模様だ。

文・鈴木博之(フリーランスライター)

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