国際コンサルティング会社マーサーによる「Cost of Living 2018」が発表され、生活費の高い都市として東京が2位に選ばれた。トップ10にはアジア6都市がランクインしている。

8都市の順位が上がった中、2017年に1位だったルアンダは大幅に後退。ニューヨークやジェノバも圏外となり、代わって北京やンジャメナがトップ10入りした。

米ドル安の影響でニューヨークがトップ10圏外へ脱落したのに対し、ロンドンやパリ、ベルリンなどの欧米都市では生活費が高騰している。

生活費の高い10都市

10位(2017年10位) バーン(スイス)
9位(11位)  北京(中国)
8位(15位) ンジャメナ(チャド)
7位(8位) 上海(中国)
6位(1位) ルアンダ(アンゴラ)
5位(6位) ソウル(韓国)
4位(5位) シンガポール(シンガポール)
3位(4位) チューリッヒ(スイス)
2位(3位) 東京(日本)
1位(2位) 香港(中華人民共和国香港特別行政区)

大阪、名古屋はランクダウン 中国は8都市がトップ50に

マーサーは、世界209都市における住居費・交通費・食費・衣料費・家庭用品・娯楽費・教育費など、200品目以上の価格を比較してランキングを作成。一般的な物価指数を測る目的ではなく、多国籍企業が各都市に駐在員を派遣する際の目安として利用されている。

駐在員にとって世界で最も物価の高い都市は、ルワンダに代わり香港。東京、シンガポール、ソウルと、トップ5のうち4都市がアジア圏だ。

ルワンダの後退は、住宅価格の下降によるものかと思われる。生活費の大部分を占める住宅費が下がったことで、ほかのアジアトップ都市の順位が上がった。

北京を筆頭とする中国の都市は、経済の活況や、人民元を国際通貨に押し上げる試み等により元の通貨としての価値が上がったため順位を上げている。深セン市が12位、広州市が15位、南京市が25位、天津市が29位、成都市が31位、青島市が36位、瀋陽市が38位と、トップ50に9都市がランクインした。

バンコクは15ランクアップ、オーストラリアの主要都市は後退

オーストラリア の主要都市は軒並みランクダウン。シドニーは5つ順位を下げ29位、メルボルンは順位を12下げ58位、パースは順位を11下げ61位など。

大阪や名古屋同様、ほかのアジア都市の生活費上昇に影響されたようだ。トレバー氏は、一般的にランキングの中間に位置する都市は、ほかの都市の変動に影響を受けやすい」と分析している。

経済成長が続くインドで最も生活費が高い都市は55位のムンバイ。ニューデリーは103位、チェンナイは144位。最も生活費の低い都市は182位のコルカタ、170位のベンガルール。

ハノイは順位を37下げて137位だったが、バンコクは順位を15上げ52位、クアラルンプールは順位を20上げ145位となった。

米ドル下落の影響が欧米都市の生活費にも

ニューヨークを含む米国の都市は、欧州経済の回復でドルの価値が下がり、全体にランクダウン。米南北地域で最も生活費の高かったニューヨークは4つ順位を下げ13位。サンフランシスコ、ロサンゼルス、シカゴはそれぞれ7、12、20順位を下げ、28位、35位、51位だった。

南米はブラジルやアルゼンチン、ウルグアイなどで物価が高騰しているにも関わらず、リオデジャネイロが43も順位を下げ99位に。リマとボゴタは28、15順位を下げて、132位、168位という結果に。

欧州からはチューリッヒとベルンがトップ10入り。ジュネーブは住宅価格の低下にともない、4つ順位を下げた。対米ドルの欧州通貨高や物価の上昇で、全ての欧州都市がランクアップした。

上昇傾向はドイツで強く見られ、フランクフルトとベルリンはともに49、ミュンヘンは41も順位を上げ、68位、78位、57位に。英国はロンドンが順位を10上げて19位、バーミンガム、ベルファストが順位を19、18上げ、128位と152位になった。

パリは28ランクアップで34位。順位を34上げたローマは46位、47上げたマドリッドは64位、39上げたウィーンなどで、生活費の高騰が目立った。対米ドルで現地通貨の価値が弱まった東・中央欧州では、モスクワやサンクトペテルブルグ、キエフが17位、49位、173位と順位を落とした。

最も生活費の低い10都市は?

7つ順位を上げたチャド共和国の首都ンジャメナや、トップ10に留まったルワンダ、14も順位を上げて18位となったリーブルビルなど、アフリカ地域でも一部の都市で物価の高騰が見られる。

ウズベキスタンの首都タシケント は、10ランクアップで209位となったが、全世界で最も物価の低い都市である。そのほか生活費の低い都市は、チュニス、ビシュケク、ガンビア、カラチ、マラウイ、トビリシ、ミンスク、テグシガルパ、マナグアなどだ。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online
 

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