アシックス(asics)のスパイクピンのない陸上スプリントシューズ「メタスプリント(METASPRINT)」に使用している、CFRTP(熱可塑性炭素繊維複合材)を用いた複雑な立体形状を実現する成型技術が、複合材料分野で世界的な賞である「JEC Innovation Awards 2020」スポーツ・ヘルスケア部門で最優秀賞を受賞した。

「JEC Innovation Awards」は、毎年3月にパリで開催される世界最大の複合材展示会「JEC World」に合わせ各国から招請された審査員によって、部門ごとに最終選考に進んだテーマの中から最優秀のテーマを選定し、最優秀賞の発表と表彰を行っている。創設された1996年からさまざまな産業分野のバリューチェーンの各関係者がどのように連携して関わったのか、また、イノベーションをもたらした技術的専門性や、イノベーションの市場への適用という評価基準をもとに表彰している。今年は新型コロナウイルスの影響を受けて、3月3~5日に予定されていた「JEC World 2020」展は来年3月に「JEC World2021」として開催。「JEC Innovation Awards 2020」は5月13日正午(フランス時間)からオンラインによって表彰式が行われた。

今回は、アシックスの他にパートナーのサンコロナ小田、金沢工業大学革新複合材料研究開発センター(ICC)、ナガセケムテックスの4者が共同で受賞。サンコロナ小田は「メタスプリント」の革新的な靴底を実現した複合材料を新しく開発、ナガセケムテックスと金沢工業大学ICCもその複合材料のイノベーションに携わっている。

「メタスプリント」は、靴底に金属製のスパイクピンを配置しない“ピンなし”の短距離向けシューズ。ピンをなくすことで、地面にピンが刺さってから抜けるまでの時間を短縮できるのではないかと、2015年から開発を始めた。軽量化にも成功し、男子100mで9秒98の記録を持つ桐生祥秀選手も愛用している。国内では一般向けモデルを4月中旬に発売予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期になっている。
 

SEVENTIE TWO
(画像=SEVENTIE TWOより引用)
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(画像=SEVENTIE TWOより引用)

文・鍋倉萌子/提供元・SEVENTIE TWO

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