バスケットボールの雄が、ランニングシューズに挑戦!

他ブランドにないデザインの美しさ

コンバースというブランド名を聞いて真っ先に思い浮かべるスポーツのカテゴリーは、バスケットボールで間違いないだろう。さらにコンバースはスキッドグリップ、ジャックパーセルといったプロダクトを販売したり、アメリカのトップテニスプレーヤーのクリス・エバートやジミー・コナーズと契約することで、テニスシューズをはじめとした他のコートスポーツにおいても高い評価を受けていた。

しかし、いっぽうで苦手としたカテゴリーも存在していた。それがトラック&フィールドと呼ばれる陸上競技や街を走るロードランニング、クロスカントリーを総括したランニングカテゴリー全般である。コートスポーツではトップブランドに君臨するコンバースであったが、それまでに発表されていたバルカナイズ(加硫圧着)製法のトラックスターやマイラーといったランニングシューズとなると、ランナーからそれほど高い評価を得ることはできなかったのである。

その後もバスケットボールシューズと比較すると細々とランニングシューズの展開を続けたコンバース。1976年6月に創刊された雑誌「ポパイ」のスニーカー特集には、オールスターランニングとネーミングされた3モデルが掲載されたが、同じ特集に掲載されていたナイキ、アディダス、ブルックス、プーマといったブランドのランニングシューズと比較すると、アッパーデザインもアウトソールパターンもとくに個性がなく、ページのなかで埋もれているように思ったのは筆者だけではなかった。

スエードを使用した適度なカジュアルテイストも人気

そのような状況に変化が起きたのは1978年のこと。コンバースはあらたなランニングシューズとして、ワールド クラス トレーナーを誕生させたのである。アッパーサイドのシェブロン&スターの組み合わせこそ前述のオールスターランニングを継承しているものの、つま先の補強デザインなどは他ブランドにない独自のもの。スエードの使用面積が多いことから、適度なカジュアルテイストを醸し出しているのも、タウンユースも考えているユーザーにはうれしいディテールであった。

とくにホワイト/ブルーのカラーリングはスエードの発色がよく、一部のスニーカーフリークに愛され、現在もコンディションのよいものは高値で取引されている。またアウトソールは、コンバースを象徴する星形を模っており、その形状はナイキのワッフルソール、プーマのドンソールと同様に、アスファルトやコンクリートといったオンロードでは高いクッション性を、土や芝生といったオフロードでは抜群のグリップ性能を発揮することとなった。

筆者は鎌倉書房という当時「スポーツノート」というスポーツのムック本シリーズを出版していた会社のいくつかの書籍で、このワールド クラス トレーナーを見つけて、そのカッコよさに魅かれたが、周囲のスポーツ店ではコンバースのランニングシューズの取り扱いはなく、実際に購入できたのは’90年代初頭。正月休みに愛知の実家に帰省した際、地元のスポーツ店でデッドストックとなっているのを発見した。

ホワイト/ブラックとホワイト/ブルーを購入したが、印象的だったのは前述したとおり、ブルースエードの発色のよさ。製造から10年以上が経過しているのにも関わらず、まるで新品のような美しさで、この当時のスポーツシューズの一部には、厳選されたマテリアルが使用されたことを象徴していた。

column

このモデルのアウトソールパターンはコンバースを代表するデザインの星形。オンロードでは高いクッション性を、オフロードでは抜群のグリップ性能を発揮した。
 

FUNQ
(画像=FUNQ/RUNNING styleより引用)

出典
ランニング・スタイル 2017年1月号 Vol.94

RUNNING style 編集部
ランニング初心者から、サブ4を目指す中級者まで楽しめるランニング専門マガジン。トレーニングやアイテムの紹介、トレイルラン、イベントまでさまざまな情報をお届けする。

CREDIT :
テキスト/南井正弘(Masahiro Minai)
イラスト/田中斉(Hitoshi Tanaka)

提供元・FUNQ/RUNNING style

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