メルセデス・ベンツが、日本初となるクリーンディーゼル・プラグインハイブリッド「E350de」を発売した。ヨーロッパでは厳しい排ガス規制「ユーロ6」が施行され、ディーゼルエンジン車の走行が禁止されている都市もある。ディーゼルとハイブリッドという馴染みのない組み合わせだが、いったいどんなクルマなのだろうか?

Eクラスのクリーンディーゼル・プラグインハイブリッドで押さえておきたい4つの特徴

(写真=メルセデス・ベンツ)

メルセデス・ベンツのEクラスは、1947年にW136/191型として登場した。時代の先端技術を常に取り入れ、世界で初めてプレミアムセダンというジャンルを確立した。

Eクラスは世界で累計1,200万台もの販売数を誇る同社の中核モデルで、そこに今回クリーンディーゼル・プラグインハイブリッド「E350de」と、ガソリン・プラグインハイブリッド「E350e」が加わった。

今回はこの「E350de」を中心に解説する。

特徴1,最新エンジンとモーターのシステム総合での最高出力は316ps

「E350de」に搭載されるのは、最新の2.0リッター直列4気筒クリーンディーゼルターボエンジン。最高出力194psを発生し、ディーゼルエンジンのデメリットである振動や騒音が低減されたことで快適な走行を実現している。

このエンジンに組み合わされる電気モーターの最高出力は122psで、エンジンと合わせた最高出力は316psとなる。短い距離は電気モーター、長距離や高速道路ではクリーンディーゼルエンジンという使い分けができる。

ディーゼルエンジンは短い距離で使うとススが溜まると言われているが、「E350de」では排出ガス浄化経路を短縮し、sDPF(DPF with SCR Coating:選択触媒還元法コーティング付粒子状物質除去フィルター)を採用するなど、排出ガスの浄化にも最新の技術を取り入れている。

特徴2,13.5kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載

(写真=鈴木博之)

「E350de」はプラグインハイブリッド車なので、電気だけで走行することもできる。

複数のモデルに用いることを前提に開発された、容量13.5kWhの小型化されたリチウムイオンバッテリーを搭載。このバッテリーのおかげで、電気モーターだけでも最長50kmの走行ができる。

充電時間を短縮するために6.0kW(30A)対応の交流普通充電器本体を無償提供し、設置にかかる費用負担を軽減するために10万円のサポートを実施している。

特徴3,2つの機能があるインテリジェントアクセルベダル

アクセルペダルには、ハイブリッド車ならではの機能と安全運転をサポートする機能が加わった。

・「プレッシャポイント機能」
電気モーターでの走行時、それ以上アクセルを踏み込めばエンジンも稼働を始めるポイントがある。そのポイントでアクセルペダルの抵抗を増し、モーター走行の限界をドライバーに知らせてくれる機能が「プレッシャポイント機能」だ。これによって、無駄な燃料消費を抑えてくれる。

・「ダブルパス機能」
レーダーで先行車両との車間距離と速度差を計測し、不要なアクセル操作による加速を認識すると、2回のノックパルスを発生させて知らせてくれる機能。

特徴4,搭載される安全運転支援システムも飛躍的に進化

(写真=メルセデス・ベンツ)

「E350de」は、高性能なステレオマルチパーパスカメラやレーダーセンサーによって、周囲の交通状況をさらに的確に把握できるように進化した。その一部を紹介していこう。

・「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック」
高速道路走行時、速度に応じて先行車との車間距離を調節する機能。先行車が停止するとE350deも停止する。また渋滞で自動停止した際、30秒以内に先行車が発進するとアクセルを踏まなくても自動で発進する。

・「アクティブステアリングアシスト」
車線が不明瞭な道路ではガードレールを認識し、車間距離の維持とステアリング操作をアシストする。

・「渋滞時緊急ブレーキ機能」
渋滞時に最後尾の車に追突されることを避けるため、自動ブレーキが作動する。

・「アクティブレーンチェンジングアシスト」
アクティブステアリングアシストが起動しているとき、移動したい車線の方向にウインカーを点滅させると、安全を確認して自動で車線を変更してくれる。

・「アクティブブレーキアシスト」
車や歩行者、路上の物体などとの衝突の危険を感知すると、ディスプレイ表示で警告し、必要に応じてブレーキ圧を高める。

これらをはじめとした、様々な先進技術が投入されているのが特徴だ。

【諸元・スペック】数値は欧州参考値

全長×全幅×全高(mm) 4,923×1,852×1,475 エンジン最高出力(ps/rpm) 194/3,800
ホイールベース(mm) 2,939 エンジン最大トルク(N・m/rpm) 400/1,600~2,800
トレッド(mm) F1,475/R1,480 モーター最高出力(ps) 122
エンジン DOHC直接4気筒
ターボチャージャー付+モーター
モーター最大トルク(N・m) 440
総排気量(cc) 1,950 タイヤサイズ(F/R) 245/45R18、275/40R18
トランスミッション 電子制御9速A/T 乗車定員(名) 5
駆動方式 FR ステアリング

メルセデス・ベンツのEクラスは豊富なラインアップが魅力!

メルセデス・ベンツではユーザーのライフスタイルや好みに合わせ、さまざまなバリエーションを用意しており、Eクラスのセダンだけで10種類もある。

E200 AVANTGARDE(BSG搭載モデル):734万円
E200 4MATIC AVANTGARDE(BSG搭載モデル):758万円
E220d AVANTGARDE(BSG搭載モデル):757万円
E300 AVANTGARDE Sports:871万円
E350e AVANTGARDE Sports:852万円
E350de AVANTGARDE Sports:875万円
E450 4MATIC EXCLUSIVE:1,094万円
Mercedes-AMG E53 4MATIC+(ISG搭載モデル):1,252万円
Mercedes-AMG E63 4MATIC+:1,733万円
Mercedes-AMG E63 S 4MATIC+:1,875万円
(すべて税込み)

またEクラスのセダンは、以下のようにエンジンのバリエーションも豊富だ。

  • 新しい電動化技術48Vシステム(BSG)を活用した新開発の1.5リッター直噴ターボエンジン+BSG+48V電気システム
  • 高い環境性能を持つパワフルな3.0リッターV6ツインターボエンジン+フルタイム4WD
  • クリーンディーゼル・プラグインハイブリッドの「E350de AVANTGARDE Sports」
  • ガソリン・プラグインハイブリッド「E350e AVANTGARDE Sports」がある。

    Eクラスにはステーションワゴンやクーペ、カブリオレとさまざまなボディスタイルがあり、ユーザーのニーズに応えてくれる。その中でも日本初となるグリーンディーゼル・プラグインハイブリッドの「E350e」は、注目の的になるだろう。

    文・鈴木博之(フリーランスライター)

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