スマホなどの携帯電話が普及した現代において、電話は個人で所有するのが当たり前になった。しかし電話といえば、各家庭に1台あった黒電話を思い浮かべる方もまだまだいるのではないだろうか。ここ数十年で大きな進化を遂げてきた電話。そんな日本の電話の歴史について解説していこう。

目次

  • 「日本の電話」誕生の歴史を知る
  • 「黒電話」の変遷と庶民への普及

    今では電話といえばスマホが主流になっている。しかし、電話が普及し一般家庭に定着し始めたころの電話といえば、黒い色と回転式のダイヤルが印象的な「黒電話」だ。黒電話を懐かしいと思う世代に向けて、電話の歴史を解説しよう。

    「日本の電話」誕生の歴史を知る

男の隠れ家デジタル
(画像=男の隠れ家デジタルより引用)

アメリカ人のグラハム・ベルによって発明された電話機は、1877年に日本に初めて輸入された。1890年には公衆に向けて初の電話交換業務が開始された。東京から横浜までを繋ぐといった極めて限定的なものだったせいか、開通当初の電話加入件数は、東京と横浜合わせて197世帯というとても小規模なものだった。

電話の繋ぎ方も実に特徴的だ。当時の電話にはダイヤルやボタンといった類いのものはなく、通話をするたびに電話機についたハンドルを回して交換手を呼び出す必要があった。交換手に電話番号を告げ、通話先と繋いでもらっていたのだ。

はじめのうちこそ一般の家庭には広まらなかった電話だが、交換局の増加、電話網の拡張が進められ、1892年度には加入件数は1,500人を超え、1900年の公衆電話設置を経て、日本で電信業が始まって20数年経った1903年度には3万5,000人に達した。
 

男の隠れ家デジタル
(画像=男の隠れ家デジタルより引用)

「黒電話」の変遷と庶民への普及

電話が一般家庭へ普及することで通話数は劇的に増加したが、それによって浮上した問題がある。電話を繋ぐ交換手の取次作業が追いつかないようになったのだ。

その事態を解決したのが、1927年に導入された自動交換式電話機だ。交換手を介さず直接電話を繋げる自動交換式電話機の誕生から、プッシュホンが誕生するまでの電話機の特徴や歴史的な背景を紹介しよう。

2号自動式卓上電話機(1927年導入)

最初の自動交換式電話機として導入された電話機がこれだ。関東大震災の復旧のタイミングで、限界を迎えていた手動交換式からの脱却を進めている。

3号自動式卓上電話機(1933年導入)

約30年もの間、日本の家庭の定番電話機として活躍した電話機だ。後に誕生する黒電話の原型といえるだろう。戦後は電話復旧を目指す国内で生産が追いつかなくなるといった事態も発生。それを補うために「富士型自動式電話機」「イ-661電話機」などが登場した。

4号自動式卓上電話機(1950年導入)

戦後日本で電話機の研究開発に力が入れられ誕生したのが4号自動式卓上電話機、通称黒電話だ。朝鮮戦争による特需景気に沸く国内において、この電話機とともに戦後の電話復興が支えられた。

600形自動式卓上電話機(1962年導入)

通話性能をさらに向上させたのがこの電話機だ。前機を黒電話と紹介したが、多くの人が思い浮かべるのは、実のところこちらかもしれない。この電話機で初めて螺旋式の電話コードが採用された。今までにはなかったホワイト・グリーン・グレーのカラー展開も革新的だった。

プッシュホン(1969年導入)

プッシュボタン式によるデータ通信を可能とした、コンピュータと繋げて使用する電話機。プッシュボタン式は、現代でも多くの電話機で採用されており、携帯電話の基礎ともいえる。
 

男の隠れ家デジタル
(画像=男の隠れ家デジタルより引用)

現代では固定電話を引いている家庭も減少の一途を辿っている。また、電話の交換設備が限界を迎えることもあり、固定電話(アナログ電話)は2025年1月までにIP網へ移行予定と総務省より発表された。

スマートフォンなどの新しい電子機器の開発も素晴らしいことだが、東日本大震災での活躍にも見られるよう、黒電話もまだまだ捨てたものではない。ありがたいことにIP網へ移行後も黒電話は使用できる。もし、まだ手もとに眠らせている黒電話があるようなら、昔懐かしい記憶とともに掘り起こしてみるのもいいかもしれない。

男の隠れ家デジタル編集部
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提供元・男の隠れ家デジタル

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