マカオのカジノはアジアに埋もれるのか

2019.8.31
SENSE
(画像=Getty Images)
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マカオは中国の特別行政区の一つです。

香港の西にあり、ジェットフェリーで1時間もあれば行き来できるところに位置しています。

中国でもカジノが認可されている特別な地域で、外資系のカジノオペレーター企業に解放されて以降、経済的に急成長を遂げました。

外資系企業に開放されるまでは東洋の鉄火場のイメージだったマカオは、ラスベガスのノウハウを持つカジノオペレーターの進出によって、カジノ収入世界一にまで発展しました。

しかし中国の習近平総書記の汚職取り締まり以降、マカオのカジノの勢いは衰えており、近隣のアジア諸国もマカオの成功にならい、新しいカジノを導入していく中でマカオの相対的な地位は下がっていきました。

投資家の目線からマカオの今後の未来を予測してみます。

2006年にはラスベガスを追い抜いたマカオのカジノ産業

2004年に約40年のスタンレー・ホーの一族が経営するSTDM社のマカオのカジノ独占の時代が終焉を迎えました。

ラスベガスのカジノオペレーターのサンズ・マカオが開業したからです。

それまでマカオはホー氏の一族が独占する東洋の鉄火場のようなイメージの街でした。

しかし、外資系のカジノオペレーターがマカオの対外解放後に次々に進出し、マカオのカジノ収入はラスベガスをうわまりました。

外資系のカジノオペレーターは魅力的な娯楽施設を次々に建設し、元からあったスタンレー・ホーのSTDMも外資系カジノに対抗するべくグランド・リスボアなど、マカオを象徴するカジノホテルを建設しました。

香港資本のギャラクシーグループも、そこに参戦しマカオのカジノ産業は急成長しました。

その急成長を支えていたのは中国本土の富裕層のマネー・ロンダリングです。

マカオのカジノの売上の大部分はVIPルームからの収益によって支えられていました。

確かにマカオはカジノの売上では世界一になりましたが、規模としては総合的なエンターテイメントシティのラスベガスには及びません。

マカオのカジノの収益は、大部分が中国本土の資産家のマネー・ロンダリングとVIPサービスによって成り立っていました。

カジノで変わったマカオ

マカオはカジノと観光と街です。

産業の大部分がカジノに依存しています。

外資系カジノが進出したことにより、マカオはますますカジノ依存を強めていきました。

若者の中には公務員や教師を辞めてカジノ・ディーラーの養成所に通う人まででてくるようになりました。

公務員や教師よりもマカオの大手カジノのディーラーの方が給料が良いからです。

もともと狭く産業があまりないマカオでしたが、カジノの税収によって教育費と医療費は無料になりました。

そして毎年1人当たり10万円以上が支給されるようになりました。

マカオのカジノは雇用の拡大と手厚い社会保障をマカオにもたらしました。

一方でギャンブルに依存するマカオの人もでてきて社会問題も生まれました。

産業もカジノ依存をますます強めていくことになりました。

良くも悪くも東洋の小さな島に過ぎなかったマカオは、カジノによって大きく変わり国民も行政もカジノ依存を強めていきました。

2013年以降のマカオの厳しい状況

勢いのあるマカオの成長に水をさしたのは、習近平総書記の反腐敗キャンペーンと近隣アジア諸国のカジノの成長でした。

カジノに極端に依存する経済は、カジノ産業が打撃を受けると一気に傾いてしまう脆さもあります。

マネーロンダリングの取締が厳しくなる

マネーロンダリングの温床となっているとして、マカオのカジノは習近平総書記の反腐敗キャンペーンのターゲットとなりました。

キツネ狩りと呼ばれる海外に逃亡した共産党の幹部を追求する動きや、マカオのマネーロンダリングへの監視を強めたことで、カジノのVIPルームの売上は激減しました。

マカオのカジノ収入はVIPルームに依存していたため、取締の影響は大きく、右肩上がりの成長を続けていたカジノの収益は下落に転じました。

近隣諸国のカジノの台頭

マカオの成功にならいアジア諸国でも次々にカジノ産業が育成されました。

例えばシンガポールではマリーナ・ベイ・サンズが、シンガポールの象徴ともなったカジノホテル兼コンベンションセンターをオープンしました。

そしてセントーサ島でもカジノを内包した複合型のエンターテイメントエリアを開発、マカオと同じ中華系のシンガポールのカジノは大きく成功しました。

フィリピンにも国際空港の周辺にオカダマニラやシティオブドリームスなどの新しいカジノが建設されました。

韓国やカンボジア、ベトナム、マレーシアにもカジノはあり、マカオのカジノの規模には及ばないものの、カジノ目当ての客の選択肢は増えカジノ同士の客の奪い合いも厳しくなっています。

マカオの現在

マカオは習近平の腐敗撲滅キャンペーンとアジア諸国のカジノの台頭によって一時期の勢いを失ってしまいました。

しかしマカオも少しずつ変化しています。

香港と巨大な橋で繋がれる

マカオと香港はジェット・フェリーでの行き来が盛んでした。

しかし港珠澳大橋が開通したことでバスでの行き来が可能になりました。

香港とマカオが橋で結ばれたことにより、ますます香港とマカオの行き来が便利になり観光や産業に大きな影響を与えそうです。

香港とマカオはフェリーで1時間もかかる距離で、それを橋で繋げてしまうスケールの大きさには多くの人が驚きました。

家族も楽しめるエンターテイメントシティを目指す

VIPルームへの過度な依存から脱却するために、マカオのカジノも家族で楽しめる複合型のエンターテイメント施設がコタイ地区に建設されています。

その象徴は銀河娯楽グループが運営するギャラクシーホテルでしょう。

カジノだけではなく、映画や巨大な流れるプールに人工ビーチが人気です。

ラグジュアリーブランドを扱ったショッピングモールも併設されており、カジノ目当ての観光客以外も取り込んでいこうとする意欲が感じられます。

またマカオにはポルトガルの植民地だった頃からのコロニアルな建造物も多く、世界遺産の街としても知られています。

カジノ産業を中心とはしながらも、少しずつカジノ以外の総合的なエンターテイメントシティとしての生き残りをかけようとしていることが伺えます。

しかしVIPから流れる巨大な資金に比べると、一般層が落とすお金は収益的には大きくはならないと予想されます。

富裕層以外の一般的な人々も楽しめるようになったことで別の成長戦略を模索しています。

日本のカジノはマカオの強力なライバルになる

実はマカオのカジノの大きなライバルになりそうなのが日本です。

日本はカジノ以外にも様々な産業や楽しめるところもあります。

サービスの質も高く、日本のカジノが本格的に稼働したらマカオの強力なライバルとなることが予測されます。

世界的な冒険投資家のジム・ロジャーズも日本のカジノの台頭がマカオの脅威になると考えています。

また長期的な視点ではマカオの地位の下落を予測しています。

日本も含めたカジノは近隣諸国のカジノとの競争が激しくなるのではないでしょうか。

マカオの長期的なシナリオは厳しいかもしれません。

香港上場のカジノ関連株

香港上場のカジノ関連株は一時期、勢いがあり大きく上昇しました。

例えばヴェネツィアンでおなじみの金沙中国(001928)やスタンレー・ホー一族のSJM(00880)、香港資本の銀河娯楽(00027)、MGMの美高梅(002282)、シティ・オブ・ドリームスのメルコ(00200)、ウィンリゾートの(001128)、などがマカオのカジノセクター関連銘柄です。

しかしマカオのカジノセクター全体の動きをみると、新高値をつけられずに株価は推移しています。

マカオは魅力的なエンターテイメントシティであることに現在は違いありませんが、投資家目線でみると今後、爆発的な成長をすることは難しいと考えられます。

日本のカジノが今後、日本のオペレーターによって運営されるのか、ラスベガスの外資系カジノオペレーターが主導していくのかは現在はっきりしていません。

もしも日本の独自オペレーターが運営するならば投資妙味はあるかもしれません。

しかし外資系オペレーターの一事業として展開されるなら、大きなリターンを期待できる投資にはならないのではないでしょうか。

サンズが日本のカジノを主導するなら、アメリカに上場されているラスベガス・サンズ(LVS)に動きがあるかもしれませんが、今のところ目立った動きもありません。

まとめ

マカオは外資系カジノへの開放によって大きく成長した反面、カジノ産業への依存を高めることになりました。

教育費や医療費が無料になり、年に10万円が給付されるなど国民にカジノの税収が還元されるようになった一方で、ギャンブル依存症などの社会問題も見られるようになりました。

そして、アジアの近隣諸国のカジノとの競争の激化とマネーロンダリングの監視で過去の大きな成長を維持するのは難しくりました。

複合的なエンターテイメントシティへと舵をとって生き残りをはかろうとしているマカオですが、長い目で見ると厳しい立場に立たされそうです。

文・田守正彦/提供元・The Motley Fool Japan

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