世帯年収1000万円でも「私立小の教育費」はまかなえない?

2018.9.16
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(写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)
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10~11月は首都圏の私立小学校の受験がピークを迎える。私立小学校入学のためには受験があり、入学前でも意外なほど費用がかかるので、子供が受験する可能性がある世帯は「うちは大丈夫」と決めつけず、早めに試算と対策をしておいたほうがいい。

私立小学校を受験するためにかかる費用 見逃しがちな洋服代

まず受験するだけでも1校当たり2~3万円はかかる。受験対策の幼児教室や模擬試験は、頻度やその内容にもよるが、年間50万円程度は用意しておきたい。

試験や面接時の服装もそろえる必要がある。卒業式などにも使えるものを兼ねることもできるが、子供はどんどん成長していく。運動考査や行動観察がある学校ではそれに適した服も必要なので、5~10万円程度は見込んでおいたほうが良いだろう。保護者は仕事や入学などの式典用でふさわしいものがあればそれを利用してもいい。

入学時には入学金の他に施設費などもあわせてまとまったお金が必要になり、その額は50万円を超えることも多い。他の学校の結果で入学を辞退する場合でも数十万円の入学金は返金されないこともある。これらのお金を準備していくためにも、受験対策でのお金の使い過ぎには気をつけたい。

私立小学校に入学後してからかかる費用は学費だけではない

学校により大きく異なるが、私立小学校の学費は学校に納付する分だけで年間70~100万円程度かかるといわれている。

学校に納める費用は授業料だけではない。学校案内などや募集要項で学費を確認しても、各学校で書き方が異なっていたり、「その他〇〇費など」といった書き方であったりするため、実際に払うのがいくらになるのか分かりにくい場合がある。

入学金や授業料や設備費など主だったものから費用を見積もっていたのに、教材費や行事費用や後援会費などで書かれていない部分に意外なほどお金がかかる学校もある。数十万円単位の寄付金を求められる学校もあるため、事前にしっかりリサーチしないと思わぬところで家計が苦しくなる。

通学エリアに制限を設けている学校もあるが、遠方まで電車やバスを利用して通う場合は通学費もかかる。内部進学ができるので安心と思っていたら、学習に遅れをとらないよう塾通いが必要になることも。周りの子供達にあわせた交際費がかかることもあるだろう。実際に通ってからの日常を想像して、学校以外にもどれくらい費用がかかるか考えておきたい。

年収1000万世帯にとってどの程度負担になるのか

年収1000万円は高収入の目安とされる。「年収1000万あるから子供を私立小学校に通わせても大丈夫だろう」と安易に考える家庭も少なくない。

世帯年収1,000万円世帯の可処分所得(月平均額)は約67万円である(総務省統計局の平成29年「家計調査報告」)。私立小学校の年間学費70~100万円を月平均にすると5.8~8.3万円で、月の収入の8.6~12.3%を占める。学校以外にかかる費用もあわせると月に10万円(15%程度)くらいになることもあるだろう。

夫婦共働きのために世帯年収1,000万円超という家庭も多い。この階級では実収入に対する配偶者の収入割合が16.5%と比較的高い。収入の内訳によると、配偶者の収入は月に約14万円であり、前に述べた学費と学校外の費用はその過半に相当し、配偶者の収入ほとんどが教育費に消えることになる。計画的に家計管理をしている世帯でなければ、たとえ年収1000万円でもその負担は軽くはないだろう。

私立では系列への進学は多く、中学~高校~大学とオール私立となることもあり得る。子供の学習費調査によると、小学校から高校までオール私立だと平均の学習総額は1,626万円。そこに学部学科によってかかる費用は大きく異なるが、私立大の平均として大学1年あたり136万円かかるとすると大学4年間で544万円。高校までと合わせると、実に2,000万円も学費にかかるのだ。

月の収入に対する学費のバランスを確認してから受験を

せっかく受験をして入った私立小学校でも学費を払えなければ通い続けられなくなる。安易に私立小学校へ通わせると、学費や諸々にかかる負担が思っている以上に大きくなり、世帯年収が高いからといっても家計が破綻する可能性も出てくるだろう。

大学にかかる費用は高校までよりも高く、他にも進学の節目にまとまったお金が必要になる場合もある。収入のうち一定額は将来のために確保しておくようにしたい。私立小学校へ通わせる時には、年収の多少を問わず、月の収入に対する学費のバランスを一度確認するとともに、何にどれだけお金をかけるのかよく吟味し取捨選択していくべきである。

文・柴田 千青(ファイナンシャル・プランナー)
 
 
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