INDEX

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塔ノ岳山頂から200㎜レンズで捉えた富士山。左右対照にせず左の通称「富士山のベロ」を切り取った。(画像=FUNQ/PEAKS)
・歩行時間:7時間
- 総距離:17㎞
ポイント
望遠レンズを使いこなせるようになるとグンと撮影領域が広がる。コツは山頂だけでなくピンポイントかつシンプルに撮影すること。陰影、造形、色彩、動きといった要素を切り取るセンスが問われる。

ヤビツ峠から塔ノ岳縦走の定番コースなので、写真は漠然としたスナップになりがち。そこで視界の良い冬ならではの、望遠レンズによる遠景の切り取りをおすすめしたい。

コースの醍醐味は終始西に富士山、南に水平線を遠望できること。最初の展望地であるニノ塔、三ノ塔を経て烏尾山まではアップダウンのある開けた尾根歩きだ。富士山は各ポイントで撮影しておくと、微妙なアングルや陰影の変化があって、あとで見比べると楽しい。背後の大山も三角錐で美しく、望遠レンズなら阿夫利神社の屋根も見える。

鎖場のある行者ヶ岳は路面凍結時はとくに慎重に通過して、新大日から塔ノ岳山頂へ。望遠レンズで見る富士山は対座したように間近に大きく感じられて迫力を増す。相模湾の向こうに浮かぶ大島や湘南の江ノ島も良いテーマだ。丸い桧洞丸の左には尖った甲斐駒ヶ岳が並んで対比が際立つ。下山の大倉尾根は長い急坂。スリップに注意して下ろう。

アドバイス

積雪状況は事前に確認して軽アイゼンや地図、ライトなど冬山基本装備は忘れずに。降雪後は無理をしないようにしたい。余裕があればヤビツ峠の護摩屋敷の名水で珈琲野点なども楽しい。

アクセス

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(画像=FUNQ/PEAKS)

ヤビツ峠までは小田急線秦野駅から神奈川中央交通バスを利用。本数が少ないので確認しておくように。帰路は大倉から同バスで小田急線渋沢駅へ。丹沢・大山フリーパスが便利。

写真家 水谷和政

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(画像=FUNQ/PEAKS)

仕事はオールラウンダー。山は夜間撮影が好きだったが、天候不順の空振り続きで腐りかていた矢先、秋の涸沢でひさびさの快晴星夜に当たり、再びテンションが上がった。

シカが駆ける草原や広葉樹林でのんびり撮影

山頂にたどり着いたことがたった一度もありません!

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高原ヒュッテ前に現れたニホンジカ。人馴れしすぎた個体だった。背景にシラカバとカラマツの幹が写っている。高原ヒュッテ周辺の雰囲気がわかると思う。(画像=FUNQ/PEAKS)
・歩行時間:3時間
- 総距離:5㎞
ポイント
雲海が期待できそうな日や、朝霧が漂う早朝なら、幻想的な景色に出合える可能性があるので、大平高原から直接、月見岩へ向かおう。ルートは、無理してループを描かなくてもよい。臨機応変に。

撮影山行に適した山の条件は、コースタイムが3時間ほどで、景色に変化があること。奥秩父山塊のはずれに位置する乾徳山は、この難しい条件を満たす。乾徳山の特徴である山頂の岩稜を省いてもなお、十分に撮影を楽しめるのだ。

そんな乾徳山の撮影ポイントのひとつが月見岩。その名のとおり、月見をしたくなるような開けた草原で眺めがよく、ついのんびりと休憩してしまう。タイミング次第だが、望遠レンズで、雲海から顔を出す富士山や、草原で草を食むニホンジカの群れを撮影できるかもしれない。

もうひとつのポイントは、シラカバが点在する森に囲まれた高原ヒュッテ周辺だ。冬枯れの季節なら白く輝く木立が美しい。背景を大きくボカせるF値が明るいレンズで撮影の幅を広げよう。また、マクロレンズがあれば、林床のシダの葉や花も被写体となる。距離は短いが、コンパクトな領域に被写体がギュッとつまっている、満足度の高い山だ。

アドバイス

おすすめの季節は盛夏以外。とくに新緑、紅葉の盛りと、冬季は格別だ。注意すべき箇所はなく、道迷いの心配もない。しかし、山頂へ行くなら話は別。山頂手前の鎖場が要注意箇所だ。

アクセス

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(画像=FUNQ/PEAKS)

大平高原へはマイカー利用がベスト。中央道勝沼ICから約80分。タクシーなら塩山駅で下車。国道140号線から大平高原までは道幅がとても狭い。バスの場合は徳和の乾徳山登山口から。

カメラマン 矢島慎一

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(画像=FUNQ/PEAKS)

より短く、よりゆっくりした撮影メインの山歩きが好み。それによって山頂を踏めなくてもまったく問題はない。ルート設定は、自分が楽しめる範囲内で無理せず構築すればよし。

まだ見ぬ景色が見つかる日光の雲竜渓谷

氷を見るなら、行くぜ雲竜渓谷!

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土と氷のコントラストがとにかくかっこいい。沢沿いにはほかにもいろんな氷柱がある。(画像=FUNQ/PEAKS)
・歩行時間:5時間
- 総距離:10㎞
ポイント
ただただ自分を感動させるシーンを探し出そう。それを見つけ出すことも、撮影におけるテクニックのひとつ。時刻、天気などで被写体の表情が変わるので、気に入った場所ではベストな瞬間を待つ。

「あー、やばいよ、やばいよ」なんて口ずさんでしまう。そして、沢沿いの氷柱を目にして写真を撮りまくってしまう。そんな“やばい”景色と出合えるのが、日光の奥地で静かに口を開ける雲竜渓谷だ。

雲竜渓谷は、1月下旬に見ごろを迎える氷瀑や氷柱で名前を知られている。でも、それよりも僕がおすすめしたいのは、それらのポイントの前、雲竜渓谷入口までに通る沢沿いのコースのほう。なぜ有名な氷瀑ではなくてこちらなのかというと、自分だけの景色をカメラに収めたいから。もしかしたら、それを見たことがあるのは自分だけなのかもしれない。そんなものを撮るなんて、写真心をくすぐられるに決まってるじゃない。

ちなみに、登山口付近の稲荷川沿いもいい眺めだ。なお、沢沿いのコースを行くならば、足元には要注意。じつばぼくも撮影に夢中になるあまり、不注意で足を滑らせて……。相当に落ち込みながら、水没したカメラをしまい込んで帰ったのだった。

アドバイス

洞門岩で林道と沢に分かれるが、断然沢沿いコースがおもしろい。迷わず沢沿いに足を向けよう。雲竜渓谷登山口駐車場は電波が入らないので、タクシーで帰る場合は事前に時間の約束を。

アクセス

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(画像=FUNQ/PEAKS)

駐車場は小規模なので、クルマで行くよりもタクシーでのアクセスが安心だ。JR日光駅、東武日光駅から約6㎞、20分ほどかかる。帰路に呼んだ場合、日光市内までへは約¥3,000。

フォトグラファー 松井 進

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(画像=FUNQ/PEAKS)

今年の夏に息子が産まれたばかりなのに、いっしょに山へ行くことが早くも楽しみすぎる。テントの中で寝袋にくるまって夜を明かすときには、息子の動画をエンドレスに再生する。

日本百名山の重要地、茅ヶ岳

日本百名山を歩くなら一度は茅ヶ岳へ

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「日本百名山」の著者である深田久弥氏の終焉の地で知られる茅ヶ岳登山口には、深田久弥が残した名句「百の頂に百の喜びあり」を刻んだ碑がある。(画像=FUNQ/PEAKS)
・歩行時間:3時間15分
- 総距離:8㎞
ポイント
山頂からの富士山大展望。夏は午後から天候が下り坂になる傾向があるため、できるだけ早朝に出発し、山頂からの展望を楽しんでもらいたい。富士山以外の山梨の名峰も間近に捉えることができる。

私自身の地元の裏山であり、もっとも身近な山でもある茅ヶ岳。日帰り山行にはもってこいで、週末はたくさんの登山者で賑わっている。

山頂までは往復で4時間程度と歩きやすく、ビギナーでも安心して登ることができる。広葉樹の森をゆっくりと歩いていけば、標高1,704mの山頂では大展望が待っている。山頂は360°ぐるりと見わたすことができ、とくに甲府盆地を眺めた先にどんと構える富士山の眺望は素晴らしい。

また、南アルプスの鳳凰三山や甲斐駒ヶ岳、奥秩父の瑞牆山や金峰山といった山梨を代表する百名山の眺望も必見。行程がそれほど長くないので、ぜひ、お気に入りのカメラをもって歩いてみてはいかがだろうか。フォトジェニックな山梨の茅ヶ岳にぜひ、足を運んでもらいたい。

また、山梨といえば、ワインも忘れてはいけない。下山後の楽しみに「サントリー登美の丘ワイナリー」へ足を延ばしてみてほしい。

アドバイス

コースタイムは短く、入門的なルート。女岩の付近では落石が多く、立ち入り禁止にされている。深田久弥終焉の地はファン必見。山頂には立体式展望盤があり、カメラ片手に楽しもう。

アクセス

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(画像=FUNQ/PEAKS)

バスかクルマでのアクセスとなる。バスならJR韮崎駅から茅ヶ岳・みずがき田園バスで茅ヶ岳登山道入口まで、およそ30分。クルマは韮崎ICから15分程度で深田記念公園駐車場に着く。

山岳カメラマン 平賀 淳

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(画像=FUNQ/PEAKS)

カメラを片手に里山からヒマラヤまでをフィールドに走り回る。地元である山梨の山に詳しく、過去には三伏峠小屋で働いていたこともある。山岳地でのドローン撮影も実践中!

奥秩父の黒々とした森から稜線へ

とにかくゆっくりと観察しながら歩きましょう

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瑞牆山荘からいくつかの山小屋、大日岩を経て、五丈石が待つ金峰山を目指す。原生林が続く登山道。(画像=FUNQ/PEAKS)
・歩行時間:7時間30分
- 総距離:11㎞
ポイント
写真を撮りたいのは、だれもが見落としてしまいそうな、なんでもない風景。構図など余計なことは考えずに、良いと思った被写体への直感を大切に、素直にシャッターを切るように心がけています。

奥秩父ならではの黒々とした原生林に覆われた、深くて濃い森。そして森林限界を抜けてからのアルペン的な美しい展望。それらが楽しめる金峰山は、私にとって最高にフォトジェニックな山のひとつです。

私が撮り歩いたのは11月上旬。太陽が昇るよりも先に、夜も明けきらぬうちから登りはじめました。早朝の山中はしんと静まりかえり、聞こえるのは自分が発する足音や呼吸音。やけにいつもより大きく聞こえます。

そうやって少しずつ五感が研ぎ澄まされるのも、自然が身近になる証。富士見平小屋をすぎたあたりからは空が白みはじめ、木々の柔らかい光が射し込み、暗闇から森の輪郭が徐々に浮かび上がりました。その森林美にはシャッターを切る回数も増えることでしょう。大日岩をすぎたあたりからは急登がはじまるものの、それを抜けると突如好展望に。山頂までは痩せ尾根にゴツゴツした岩場が続いて、高山気分も楽しめます。

アドバイス

往復すると約8時間になるなど、体力も必要とされるルート。撮影に充てる時間も考慮したら、クルマで移動して早めの出発を心がけるように。大日岩、五丈石といった奇岩も撮影しがいのある被写体だ。

アクセス

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(画像=FUNQ/PEAKS)

瑞牆山荘まではバスならJR韮崎駅から瑞牆韮崎線に乗って約1時間半。片道¥2,060と日帰りには痛い出費なので、クルマが有効だ。須玉ICから約40分。山荘近くには大きな無料駐車場がある。

カメラマン 奥田晃司

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(画像=FUNQ/PEAKS)

学生時代に屋久島で偶然知り合った方に連れられ、当初計画になかったモッチョム岳に登り登山に魅了される。現在はフリーのカメラマンとして山に旅、グルメ撮影と幅広く活動。

新緑から紅葉へ、懐深い自然休養林

頂上を目指す富士登山とは一味違った山歩き

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富士山自然休養林にはさまざまなコースがあってどのコースも見所満載。(画像=FUNQ/PEAKS)
・歩行時間:2時間50分
- 総距離:6㎞
ポイント
木々の生い茂る林。そのなかには苔やキノコなど豊富な植物がいて、標高が高いために開けた場所では絶景を楽しむこともできてしまいます。まさにカメラが手放せないコースですよ。

御殿場口新五合目を出発し、幕岩、二ツ塚を周遊するコース。GWから11月中旬にかけて歩くことができ、新緑から紅葉までさまざまな顔を見せてくれます。アップダウンの少ないコースは気軽に楽しむことができ、富士山中腹を歩くため富士山に登った気分になれるという点も見逃せません。

御殿場口新五合目駐車場を出発し、自然休養林といわれる木々の生い茂るなかを歩いていくと、幕岩と呼ばれる一枚岩が見える開けた場所に出ます。一時は砂礫で見ることができなかったのですが、ここ数年は姿を現すように。この幕岩を見ながらランチをするのが私の定番です。

ここから四ツ辻まで歩いていくと、天気の良い日は富士山上部を見ることができ、富士登山をしている気分にも。双子山に登ると眼下には山中湖や駿河湾、また富士山の裾野を見わたすことができ、ついカメラをかまえたくなりますよ。出発地点の御殿場口新五合目に戻ることができるのもうれしいですね。

アドバイス

5月から約半年にわたって、安心して歩くことができる。アップダウンはそほどないものの、夏は暑さに要注意。駐車場の売店などで補給もできるが、万が一に備えて最低限の用意は心がけておくように。

アクセス

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(画像=FUNQ/PEAKS)

御殿場口新五合目までは、御殿場ICからクルマで約30分、富士ICや新富士ICからだと約1時間。富士登山のシーズンであれば、各地からバスも多く走っている。それ以外ならバスの時刻表は要チェック。

フォトグラファー 植田めぐみ

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(画像=FUNQ/PEAKS)

通称「mush」。28歳でスノーボードカメラマンになる。冬は各地でスノーボーダーを撮影する一方、夏は富士山周辺の風景や生活にシャッターを切る。山小屋勤務の経験も豊富。

雲海と湖を見下ろすシーニックルート

関西のアルプスとも呼ばれる比良は魅力十分!

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下山後に、琵琶湖側から振り返る比良山地もまた美しい。この写真とは逆の構図から撮影したい。(画像=FUNQ/PEAKS)
・歩行時間:7時間
- 総距離:13㎞
ポイント
北比良峠から望む琵琶湖はまるで海のようで、写真のフレームにも収まらない。早朝の雲海が晴れると手前の田園風景と対岸の山並みがはっきりと確認できる。広がりを写すには広角レンズが必須。

関西で毎年のように会う山好きの先輩がいる。僕は東京に住んでいるのだが、彼が連れていってくれたのがきっかけで訪れることが増えたのが、比良山系だ。

琵琶湖の西岸に位置する滋賀県の山地で、近江八景のひとつに数えられる景勝地。南北約20㎞、東西約15㎞に広がり、標高は1,000m余りとそこまで高くはない。だが、それ以上の高度感を味わうことができるだろう。冬にはかなりの積雪にもなる。夏は沢登り、冬は雪山歩き。トレイルランやテント泊縦走など1年を通してバリエーションに富んで楽しめる。

今回おすすめするルートは北比良峠を目指す旅。ここから望む琵琶湖は本当に美しくフォトジェニック。おいしいコーヒーがあればさらに感動すること間違いなし。先輩が住んでいる大阪市内から早朝に出発して十分に日帰りが可能。下山後は琵琶湖にそのままドボンするのもあり(夏限定)。帰りに京都の街で打ち上げをして解散するのがここ数年の再会スタイルだ。

アドバイス

健脚の方や1泊できる方は最高峰の武奈ヶ岳まで足を運んでほしい。視界を妨げることがないパノラマと気持ちのよい風を感じられるはず。八雲ヶ原ではテント泊も可能。

アクセス

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(画像=FUNQ/PEAKS)

湖西線を利用して最寄りのJR新小松駅、JR比良駅までは大阪駅からでも1時間あまり。帰りに京都に立ち寄っても約40分で着いてしまう。登山口までも駅から歩けてアクセスは良好。

写真家 飯坂 大

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(画像=FUNQ/PEAKS)

山と暮らしを主なテーマにし、さまざまな分野で活動。ネパールの辺境地域の魅力を紹介するGHTプロジェクトを仲間と立ち上げ、踏査だけでなくイベントも各地で行なう。

雲上の楽園、白馬大池

カメラを持って高山植物を撮りに行こう!

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白馬乗鞍岳から大池への途中から池を見下ろす。奥は白馬岳へ向かう稜線だ。湧き立つ雲、残雪と緑のコントラストは、初夏の北アルプスを象徴するシーンだ。(画像=FUNQ/PEAKS)
・歩行時間:5時間45分
- 総距離:7㎞
ポイント
白馬大池周辺はとにかく高山植物が豊富。種類も多く、雪渓がなくなると次から次へと花が咲き出す。のどかな池の雰囲気にも心和む。朝イチのロープウェイで時間に余裕を持って上がってこよう。

ロープウェイが到着するとそこはもう標高1,860m。栂池自然園のビジターセンター横から登山道を行く。樹林帯のなか、尾根道を登って行くと天狗原の木道へ。池塘は空を映し、のどかな高層湿原。風に揺れるワタスゲなどが見どころだ。白馬乗鞍岳への急な斜面をひと頑張りすれば視界が開ける。

平らな山頂部は一面ハイマツに覆われ、岩が点在する。ライチョウの生息地で、登山道で砂浴びしている姿を見かけることも。山頂を後にすると眼下に白馬大池が現れる。水面は風でさざ波を立てていることが多いが、無風だと連なる稜線のうねりを映して鏡面のよう。

小屋から池のほとり、辺り一面には季節に応じて数多くの高山植物の花々が咲き誇る。ハクサンコザクラ、ハクサンイチゲ、コバイケイソウ、コイワカガミ、ミヤマキンポウゲなどなど枚挙にいとまない。チングルマは穂になってからもなかなか画になる。逆光に輝くシーンは定番の狙いどころ。

アドバイス

天狗原から白馬乗鞍岳への登りはかなり斜度がある。岩がちで、時期、年によっては急な雪渓となる。必要な装備を確認しよう。ロープウェイの時間は時期によって変わるので要チェック。

アクセス

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(画像=FUNQ/PEAKS)

JR白馬大池駅、もしくはJR白馬駅からバスで栂池高原へ。スキー場のゴンドラ、ロープウェイを乗り継ぎ、栂池自然園入口の登山口より入山する。栂池を歩くのもまたいい。

山岳カメラマン 杉村 航

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(画像=FUNQ/PEAKS)

長野県在住25年。山岳、スキー誌やカタログなどで取材、作品を発表中。夏は源流で釣りに明け暮れ、冬はBCスキー。山岳スキーレースにも参戦。小谷村山案内人組合所属。

日本アルプスの中央に立つ岩峰

山のJPN48があればセンターに位置する山

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いきなり森林限界付近から歩きはじめる。関東近郊からの日帰りで、もっとも楽に標高を稼げる山のひとつ。(画像=FUNQ/PEAKS)
・歩行時間:2時間30分
- 総距離:4㎞
ポイント
すばらしい眺望が望めるが、人気の山で人も多いので、登山道の往復だと「どこかで見た写真」しか撮れない可能性もある。地図をよく見て、時間の許す限り脇道にそれておもしろいアングルを探そう。

関東からの日帰り登山で、なるべく標高が高く、なるべくアルペン的な風貌を楽しみたい場合、ロープウェイの使用は必然となるかもしれない。景色のバリエーションが多く、ギザギザした風貌の山を楽しめるのが、宝剣岳、木曽駒ヶ岳周辺だ。

撮影が目的なら、ぜひ、高気圧に覆われた晴天の日を選ぼう。中央アルプスとはよくいったもので、この山は本当に中央にある。雲がなく、空気が澄んでいれば、南アルプス、八ヶ岳、御嶽山、北アルプスは立山まで望むことができ、パノラマ写真を撮るには絶好の場所だといえる。

ただし、アプローチが容易なため、晴天時には多くの登山者が訪れるので、通常のルートからだと、どうしてもアングルがいっしょになってしまう。“どこかで見たような”写真になる可能性が高いのだ。

ここではルート提案をしないが、周辺には多くの脇道ルートがある。それらを利用するとちょっと異なった視点で山々が見え、シャッターチャンスにも恵まれることだろう。

アドバイス

アクセスは容易だが、3,000m近い山であり、悪天時への備えは忘れずに。また、日帰りの場合、ロープウェイ最終に間に合うように行動すること。降雪、残雪期登山には雪崩対策が必要。

アクセス

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(画像=FUNQ/PEAKS)

新宿より駒ヶ根ICまで高速バスあり。バス停女体入口よりロープウェイ行きバスに乗車。車の場合、中央道駒ヶ根ICより菅の台バスセンターまで10分。菅の台バスセンターからバス。

山岳ガイド/カメラマン 廣田勇介さん

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(画像=FUNQ/PEAKS)

世を忍びながら、日本各地の霊山や信仰の山をめぐる取材を続けている。姉妹誌『ランドネ』にて、「神様百名山を旅する」と題して山岳お遍路の旅を好評連載中。

イージーアクセスな3,000m級の稜線

登山技術があるなら初冠雪が狙い目!

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西穂高岳からピラミッドピークや独標方面を写した。ガスは背景を消してくれるアイテムであり、稜線が際立つ。(画像=FUNQ/PEAKS)
・歩行時間:7時間45分
- 総距離:9㎞
ポイント
初冠雪のときには、運がよければクリスタルのようなエビのシッポが見られることもある。西穂高岳までの登山技術に自信がない場合でも、ピラミッドピークや独標までで十分に撮影することができる。

西穂高岳は、岐阜県側からアプローチすればロープウェイを利用して比較的簡単に北アルプスの稜線に立つことができる。3,000m級の稜線が見わたせるだけあって、写真素材には事欠かない。また、穂高エリアはライチョウが多く見られることもあり、アルプスらしさを感じられるルートといえる。

おすすめの季節は初冠雪ギリギリだ。紅葉と雪景色が一度に楽しめるぜいたくな時期でもある。山の写真を撮り始めると、肉眼で見たものよりも立体感が少なく写ることが多いのではないだろうか。それをできるだけ解消する方法が、光と気象現象をうまく利用すること。ガスが稜線に当たり奥の景色が消されると、輪郭がはっきりとして立体感が生まれる。

また、折り重なる尾根に日が射すと光と影のコントラストが生まれ、これも立体感につながる。こうした光や気象条件は気温に大きく左右されるため、どの時期の何時ごろにそこにいるかも重要な要素であることを知っておきたい。

アドバイス

西穂高岳は通年営業の山小屋もあるのが心強い。また、ライチョウのような動物を撮影する際は、被写界深度を開放することがコツである。背景をボカシて、対象を際立たせるようにトライしよう。

アクセス

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(画像=FUNQ/PEAKS)

新穂高ロープウェイが架かる新穂高温泉へは、平湯温泉を経由してバスで向かうことになるだろう。下山ルートを変えれば電車やバスの時間を選べるというのも、魅力のひとつとして覚えておきたい。

山岳写真家 荒井裕介さん

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(画像=FUNQ/PEAKS)

アルコールストーブなどを製作するガレージブランド「SHARAPROJECT」主宰。山に自作の道具を多く持ち込む。ブッシュクラフトに出合って以来、積極的に取り組んでいる。

出典
PEAKS 2018年1月号 No.98

PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

提供元・FUNQ/PEAKS

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