「世界で最も裕福な国・地域ランキング」が発表され、首位のカタールを筆頭に、トップ10は人口が少なく、国土も狭い国・地域がランクインした。

ランキングは国際通貨基金(IMF)が2018年4月に公表したデータを用いて、世界各国・地域の1人当たりの購買力平価(Purchasing power parity、PPP)に基づいた国内総生産(GDP) を順位つけたもの。

米国12位、ドイツ18位、日本30位 など、経済大国ならば経済的に豊かというわけではない。

世界で最も裕福な10カ国・地域

10位 香港 PPPに基づいた1人当たりのGDP 6.5万ドル
9位 クウェート 6.7万ドル
8位 アラブ首長国連邦 6.9万ドル
7位 ノルウェー 7.4万ドル
6位 ブルネイ 8.0万ドル
5位 アイルランド 8.0万ドル
4位 シンガポール 9.8万ドル
3位 ルクセンブルク 11.1万ドル
2位 マカオ 12.2万ドル
1位 カタール 12.9万ドル

日本の1人当たりのGDPはシンガポールの2分の1以下

GDPは国民の数に影響を受けやすいため、単に国のGDPが高いだけでは本当の国の豊かさは判断できない。1人当たりのGDPが高い国ほど、国民の所得と消費が高い国であることを示す。

日本の1人当たりのGDPは4.4万ドル。カタールの約3分の1で、アジア圏トップのシンガポールの2分の1以下だ。

米国は12位、ドイツは18位など、経済大国はトップ10入りしておらず、中国の1人当たりのGDPは、わずか1.8万ドルしかない。裕福な国として挙げられることの多いスイスですら、11位という結果だ。

ランキング最下位は730ドルのブルンジ共和国、810ドルのコンゴ共和国、1200ドルのマラウイ共和国など。

このランキングのトップ国・地域の多くは 、働いている国に移住していない、あるいは移住者の地位を与えられていない移民労働者に依存しているため、1人当たりのGDPの算出から除外されている(ビジネスインサイダー2018年5月22日付記事 )。

オイルマネーで国民が潤う?カタール、ブルネイなど

トップ10入りしている国・地域の産業や経済を見てみよう。

世界一裕福な国カタールの主要産業、石油と天然ガスは同国のGDPの55%を占める(OPEC データ)。2016年のGDPは1525億ドル と小規模だが、人口も264万人と比較的少ないため、1人当たりのGDPが大きく、生活水準が非常に高い。

同じく石油と天然ガスを主要産業とするブルネイの平均所得は月1991ドル(税引き後)。先進国ほど物価が高くなく(numbeo.com )、質の高い教育 や医療システム を政府が無料で提供している。整備された環境が、国民の生活に大きな潤いをもたらしていることは疑う余地がない。

アラブ首長国連邦やクウェートも世界屈指の石油国だ。しかしアラブ首長国連邦は石油に依存した経済からの脱出を図っており、近年は金融やテクノロジー、 観光、サービス など産業の多様化に乗りだしている。

金融産業が活発なシンガポール、ルクセンブルク

シンガポールやルクセンブルクは金融を経済基盤としているほか、貿易事業も活発。小規模ながら国外からの労働力を積極的に受け入れ、自国経済を活性化させている。

シンガポールもルクセンブルクも、急速に経済成長を遂げた国だ。ルクセンブルクは第2次世界大戦後、グッドイヤー、デュポン、モンサントといった国外の大手企業を誘致することで 、国内の経済を活性化させた。

シンガポールは立地、誠実な政府、多数の外国貿易に支えられ、アジア屈指の国際事業大国へと成長した(The Economist2015年3月26日付記事 )。

ノルウェーやアイルランドも生活水準の高さと住民の幸福度で、世界中から評価されている。ノルウェーは漁業や天然資源に加え、石油・天然ガス産業も盛んだ。アイルランドは繊維、鉱業、食料生産などを主要産業としている。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online

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