若者の車離れ加速は本当なのか?世界中の調査から分かった「若者意識の違い」

2018.12.10
SENSE
(画像=shutterstock / Jaroslav Monchak)
(画像=shutterstock / Jaroslav Monchak)
ミレニアル世代(1980~2004年生まれ)の車離れに対する懸念が議論されているが、要因や傾向は国・地域によって温度差があるようだ。米国ではミレニアル世代の新車購入率が増加傾向にあるが、車を持つミレニアム世代のうち2割が「20年後には車を所有する必要がなくなっている」と予想。

世界指折りの自動車製造国ドイツではカーシェアリング文化がますます発展。英国では車で外出するよりも家で過ごす若者が増えているという。

世代の所得格差や価値観の差に加え、シェアリングエコノミーの拡大、テクノロジーの進化などが主な原因として挙げられている。ミレニアル世代は都会での生活を好む傾向が強く、交通渋滞や駐車スペースを考慮すると、車を所有するよりも必要に応じて配車サービスやライドシェアを利用した方が、時間とお金の節約になる。スマホから必要に応じて手配できる手軽さも、需要を押し上げているものと思われる。

「ミレニアル世代は車の所有に興味がない」は事実ではない?

米人口の3分の1を占めるミレニアル世代の新車の購入率が、それ以上の世代の半分以下の17%に落ち込んだ2010年(連邦準備制度理事会データ)、「ミレニアル世代は車の所有に興味がない」との見方が自動車産業を震撼させたという 。

しかし2016年にはミレニアル世代の新車購入率が28%まで上昇。米国最大の自動車市場とされるカリフォルニアでは、初めてベビーブーマー世代(1946~64年生まれ)の新車購入率を上回ったことが、米市場調査企業JDパワーの調査から明らかになった。

このことからミレニアル世代は車の所有に興味がないのではなく、結婚や出産、住宅購入などの平均年齢が上がっているのと同様、車を所有する時期が遅くなっているだけではないか—と分析されている(ロサンゼルスタイムズ紙2016年12月23日付記事 )。

そもそも車の免許を取得する年齢自体が高くなっている。1980年代には米国の18歳の80%が免許を取得していたのに対し、現在は60%程度に留まる(ミシガン大学調査 )。ある程度の年齢に達し経済的な余裕や車を所有する必要性が生じれば、ミレニアル世代も車の購入を検討するということだ。

しかしこうした推測は楽観的過ぎるとの見方もある。初めて車を購入する年齢が上がれば上がるほど、一生涯で買い替える台数が少なくなる。自動車産業にとっては長期的な売上低下につながるだろう。

8割が「車を所有する価値がない」とは思っていない

2016年9月、米消費者金融情報サイト「NerdWallet」 が実施した調査では、車を所有するミレニアム世代のうち80%が「車の所有する価値がない」というコメントに異論を唱えた。また「自家用車を処分して、カーシェアリングや配車サービス、公共交通機関の利用への切り替えを検討した」のは、わずか車を所有するミレニアム世代のうち9%だ。

車を買いたい、買いたくないに関わらず、ミレニアル世代の車の所有に関する見解は、ベビーブーマー世代と大きく異なる。ベビーブーマー世代にとって車の所有は「一人前の証」だったが、ミレニアル世代は単に利便性から所有しているケースが多いようだ。

学資ローンの借り換え比較サイト「LendEDU」が車を所有している501人のミレニアル世代を対象に行った調査では、21%が「20年後には車の所有が必要なくなっていると思う」と答えた。12%が既に「Uberなどのライドシェアで(運転手として)運転したことがある」、17%が「UberやLyftなどのアプリの普及で、車の所有について再考した」そうだ。

しかし裏を返すと、79%が「20年後も車を所有している必要がある」と感じていることから、少なくとも米国はまだまだ自動車所有文化はすたれそうにない。

英国の自動車所有率はピークを過ぎた?若い層の自宅で過ごす時間が増加

英国でも若い層の車離れが加速しているが、復興の兆しがみえる米国と違い、このままさらに車離れが強まると推測されている。

英国では1992~94年にかけて48%だった17~20歳の自動車免許の取得率が、2016年には29%まで減少。19~34歳で車を所有していない割合も2009年には28%だったが、2015年には40%に増えたことが、西イングランド大学とオックスフォード大学交通研究所の共同調査から分かっている。

1990年以降低賃金で不安定な職が増えた上に、不動産の高騰で住宅所有率が著しく減ったこと、若者のデジタル趣向、高等教育に進む若者が増えたことなどが、17~29歳の車離れの要因のようだ。

興味深いのは、これらの層が車の代用として公共交通やライドシェア、あるいは徒歩の利用を増やすのではなく、家で過ごす時間を増やし、インターネットを通して外の世界と交流している点だ。車で外出する代わりにネットで買い物をしたり友人とチャットする、あるいはオンライン大学や自宅から仕事をするギグエコノミーが拡大したことも影響しているだろう。17~29歳が自宅で過ごす時間を1995年と2014年で比較してみると、男性は80分、女性は40分増えている。

オックスフォード大学交通研究所は調査結果から、恐らく英国における自動車所有のピークは過ぎたと結論付けている(サンデータイムズ紙2018年2月1日付記事)。

カーシェアリング文化が急発展、利用者180万人にあと一歩

年間600万台の車を製造しているドイツでも、若い層の車離れは進んでいるのだろうか。ドイツ航空宇宙センターが2017年3月に発表した調査によると、やはり若い層の車の所有率が減少傾向にある。1998年には60%だったが、2013年には50%を下回る水準に落ち込んだ。 他の年代は一定の水準を維持、または若干増えている。

2017年1月のデータでは、6300万台の自動車両が登録されており、そのうち4600万台が自動車だ。カーシェアリング市場が急成長中の国だけに、カーシェアリング用の車の登録は1.7万件、利用者は180万人近いという。

ドイツ・カーシェアリング協会の統計では、2017年、最もカーシェアリングが活発だった都市はバーデン・ヴュルテンベルク州カールスルーエで、住民1000人につきカーシェアリング用自動車2.71台を共有。シュトゥットガルトは1.47台、フライブルクは1.41台、ハイデルベルクが1.27台、ミュンヘンが1.27台、ゲッティンゲンが1.25台という結果になった。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター/ZUU online
 

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