4代目となる新型フィットが東京モーターショー2019で発表された。2001年に初登場したフィットは進化を続けながら、これまで全世界で750万台以上も販売されてきた。「新しい時代のコンパクトカーのスタンダードを作り上げる」というコンセプトの新型フィットの魅力と、その詳細を紹介しよう。

待望の新型「フィット」はライフスタイルの多様化に合わせて5つのタイプを用意

(写真=本田技研工業)

実は新型フィットは2019年10月に販売される予定だったが、電子パーキングシステムの不具合や部品供給の問題などがあって発売が延期され、2020年2月に発売されることになった。

満を持して登場した4代目は、広い室内空間や使い勝手の良さなど、歴代フィットから受け継がれているMM思想(マン・マキシマム/メカ・ミニマム思想)を踏襲しつつ、以下の4つの「心地良さ」を掲げ、グローバルで通用する新しいコンパクトカーのスタンダードを目指して開発された。

  • 心地良い視界であること
  • 座り心地が良いこと
  • 乗り心地が良いこと
  • 使い心地が良いこと

    ラインナップは、多様化するライフスタイルに合わせて選べるように、以下の5つのタイプを用意している。

「BASIC(ベーシック)」

フィットのデザイン性と快適性を備えた基本モデル。先代とは違ったやわらかな表情で、愛くるしい柴犬のようなフロントフェイスになった。ミニバンのようにリアに向かってシームレスで流れるようなフォルムをはじめ、親しみを感じさせるシンプルなデザインが特徴。

「HOME(ホーム)」

フロントフェイスはBASICと同じで、インテリアではシートに良質で自然な風合いの素材を使い、プライムスムースのソフトパッドや本革ステアリングなど、全体の素材やカラーをそろえることで、リラックスできる上質な空間を目指したモデルだ。

(写真=鈴木博之)

「NESS(ネス)」

ドライブに、フィットネススポーツのような軽快なイメージを持たせたモデル。エクステリア、インテリアのコーディネートには、ツートンカラーの設定もある。シートやインパネソフトパッドの表皮には撥水性の高い素材を採用。

「CROSSTAR(クロスター)」

(写真=鈴木博之)

BASICよりも大径のタイヤを装着。フロントグリルを拡大し、バンパー開口部や下部、さらにオーバーフェンダー、サイド、リアバンパーをブラックにすることで、SUV風のCROSSTAR専用デザインに仕上がっている。
 

(写真=鈴木博之)

NESS同様に、シートとインパネソフトパッドの表皮には撥水性の高い素材を採用し、ツートンカラーの設定もある。

「LUXE(リュクス)」

エクステリアデザインはBASICを踏襲しつつも、専用デザインの16インチアルミホイールやプラチナ調クロームメッキを採用し、上質感を高めたモデル。専用の本革シートを標準装備し、質感や手触りのよさだけでなく、優雅で心地良い車内空間を目指した。NESS同様にツートンカラーの設定がある。

4代目フィットの注目ポイントは初搭載のハイブリッドパワートレイン

日本を代表するコンパクトカー・フィットの新型で、特に注目したいポイントを3つに絞って紹介しよう。
 

(写真=鈴木博之)

ポイント1 パワートレイン「e:HEV」をコンパクトカーで初採用

パワートレインは、上記の5タイプそれぞれにガソリンエンジンと新型ハイブリッドが設定されている。

3代目フィットのハイブリッドタイプは「SPORT HYBRID i-DCD」を採用していたが、新型の4代目フィットではそれを一新し、高い環境性能と心地よい走りの両立を目指して開発した2モーターのハイブリッドシステムの「e:HEV」をホンダのコンパクトカーに初めて採用した。

今後ホンダは「e:HEV」を他の車種でも展開する予定で、2030年までに世界の四輪車販売台数の3分の2を電動化する取り組みを加速するという。

ポイント2 安全運転支援システムの機能をさらに強化

安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダ センシング)」を標準装備。車両前後に装着した8個のソナーセンサーと連動し、車両前方の状況を検知する「フロントワイドビューカメラ」を新たに採用。また、ホンダ車では初となる「近距離衝突軽減ブレーキ」も追加されている。

ポイント3 日本初搭載の「Honda CONNECT」

新世代コネクテッド技術「Honda CONNECT」も搭載し、日々の安心や安全、快適さ、便利さを提供する。24時間365日ドライバーとつながることで、安心でストレスフリーなカーライフの実現を目指している。

フィットvsノート 日産の牙城を崩せるか?

好調な販売が期待される4代目フィットだが、現在最も売れているコンパクトカーは日産「ノート」だ。2018年には車種別年間販売台数で日産史上初のトップに輝き、2019年は普通自動車カテゴリーでトヨタの「プリウス」「シエンタ」と首位を争っていた。4月~9月の累計販売台数はノートが5万9,474台に対して、フィットは4万3,287台だった。

ノートのパワートレインは、ガソリンエンジンとハイブリッド「e-POWER」があり、ともに1.2リッターエンジンを搭載。「e-POWER」のエンジンは発電専用で、発電した電力を駆動用バッテリーに充電し、駆動モーターで走行する仕組みだ。

駆動方式は2WD、4WD、さらにNISMO、AUTECH、福祉車両を含めると20以上のグレードが用意されている。ノートの価格は、144万7,600円(税込)からだ。

それに対して新型フィットのパワートレインは1.5リッターのガソリンエンジンと、新開発の2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」。その他のグレードや価格は未定だが、現行のフィットは145万5,300円(税込)からであり、価格でもノートと競合していることがわかる。

トヨタも、新型フィットと同じ2020年2月に新型「ヤリス」を発売する予定だ。発売時期が重なることもあり、今後ハイブリッドコンパクトカー市場の勢力図が変わるかもしれない。

文・鈴木博之(フリーランスライター)
 

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