型抜きされた補修シールも登場して「リペアを楽しむ」時代到来! 難しいと思われがちなダウンの寝袋の洗濯も、じつは意外と簡単なのだ。

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穴あきの補修とダウン製の洗濯方法

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

ダウンの寝袋の洗濯は難しくない

「フィールドでのメンテナンスは、使ったらとにかく乾燥させること。
ダウンの寝袋の場合はとくにそれが肝心です。汗に含まれる湿気や塩分、皮脂はダウンのロフト(膨らみ)低下を起こし、本来の機能が発揮できなくなります」そう語るのはパタゴニアマーケティング部の大堀泰祐さんだ。
自分で行なえるダウンの寝袋のメンテナンスは大別してふたつ。穴あきの補修と洗濯だ。
まず、穴の補修だが、小さな穴ならばリペアシールを使って補修を行なう。ハガキサイズほどの大きな穴や裂け目になるとユーザー個人での補修は難しく、メーカー修理に出してほしいとのこと。

生地の穴あき

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岩に引っかけたり、火の粉が当たったりしたために空いてしまった穴はリペアシートで補修を行なう。現場ではダウンが抜けぬようダクトテープなどで応急処置をしておく。(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

ロフトの低下

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繰り返しの使用により、汗を吸ってロフトが低下してしまったり、皮脂汚れがついてしまったりした場合には洗濯を行なう。いくつかの基本を守れば、難しい作業ではない。(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

「パタゴニアではよほど古いものでない限り生地をストックしてあるので、かなりキレイに修理が可能です。同じ生地がない場合にはまったく違った色で補修を行なうことで『リペアを楽しむ』提案などもしています。また、動物やギアの形に型抜きされたリペアシールももうすぐ発売されるので、リペアがさらに楽しくなると思いますよ」と大堀さん。
ダウンの寝袋の洗濯は大変で、クリーニングに出したほうが楽でいいと思っている読者も多いかもしれないが、大堀さんは「ダウンの寝袋の洗濯は決して難しくありません。家庭用の洗濯機で洗えます。乾燥機だけは温度切り替えのある大型の乾燥機を使っていただきたいのでコインランドリーでの作業になりますが。ビックリするくらいフカフカになるのでぜひ自分で洗ってみてください。溶剤を使ったり、強すぎる洗剤で洗われてしまう可能性もあるクリーニングはオススメできません」ということだ。

ポイント

1.中身の綿が出てこないようにしっかりと補修を
2.ダウンの脂まで落とさないよう、専用洗剤を使う
3.低温でじっくりと乾燥、最後は高温で撥水剤の定着

保管方法

ストレージバックに入れて保管
 

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

自宅での保管も、山に持っていくときに使うスタッフバッグやコンプレッションバッグに入れておきたい気持ちはよくわかる。だがそれはオススメしない。山に持っていき、いざ使うというときに、すぐには膨らまなくなってしまうからだ。寝袋はその膨らみで断熱と保温を行なっていることを忘れずに。家庭では大型のストレージバッグに入れて保管していただきたい。

生地の穴あきの補修方法

必要な道具はコレ!

リペアシール
 

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

ウェットティッシュ
 

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

当て布
 

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

1.汚れをふき取る

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

汚れやダクトテープの糊のカスなどはウェットティッシュでキレイに拭き取る。ベンジンなどの溶剤は撥水機能を落としたり、生地を傷めたりするので使用しないこと。

2.穴より大きめにカットする

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

補修のためのリペアシールは、穴よりもひとまわり以上大きなサイズで切っておくこと。接着面が少ないことによって剥がれてしまう危険性を回避するために行なう。

3.角を落として丸くする

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

補修用のリペアシールはかなり粘着性が高く、角から剥がれることは滅多にないが、ここも用心して角を丸く落とすか、全体を円形に切り出せば剥がれづらくなる。

4.中綿を収める

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

接着面からはみ出さないよう、ダウンをなかに押し込める。ダウンが静電気で手に吸着しないようにあらかじめ静電気除去をしておくと安心(静電気が起きやすい冬場はとくに)。

5.生地を伸ばしてシールを当てる

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

生地をきちんと伸ばしていないとリペアシールの下にシワができてしまったりする。穴の位置を再確認してから、伸ばした生地の上に静かにシールを乗せ、軽く押さえる。

6.当て布の上からこする

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

当て布をした上から、まずは手のひらでしっかり押さえて貼り付け、そのあとで指の関節や爪などでしっかりこすって貼り付ける。最初から強くこするとシワが寄ることもある。

7.定着させる

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

しっかり生地とリペアシールの糊を定着させるためには、少なくとも約1日そのままにしておいたほうがいい。貼り付けたあとで、すぐに洗濯などはしないほうがオススメ。

洗濯方法

必要な道具はコレ!

洗濯ネット
 

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

テニスボール
 

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)
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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

攪拌用の専用ボールもあるがテニスボールで代用可。

グランジャーズダウンウォッシュ、撥水剤
 

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

1.洗濯ネットに入れる

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

洗濯機で洗う際には、生地の保護や洗濯中のよじれを防ぐため洗濯ネットに入れる。小さいと寝袋が折りたたまれたままなので、毛布などを洗うための大型のネットを使う。

2.水通しをする

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

水通しをしないと寝袋が浮いてしまう。洗面器で水に浸すか、洗濯機では「すすぎ」モードで1度洗うといいだろう。しっかり水を吸っているかチェックも必要。

3.ダウン用洗剤で洗う

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

ダウンの寝袋を洗うときには、羽毛の脂を抜きすぎないように専用の洗剤を使うことが肝心。体の皮脂汚れが多い寝袋の内側を表にして、ネットに入れて洗うこと。

4.撥水剤を入れる

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

洗濯が終わったら専用液で生地表面の撥水加工を行なう。洗濯と同じ要領で加工ができる。濡れるとロフトが低下してしまうダウン製品にとって、表面生地の撥水はとても大切。

5.低温で乾燥機をまわす

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

撥水加工が済んだら乾燥。ネットのなかの寝袋によじれがないか確認したらテニスボールといっしょに乾燥機にかける。ボールが寝袋内のダウンをほぐしてくれる役目を果たす。
 

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

乾燥は「低温」モードで。高温だとダウンが固まったまま乾いてしまう。

6.乾燥度合いを確かめる

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

中綿の量にもよるが乾燥には6 ~ 8時間かかる。2時間毎くらいに乾燥度合いとダウンに偏りやダマがないかを確かめる。表面が乾いていても中はまだ湿気っていることもある。

7.最後に高温でまわす

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

乾燥は基本的にずっと低温モードで行なうが、最後だけ高温モードにする。レインウエアなどの撥水処理と同様に、こうすることによって撥水加工がしっかりと定着する。

教えてくれた人

パタゴニア マーケティング部
大堀泰祐さん
 

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(画像=FUNQ/PEAKSより引用)

根っからの山好き。登山からクライミングまで、なんでもこなし、ヒマさえあれば山へ行っているとか。2、3年に1回はヒマラヤにも行くという熱の入りよう。

CREDIT : 文◉鈴木アキラ Text by Akira Suzuki
写真◉後藤武久 Photo by Takehisa Goto

PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

提供元・FUNQ/PEAKS

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